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【自由研究】マヨネーズが気になるので作ってみた_1

    はじめに

    前回のプレ実験で、手作りマヨネーズはちゃんと作れることが確認できました。

    さて、ここからが本番。今回は「材料の条件を変えると、乳化安定性はどう変わるのか?」を実際に試してみます。

    今回は、

    • マスタードを入れなかったらどうなる?

    • 酢の量を変えたらどうなる?

    を追っていきたいと思います。

    卵や油の温度の条件も変えて実験はしているんですが、文章量が多くなりすぎて読みにくいのでカットします。


    実験設計

    今回は、マスタードの有無と、お酢の量を半分にした場合の乳化安定性を見ます。

    共通項目

    油・タメィゴゥ(卵)は共に常温です(実験日は21℃くらい)

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    卵の温度は21.1℃。ちゃんと測ります

    条件

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    サンプル条件。3つを比べます

    乳化安定性の定義

    ここで、乳化安定性を定義しておきます。私のオリジナル指標なので、一般に乳化の安定性を判断する指標ではないと思います。

    乳化安定性 = 1 − ( 分離した水相の高さ ÷ 全体の高さ )

    乳化安定性の定義

    作って1週間後の分離相の高さで見ます。


    道具

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    今回の道具一式。泡立て器・ハンドミキサー・精密スケール・赤外線温度計・スポイト

    実験手順

    改めて、ベースレシピです。

    1. 全材料を室温(20〜25℃)に戻す

    2. ボウルに、卵黄1個・酢10g・塩3g・マスタード粉末5gを入れて、ハンドミキサーで撹拌して混ぜる

    3. ハンドミキサーで撹拌しながら(ここ大事!)、サラダ油をスポイトで5gずつ30gまで入れる

    4. サラダ油が30g入ったら、今度は10g入れて20秒撹拌を繰り返し、サラダ油全量を入れる

    5. サラダ油全量(110g)を入れたら、最後に30秒撹拌する

    6. できあがり

    TIPS:
    キッチンスケールなどに油が付いてしまったら、
    市販の消毒用アルコールを吹きかけてティッシュで拭き取れば、きれいになります。
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    こういうときにアルコールがあると助かります

    結果1:乳化安定性

    どの条件も全く分離しませんでした。

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    1週間後のサンプル。分離なし

    まじかよ、安定すぎる。

    こんなにも乳化が安定するものとは思いませんでした。

    味は……

    わからねぇ。
    バカ舌だったぜ。


    結果2:粒度分布

    困った。なにもわからん。
    これでは記事になりません。

    なにか違いの分かる測定はないものだろうか。
    人類はK.U.F.U.(工夫)によって、発展してきたのです。
    ここが、頭のひねりどころ。

    「そうだ、粒度分布を測ろう」(そうだ、京都に行こう。みたいな)

    コラム:粒度分布とは?

    粒度分布とは、「粒がどのサイズで、どれくらいの数あるか」を並べたグラフです。マヨネーズは油を細かい粒にして酢の中に散らしたもので、その粒を「エマルション」と言います。このサイズを測って並べたのが粒度分布です。

    「平均5μm」と言っても、全部が5μmなのか、1μmと20μmが混ざって平均5μmなのかで、まったく別物です。分布はその中身を見せてくれます。

    粒度分布とは?

    ということで、マヨネーズエマルションの粒度分布を測定することにしました。

    エマルションについては、前回の記事をご参照ください。

    自宅ではさすがに粒度分布は測定できないので、県の産業支援センターで顕微鏡を借りました。

    工業試験場でも申請すれば借りられることがあります。詳しくはお近くの産業支援センターまたはそれに準ずる施設へお問い合わせください。

    使用機器は、オリンパス BX53 です。

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    顕微鏡の観察条件

    サンプル調整

    1. ポリソルベート20(0.5g)を蒸留水(99.5g)で溶かす(0.5wt%)。これが希釈液。

    2. マヨネーズ(0.1g)を希釈液(19.9g)で希釈する(200wt倍)。これが観察サンプル。

    観察

    1. スライドガラスに観察用サンプル液を一滴落とし、カバーガラスを乗せる。押し付けない。

    2. プレパラートを光学顕微鏡で観察し、写真を記録する。1サンプルにつき、視野を変えて15枚撮影。スケールバーで粒径がわかるようにすること。

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    エマルションの顕微鏡画像

    注意点
    マヨネーズ希釈から写真撮影まで30分以内に済ますこと。

    注意点

    画像処理

    画像からエマルションサイズを読み取る処理は、画像処理ソフトの ImageJ を使いました。

    ImageJは、アメリカ国立衛生研究所で作られた画像解析ソフトで、無料かつオープンソースです。怪しいものではございやせん。

    ImageJでエマルションのサイズを取得し、粒度分布を作成しました。

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    粒度分布(画像は粒径分布と書いてありますが、同じ意味です)
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    粒子数と粒子体積の合計
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    粒径の散らばり方

    考察

    マスタード_なし

    粒度分布を見ると、マスタード_なしが完全に下に沈んでいて、全粒径域で個数が少ないです。「大きい側にずれた」のではなく、「全体的に数が減り、そのぶん一つひとつが大きい」と解釈できます。

    これを合一(coalescence)と言います。

    表のΣd³は、エマルションの体積を全て足した値です。
    ベースレシピとマスタード_なしを比べると、Σd³はほぼ同じくらいなのに、視野あたりの粒子数がマスタード_なしのほうが1/4くらいになっています。

    ここからも「全体的に数が減り、そのぶん一つひとつが大きい」と読み取れます。

    また、粒度分布のマスタード_なし(緑)は、よく見ると粒径の大きなところに少しだけ粒子がいることがわかります。

    マスタード_なしに関する考察

    酢_半分

    同じように粒度分布を見ていきます。酢_半分は3〜5μmに鋭いピークが立ち、ベースと比べて分布が明確に立ち上がっています。
    ベースは2〜3μm側に山があり、より広い。

    表を見ると、酢_半分は体積が増えていますが、こちらは酢を減らした分だけ油の体積分率が上がるので、当然の帰結という面があります。

    粒度分布の広がりは、酢_半分が3条件で最も狭いです。

    マヨネーズは酢の中に油の粒が散らばった構造をしていますが、酢の量が半分になれば、より小さな体積の中に油が分散しなければならず、つまり濃度が高くなります。

    濃度が高くなれば粘度が上がり、油を粒子に引きちぎる力が効率よく伝わることになります。

    これによって、より「粒径の揃った(→分布の狭い)」エマルションができたと考えられます。

    ただし、これは仮説です。
    粘度測定をやってみるのもいいかもしれませんね。

    酢_半分に関する考察

    まとめ

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    結果まとめ

    粒度分布の違いを口当たりなんかに繋げられると良かったのですが、バカ舌には無理です。

    どなたか、実験してみませんか?


    おわりに

    マヨネーズに関する実験はこれで終わりです。

    マヨネーズ実験のリクエストあれば、コメントください。
    やるかも。


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    ずっと夏休みがいい博士(工学)の自由研究です。博士(工学)× 化学メーカーの会社員が、理科が好きな人々に向けて、自由研究を報告します。Amazonアソシエイトプログラムに参加中。BOOTHで販売始めました。https://kabemiya.booth.pm/

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