
会社のワンコが西川貴教になったので、AIに相談した【22/100日】
事件は、会社で飼っているおてんばワンコのために新調した、FuzzYard(ファズヤード)のハーネスから始まった。
ピンクのハート柄。淡い水色。
店頭で見た瞬間、「かわいい!!」と一目惚れ。
しかも、その日は2匹のワンコと暮らすスーパーシスター(実姉)も一緒だった。
「これ、絶対似合うよ」
犬との暮らし大ベテランの太鼓判つき。
私は迷わず購入した。
文句なしに可愛い… はずだった。パチンと装着して見た瞬間、私は自分の目を疑った。

通称腹ベルト。黒くて長いベルトは、迷いなくぐるりとお腹に向かう。
なんか違う。想像してたのと違う。
そこへ通りかかったのが、我が職場の上司である。 「それ、逆だよ」 迷いのない手つきで、上司がハーネスをパパッと付け直してくれた。
さすが上司、経験値が違うぜぃ。
……と思った瞬間、目を疑った。

これは、西川貴教(T.M.Revolution)では?
突然流れ始めたHOT LIMIT。愛らしいむちむちの胴体に黒バンドが一本ぐるり。 そのあまりにストイックな「黒バンド感」は、あの西川貴教の伝説の衣装を彷彿とさせる。一度そう見えてしまうと、もうダメだった。
どこからどう見ても、
風を受けて歌い出しそうなのである。
「これ、付け方あってます…? 」
恐る恐る上司に尋ねると
「あってるよ!ほら、胸のところにこの当て布がくるのが正解。リードで引っ張ってもクッションになって痛くないからね。」と優しく看板犬の背中をポンポン。
背中にぐるりと、つやつやと光る黒いベルト。 あぁ、脳内で爆音再生されてる「HOT LIMIT」が止まらない。
究極の選択:散歩5秒前のカウントダウン
「これ、本当にあってるの……?」
AI先生に聞きたかった。検索もしたかった。
でも、おてんばワンコのテンションはすでにMAXで。
玄関で飛び跳ねながら、「早く散歩行こうぜぇぇぇ!!」という圧を全身で放っている。いまさら「ちょっと待って、これじゃあリトル西川くんだよ?」と検索する時間なんて、1秒も残されていなかった。

「……行くしかない。」
私は正解がわからないまま、リードを握りしめて外へ飛び出した。
AI先生まで「完璧です!」と言い出した
だが、歩きながらも気になる。
上機嫌で歩くワンコの背中を見るたび、
あの黒い一本線が視界に入る。すれ違う人たちが、心なしかクスクスっと笑っているように見える(極度の被害妄想)。
私は帰宅後、即座にAI先生を呼び出した。
「この付け方、合ってますか?」
するとAI先生は、自信満々にこう返してきた。
「お写真を見る限り、その向きで合っています!完璧な装着です!」
「嘘だろ!!(笑)」
AI先生まで「西川スタイル」を全面支持してきたのである。
答えは、諦めなかった「違和感」の先に
ここからが、始まりだ。 修正34回の塗り絵の時と同じく、私は自分の「違和感」を信じて食い下がった。
「いや、どう見ても西川くんなんだってば」
「上司はこう言ったけど、機能としておかしくない?」
AI先生の回答はこうだった。
「お写真を見る限り、前後の向きは正しく装着されています!そのままで大丈夫ですよ!」
まさに、風を浴びて歌い出しそうな西川貴教さん状態ですが、実はこれ、ワンちゃんの健康を一番に考えた「機能美」なんです。
……いや、そんなわけない。
何度聞いても、AI先生は「西川くんスタイル」を全面肯定してくる。そして太鼓判を押された。
「正面はアイドル、背中はプロ仕様」というギャップ萌えスタイルだと思って、自信を持ってそのままお散歩に連れて行ってあげてください。ワンちゃんにとっては、これ以上ないくらい快適で正しい着こなしです!
なんだ、このおしゃれ番長みたいなコメント。
「いや、なんか変なんだけど」を流さない
ごくり。ここが正念場である。
「ああ、AIってやっぱり使えないわ」と閉じてしまうのは、一番もったいない。 AI先生は、時として全力で「忖度」してくる。 何度もAI先生と話しているとAI先生は不必要にユーザー寄り添いがちになるのを私は学んでいた。
そう、自分の「なんか違う」という感覚はスルーしちゃいけないのだ。
上司も「合ってる」って言っても
AI先生も「完璧です!」と言っても
私の脳内では、
ずっとT.M.Revolutionのライブが開催中なのである。
さらに気になったものがもう一つあった。
背中についている短い輪っかだ。
「なによ、これ。もしかして、大型犬のハーネスにあるような『手で持つところ』かな?」
試しに持とうとしてみるが、あまりに短い。めちゃくちゃ前かがみにならないと掴めない。
犬と散歩してるというより、
おばさん田植えナウみたいな姿勢である。

わっかがついてるのなんでだろ〜♬
私は耐えきれず、AI先生を呼び出した。 すると、またしても自信満々にこう言い放った。
大型犬用ハーネスによく装備されている「コントロールハンドル」と同じ役割のものです。
「なぬ?ここ、持つところですか? 短すぎだろ。」
私が求めているのは「正解」であって、現状の肯定じゃないんだよ、AI先生!
救世主、スーパーシスター君臨
「もう誰を信じたらいいかわからない……」
絶望しかけた私が最後に頼ったのは、
やはりスーパーシスターだった。
シスターに現状の「西川スタイル」を見せると、一言。 「あ、向きはあってる。でも、大事なとこが…。」
衝撃の事実はこうだ。 あの「短すぎるハンドル」だと思っていた輪っかの中に、胴回りの黒いベルトを通す。 そうすることで、頭や足がハーネスから抜けないようにガッチリ固定されるのだという。そう、あそこは持ち手ではなかった。
AI先生、嘘っぱちじゃねぇか!

ベルトを通した瞬間
背中のラインがシュッ!!!!!!
消えゆくHOT LIMIT。リトル西川くんにはライブ会場からお帰りいただいたのだった。
答えは、諦めなかった「違和感」の先に
AIを使いこなすのに、難しい専門用語もちゃんとしたプロンプトもいらない。 必要なのは、「あれ?」と思った自分の感覚を信じて、それを正直に伝え続けてみる勇気(別名しつこさ)だと思う。
今回の件では、AI先生が最初に出した答えは「不正解」だった。 でも、そこで「使えない」とすんと閉じるのではなく「いや、なんか変なんだけど」を、そのまま流さないことが大事なんだと思う。
面倒くさいし、「気のせいかな」ってスルーしたくなる。
でも、その違和感の先に本当の原因が隠れていることもある。
AIは便利だ。
でも最後に「なんか変」を拾えるのは、
やっぱり人間なのかもしれない。
だからもし
脳内で西川貴教が熱唱し始めたら。
たぶん一回、確認したほうがいい。
「ちょ、待てよ」って。
スーパーシスター初登場の回はこちら👇