
いつも話をしている人
私は、いつも話をしている人がいる。
私は、受け身だ。
相手が積極的に見える。
「なんでも話をしてくれていいですよ」
懐が大きな人なんだ。
「まいさんは、まいさんのままで。
ありのままのまいさんで」
そう言ってくれたことが、とても嬉しくて泣いた夜。
私の心は、嬉しかったんだって思った。
「まいさんは、まいさんのままで。
ありのままのまいさんで」
こんなふうに言われたのは、中学生のとき、相談ルームにいた当時の先生以来だった。
でも、昨日は違った。
同じ人と、いつものようにDMを重ねているのに。
気づいたら、DMは何段にも重なったパンケーキのようになっていた。
今日は、このパンケーキにジャムをかけよう。
いつもなら、そんな気持ちだったのかもしれない。
だけど昨日は、パンケーキに何もかけられず、焦げついたパンケーキのように少し苦かった。
食べようと思っても、涙でパンケーキが濡れて、一部分がふにゃふにゃになっていた。
相手の言葉が嫌だったんじゃない。
相手は悪くない。大丈夫。
あなたのせいじゃないからね。
そう心の中で唱えた。
それでも、私が受け取ったその言葉には、少しだけトゲがあるように感じた。
繰り返しになるけれど、相手の言葉そのものが悪かったわけではない。
傷ついた、というのとも少し違う。
私は抽象的な言葉に、どう反応したらよいのか分からなくて、解釈しようとしても、うまく解釈できなかった。
理解できない自分がもどかしくて、涙が出てきた。
相手からは、
「分かりにくい表現のときもあるかもしれませんので、なんでも言ってください」
と言ってもらった。
そう言ってくれたのに、私はもっと言葉に詰まった。
そして、また泣いた。
私は一旦、相手から離れた。
離れたくないけれど、離れずにはいられなかった。
20キロほど離れた街まで車で出かけ、飛行場近くのスーパーへ向かった。
その道中、離着陸する2機の飛行機を見つけて、見つめた。
1機は雲の中へ入っていった。
もう1機は、着陸したのだろうか。
「空は広いな」
「雲の中に飛行機が隠れちゃったよ」
「雲の中って、機体がすごく揺れるんだよね」
そんなことを夫と話した。
相手は、着陸していった機体。
私は、離陸して雲の中へ入っていく、もう1機。
そんなふうに見えた。
同じ空にいるけれど、進む方向は違う。
そこには、交わることのない心の境界線がある。
でも、それでいいのだと思う。
私たちの関係は、仲の良い、大切なフォロワーさんだ。
そして、雲の中へ入っていった飛行機の揺れる様子は、今の私の心と同じようだった。
どうしようもないくらい、揺れ動く。
自分の心が揺れ動くなら、今は揺れ動いたままでいいのかな。
言葉にならないときは、そっとしておくのが一番。
私は、揺れ動いている心の扉をそっと閉じた。
心の扉を開けたのは、次の日の朝のことだった。
やっと、自分の心が素直に戻ってきた。
「あのときは、ちょっと嫌だったのかも」
そう思ってから、DMを開いた。
昨日は、
「今日もお話できて嬉しかったです」
と送れていなかったから、朝になって送った。
そして、
「半分楽しくて、半分嫌だった」
と伝えた。
私の心のダムは揺れた。
その揺れた心を、そっと抱きしめて。
その後、相手の反応を待った。
しばらくして、
ピロン。
スマホが鳴った。
画面を開く。
そこに届いていた言葉を読んだとき、
また私の心は、少しくすぐられているようだった。
最後に添えられていた、
「くれぐれもマイペースで」
その言葉が、私の心をじんわりと温かくしてくれた。