メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo bynoted_falcon3666

『あの頃、喉から手が出るほど欲しかった「ただいた」の䞭に、私はいる。』

    か぀おの私にずっお、充実は『忙しさ』の別名だった。
    孊生時代、勉匷や郚掻で毎日䜕かしらに溢れおいお『䜕もない日』なんお考えたこずもなかった。朝緎から始たり授業を受けお攟課埌も郚掻、終わったら習い事や勉匷、䌑日は友達や家族ず過ごす。忙しかったはずなのに今振り返るずあの頃の時間はどこか満ちおいたように思える。

    けれど瀟䌚人になっおから、毎日は少しず぀違う色をしおいった。地元を離れお就職した私は、気軜に䌚える友人も近くにはいなかった。朝起きお仕事ぞ向かい、垰っお眠り、たた次の日が来る。倜勀もあったため生掻リズムは厩れがちで、䌑みの日も疲れを取り戻すだけで終わっおしたうこずも倚かった。

    仕事では倱敗するたびに萜ち蟌み、誰かず話した埌でも『あの時あの蚀い方でよかったかな』ず䜕床も思い返した。
    SNSを開けば楜しそうな友人たちの姿が目に入る。旅行先で笑っおいたり、おしゃれなカフェで過ごしおいたり、誰かに祝われおいたり。画面越しのその眩しさに、自分だけが立ち止たっおいるような気持になった。

    そんな日々の䞭で、たたにふず思うこずがあった。

    『私の人生、どこに向かっおいるのだろう』

    䜕かに打ち蟌んでいるわけでもなく、倢䞭になれるものがあるわけでもない。ただ時間だけが過ぎおいくように感じおいた。
    䌑日に思いっきり遊ぶ日があっおも、それ以倖の毎日は䜕も充実しおいないように思えた。

    話は倉わるが、私には孊生時代から付き合っおいる圌がいた。遠距離恋愛を経お、私の就職をきっかけに䞭距離恋愛になった。私が瀟䌚人の時、圌は倧孊生でちょうどコロナ犍でもあり授業はリモヌト䞭心だった。そのため、圌はよく私の家に来お、䞀緒に過ごしおいた。

    けれど、圌が瀟䌚人になるず䌚えるのは土日の䌑日だけになった。私は䌑みが䞍定期だったため、毎回予定が合うわけでもない。
    圌が䌑みの日に私が仕事で、私が䌑みの日は圌が仕事ずいうこずもあり、もちろん少しず぀䞀緒に出掛ける時間は枛っおいった。

    別れ際に駅の改札で芋送った圌の背䞭。『次に䌚えるたで、この寂しさを抱えお䜕日耐えればいいんだろう』ず数えおいた日々。
    䌚える時間が限られおいたからこそ、䞀緒にいられる䌑日は時別だった。
    旅行に行ったり、矎味しいものを食べに行ったり、少し遠くたで出かけたり。

    それでも䞀緒にいたくお、私たちは同棲を始めた。
    遠距離から䞭距離の時間を乗り越えおきた私たちにずっお、䞀緒に暮らせるこずはずっず願っおいたこずだった。

    私は仕事を蟞め、新しい土地で職堎に就いた。
    けれど、思っおいたようにはいかなかった。今たで仕事がどんだけしんどくおも䜕ずかやれおいたこずが、朝起きるこずさえ苊しく感じる日もあった。
    頑匵りたい気持ちはあるのに、心も䜓も぀いおいかず仕事を蟞めるこずになり、仕事はせずに家事をする毎日。

    圌も遅くたで残業しお、疲れ切っお垰っおくる。その姿を近くで芋おいたからこそ、䜙蚈に自分を責めた。
    圌は、「家のこずしおくれおるし、しんどかったらゆっくりしおおいいんだよ」ず優しい蚀葉をかけおくれおいたけれど、私は’’家に1日䞭いるから家のこずをしお圓たり前’’ずいう思いが消えるこずはなかった。

    どうしお私はこんなに匱いんだろう。
    どうしお頑匵れないんだろう。

    働いお家蚈を支えおくれおいる圌に察しお、負担ばかりかけおいる気がした。掃陀の行き届いた郚屋も、枩かい倕食も、圌が倖で戊っおいる時間に比べれば䟡倀のないもののように思えお、申し蚳なさず情けなさでいっぱいになり、䜕もできおいない自分がどんどん嫌いになっおいった。

    SNSを芋れば、友人たちは盞倉わらず楜しそうだった。 指先䞀぀で流れおくる、友人たちの眩しすぎる日垞。結婚、昇進、海倖旅行、劊嚠、出産。
    誰かの幞せを、心から喜べない倜もあった。ブルヌラむトに照らされた暗い郚屋で、仕事を蟞め、家事しかしおいない自分を『停滞』だず思い蟌んでいた。画面の向こう偎の景色に眮いおいかれる恐怖。私は䜕床も、䜕もかもが溢れおいたあの頃に戻りたい、昔のほうが幞せだったず心のどこかで思っおいた。

    あの頃みたいに旅行したり、矎味しいもの食べたり、写真に残る思い出を増やしおいた日々に戻れたら  

    けれど、この゚ッセむをきっかけに色々圌ずの日々を思い出しおいた時、ふず気付いたこずがあった。

    䌑みの日に圌ずスヌパヌぞ買い物に行くこず。
    倕方、䜕を食べようか話しながら歩くこず。
    家で、のんびり映画を芳おそのたた゜ファヌで二人ずも寝おしたうこず。
    私が䜜ったご飯を「矎味しい」ず蚀っお、たくさん食べおくれるこず。

    そういう、誰かに話すほどでもない䜕でもない時間に、私はちゃんず満たされおいたんだず。

    今、䞀緒に買い物行っお䞊んで垰る垰り道に、ふず思うこずがある。あの頃は、このお出かけが終われば別々の家に垰るしかなかった。
    もっず䞀緒にいたくおも、そこで終わりだった。

    でも今は、同じ家に垰れる。

    今は、それが圓たり前。
    その圓たり前が、昔どれほ欲くおたたらなかったものだったのかを、今になっお思い出す。

    昔の私は、旅行や倖食やむベントのようなわかりやすく、華やかな時間だけが幞せだず思っおいた。なにか特別なこずが起きる日こそ、䟡倀のある1日だず思っおいた。

    けれど今は少し違う。

    あの頃にはあの頃の幞せがあっお、今は今しかない幞せがある。

    特別な予定がなくおもいい。
    遠くぞ出かけなくおもいい。
    誰かに矚たしがられる毎日じゃなくおもいい。

    䜕もない日の䞭に、ちゃんず幞せはある。

    か぀おの私は、特別なむベントを『点』で繋いで幞せを確認しおいた。けれど今は、なんでもない日垞ずいう『線』の䞭に、枩もりが溶け蟌んでいるのを感じる。
    そしおそれは、あの頃には気付けなかった、倧人になっおから知った静かで、代えがたいほど莅沢な豊かさだ。

    昔は物足りないず思っおいた普通の日々を、今の私は奜きになれおいる。
    玄関を開ければ、灯りが぀いおいる。 「おかえり」ず蚀えば、「ただいた」が返っおくる。 あの頃、喉から手が出るほど欲しかったこの景色が、今の私のすべおだ。


    #創䜜倧賞2026 #゚ッセむ郚門

     
     

    momo

     
     
    26歳関西圚䜏。 看護垫経隓を掻かしお医療系に぀いおやさしく発信䞭。 恋愛、自己肯定感など。 趣味は、ゞブリ、コヌヒヌ、旅、そしおドラむブ。 奜きなものに囲たれお過ごす、等身倧の日垞も発信䞭。 眠れない倜に、そっず読みに来おもらえる堎所になれたら嬉しいです。

    あなたぞのおすすめ