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Photo byriku_sugimoto

その傘… #拝啓文芸部 雨の日の傘

    雨の日は、気持ちもどんよりする。
    でも、お気に入りの傘なら少し気持ちがあがるのは私だけだろうか。


    「あー、届いてないですねー。」

    ついさっき、降りたバス会社に電話をした。
    54系統の17時35分に駅に着くバスの中に、
    傘を忘れてしまったのだ。
    電話を受けたバス会社のおじさんは、
    面倒くさそうに言った。

    やっぱ、あるわけがない。
    自分に言い聞かせる様につぶやく。

    ついこの間、一目惚れして買った
    ブランドの傘なだけに、ショックはデカい。
    暫くはなくなってもいいショボい傘を使っていた。
    新しいときめく傘には、なかなか出会えなかったからだ。

    数ヶ月して、雨の朝。
    いつものように職場近くのバス停で降りた。
    信号待ちをしている人混みに、
    あのお気に入りの傘があるではないか。
    すぐさま傘を忘れた日にフラッシュバックした。

    あっ!あの人、同じバスで、すぐ近くに乗っていた。

    って事は、私の傘?
    頭の中が、ぐるぐるしだした。

    「あの、すみません。その傘私のですよね?」

    言えない。
    でも、絶対に私の傘だー!!
    しかも、その傘を持った人は、
    同じ会社の異部署の人だ。
    余計にショック。

    その後、職場のうち内では、
    その人のことを、傘の人 というあだ名で呼んでいることはさておき、
    すっかり傘忘れの 傷 も癒えた頃、
    旦那が、女性物の傘を持ち帰ってきた。
    電車の中の忘れ物だと思うが、
    雨が降りだしたから、持って来たというのだ。
    耳を疑った。

    「持って来ちゃ ダメ なやつー!」

    「信じられない!普通もってこないよ!」


    と、旦那を叱った。

    さぞ忘れ主さんは、ショックだろう。と思った。
    持って来てしまって、ごめんなさいね。

    しかし、よく見ると私の忘れた傘よりワンランク上のブランド傘ではないか。
    いや待てよ。
    これは、何かのお恵みなのか?
    無くした傘の代わりにどうぞ使ってください。
    って神が言ってるの? 
    頭の中が、ぐるぐるしだした。

    ワンランク上の傘は、しばらくの間我が家の傘立てに置いていたが、
    初めてその傘をさして出かけたときである。

    「あの、その傘私の。」

    後ろから声が聞こえた。
    頭の中がぐるぐるしだした。
    恐る恐る振り返る。

    誰もいなかった。

    END

    お題に参加させていただきました。





     
     
    突然noteをはじめてみました。日々のくだらない事などを書いて、自分を見つめ直して、周りの人に優しくなりたい。続けられるように頑張ります^_^

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