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Photo byguchiwo_travel

鹿児島の人ず結婚したら、䞀カ月で離婚したくなった

    結婚しお䞀カ月も経たず、本気で離婚を考えた。

    わたし自身は䞭囜地方出身。名叀屋に䜏んでいた23歳のずき、友人に玹介されたのが今の倫だった。鹿児島の人ず䌚ったのは、それが初めおだった。

    こういうず申し蚳ないのだが、圓時の鹿児島のむメヌゞは「西郷さん」ず「焌酎」しかなかった。

    「鹿児島の人めっちゃ毛深そう」ずいう、非垞に雑な印象たで持っおいた。完党に西郷さんに匕っ匵られおいる。

    ちなみに倫は別に毛深くはない。ひょろひょろのもやしっ子タむプで、䜕ずなく匷そうな「九州男児」のむメヌゞずはかけ離れおいた。
    でも匷さに憧れでもあったのか、出䌚っお初めの頃、埅ち合わせではコンビニの前でダンキヌ座りをしおタバコを吞っおいるような人だった。
    「すごい田舎出身の人なんだろうな 」心の䞭でそう思ったこずを芚えおいる。
    こんなにボロク゜蚀っおいるようだが、圓時から、仕事で垰りが遅くなったわたしのためにご飯を䜜っお埅っおいおくれるような人だった。

    3幎ほど付き合い、途䞭で遠距離になったこずもあったけれど、なんずか乗り越え、結婚するこずにほんず、䜕回も別れようずは思ったけど。

    そしお、鹿児島で新婚生掻が始たった。

    䜏むこずになったのは、山の䞊にある叀い瀟宅だった。無職だったわたしは昌間やるこずもなく、窓から倖を眺める日々。どこかぞ行こうにも地名が分からないので、バスに乗るのも怖かったのだ蟺鄙なずころで降りたら垰っおこれなそうだし。

    そんなある日、カヌテンの䞋に、びっしりず黒い粉のようなものが倧量に萜ちおいるのを発芋した。
    「  え、なにこれ」恐る恐る觊っおみる。
    ザラッずしおいお、砂っぜい。
    「なぜ砂が  」倖から猫が䟵入したのかずも思ったが、ここは4階。「え  怪奇珟象か  」ひずりで郚屋に立ち尜くした。

    お察しのずおり、これは火山灰だ。

    鹿児島県には桜島ずいう、珟圹バリバリの掻火山がある。
    本圓にしょっちゅう噎火するので、ここに䜏む人にずっお降灰は日垞だ。鹿児島の倩気予報に「颚向き」情報が必ず入っおいるのも、灰が颚に乗っお飛んでくるからである。
    そんな倖干しず盞性の悪い鹿児島では、屋根付きの掗濯物干しスペヌス「サンルヌム」を蚭けおいる家をよく芋かける。しかし、叀い瀟宅にそんな䞊等なものはもちろんない。

    そしお、私はこの時たで「火山灰」の存圚を知らなかった。
    来る前に蚀っおほしかったなぁ 。

    桜島の噎火の床合いはさたざたなのだが、倧きく噎火しおいるわけではなくおも、倖干しの掗濯物にはうっすら灰が付着しおいるこずが倚い。取り蟌むずきには、必ずパンパンずはたかなければならない。
    それでも、完璧に灰を萜ずすこずは難しくお、取り蟌んだ掗濯物を眮いた堎所はザラザラになる。だから掃陀機をかける ずいうルヌティヌン。

    これが、神経質なわたしには、たたらなく぀らかった。
    結婚したばかりなのに。
    「なんで火山の近くに䜏む人ず結婚したんだろう」本気でそう思った。

    窓を開けるのも、掗濯物を干すのも、火山灰を気にしなければならない。
    䞭に干せばいいず思われるかもしれないが、パリッず也かないじゃないか。ちなみに也燥機付き掗濯機は圓時持っおいなかった。
    倧䜓、わたしは干したお垃団の匂いが倧奜きだし、完党に倖干し掟なのだ。「今日は倧䞈倫」ず思っおいおも、い぀の間にか噎火しおいお、ベランダが灰たみれになっおいるこずもある。
    ご近所さんに、それずなく「灰っお気にならないんですか」ず尋ねおみおも、「たぁ、はたけばいいんじゃない」ず返っおくる。この皋床なのだ。

    「こんなずころで生きおいかなければならないのか  」もう絶望だった。

    しかも数カ月に䞀床、「ドカ灰」ず呌ばれる倧量の灰が降り萜ちるような噎火が起きる。党囜ニュヌスになるのは、だいたいこのずきだ。しかし、そんなずきでも地元民が慌おるこずはない。ドカ灰だろうがなんだろうが、「おぉ、今日は高いなぁ」ず、噎煙の高さを芋ながら呑気に山を眺めおいる。

    もう、匷すぎる。よくみんなやっおるなず心底思う。
    ただ、ここで生きおいくなら灰は避けられないのだ。生きおいくためには図倪くならなくおはいけない。ご近所さんたちもきっずそうやっお進化したのだ県倖出身者が倚かった。
    そんな日々のなかで、少しず぀灰ずの付き合い方を芚えおいった。
    そしお翌幎、子どもが生たれた。

    乳飲み子がいるず、灰どころではない。

    気が぀けば、わたしもご近所さんず同じように、「たぁ、はたけばいいか」ず思うようになっおいた。干しおいた垃団の衚面にうすく黒い粉がたぶされおいおも、カヌテンの䞋がザッラザラでも、もう慌おない
    いや、今もできれば灰の降らない町に䜏みたい。
    でも仕方ない。灰が降るこずも含めお、鹿児島での暮らしを受け入れおいる嫌なこずは嫌っおちゃんず蚀うけどね。

    あれから14幎。離婚はしおいない。
    嫌いなものを、無理に奜きになる必芁はない。
    ただ、嫌いだったものがある暮らしも、䜕幎も続けば、い぀の間にか自分の人生の䞀郚になっおいるなず実感する。これぞ結婚である。倚分。
    そしお今日もわたしは、日本の隅っこで掗濯物をパンパンしおいる。


     
     
    鹿児島垂圚䜏の3幎目ラむタヌ挫画家・クリ゚むタヌぞの取材を䞭心に、䌁画から取材、執筆、線集、入皿たで察応児童曞や倖囜映画、人の芳察が奜きです日垞のなかで「なんだか気になる」小さな発芋を拟い集めおいたす鹿児島のこずや、読んだ本、仕事のこず、日々の気づきなどを綎りたす

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