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自分の本音と向き合う

    「本音で生きていますか?」

    数年前の私にそう聞いたら、私は迷わず「はい」と答えていた。

    自分の人生を生きていると思っていた。

    結婚も、子育ても、自分で選んだ人生だと思っていた。

    だから、その問いに迷いはなかった。

    でも今なら分かる。

    あの頃の私は、本音で生きているつもりで、本音を知らずに生きていた。

    そのことに気づかせてくれたのは、一人の大切な親友だった。

    「本音で生きるってね、今日何が食べたいか、自分に聞けることなんだよ。」

    最初は意味が分からなかった。

    「何が食べたい?」

    そんなことを考えたことがなかったからだ。

    「何でもいい。」

    それが私の答えだった。

    友人は否定も責めもしなかった。

    「そうだよね。分かる。」

    そう共感してくれた。

    でも、その一言がずっと心に残った。

    私は本当に、自分の本音を知っているのだろうか。

    そう考え始めた。

    振り返ると、私はずっと誰かを優先して生きてきた。

    夫。

    子ども。

    家族。

    自分のことはいつも最後だった。

    それが良い妻であり、良い母親だと思っていた。

    だから、自分に問いかける習慣なんて一度もなかった。

    当時の夫は会社を経営していた。

    論理的で、現実的で、結果を出す人だった。

    私はそんな夫を尊敬していた。

    一方で私は専業主婦だった。

    収入もなく、社会的な実績もない。

    だから私は、いつの間にか「結果を出している人の方が正しい」と思い込んでいた。

    夫婦で仕事をするようになってから、その思い込みはさらに強くなった。

    私が提案をしても、

    「それで結果につながるのか。」

    と言われる。

    少し考え方が違えば、

    「それは違う。」

    と言われる。

    今思えば、夫が悪かったというより、私は夫の価値観を自分の価値観にしていた。

    夫に認められたい。

    褒められたい。

    評価されたい。

    その思いが強くなるほど、自分の気持ちは後回しになっていった。

    夜、一人で泣いたことも何度もある。

    何のために生まれてきたのだろう。

    私には何の価値があるのだろう。

    そう思いながら、自分を責め続けていた。

    そんな私が始めたのは、とても小さなことだった。

    「私は今、何が食べたい?」

    昼ご飯を決めるとき。

    夕飯を作るとき。

    スーパーで買い物をするとき。

    毎日、自分に問いかけた。

    最初は答えられなかった。

    「何でもいい。」

    その言葉しか出てこなかった。

    それでも問い続けた。

    数か月が過ぎた頃、少しずつ心の奥から「私はこうしたい」という感覚が湧いてくるようになった。

    その頃から、自分の気持ちを大切にできるようになり、夫との関係にも変化が生まれた。

    そして私は、自分の人生を自分で選ぶ覚悟を決める。

    離婚も本気で考えた。

    市役所へ行き、制度を調べ、一人で物件も見に行った。

    部屋を歩きながら、子どもたちの暮らしを想像した。

    見積書を何度も見返し、生活費を計算した。

    怖さはあった。

    でも、それ以上に「私は生きていける」という感覚があった。

    結局、その家を契約することはなかった。

    その後、夫婦で何度も話し合い、お互いが自分自身と向き合うようになったからだ。

    今でも意見がぶつかることはある。

    でも以前とは違う。

    相手を責めるのではなく、まず自分を見る。

    だから謝ることも、話し合うこともできる。

    私は思う。

    本音で生きることは、わがままに生きることではない。

    自分の気持ちを知り、その責任を自分で引き受けることだ。

    その積み重ねが、自分との調和を生み、その調和は夫婦や家族へと広がっていく。

    今でも私は、自分に問いかけている。

    「私は今、何が食べたい?」

    たったそれだけの問いが、私の人生を変えた。

    だから今、もし誰かに同じ質問をするなら、こう聞きたい。

    「本音で生きていますか?」

     
     
    霊感が強い家族のママ 私・夫・3人の子供・犬と暮らしています。 家族に起きた不思議な出来事や子どもが語った見えない世界の記憶と日々の暮らし。 私自身の体験や感じたことを通して 【この世を生きること】を私なりの価値観・世界観とともに綴ります。

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