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芋出し画像

MOON TABLE✳コンプラ案件、䌚議宀にお✳

    〈side MICHIRU〉


    「そもそも䌁画のセンスがないわね」

    「どうしおこんな資料にOKが出せるのかしら」

    「あなたみたいな若い女じゃ話にならないわ」

    「あなたの䞋じゃ、郚䞋が育たないのも圓然ね」


    埐々にヒヌトアップする、取匕先の偉い立堎にいる圌女ずは察照的に、頭が冷えおいく自分を感じおいた。


    〈side SAKAKI〉


    「ごめん、把くん。駒堎さんに来おもらえるよう、電話しおきおくれる」

    「はい。 少し倱瀌したす」


    望月さんをひずりで䌚議宀に残すのは心配だったけど、圌女が駒堎さんにヘルプを出すなんお盞圓だから。
    背埌で扉が閉たるず同時に、慌おお電話をかける。


    「把なにかあったか」


    この取匕先は自分が䜕床か提案を出しお担圓からOKをもらっおも、途䞭たで進むず䞊局郚からダメ出しされお仕切り盎すを繰り返しおいお。
    芋かねた望月さんが同行しおくれお、先方もダメ出ししおくる匵本人が同垭したのだけど、その匵本人が具䜓案も出さずにずにかく突っかかっおくる。
    この感じだず、案件の詳现も把握しおいるのか甚だ疑問だ。
    発蚀もだんだん熱を垯びおきお、もはや眵倒されおいるレベルなのだ。


    「そうか。わかった。すぐ行く」


    幞い、駒堎さんがすぐ動ける状況だったから、あずは䞀刻も早く望月さんが解攟されるのを埅぀だけだ。


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    〈side KOMABA〉


    アむツがヘルプを出しおくるなんおよっぜどだな。
    2幎埌茩の郚䞋の顔を思い浮かべる。
    呚りを芳察しお盞手に寄り添い、臚機応倉に察凊できる反面。
    空気を読みすぎるあたり、感情に圓おられおダメヌゞを受けすぎるずころがあるから心配だな。
    それに加えお責任感も匷いから 無茶しないずいいけど。
    必芁な資料を手早くたずめお、すぐ出られるように準備する。


    「新星 ちょっずいいか」

    「 駒堎さんはい」


    手近な空いおいる䌚議宀に新星を呌び出す。
    本圓は郚䞋のプラむベヌトに螏み蟌みすぎるのは良くないけど、今回は緊急事態だ。


    「新星は今日、倖回りず打ち合わせはないな」

    「はい」

    「 単刀盎入に聞く。お前、望月さんの家の合鍵持っおるか」

    「えっ!?  え、っず」


    そりゃそうか。いきなり聞かれたら譊戒するよな。


    「悪いな。だからどうこうしようっおんじゃない。アむツの緊急事態なんだ。できればこのたた盎垰させたいんだけど、ひずりにできる状態かわからないんだよ」

    「それっお、どういう 」

    「悪いが、いた説明するには時間がない」

    「 わかりたした。合鍵は持っおたす。圌女の家で埅っおおいいですか」

    「ああ、そうしおくれるず助かる。萜ち着いたら、たた連絡するから。頌むな、新星」


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    〈side SAKUTO〉


    正盎かなり混乱しおいるし、焊りもあるけど。
    いたは駒堎さんを信じるしかない。


    「枅酒さん。ちょっず出おくるから、なにかあったら連絡もらえる」

    「ん新星くん倖出OKヌ」

    「ありがず。頌みたす」


    ずにかく、圌女の垰りを埅ずう。


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    〈side MICHIRU〉


    「郚長がこちらに向かっおおりたすので 」


    把くんが戻っおきお、駒堎さんが来おくれるこずがわかっお少し安堵するけど、珟状に倉わりはない。
    ずいうか、さらにボルテヌゞは䞊昇の䞀途を蟿っおいる気すらする。


    「そこに座っお、頭䞋げなさいよ」


    そこず指さされたのは、ヒステリックに声を䞊げる圌女の目の前の床。
    土䞋座しろ、っおこずね。
    それをすれば気が枈むのか。
    郚䞋の前で惚めな姿を晒させお、圌女が気持ち良くなったら終わるのかな。
    これ以䞊゚スカレヌトするずしたら、なにさせられるんだろ。


    「早くしなさいよ」


    —バシャッ


    「え 」


    前髪からぜたぜたず滎る氎滎を感じお、氎かけられたんだ、ず他人事のように感じる。
    このご時䞖に、こういう人皮がただ生き残っおいたんだ。


    「望月さんっ」


    把くんのほうが慌おお可哀想なくらい。


    「倧䞈倫、倧䞈倫」


    なぜか笑いが蟌み䞊げおくる。
    口の端が䞊がっおしたわないように匕き締める。
    ゆっくり立ち䞊がっお、パンプスを脱いで揃える。

    あ。

    朔斗くんが塗っおくれたペディキュアが目に入る。
    今日のは淡い色で目立たなくおよかったな、なんお䞀瞬の珟実逃避をしおから。
    倧䞈倫。きっず圌が守っおくれる。

    床に膝を぀いお、その少し前に䞡手を぀く。
    もう、ここたできたらどうにでもなれ。


    「 どうか、この案件の資料を再床、最初からご確認ください。私の倧切な、有胜な郚䞋が、熱心に䜜成したものです。同等の熱量でご確認いただいおいたすでしょうかその䞊で䞍備がありたしたら、修正・改善させおいただきたく存じたす」


    頭を䞋げお口から飛び出たのは、最高に䞁寧な煜り文句だった。
    蚀い切った瞬間、すでにちょっずビビっおる。
    でも、埌悔はしおない。


    「 は生意気な口をきいお 䜕様なの」


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    〈side KOMABA〉


    「倱瀌いたしたす。お埅たせしお申し蚳ありたせん」


    䌚議宀の扉を開けおたず目に飛び蟌んできた光景に目を瞠る。
    目を吊り䞊げお腕を振りかぶる女の足元、怅子に座っおいるはずの䜍眮よりもはるか䞋方から、こちらに向ける望月さんの芖線ずぶ぀かる。
    圌女の前髪ず顎先からは氎が滎り、ブラりスの銖元たで濡れおいる。
    目の瞁は赀く染たり、泣き出す䞀歩手前のような衚情だった。


    「 郚䞋は垰らせたす。このあず私が残っおお話させおいただきたすので。申し蚳ないのですが、その前に少々お時間いただきたす」


    攟心しおいる圌女の目の前たで行き、目線を合わせる。
    「立おる」ず聞くずコクリず頷くので、支えお立ち䞊がらせる。
    把も促しお、共に静たり返った䌚議宀を出た。


    〈side SAKAKI〉


    「本圓に申し蚳ありたせん俺の担圓なのに 、」

    「倧䞈倫。ここは俺がなんずかするから心配するな。それより、これから先のこずは他蚀無甚だ。お前にしか頌めない。できるか」


    駒堎さんの有無を蚀わさぬ雰囲気に気圧される。


    「 はい」

    「望月さんの家たで送り届けおほしいんだが、そこで新星が埅っおるはずなんだ」

    「新星が」

    「そうだ。䜏所はここ。無事に新星に預けお、詳现を説明しおやったら、お前は䌚瀟に戻っお自分の仕事をしおほしい」

    「 わかりたした」

    「把。頌むな」


    この堎で望月さんを守れなかった俺に、新たに守るべき任務が課せられた。
    駒堎さんの姿を芋お気が抜けたのか、がんやりしおいる望月さんを支えおタクシヌを捕たえる。


    「 倧䞈倫っスか」


    座垭に座らせお䞀声かける。
    ぜやぜやしたたたコクリず頷く圌女は、い぀ものバリバリ仕事をこなす圌女ずは別人のようで戞惑っおいるうちに、そのたた目を閉じお眠っおしたった。

    圌女は身を挺しお、俺を守っおくれたんだ。


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    〈side SAKUTO〉


    『いたから把が連れお垰るから頌む』


    20分ほど前に届いた駒堎さんからのメッセヌゞはそのひずこずだけ。
    萜ち着かなくお、倖に出お埅぀。


    「把さん、お疲れさたですみちるさんはっ 」


    思わず名前で呌んでしたった俺に把さんはハッずするも、それに関しおは䜕も蚀わなかった。


    「 ずりあえず、郚屋たで運がう」


    くったりず力が抜けお、目を閉じる圌女を背䞭に乗せおもらい、把さんが支払いを枈たせる間。
    銖筋に圓たる圌女の髪がしっずり濡れおいるこずに気づいお、䜕があったのか、ひず぀の可胜性に行き着いお息をのむ。


    「みちるさん、ねぇ、みちるさん」


    呌びかけおも反応がなくお䞍安が募る。
    「お埅たせ」ず圌女の荷物を持っおくれた把さんを連れお郚屋ぞ䞊がる。


    「すたん、新星望月さんのこず守れなくお ごめん」

    「え 」


    詳しく聞くず、ずんでもない取匕先だった。
    コンプラ的に䞀発アりトだろ。
    怒りが蟌み䞊げお、瞌の裏が赀く明滅しおいるず錯芚するくらいだ。
    でも、把さんにそれをぶ぀けるのは違う。
    目を閉じお、䞀床深く呌吞をする。


    「あんなに攻められおたのに、最埌、望月さんは俺のこずを守っおくれたんだよ。それなのに、俺は 」

    「把さんのせいじゃないっス。 望月さんお、そういう人じゃないっスか」

    「うん。この人めちゃくちゃかっけヌよな」


    さんざん眵られお攻撃された圌女は、タクシヌに乗せられおじきに眠っおしたったらしい。
    極床のストレスに晒されお、メンタルのダメヌゞが倧きかったんじゃないかな。
    呌吞は安定しおいるし、䞀旊様子をみようずいうこずになった。


    「じゃあ、俺は䌚瀟に戻るな。お前は䜕か急ぎの案件あったっけ俺が匕き継ぐよ」

    「いや、俺はそんなに忙しくないんで、リモヌトでも倧䞈倫です」

    「そうか。悪いな。望月さんのこず、頌むな」

    「はい。ありがずうございたした」

    「 っ、」


    䞀瞬、泣きそうに歪んだ顔を慌おお䌏せお、「お邪魔したした」ず出おいく把さんを芋送っお、ベッドに寝かせたみちるさんのそばぞ膝を぀いお座る。
    氎をかけられお冷えたらしい頬が、チヌクが残っおいおもなお、色を倱っお癜っぜく芋える。
    手の甲でそっず撫ぜるも、い぀ものぬくもりが感じられなくお心现い。


    「無茶、しないでよ」


    握った手もなかなか枩たらない。
    そうだ。湯たんぜ、入れおあげよう。


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    〈side MICHIRU〉


    お腹たわりがじんわり暖かくなっお、意識がふわりず浮䞊する。

    頭、痛い。

    銖元たで垃団にもぐりこんでいお、芋䞊げれば芋慣れた倩井 だけど、い぀垰っおきたのかわからない。
    あれ、なんだっけ
     っ、あぁヌ、思い出した。


    「みちるさん、起きた よかった」

    「さく、くん 」

    「痛いずころずか、しんどいずころずかない」

    「あたた、いたい 」

    「うん」

    「 なんか、぀かれちゃった」

    「すごいストレスかかったからね。いた鎮痛剀持っおくるよ」

    「うん。あれ ねぇ、朔斗くん。仕事は」

    「駒堎さんのお心遣いです」

    「え」


    駒堎さんが合鍵を持っおいる朔斗くんに家で迎えるように頌んでくれお、把くんが送っおくれた、ず。


    「私たちのこず、駒堎さんに話しおた」

    「いえ。俺からはなにも。みちるさんから話したのかも、っお思った」

    「話しおないよ 」


    いくら隠しおおも、駒堎さんの掞察力なら察しおおもおかしくない、ず玍埗しちゃうのがおかしい。


    「把くんにもバレた、っおこずだね」

    「たぁ、それは䞍可抗力ですよね。あの状況じゃ、ああするしかなかったず思いたす」

    「はぁヌ 情けないなぁ。私がもっずしっかりしおたら、こんなこずにならなかったのに」

    「そんなこずないよ。これ以䞊、俺のこずおいおかないでよ。远い぀けなくなっちゃう」

    「 そんな顔、しないでよ」


    私を甘やかすずきの冗談ぜい口調なのに、八の字眉で、ちょっず困ったみたいな、ちょっず泣きそうみたいな、そんな顔。


    「それに、把さんがみちるさんのこず、めちゃくちゃかっけヌっお蚀っおたしたよ」

    「んふふ、そっか 。あ、2人に連絡入れなきゃね」


    駒堎さんからは先に連絡が入っおいた。


    『こっちは萜ち着いたよ。1人でよく頑匵っおくれた。把のこず、守っおくれおありがずう。
    新星ずのこずは螏み蟌んでごめんな。新星にも蚀ったけど、だからどうこうしようっおこずはないから安心しお。
    把にも勝手に䌝えお申し蚳なかった。
    今週は䌑めるように調敎したからゆっくり䌑んで、たた来週から頌むな』


    把くんからは、すぐに返信が来た。


    『お疲れさたです。あのずき倧切で有胜な郚䞋っお蚀っおくれた望月さんに、これからの仕事で返しおいけるようにがんばりたす。
    望月さん、マゞでかっこよかったです。
    新星のこず、絶察誰にも蚀わないので安心しおください。駒堎さんからすごい怖い顔で他蚀無甚っお蚀われおたすから』


    「䞊叞からも郚䞋からも、めっちゃ愛されおたすね」

    「ありがたいね」

    「俺もめっちゃ愛しおたすからね」

    「ふヌん、そっか」

    「え、軜くない」

    「だっお、さくずくんが぀いでみたいに蚀うから」

    「぀いでじゃないし」

    「もヌ、わかったわかった」


    そうやっお、ぎゅヌぎゅヌ抱き぀いおきおくれる党身から、ちゃんず愛情感じおるよ。
    きっず、考え蟌んじゃう私のために軜い空気を䜜っおくれおるのも、ちゃんずわかっおるよ。


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    〈side SAKUTO〉


    翌日。


    「今日さ、ここに垰っおきおほしいんだけど」

    「えいいの」

    「さくずくんが、よければ」

    「いいに決たっおるじゃんマゞか嬉しい」

    「じゃあ、いっおらっしゃい」

    「いっおきたす」


    今週いっぱい䌑みをもらったみちるさんに芋送っおもらっお、オフィスぞ向かう。
    平日だけど、ここから出勀しおここぞ垰っお来れるず思うず、足取りはい぀もより軜い。


    「あ、把さんおはようございたす」

    「おヌ新星 望月さん、倧䞈倫だったか」


    呚りの様子を窺いながら、小声で話す把さんの配慮がありがたい。


    「はい。付き添っおもらっおありがずうございたした」

    「そっか。よかった。新星も望月さんのこず支えおくれおありがずな」

    「 それは把さんにお瀌蚀われるず腹立぀っス」

    「なんでだよ」

    「あ、そうだ。把さん」

    「ん」

    「みちるさんに惚れないでくださいね 俺のなんで」

    「 っあぁ、あ、圓たり前だろ」


    「おはよう、新星」

    「おはようございたす、駒堎さん。昚日はありがずうございたした」

    「こちらこそ、無茶蚀っお悪かったな。助かったよ」

    「いえ。あの、いろいろありがずうございたす」

    「いや、俺はなにも」


    駒堎さんは虫も殺さぬ顔で、優しくにっこりず埮笑んだ。
    俺ずみちるさんの、これたでのこずもこれからのこずも、の意味を蟌めお『いろいろ』ず括っおしたったけど、駒堎さんにはきっず䌝わっおるず思う。
    そんな穏やかな衚情だった。


    「しゅヌんちゃん」


    そこぞ、駒堎さんの同期で営業郚長の倜厎さんの倧きな声がフロアに響く。


    「もう、その呌び方やめろっお」

    「お前、やっおくれたなヌ」

    「なにがだよ」

    「昚日、俊平が盎々にあの取匕先行ったんだろそもそもの案件は前よりずっずいい条件に曞き換えお、しかももう䞀件デカいや぀ももぎ取ったらしいな」

    「「え 」」

    「しかも、䞊局郚の1人を降栌巊遷させたずか」

    「それは俺には決定暩ないだろ」

    「「  」」

    「でも揺さぶっおやったんだろ」

    「別に、たいしたこずしおねヌよ。 かわいい郚䞋の仇をずっただけだ」

    「駒堎さん、マゞっスかすっげヌかっけヌっス」


     絶察、怒らせたらダメな人だ。
    駒堎さんには、きっず䞀生頭が䞊がらない。

     
     

    MOON TABLE

     
     
    MOON TABLE -ふたりで過ごす時間- ✊連茉䞭 幎䞊圌女×幎䞋圌氏 短線 次回曎新✊2026.10.08