メインコンテンツへスキップ
見出し画像

アボカドは週2つまで

    30歳過ぎて未だ独身の私。
    ひとりの生活を楽しんでいるわけでもなく、心では結婚したいと思っているが恋人も友達もいない。

    でも実際のところ、本当に結婚したいのであれば交流の場を増やしたり、マッチングアプリで探したりすると思う。

    全くしていない、それどころか友達といえる人が一人もいない私は、「本当は結婚したくないのかも」と思えてきた。
    なにより、交流する場がとても苦手だ。
    変に疲れて悩むなら、一人でいたほうがよっぽどマシと考えてしまう。

    会話するとしたら、一緒に住んでいる唯一の家族「愛犬」か、職場の人たちくらい。

    愛犬には何でも話すけど、職場の人とはたわいのない会話くらい。
    仕事とプライベートははっきり分けたいし、プライベートをあまり知られたくない。
    だからといって外ずらだけは良い私は、うまく会話しているつもりだ。

    *

    最近職場の人との会話で、
    「どんな時、幸せって感じる?」
    って聞かれた。

    その時は「幸せなんて最近感じてないです~」って流したけど、家に帰ってきてお風呂に浸かりながらふと思い出した。

    “私の幸せって感じる時って何だろう”

    もちろん愛犬が元気でいることが一番の幸せだけど、他に幸せって感じることあったっけ?
    私はこれからどうやって暮らしたいんだろう?
    お金を稼いで、運よく生活に困らない結婚相手を見つけて、家族を作ることが目標なのかな?

    自分自身に質問を問いかけながら、答えが出ないまま、ただ頭だけが重かった。

    答えの出ないことをずっと考えても仕方ない。
    晩ごはん作ろう。

    ごはんを作るっていっても、毎日ほとんど同じメニュー。
    まとめて炊いた冷凍のご飯に、千切りキャベツやにんじん・白菜・ほうれん草・パプリカなどが入ったミックスサラダ、冷凍のから揚げ、即席スープ、日替わりで納豆・豆腐、こんな感じのごはんだ。

    ミックスサラダはスーパーで大袋298円(税抜き)を買って4食分になる。
    サラダには基本的にドレッシングはかけないけど、キムチをトッピングする。
    ほとんど毎日食べるサラダでも、週に2回程度『アボカド』をトッピング。
    本当は毎日食べたいけど、週に2回でも贅沢だと感じている。

    サラダは4食分で298円に対して、アボカドは通常198円(税抜き)、セール時でも120円前後の価格だ。
    1食で一つ食べるので、サラダよりトッピングのほうが値段が高い。
    200円あれば種類によってはメインのお惣菜を一つ買うことも可能。

    それでも私は『アボカド』を食べたい。

    一番の理由は、アボカドが好きだからだけど、切る時のドキドキ感と皮が綺麗に剥けた時の達成感、時々あるあの絶望感がたまらない。

    他のフルーツや野菜って、外側からでも何となく痛んでいたり腐っていることがわかることが多いと思う。
    その反面、アボカドって外側はきれいでも、中が痛んでいることも多くある。
    わからないからこそ、中身を見た時きれいな『アボカド』だと、素直に嬉しいしラッキーだと感じる。

    もう一つ特に嬉しい瞬間は、皮を抜く時。

    まず真ん中に一周切り目を入れて、くるっと左右をずらして半分にする。
    包丁の持ちて側の角を種に刺し、種を実からとる。
    そして手で皮を剥く。
    実が皮につかないで剥けた時、緑だけが見えて中の黄緑が見えてない時、自分に「よし、合格」という。

    あの切るまでわからないドキドキ感と、綺麗に剥けた達成感がたまらない。

    でも痛んでいた時、少しだけカットすれば無事な時もあれば、広範囲で痛んでいて食べれる部分が少しになる時もある。

    その時の絶望感は大きいけど、改めて『アボカド』の高級感を実感する。
    自然の物だから傷んでいるのは仕方ないし、お店でいくつも触って選ぶわけにもいかない。
    選ぶ基準は、ひょうたん型のような細いほうが、種も細くて実が多いイメージがあるので、私はひょうたん型を選ぶ。

    丸いのは種も大きくて丸く、種が大きい分実が少ないイメージ。

    実際どれが正解かはわからないけど、自分の好みで決める。

    じーっとアボカドを数秒見つめて、直感で選ぶ。

    「この子に決めた」
    そうやって家に連れてかえる子を選んでくる。

    *

    「幸せ」って言葉ではなかなか表現できないけど、心で感じていることは日々あるのかな。

    普通のサラダだけでも美味しいけど、アボカドがあったらその日は早くごはんが食べたくなる。
    私も将来、一人でも幸せだけど、二人で居たらもっと幸せって自信持って言える、素敵な人と一緒にいたい。

    ご飯で例えると、白米のままでも美味しいけど、梅干しがあったらもっと美味しい。
    そんなトッピングのような、お互いを幸せにし合える関係。

    *
    子どもの頃はアボカドを食べたことが一度もなかった。
    正直、小学生の頃は存在も知らなかったと思う。
    私は高校三年生になって初めてバイトしたのがスーパーだった。
    スーパーのレジで頻繁にスキャンするアボカド、こんなに多くの人が買うのに私は食べたことがなかった。

    ある日母に、「アボカドって美味しいの?」と聞いたことがある。
    「あんまり味しないし、食感が苦手な人もいる」
    うちは裕福ではなかったため、メインではないものにお金をかける余裕なんてなかった。お腹もたまらないし、サラダが出るくるような家庭ではなかった。
    野菜はスープや炒めもので食べる。
    私の中でサラダは少し高級感があった。

    *
    初めてアボカドを食べたのは大人になって外食でサラダやハンバーガーに入ってた。
    確かにどんな味って言葉に表すのは難しいけど、私はこの食感がとても気に入った。

    少し自炊をする余裕が出てきた頃、自分でも買うようになった。
    年齢をかさむにつれて健康にも気にするようになり、幼少期の感覚で少し特別でちゃんと料理をする日に買っていた。

    ネットで「アボカド レシピ」と調べ、いろんな料理も挑戦した。
    どれも美味しいけど、私はシンプルに何かのトッピングで食べるのが一番美味しいと思った。

    サラダのトッピング、サンドイッチ、ハンバーガーどれも良い。

    でも時々思うことがあった。
    アボカドを買うならそのお金でお肉を買ったり、スイーツを買ったり、おかしを買うこともできる。

    お金のない私が頻繁に買ってもいいものなのか、贅沢すぎないか、そう感じることもあった。

    *

    よく会話や婚活で出てくる質問、
    「結婚相手に望む年収は?」
    その質問に皆さんはなんて答えますか?

    私には今まで答えがなかった。
    でも今はなんとなくだけど、答えられる気がする。
    「年収はこだわらないけど、週に2つアボカドが買える生活ができる人」って答えるかも。
    そんなの誰だって買えるでしょ?
    一見そう思われるかもしれないけど、私が時間をかけて少しずつ言葉できたこと。
    共感して欲しいとは思わないけど、いつかわかってくれるような人がいるかな。

    食べる前からドキドキして、時には絶望しながら、改めてありがたみを感じることができる。
    主役のサラダよりトッピングのほうが高級で、カットしてそのまま食べるのが一番好き。

    ちなみに、このエッセイを書いている週はすでに1個アボカドを食べていて、冷蔵庫に2つは入っている。

    早く愛犬とごはん食べるために、定時で帰ってこよう。

    #創作大賞2026 #エッセイ部門 #アボカド #アボカドは週2つまで #エッセイ  

     
     
    愛犬と二人で暮らす30代。田舎の中古住宅を29歳で購入したが、人生初めて心療内科を受診することに。現在休職中、今後退職する予定。絵を描いたり、小説やエッセイを書くのが好き。愛犬の笑顔を見ると全てどうでもよくなれる|適応障害|HSP|愛着障害|イラスト|小説・エッセイ

    あなたへのおすすめ