
ショートショート:兵器開発
天才科学者と呼ばれるライガー博士は、極秘裏に接触してきた某国の依頼を受け、新たな大量破壊兵器の開発に取り組んでいた。
大量破壊兵器といえば核兵器を造ればそれでOKなのだが、NPTもあるしIAEAも査察だなんだと小五月蝿い。
ダーティーボムという逃げ道もあるが、それでは効果が限定的な上に、そもそもエレガントではない。
クラスター爆弾やトマホークなどの既存の兵器を改良するという手もあるが、科学者としての矜持が許さない。
「改良すればいい?そんなことは、小賢しい極東の猿どもがよく使う手段じゃないか!私は革新を求めているんだ!」
敵国を混乱に陥れるという点では、生物兵器も選択肢にはなりうるが、ジュネーヴ議定書や生物兵器禁止条約に抵触する。
そもそも、新型コロナウイルスのような事態になっては、自滅に等しい。
P弾(陽子反転弾)ならNPTの範囲外だが、実用化が可能かも不明瞭、仮に可能だとしても完成までに何年かかるか分からない。
敵国を制圧してからの領土利用ということを考えれば、N弾(中性子爆弾)のように敵国を焦土にしない形での破壊が望ましい。
だが、そんな事が可能だろうか。これまでの常識から考えれば、そんな都合の良い兵器は存在しない。
「さて、どうしたものか・・・」
最新の研究を参照し、なにか軍事転用できるアイデアがないか熟考していたライガーだが、解決策は浮かんでこない。
「最新の研究がダメなら、温故知新といくか・・・」
孔子「論語」にも精通しているライガーは、古代ローマ時代から近代までの兵器データベースを閲覧していた。
たまたま、ある兵器の情報に目が釘付けになった。
「くそっ・・・猿真似と改善しか出来ないと思っていたが、ジャップも案外クリエイティブじゃないか!」
「ライガー博士、兵器が完成したと聞いたが」
「はい閣下。通常兵器とは異なり、敵国破壊までに少し時間がかかりますが、なにより低コストで用意できるのが魅力です」
「なんと!それは大発明だ!どんな兵器かね?」
「途上国からの移民です」