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Photo bykobunsha_shinsho

本棚の他人 #シロクマ文芸部

     古本を手に入れるのが好きだ。
     手にとって、パラパラとページをめくる。
     痕跡を探すのだ。前の持ち主の痕跡を。紙の隙間に残る、知らない誰かの暮らしを、そこに見る。


     シミを見つける。
     どうやらお菓子を食べながら読んでいたらしい。
     スナック菓子だろうか。それともクッキーだろうか。
     飲み物はなにを? コーヒーだろうか。ジュースだろうか。
     けれど、途中から小さなシミは消えた。
     お菓子を食べることもやめて、熱中したのだろうか。
     それとも、読むことをやめたのだろうか。

     書き込みを見つける。
     律儀な字が並んでいる。
     疑問、賛成意見、反対意見、自分がどうするべきか、なにをしないのか。
     勉強熱心な人だったのだろう。
     この本は、持ち主の人生を変えただろうか。挫折を与えただろうか。
     なんとなく、うまくいっていてほしいなと願う。

     マーカーで線が引かれているのを見つける。
     ページの端が折られている。
     ページの半分ほどが破られている。
     子どもが好きそうなキャラクターのシールが貼られている。


     気づけば、本の内容はまるで頭に入ってこない。
     ただひっそりと、前の持ち主の暮らしを見る。

     他人の暮らしを堪能して、自分の本棚に収める。
     自分のものになったはずなのに、それでもまだどこか他人行儀だった。




    #シロクマ文芸部 企画に参加しました。



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    ・星を買う(20字小説) 8/28「星を買う」
    ・透明を見る。 9/4「透明な」
    ・捨てるのは、モノだけ。 9/11「思い出の」

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    2025.09.23 もげら

     
     
     
    文、とまれに絵や写真。 日常雑記、ショートショート、書いたり描いたり。 見えないなにかに焦っている40目前ニンゲン、noteを始めました。先はなーーんにも見えません。 答えはいつだってない。ふわふわゆらゆら 曖昧なままでもいいじゃない、と認めたい。

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