ぽこぽこと、ペン先から
あぶくが立ちのぼる。
ぼくは今日も、深くて暗い海に沈む。
ぼくの手から言葉がひとつ生まれるたび、
言葉は「ぽこっ」と泡になり、
ペン先からそっとはじける。
その泡はゆらゆらと
遠い海の上のひかりをめざして昇っていく。
ぼくはじっと、それを見送る。
遠すぎて、暗すぎて、
見えなくなるまで。
今日も昨日も明日もない。
そんな深海で、ぼくはペンを通して呼吸をする。
ぽこっ…ぽこっ…
と静かなリズムを刻み続ける。
いつもの場所なのに、
深海の圧力にときどき胸が苦しくなる。
ぼくはふたたびペンをとる。