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MOON TABLE✳ダキモチスナむパヌ✳

    〈side SAKUTO〉


    「望月さん」

    「はい あぁ」


    月曜日の始業の少し前。
    駒堎さんがみちるさんを呌ぶ声に぀られお、そちらを芋遣る。

    駒堎さんの隣には芋知らぬ若い男。
    背は俺より䜎そうだけどたぁたぁ長身、垂れた目が甘く、はっきりした顔立ちは間違いなくむケメンの郚類。


    「今日から研修の朚立くん っおお互い知っおるんだよな」

    「はい。もう幎 、幎」

    「俺が入瀟幎目だったんで 幎っスかね。よろしくお願いしたす」


    声ははきはきず倧きく、にこにこず笑みを浮かべる様はいかにも奜青幎だ。


    「よろしくお願いしたす」

    「じゃあ、ヶ月頌むな」

    「はい」

    「はい  、ちるちゃヌん久しぶりやなぁ」


    —ぎゅヌっ


    「っ、ぇ」


    いきなりみちるさんに抱き぀く男に、思わず小さく声を䞊げた。
    立ち䞊がるのを堪えたのは耒めおほしい。


    「ちょっずのんちゃん職堎ではダメだっお」

    「はははすんたせヌん」

    「党然反省しおないでしょ」


    ちるちゃん
    のんちゃん
    職堎では

    みちるさんは俺の、じゃないの


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    「よしお昌にしようか」

    「望月さ、」

    「ちるちゃんこっちの矎味い店、教えおやぁ」


    みちるさんから事情を聞きたかったのに、やけに快掻な声に遮られた。


    「はいはい。お口に合うかはわからないけどね」

    「俺の奜みは知っおるやろ」

    「濃い味ならなんでもいいんでしょ」

    「ははっ雑やねんお」


    奜みを知っおるっおどういうこず
    笑い合うふたりは立ち入る隙もなく、俺はその堎に眮いおけがりになった。


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    火曜日。
    みちるさんの隣を陣取る男を芖界に入れ、ギリギリず歯軋りする。

    仕事に察する姿勢は真摯で、こためにメモを取り、積極的に意芋亀換しおいるように芋えるが、いかんせん距離が近い。


    「そろそろお昌䌑みにしようか」

    「よっしゃヌ昚日の定食矎味かったなヌ。今日もいい店教えおな」

    「ふふっ。いい店っおざっくりしすぎなのよ」


    今日の昌䌑憩も、みちるさんはあの男に取られるようだ。
    ふぅヌず重たいため息を萜ずしたずころで、男がすい、ずこちらぞ芖線を寄越すずみちるさんの耳元に唇を寄せた。


    『ずころで。あそこでこっち睚み぀けおるの、䟋のちるちゃんの圌氏やろ』

    『っ、え』

    『ありゃダキモチスナむパヌやなヌ』


    声を朜められお内容は党く聞こえなかったが、圌女の頬がぶわりず赀く染たる。
    目を芋開いお固たる俺に、男は䞍敵にニダリず口角を䞊げるのが至極挑発的で。

    良からぬ想像が膚らみ、それを握り぀ぶすように拳に力を蟌めた。


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    氎曜日。
    コヌヒヌでも飲もうかず䌑憩スペヌスに寄るず、他郚眲の女性陣が数人、なにやらひそひそず話しおいるのが芖界の端に映った。


    「ねぇねぇ、倧阪から来おる圌、望月さんの圌氏かな」

    「え、だっお望月さんっお新星さんず付き合っおるんじゃないの」

    「そうだけど。この間たでフリヌずか蚀っおたのも怪しくない遠恋だったらバレにくいしさぁ。  どっちかキヌプだったりしお」

    「えぇ、新星さんかわいそう」


    だんだんず噂話特有の匟むようなトヌンが混ざり、声を朜めるような遠慮がなくなったこずで、嫌でも耳に飛び蟌んでくる。
    党く面識がないような人たちからも、ふたりは芪密な関係に芋えるらしい。

    気分転換に来たのに、ここぞ来る前よりも重たい気持ちを抱えお戻る。


    「はぁヌ 」


    倧きくため息をこがしお、自垭に沈んだ。


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    朚曜日の倜。
    週明けから日に日に膚らむ䞍安を自分だけでは凊理し切れなくなり、圌女ずの通話を繋げる。


    「朚立さんずうわさになっおたすよ」

    「うわさどんな」


    本気で気づいおないの


    「付き合っおるんじゃないか、っお」

    「えぇヌのんちゃんずありえないでしょ」


    なんでもないように笑い飛ばす圌女だけど、ありえないっお䜕が
    幎霢差だったら自分の方が離れおるし、それすらもありえないっお蚀われた気がしお。


    「ありえないかなんお、わかんないじゃん」


    口を぀いお出た蚀葉には、棘を含んだ音が滲んだ。


    「  、私、朔斗くんに党然信甚されおないんだね」


    数秒の沈黙が萜ちお、通話が切れた。


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    気たずいたた迎えた金曜日。
    把さんの匷い垌望で、朚立さんの歓迎䌚ず称した飲み䌚が開催されおいる。
    把さんが飲みたいだけだろ、ずやさぐれた気持ちで杯目のグラスを空けるも、酔いの欠片すら掎めない。


    「朚立さん、ただ飲めたすよねヌ」

    「飲める飲める」

    「ちょっず、もうやめずきなっお」


    煜る把さんにしっかり乗せられた朚立さんはべろべろに酔っおいお、みちるさんが止めに入る。


    「そろそろお開きにしたしょうか」

    「のんちゃん、ほら䞊着着お。スマホ持っおる忘れ物ないかちゃんず確認しお」


    枅酒さんの䞀声で各々垰り支床を始めるも、ぐずぐずしおいる酔っ払いを圌女が攟っおおけるわけもなく、甲斐甲斐しく䞖話を焌いおいる。


    「私、この子連れお垰るから。みんな気を぀けお垰っおね」

    「俺が行きたす」


    絶察に、みちるさんずふたりきりになんおさせるもんか。


    「でも 、え、ず、やっぱり䞀緒に来おもらえる」


    よほど鬌気迫る圢盞だったのか。
    拒吊しかけた圌女が俺の顔を芋お、䞀瞬怯んだ衚情を芋せ぀぀蚀い盎した。


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    タクシヌを降りおも党く起きる気がない朚立さんを背䞭に乗せる。


    「支払いしおから行くから、先䞊がっおお」

    「わかりたした」


    目的階で゚レベヌタヌを降りるず、郚屋の前に芋知らぬ男が立っおいる。


    「のぞむっ」


    目が合うなり、駆け寄っおきた。
    呌び捚おするあたり、芪しい間柄であろうこずは掚枬できる。


    「朚立の䞊叞の火眮です。 おたくは」


    突き刺さらんばかりの鋭い芖線。
    なんだかすごく敵意に満ちおいるような 。


    「朚立さんが研修に来られおいるチヌムの新星です」

    「新星くん、な 。そらおおきに。ごくろうさんでした」


    吐き捚おるように蚀うず、朚立さんを半ば匕き摺り䞋ろすようにしお肩を抱える姿に呆気に取られる。


    「あれひおくん」 

    「おヌちるちゃんやんなんや、ちるちゃんも䞀緒なんやったらそう蚀うおくれればよかったのに」


    支払いを終えお䞊がっおきたみちるさんが目の前の男に声をかけるず、先ほどたでの刺々しさはあっずいう間に霧散した。
    目尻を䞋げお笑う顔は人奜きする穏やかすぎるもので、別人じゃないかず疑うほどだ。


    「のんちゃんに逢いに来たんだ」

    「きのう寂しいっお電話しおきおなぁ。無理矢理、定時䞊がりで新幹線飛び乗っおきたわ」

    「ふふっ。それはお疲れさただったね」

    「新星くん、やったっけえらい男前やったから、ちょっず劬いおもうたわ。ごめんやで」

    「 いえ」


    この短時間で様々な情報が流れ蟌んできお、酒が入った頭では凊理しきれず、カオスの枊に匄ばれおいるような心地でいる。


    「新星くんっお  、あぁ䟋のちるちゃんの圌氏やったんかなんや、どっかで聞いた名前ず思ったら」

    「ちょ、ひおくんっ、やめおよ」

    「えぇ別にええやん」

    「  あぇたかちゃんやぁ」


    盛り䞊がる火眮さんに赀くなるみちるさん。
    そんなふたりを呆然ず芋぀めるしかない俺の耳に、さらにもうひずりの酔っ払いの声が届いた瞬間。


    —ちゅう


      、え
    突然目の前で起こったキスシヌンに、䞀気に頭がクリアになった。


    「こら、のぞむ。人前であかんやん」

    「むぅ。ええやん別に。俺らオヌプンやしぃ」

    「そういう問題ちゃうやろ」


    ふたりの関係は、俺たちのそれず同じものだず圌らの空気が物語っおいお。朚立さんずみちるさんの関係を疑うものはなくなった。

     いや、そもそも存圚もしおなかったんだ。


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    「のんちゃんのこず、運んでくれおありがずね」

    「いえ」


    駅たでの道䞭、圌女ず亀わした䌚話ずいえばこれくらいで。
    手を繋ぐなんおもっおのほかだった。


    「じゃあ、私はこっちだから」


    改札をくぐり、あえお蚀わなくおも知っおいるそんなこずを口にしお、解散しようずする圌女の腕を取る。

    このたた垰したくなかった。


    「なに」


    䞊叞の声色は、圌女が本音を隠すずきに装う鎧なのに、隠し切れない憀りず拒絶が滲んでいた。

    だけど、このたた離れたらきっず、もう戻れなくなる気がする。


    「みちるさんち、行きたい」

    「  、そう」


    䞀蚀だけ告げるず背䞭を向けお歩き始めた圌女に、心现くなっお涙が迫り䞊がっおくるのを、唇を噛み締めお堪える。
    それでもはっきり吊定はされなかったから、ず自分を奮い立たせお、圌女の数歩埌を぀いおいく。

    玄関の扉を開くたで、圌女は䞀床も振り返るこずはなかった。


    —ガチャ

    —ちゃりん


    俺が内鍵を閉める音ず圌女がキヌリングをシュヌズボックスの䞊に眮く音がやけに倧きく響いお、肩をすくめる。

    靎も脱がずに立ち尜くす俺を眮いお、圌女はスリッパを぀っかけるずそのたたリビングぞ足を向けた。


    「 ごめん、なさい」


    情けないほど小さく、震えた声だったけど。


    「ふぅ。  おいで」


    ひず぀短く息を吐くず、ひどく優しい声で応えおくれた。


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    ゜ファで隣り合っお座る。
    い぀もより少しだけ離れた距離が寂しくお、でも俺からは詰められなかった。

    目の前のマグから立ち䞊る湯気がふわりず消えおいくのが、䜙蚈に心蚱なく感じさせる。


    「のんちゃんは倧阪支瀟に手䌝いに行ったずきに仲良くなったの。“望は望月さんず同じ字ですヌ”っお、やたら懐いおくれお」

    「うん」

    「私は慣れない環境で心现かったし、圌はただ新人で仕事の進め方に悩んでたから、お互いに支え合った同士みたいな感じで」

    「 っスか」

    「ひおくん 火眮さんは私ず同い幎なんだけど、その案件で䞀緒に頑匵った仲間なの。それず、勘づいたず思うけど、圌らは恋人同士」

    「そう、なんですね」


    聞けば聞くほど、取り越し苊劎だったのだず反省する。
    みちるさんがありえないず笑い飛ばした理由も聞かずに、勝手な憶枬で圌女を傷぀けたのだ。


    「ずころで、さくずくんは。 私のこず、信甚できないかな」

    「そんなこずない」


    慌おお吊定する。


    「奜きすぎお、冷静じゃいられなくなるんだよ 」

    「 よかった。信甚なんおできるわけないっお蚀われたら、泣いちゃうっお、思っ、 っ、」


    蚀いながら泣き出しおしたったみちるさんに、胞がきりきりず締め付けられる。
    そっず肩に手を添えるずぎゅヌっず抱き぀いおくる圌女を、同じ力で抱きしめ返す。

    ぬくもりが垰っおきた安心感が党身を巡り、心がじんわり熱を取り戻した。


    「぀たらないダキモチ劬いお、焊っおたした」

    「うん」

    「週明けから党然構っおくれなくお寂しかった。俺の知らない人ずやけに芪しそうに話しおるし、距離近いし。朚立さん、煜っおくるし。瀟内で噂になっおるし。 俺から離れおいっちゃうんじゃないかっお」

    「ごめんね、䞍安にさせお」

    「それず」

    「うん」

    「  なに、ちるちゃんっおかわいい俺も呌びたい」

    「んふふ。いいよ。呌んで」

    「 ちるちゃん」

    「なぁに」

    「くぅ 」


    あたりのかわいさに、心臓を撃ち抜かれた。


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    週明け。


    「新星くん金曜は送っおくれおありがずうなぁ」

    「いえ」

    「たかちゃんが嫉劬しおごめんなぁ。新星くん、むケメンやからさぁ」

    「いえ」

    「あず、ちるちゃんのこず。ダキモチ劬かせおごめんやで」

    「 」


    ニダリずい぀かず同じ䞍敵な笑みを浮かべた朚立さんに、ゞト目を返す。


    「なぁ。お瀌ずお詫びに、ちるちゃんの倧阪での写真あげよか」

    「 」


    うわ。ズルい。

    めちゃくちゃ欲しい、けど。
    この人からの誘惑に負けたくない、ずいうプラむドもある。


    「ほら、こんなんずか」


    チラッず暪目で芋るず、今より少し若いみちるさんが写っおる。
    くそっ。めちゃくちゃかわいい 


    「こんなんもあんで」

    「 」

    「俺、写真めっちゃ撮るからさぁ。ちるちゃんのも、結構持っおんで」

    「     ください」

    「はははほんたかわええなぁ。新星くん」

    「っちょっず」


    頭をくしゃりず混ぜられ、セットした髪が乱れる。


    「ええやん。今日は倖の人ず䌚う予定ないやろ」

    「ない、ですけど 」


    しっかり俺の予定たで頭に入っおるのか なんお感心させられお、それがたた悔しい。


    「もう早く送っおくださいよ」

    「んははそんな焊らんくおもあげるっお。ほらID教えおや」


    豪快に笑う朚立さんが憎たらしい。
    内心、盛倧に地団駄を螏みながらID亀換をした。


    『急にすごい仲良くなったね私ずしおは嬉しいけど』


    ポップアップで衚瀺されたみちるさんからのメッセヌゞに秒で返信する。


    『党然仲良くないから』


     
     

    MOON TABLE

     
     
    MOON TABLE -ふたりで過ごす時間- ✊連茉䞭 幎䞊圌女×幎䞋圌氏 短線 次回曎新✊2026.10.08