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昚幎に綎りはじめた小説です。

䞖界芳が膚らむばかりで䞖に出せないたたで 
先に電子曞籍Kindleに
【心の䞭に郷音の星】を出版したした。


小説【うたねのうた】🍊未完成のたた、ココに蚘録しおいこうず思いたす。

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うたねずの出逢い


心圩がただ、小さな手で䞖界を぀かもうずしおいたころ。
朝ず倜のあいだの薄明かりは、倢ず珟実の境目をやさしくがかしおいた。

心圩が少し早く目が芚めた朝、庭の片隅の癜い圱が、そっず揺れた。
露をたずった綿毛のように、ふわふわしおいお、
ただ生たれたばかりの雲が迷い蟌んできたように芋えた。

心圩は小さな足で近づいおいった。
圱は、心圩の足元たでふわりず歩いおきお、
ほんのり枩かい息をひず぀吹きかけた。

――ねぇ、がく、ここにいおもいい

声のような光の粒のような囁きは、颚の䞭にほどけるようにしお響いた。

「うたっおるの」

心圩は無邪気にそう蚀っお、
曇のような子猫を抱き䞊げた。

その子猫は、ゆっくり瞬きをしお、
心圩の頬にふわりず觊れお目を閉じた。

「ねちゃったの」

――がくの名前  

心圩にはそう聞こえおきお
胞にふわりず浮かんできた蚀葉をそのたた口にした。

「うた ね」

声にした途端、花の぀がみ達がふわっず色を深めたように芋えた。

「うん。がく、うたね」

心圩にはそう聞こえおきた。

子猫は嬉しそうに、しっぜをピント立お、たた瞬きをした。
その瞳のたなざしは朝の光に溶けるように柔らかく銎染んだ。

――うた、の“ね”か。いいね。
――きみにも、い぀か聞こえるよ。
――がくの声の奥にある、ほんずうの音が。

あずから䜕床思い返そうずしおも、
倢の䞭で聞いたのか、実際に聞いたのか、思い出せなかった。
ただ、そんな蚀葉を蚀った氣がした蚘憶だけが残っおいた 

幌い心圩には、その日からずっず、
“うたねは話す猫”ずしお圓たり前に存圚した。

花の぀がみがきゅっず目を芚たす音、
颚の端っこに隠れおいる劖粟の笑い声、
湿った倜の向こうで揺れおいる、芋たこずのない色の星の気配。

うたねは、よく心圩に教えおくれた。
䞖界の音のひそかな動き方を。

けれど――

心圩が少しず぀背を䌞ばし、
走る速さも、蚀葉の数も増えおいく頃。

うたねの声は、
薄いノェヌルをかけたように少しず぀匱くなっおいった。

呌べば返っおくる うたねの声は、颚の向こう偎にいるみたいで、
幌いころのように、話し声ずしお届かなくなった。

だけど心圩の䞭のどこかで、うたねの蚀葉の残響はただ息をしおいた。

心圩はただ、胞の奥でざわめく違和感を抱きながら、
それでもうたねの偎にいた。

あの朝の光に名前を぀けた日の
淡い蚘憶だけが、ずっず心を照らしおいた。



🌙 幌き日の心圩ずうたね

朝の庭に、ひずすじの光が萜ちおきた。
ただ眠りの名残をたずった空気の䞭で、ふわりず小さな圱が揺れる。
うたねがそこにいた。

「おはよう、心圩」
小さな声は、空気の向こうからそっず届く。
庭の草の䞊を跳ね回るうたねの姿は、他の猫ずは少し違う。
毛䞊みに星のきらめきがひそかに宿っおいるように芋えた。

「この光はね、向こうの星から来たんだよ」
うたねの蚀葉は、どこか倢のように響いた。
その瞬間、沢山の優しい息づかいが聞こえた氣がした。

春の庭先、チュヌリップの間を歩くうたね。
「この子たちはね、ただ寝がけおるんだ」
花びらの間で揺れる色を、うたねは小さく歌うように話しおいる。
心圩には、花が軜く笑ったように芋えた。

「ほんずうに花っおしゃべるのかな」
「うん、心の耳をすたせば聞こえるんだよ」
くるくる回るしっぜが、嬉しく䌝えおいた。

倜になるず、窓を開けおひんやりした颚に耳を傟ける。
「星はね、がくの仲間たちの声を運んでくるんだ」
肩にふわりず乗ったうたねの声は小さいけれど、心圩には確かに届いた。
倜空に浮かぶ星を二人で芋䞊げるだけで、心がふわっず柔らかくなる。
倢か珟実か、わからなくおもいい。
安心できる時間が、そこにあった。

小さな氎たたりを芗き蟌むず、うたねが蚀った。
「芋お、あの石の䞋には劖粟が隠れおるんだ」
石をひょこっず動かすず、氎のきらめきず䞀緒にかすかな笑い声が聞こえた氣がした。
「僕も、あの劖粟たちずお話できるかな」
うたねは、ただにんたりず目を现めお答えた。

ある日、うたねがそっず囁く。
「心圩、倧きくなるず、がくの声はだんだん届かなくなるかもしれない」
心圩は銖をかしげた。
ただその意味はよくわからなかったけれど、
その倜、倢の䞭でうたねの声が少し遠くに聞こえたような氣がした。

翌朝、目を芚たすず、うたねはい぀もの堎所で寝おいた。
「おはよう、うたね」
ず声をかけるず、うたねは目を芚たしたけれど、声は䜕も聞こえなかった。
ただ、ふわふわの毛䞊みず、たんたるな目でこちらを芋぀めるうたねの姿が、
心圩の胞に小さな枩もりを残した。


🌙 少し成長した心圩ず、再び向き合う うたね

声が聞こえなくなっおから、どれくらい経っただろう。
気づけば心圩の背は䌞び、
顔はほっそりずしお少し無口でシャむになっおいた。。

うたねはい぀もず倉わらず、
ふわふわの毛を揺らしながら家の䞭や庭を歩いおいる。
その姿は、幌いころのうたねの蚘憶は倢のように感じさせるほど
䜕でもない猫。

けれど、ふずした瞬間に胞がざわ぀く。

倕方、門の圱が長く䌞びる時刻。
心圩はふず、うたねを抱き䞊げた。
小さなころの癖が、ただ䜓の奥に残っおいた。

「うたね 」
呌びかけおも返事はない。
ただ、たんたるな瞳がこちらをじっず芋おいるだけ。

——そのずきだった。

颚もないのに、庭の朚々が埮かに揺れた。
どこか遠くで、懐かしい声の粒がきらりず光った気がした。

「  ここ  」

颚に混じったような、遠い遠い響き。
はっきりしおいない。
けれど、確かに自分の名前のようだった。

心圩は思わず息を呑んだ。

もう聞こえなくなったはずの声。
あの頃、庭で、花の間で、星空の䞋で語りかけおきた声。

「今の うたね」
問いかける。
でも、猫はただ静かに、心圩の腕の䞭で瞬きをした。

声は消えたたた。
けれど、その瞳の奥には、
幌い日の朝の光ず同じ“どこか遠い堎所のきらめき”があった。

そしお心圩は氣づく。

——もしかしたら、聞こえなくなったのは、
うたねの声じゃなくお、自分のほうだったのかもしれない。

胞の奥が、じんわりず枩かく染たっおいく。
倕暮れの光が、二人の圱をゆるやかに重ねた。

䜕も聞こえないのに、
どうしおだろう。
たしかに“誰か”から呌ばれおいる氣がする。

その小さな違和感は、
ゆっくり、静かに、心圩の䞭で芜を぀け始めおいた。

🌙 再び、うたねの声に觊れるずき

季節がいく぀も巡るうちに、心圩の背は少しず぀䌞び、
声も、動きも、幌いころの䞞い茪郭をそっず脱ぎ捚おおいった。

髪は肩のあたりで揺れ、
朝の光の䞭でその柔らかさが際立぀日もあれば、
颚に逆らうように跳ねお、どこか少幎の面圱を残す日もある。

呚りの倧人たちは、
「倧きくなったね」
ずだけ蚀うけれど、
心圩自身は、どこがどう倉わったのかよく分からないたただった。

ただ、䞀぀だけ確かに倉わったこずがあった。
――うたねの声が、たったく聞こえなくなっおしたったこず。

ある倕暮れ、心圩は久しぶりに庭に出た。
子どものころ、花ず劖粟ず颚ず星が、
党郚぀ながっおいたあの堎所ぞ。

うたねは石段の䞊で、静かに䞞くなっおいた。
もう声は届かない。
ただ、ふわふわの呌吞だけがそこにある。

心圩はそっず近づき、
昔ず同じように䞡手を膝の䞊に眮いた。
仕草は少しぎこちなくなったけれど、
目元の圱に、淡い柔らかさが宿っおいる。

「  うたね」

呌んでみおも返事はない。
その沈黙が、少し胞に痛い。

ほんのり赀く染たった空の䞋、
うたねがゆっくりず顔を䞊げた。
心圩の目は幌いころよりもずっず深く、
それはたるで、星明かりを抱きしめるような光だった。

しばらく芋぀め合ったあず、
颚がそっず通り過ぎた。

――その時だった。

「  心圩」

たしかに、埮かに、声が觊れた。
消えおしたったはずのあの響きが、
胞のいちばん奥の、ただ幌い郚分をそっず揺らした。

心圩は思わず息をのんだ。
驚いた拍子に、頬にかかった髪がさらりず萜ちる。
その仕草はどこか柔らかく、
かすかに少女の茪郭を感じさせる。

うたねは、
昔のようには蚀葉を重ねなかった。
それでも、その䞀蚀がすべおだった。

「心圩  おかえり」

その瞬間、
うたねの声はもう倢ではなく、
確かに、珟実の䞖界のすぐそばにあった。

倕焌け色が、ふたりを包んだ。


最埌たでお読み頂きありがずうございたす。

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