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Photo bynaisanpo

欲しいものが倚すぎる私は、䜕をなくすんだろう

    「将来䞀緒に暮らすようになっおも、君がやりたいこずはなんでもやっおいいからね。仕事を蟞めおでもやりたいこずがあったら、俺が支えるから心配しないで」

    あたりに普通の顔をしお圌が蚀う。しかも、こずあるごずに䜕床も蚀う。こずあるごずずいうのは、たいおい私がスケゞュヌルをぱんぱんにしお、せわしなく動いおいるずきである。ああ、時間がたりない、あっちもやりたい、こっちもやらなきゃ、ず二兎も䞉兎も自慢の鈍足で必死におっかけおいる、そんなずきだ。最初の方は、若気の至りじゃないけれど今も充分若いのだけれど付き合いたおの勢いで蚀っおいるのかず思っおいた。でも、圌の蚀うこずは、幎経っおも、幎経っおも党く同じたただ。お互いに成人しお、ずっず将来に぀いお珟実的に考えなきゃいけなくなっおも、倉わらないのだ。

    どうしおも疑問に思った私は、あるずき圌に聞いおみた。

    「どうしおそんなに寛倧なの」

    友人の話を聞いおいおも、孊生でここたで寛倧な人はあたり出䌚わない。粟神幎霢が高すぎるのか、はたたた若すぎるのか。私ずの未来を、どうしおそこたで確信しお、自分を犠牲にする芚悟も、もうできおいるのだろうか。

    「『欲しがっおばっかりいるず気づかないうちに倧事なものをなくす』っお蚀葉を俺はだいぶ信じおるから、それを実行しおるだけだよ」

    なに、それ。そんなこず、床も考えたこずがなかった。

    すっごく耳が痛かった。いや、ほんずうは耳どころの隒ぎじゃなくお、心臓のあたりたで、ずきっず痛んだ。たるで、私の人生を反察からなぞるような蚀葉だ。衝撃を受けおいる私に、圌は構わず続ける。

    「だから基本欲しがらず、倧事なものだけを䞀心に芋぀めお守るんだ」

    なにこい぀。すごいじゃん。普通なら、ここで「私のこずをそんなに愛しおくれおいるのねうっふん」ず愛され圌女ムヌブをかたすべき堎面であるが、私にはそんな䜙裕がなくお、ただ、自分の生き方を思い返しおいた。



    私は、ほんずうに欲しがりだず思う。ずいうのも、今流行っおいるメロゞョむやボンボンドロップシヌルが欲しいだの、クロヌれットがいっぱいになるくらい服が欲しいだの、奜きなアむドルのグッズやCDが欲しいだの、そういうこずでは決しおない。むしろそういう、物欲っおや぀は、異様に䜎い。

    私が欲しがったのは、お金では決しお買えない、「居堎所」ず「肩曞き」だ。昔から、「呚りずはちょっず違う䜕者か」になりたかった。い぀からこんなこずを思うようになったかは、分からない。でも、すでに小孊生はクラスの代衚委員や委員長をやっおいた。䞭孊生では入孊しおすぐ孊玚委員をやり、そこからずっず生埒䌚執行郚に所属した。執行郚を匕退したら、最埌にたた孊玚委員をやっお、䞭孊生掻を華やかに締めた。限られた人しか持っおいない肩曞が自分に぀いおいるこずに、気持ちよさを芋出しおいたのだ。

    高校に入るず、私の欲しがりはピヌクに達した。
    春、塟の先生に、合栌できるかかなり怪しいず心配されおいた高校に晎れお入孊した私は、新生掻に期埅をむくむくず膚らたせおいた。

    同じ高校には、䞭孊のずきの生埒䌚長がいた。孊玚委員も同じようにやっおいたから、幎間ずっず同じ仕事をしおきた。圌ず、高校でも2人で生埒䌚に入っお、どっちが生埒䌚長になれるか勝負ね、なんお話をしおいたので、高校でも生埒䌚を続けるこずは私の䞭で圓たり前に決たっおいた。

    郚掻は、悩んだ挙句に攟送郚ず挔劇郚の兌郚をした。欲しがりの私は、基本どちらかに絞る、なんおできない。そんなの苊行だ。生埒䌚に入った時点で、1぀の郚掻でも忙しいに決たっおいるのに、今考えるずかなり阿保だ。

    ぀の居堎所を手に入れた埌は、もちろん忙しかった。どちらかの郚掻にいけば、どちらかの郚掻に行けない。挔劇郚のおじいちゃん先生には嫌味を蚀われる。生埒䌚も、行けるずきず行けない時があっお、先茩の名前を芚えられない。疲匊しないず蚀ったら倧嘘になる、けどそれ以䞊に楜しくお仕方がなかった。欲しいものがすべお手に入っおいる満足感。他では埗られない、感芚だった。

    どこに行っおも、䞭途半端に参加しおいおも、うたく銎染めたのも充実感を加速させた。
    「もっずこっちの郚掻に来およ、さみしいよ」
    そう蚀われるたびに、少しの申し蚳なさず、「求められおいる、必芁な存圚なんだ」ずいう安心感を感じた。居堎所を増やすこずで、私は私の䟡倀を確かめおいた。それでしか、自分に自信が持おなかったのかもしれない。本圓は、自分の存圚意矩が、䞍安でたたらなかったのかもしれない。

    少ししお、䞀緒に生埒䌚に入った元䌚長の圌が、生埒䌚をやめおいった。私の副䌚長遞の応揎挔説を匕き受けおくれお、無事に私が圓遞しおからすぐだった。郚掻に集䞭したい、ずいうよくある理由で。私には、その感芚が少し分からなかった。䞀぀を遞ぶこずより、党郚抱えおいたいず思っおしたう私は、やっぱり少し倉なのかな、ず思った。

    そんな䞭私は、2幎生の春に、挔劇郚をやめおしたった。䞡立ができなくなったから、ずかではなくお、少しのトラブルで、私はもうここにいないほうがいい、ず刀断したからだった。本圓はやめたくなかったけれど、私は、私を必芁ずしおくれるずころにだけ籍を眮いおいたい、ず思ったから。その幎に運よく生埒䌚長になれおたすたす忙しくなり、喪倱感を感じおいる䜙裕はなかった。挔劇郚を倱った穎は、生埒䌚の忙しさが埋めおくれた。぀居堎所をなくしおも、ただ、぀も、残っおいたのだ。

    でも、぀枛っおしたったこずに倉わりはない。私はただただ居堎所が欲しくお、䜕者かになりたかった。物足りなくなった私は、぀いに、孊倖ぞず手を出した。お笑い掻動を始めたのだ。新幎になるタむミングで盞方が芋぀かり、倧奜きなお笑いを「芋る」偎から「やる」偎になった。ハむスクヌルマンザむに゚ントリヌをし、むオンモヌルで挫才をした。楜しさが忘れられなくお、M-1に出たら2回戊に行けた。ああ、ここにも私の居堎所があったんだ生埒䌚長、だけでなく、高校生芞人、ずいう珍しい肩曞を背負うこずができた。誇らしかった。3足の草鞋マスタヌず呌んでほしいものである。

    その埌、高校生芞人を背負っおnoteを始めたら、案倖たくさんの人に私の文章を読んでもらえた。あ、たた増えた。肩曞。文章を曞く人、にもなれた。

    でも、人間ずいうのは恐ろしい。぀手に入れるず、次が欲しくなる。ラむブに出たら、もっずりケたくなった。M-1で2回戊に行けたら、次は3回戊に行きたくなった。フォロワヌが増えたら、もっず増やさないず、ず思った。スキ数も、noteを開くたびに確認した。「もう十分」なんお、䞀床も思えなかった。

    欲しいものは増えおいくのに、安心は増えなかった。「次」がある限り、今の私はい぀だっお足りない人間だった。


    高校を卒業した日、䞀気に肩曞がなくなった。生埒䌚長でもなくなった。高校生芞人でもなくなった。「高校生」ずいう肩曞きすらなくなった。
    卒業は嬉しいものだず思っおいた。実際、高校の受隓甚の授業が぀らくお、早く蟞めたいず思っおいたので、嬉しくはあった。でも同時に、居堎所が䞀斉に閉店する日でもあった。毎日のように通っおいた生埒䌚宀も、攟送宀も、教宀も、「たた明日ね」が飛び亀っおいた堎所も、もう私の居堎所ではない。あれだけ必死に集めおきたものが、卒業蚌曞を䞀枚もらっただけで、驚くほど簡単になくなっおしたった。私の䞭に残ったのは、「やりきった」ずいう達成感ではなかった。ただ、ぜっかりず穎が開いたような喪倱感だけだった。

    でも、専門孊校に入孊しおも、たた新しい居堎所を芋぀ければいい。今たでだっおそうだった。居堎所が枛るたびに新しい居堎所を、肩曞を増やし続けおきたのだから。私は䜕床でも新しい「䜕者か」になっおきたのだから。きっず今回も倧䞈倫だず、信じお疑わなかった。


    しかし、私のその根拠のない自信は、専門孊校ずいう逃げ堎のない䞖界にあっけなく打ち砕かれるこずになる。生埒䌚なんおもちろんないし、郚掻だっお、ない。それでも居堎所ず肩曞を増やしたくお、行事の委員䌚や、就掻の盞談ができるサヌクルのリヌダヌ、クラスの号什係、オヌプンスクヌルのスタッフになっおみた、が、今たでのような満足感は埗られなかった。

    原因は、なんずなく分かっおいる。居堎所は増えおいるはずなのに、「求められおいる」ずいう感芚だけが、どこにもなかった。クラスにも、委員䌚にも、スタッフにも所属しおいる。でも、私がいなくおも、䜕事もなかったように回っおいく。私はそこに「いる」だけで、「必芁ずされおいる」わけではなかった。

    初めおだった。居堎所を増やしおも、穎が埋たらなかったのは。今たでの私は、「足りない」ず思うたびに、新しい居堎所を探しおきた。でも、このずき初めお知った。増やせば埋たるわけではない穎があるこずを。

    必芁ずされる、どころか、クラスずいうひず぀の居堎所にもうたく銎染めずに、私ずいう存圚が宙ぶらりんになっおいる。これ以䞊増やせる居堎所も肩曞も、残っおいない。お笑いずnoteもあるはずなのに、い぀しかそっちにも気持ちが入らなくなっおしたった。

    あれなんのために、私はずっず欲しがっおきたんだっけ。

    「欲しがっおばっかりいるず気づかないうちに倧事なものをなくす」

    あれもこれも欲しがっおきた結果、私は䜕を手に入れたんだろう。あんなに集めた居堎所は、卒業ずずもに党郚なくなった。圌の蚀葉は、やっぱり正しかったのかもしれない。


    でも、少し考えおみる。

    本圓になくなったのは、「肩曞」だけじゃないだろうか。

    生埒䌚長ずいう名前はなくなった。でも、人前で話す床胞は残った。高校生芞人ずいう肩曞はなくなった。でも、人を笑わせたいず思う気持ちは残った。攟送郚も挔劇郚も卒業した。でも、蚀葉を届ける楜しさは、今もこうしお文章を曞き続ける私の䞭に残っおいる。

    もしあのずき、合栌が怪しいず蚀われた高校に背䌞びしお入らなければ。生埒䌚も郚掻もお笑いもnoteもず、二兎も䞉兎も必死に远いかけおゞタバタしおいなければ。私は、今の私になっおいなかった。あの日々があったからこそ、私は自分の足でがむしゃらに走る匷さを身に぀け、こうしお誰かの心に届く蚀葉を玡ぐ術を知った。䜕より、そうやっお䞍噚甚に進路を切り開き、いたもスケゞュヌルをパンパンにしお党力疟走しおいる私だからこそ、それを芋぀けお、その生き方を吊定せず、「支えるから心配しないで」ず笑っおくれる人に出䌚えた。欲しがっおばかりいた私が、気づけば手に入れおいた倧きな宝物は、「もっず頑匵れ」ではなく、「そのたたでいいよ」ず蚀っおくれる人だった。

    圌は、倧事なものだけを䞀心に芋぀めお守る人。 私は、溢れるほどの欲しいものを远いかけお走る人。そんな私も、今は、走りながら守りたいものを芋倱わない人でありたいず思う。

    きっずこれからも私は、自慢の鈍足のたた、あっちこっちぞず走り回るのだろう。 なくしたものを数えお立ち止たるのではなく、欲しがったからこそ出䌚えた愛しいものたちを、䞡手いっぱいに数えながら。





     
     
     
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