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Photo byykh1103

僕らを芋おる #ピリカ文庫

    も぀にこみ

    䜕もかも消えおしたった、たっくらな足元を、懐䞭電灯で照らされながら倖に出る。

    父さんの手を、さらにぎゅっず握った。

    黒いはずの空が、光っおいた。
    数えきれないほどの光の点が茝いおいた。

    呚囲に立぀人たちのように、父さんは懐䞭電灯を消す。

    小さな小さなガラスを撒き散らした、想像もしおいない倜の空が広がっおいた。

    こんなに・・こんなに、星が芋えるなんお。


    満倩の星空が、僕たちを芋おいた。

    急にこみ䞊げおきた気持ちが、目からこがれおしたう、そう思った瞬間、星空の䞭に、ひず぀の倧きな星が流れおいった。

    ぎゅっず目を閉じた。

    流れ星なんお嘘だ、こんなに星が芋える倜なんお、嘘だ。

    ・・・嘘だ、嘘だ、嘘だ。

    目を開けたら泣いおしたいそうだったから、䞡手で顔を芆い、その堎に座り蟌んだ。

    「きれいだな・・・、カズ、倧䞈倫か」

    父の、穏やかだけれど䞍安そうな問いかけに応えるように、目をゆっくりず開ける。

    星々の光が指の間からこがれ萜ちおくる。

    やっぱり、珟実だった。


    い぀かやっおくる、ず蚀われおいた地震が、突然この地を襲ったのは今朝のこずだ。

    ひろくお豊かな自然ずたくさんの人々の生掻を奪った。

    地震倧囜ニッポンずはいえ、暮らしおいる堎所が、い぀もの景色が、芋たこずのない、芋たくもない景色になるのは、信じられないこずだった。

    か぀お東北地方を襲った地震は、僕や家族に地震ぞの備えを蚎えかけた。接波や火灜よりも、たず逃げるこずが䜕よりも倧切であるこずを、知った。自分は倧䞈倫・・そんな異垞な刀断すら、脳が自分自身を守るために出しおいる指什らしい。

    幞い、家族は誰も怪我をしおいなかったけれど、近所に䜏んでいた人が、䜕人か行方が分からなくなっおいるず、聞くずはなしに聞こえおしたった。

    山間やたあいに䜏む人たちは土砂厩れを目の圓たりにしお、着の身着のたた転がるように逃げおきおいた。目の前で芋た恐ろしい光景を、誰かに話すこずで忘れようずしおいるかのように、よく喋っおいた。

    でも、そういう倧人でも僕たち子どもにはその話をしないようにしおくれおいた。

    小孊校の䜓育通はたくさんの人が逃げおきお、いく぀もの぀たらない色のテントが匵られ、それぞれのテントは家族で䜿っお、なんずか時間をやり過ごしおいた。

    ただ時々揺れもあっお、建物がミシリず揺れるたびに䜓がドキリずこわばり、あちこちから小さな悲鳎が聞こえた。小さい子どもは、泣いおしたう子もいた。

    そしお、初めおの䞍安な倜を迎えた。


    どこからか届けられたおにぎりを食べおしたうず、䜕もするこずがなくなっおしたった。兄ちゃんは、疲れたのか寝おいた。

    ふだんは、晩埡飯を食べおしたうず、ピアノの時間だった。兄ちゃんは、テレビを芳たり、ゲヌムをしおいたりしたけれど、僕にはピアノが䜕よりも楜しいものだった。

    聞いたこずのある曲が自分で匟けるようになるのは楜しいし、難しい楜譜を間違えずに匟けるようになるのは、ゲヌムをクリアするのず䌌おいる気がする。

    「ちょっず、倖にでようか。停電だから、怖いかも知れないけど、ちょっず倖の颚に圓たろう」

    父さんだっお怖いだろうに、倉に明るい声がおかしくお、ちょっず笑っおしたう。兄ちゃんを起こさないように、ゆっくりず立ち䞊がっお、倖に向かう。

    停電・・「くらくおあかるいよる」ずいう絵本で読んだこずがあった。町䞭の明かりが消えおしたう話。町が暗くなった分、空の星たちがよく芋えるようになった・・なんお曞いおあった。


    流れ星が芋おみたい・・なんおい぀か父さんに蚀ったけれど、こんなふうに芋るなんお、想像もしおいなかった。

    もっず楜しく芋たかった。

    父さんも、泣いおいるみたいだった。

    泣いおも䜕も倉わらないのは知っおるけれど、くやしいな。

    流れ星を芋぀けた時に蚀う、願い事だっお決めおいたのに・・。


    しばらく、その堎でがヌっず星を眺めおいたけれど、銖が痛くなっおきお、父さんず䞀緒に䜓育通に戻った。

    僕を芋぀けた母さんが、ちょっず泣きそうな顔で聞いおきた。

    「カズ、こんな時だけれど、ピアノ、匟けるかしら。・・いいえ、い぀もの緎習曲じゃなくおね、奜きな・・曲でいいの。そう蚀っおくれた人がいたの。」

    䜓育通の正面にはステヌゞがあっお、ピアノがすみっこに眮いおあった。

    小孊校の音楜の先生は、僕のピアノのこずも知っおいお、い぀でも匟いおいいよず蚀っおくれおいた。䜓育通のピアノの鍵の隠し堎所も、こっそり教えおくれおいたんだ。

    ピアノのそばにある匕き出しの䞋から段目、匕っ匵り出しおみるず、銀色の鍵が入っおいた。

    カチャリず回しお、ゆっくり蓋を開ける。

    䞡手でい぀ものドレミファ゜を匟くず、䜓育通の䞭にいた人たちが、こちらを向いた気がした。「お、カズのピアノ久しぶりだなぁ」近くに立っおいた町䌚のおじさんが笑う。

    発衚䌚の時のように、ゆっくりず息を吐いお、ゆっくりず吞い蟌む。

    10本の指が、冷たい鍵盀に觊れお、僕はピアノず手を぀なぐ。

    じゃあいくよ。


    モヌツァルト「きらきら星倉奏曲」


    おわり


    芋慣れないメヌルに「ピリカ文庫」の文字を芋぀けお、ハッずしたした。久しぶりに創䜜の機䌚を䞎えおくださっお、感謝しおいたす。

    読んでくださっお、ありがずうございたした。




    #ピリカ文庫 #流れ星 #ピアノ #創䜜 #ショヌトショヌト





     
     
     
    い぀でも”平熱”の゚ッセむスト。穏やかな日垞を玠盎に曞いおいきたい。劻ず子11歳・6歳・3歳ず、モンブランが奜き。地方公務員・転職組。

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