
レンチンだって、立派な料理なんじゃないかって——あたしはそう思うんですよ
たとえば、餃子。
家で作る場合でも、グラデーションがあります。
【1】粉を練って皮から作る——完全に料理だと思います。
【2】市販の皮を買ってきて、餡は自分で作る——これも料理でしょう。
【3】キャベツやニラを刻んだ「餃子の具」を買ってきて、ひき肉と混ぜて餡をつくる——料理といって差し支えないと思います。
【4】チルドや冷凍餃子を買ってきて、フライパンで焼く——う〜ん、料理じゃないかな? 焼いてるし。
【5】お総菜を買ってきて、レンジで温める——料理……なのか?
そもそも、料理ってなんでしょう?
CMなどで、よく「レンジでチンするだけ」などと言いますが、ことはそう単純ではありません。
熱々の餃子が好きな人もいれば、ちょっと冷めた餃子のほうが味がよくわかって好きだという人もいるでしょう。猫舌の人だっています。
ちなみに、猫舌の人に「熱々が食べられなくてかわいそう」などと言ってはいけません。
猫舌の人は、普通の舌よりも熱々に感じる温度が低いのです。
普通の人がぬるく感じる食べ物を、猫舌の人は熱々に感じています。
つまり、猫舌の人は主観的に「熱々のものを食べている」のです。
温度の感じ方は相対的なものであって、僕はこれを「猫舌相対性理論」と呼んでいます。
いえね、カミさんが猫舌なもんで、料理の温度には気を遣うんですよ。
閑話休題
「レンチン」も簡単ではないって話でしたね。
電子レンジにだって、個体差というか機械のクセみたいなものがあります。
餃子を庫内のどこに置くのか、あるいはどのモードを使って何分温めるのか。
初見で完璧に使いこなすのは難しいのではないでしょうか。
そう考えると、【5】はもう完全に料理といって良いはずです。
同様に、カップ焼きそばを作るのだって、納豆をかき混ぜるのだって、ヨーグルトを器に盛るのだって料理なのです。
「そんなものは料理じゃない!」
と反論される方もいらっしゃるかもしれません。
逆方向に考えたらどうでしょう。
小麦粉を作るために、庭に畑を作って小麦から育てる。
豚ひき肉を得るために、豚を飼育する。
豚を得るために、猪を家畜化する。
……きりがありません。
もちろん、誰がどんな意見を持つのも自由です。
レンチンが料理じゃないと思うのも自由ですし、総菜を温めるのが料理だと思うのも自由です。
身も蓋もない?
今まで書いてきた(読んできた)ことは何だったんだ?
時間を無駄にしただけじゃないのか?
ハイ、おっしゃる通り。
でもねぇ、あたしゃこう思うんですよ——
その人が料理だと思えば、料理
料理とはそれぞれの人の心の中にあるモンなんです。
え〜……ピーター・フォークでした。