メインコンテンツへスキップ
見出し画像

物語のはじまり:深海の詩人

    ぽこぽこと、ペン先から
    あぶくが立ちのぼる。

    ぼくは今日も、深くて暗い海に沈む。

    ぼくの手から言葉がひとつ生まれるたび、
    言葉は「ぽこっ」と泡になり、
    ペン先からそっとはじける。
    その泡はゆらゆらと
    遠い海の上のひかりをめざして昇っていく。

    ぼくはじっと、それを見送る。
    遠すぎて、暗すぎて、
    見えなくなるまで。

    今日も昨日も明日もない。
    そんな深海で、ぼくはペンを通して呼吸をする。
    ぽこっ…ぽこっ…
    と静かなリズムを刻み続ける。

    いつもの場所なのに、
    深海の圧力にときどき胸が苦しくなる。

    ぼくはふたたびペンをとる。

     
     
    もぐらです。2025夏、noteはじめました。

    あなたへのおすすめ