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芋出し画像

ずもしびのパン屋7゚ピロヌグ

    「䞖の䞭に楜な仕事はない。楜しお皌げる仕事には裏がある」
     誰かが蚀ったかもしれないし、蚀っおいないかもしれない。だが広く瀟䌚に浞透しおいるだけあっお、その蚀葉は事実だ。
     楜しお皌げるに魅かれ、犯眪の片棒を担ぎそうになった薫はその蚀葉の意味を身をもっお知っおいる。それどころか犯眪グルヌプの末端にいたらしい幌銎染の保は、自殺を装っお殺されかけた。
    「次は  ルミ゚ルか」
     車を発車させ、次の配達先であるルミ゚ルを目指す。
     薫は知人の䌝手で、運送䌚瀟に入瀟した。朝から晩たで車に乗り、お客さんのずころたで荷物を運ぶ。゚レベヌタヌのないマンションに荷物を運ぶずきは軜く絶望的な気分になるが、そんな気分になれるのは生きおいるおかげだからだず思うこずにしおいる。
     ――氞倉さんたちに䌚えおなかったら、俺も保っちゃんみたいに殺されるずころだったかもしれないし。
     殺されるずころではなく、殺されたかもしれないから怖い。幞い、保は䞀呜をずりずめ実家でリハビリ䞭だ。保の効・さ぀きによれば、顔色もよくなり笑うようにもなったそうだ。
    「もう倉な人たちず぀るたなきゃいいけど」
     そればかりは本人に任せるしかないず、さ぀きは電話の向こうでため息を぀いおいた。力になれたらず思うものの、薫は暪浜にいる。実家に戻る予定は今のずころない。
    「姉ちゃんは叞法詊隓受けるっお蚀っおるし」
     姉・銙織は倧手商瀟を蟞め、叞法詊隓の勉匷䞭だ。その間に貯めた預金で生掻費ず予備校の孊費を賄い、時に自身の䞍倫でお䞖話になった匁護士事務所でアルバむトをしおいる。薫ずは幎霢が離れおいる銙織だが、今は実家にいた頃より仲がいい。銙織ず仲がいいのは埡園もだ。
     ルミ゚ルで顔を合わせた時は互いに静かに火花を散らしおいた銙織ず埡園だが、なんやかんやずやり取りをしおいるらしい。「互いに毒舌系だから気が合うんじゃない」ずいうのは、氞倉だ。本人たちを目の前にしお蚀うのは怖くおできないが、薫も氞倉の意芋に同意しおいる。
    「到着、っず」
     ルミ゚ルは小麊粉やパりダヌなどパン䜜りに必芁な食材の配送がある。そのためプラむベヌト以倖でも店䞻の竹田やパン職人の氞倉ずはよく顔を合わせる。
     氞倉が元刑事のせいか、ルミ゚ルには氞倉の元同僚がよく顔を出しおいるようだ。薫がよく顔を合わせるのは埡園・有沢のペアである。銙織䞊みに気の匷い埡園ず、むケメンなのに割ず男子小孊生のようなのが有沢だ。
    「こんにちはヌ」
     台車に小麊粉を茉せお、ルミ゚ルに入れば食埌でも食欲を誘うパンの矎味しい銙りに包たれる。竹田ず氞倉の二人が䜜るパンは薫だけでなく、銙織もお気に入りだ。ただ銙織は氞倉の前でキレたこずがあるから店に行きにくいずいうこずで、もっぱら薫がパンを買っおいく。
     こんにちはず返しおくれるのはベテランパヌトの䞊川だ。忙しい䞭でもい぀もニコニコず迎えおくれる。
    「い぀ものね」
    「はい。い぀ものずころに眮いおおきたすね」
     䞊川に断り、薫は指定の堎所に小麊粉を眮く。厚房ずの窓ガラス越しに、竹田さんず氞倉さんが忙しく動いおいるのが芋える。
    「い぀もありがずうね。ねえ、竹田さんず氞倉さんが、メロンパン倧䌚がどうのっお蚀っおたんだけど知っおる」
    「  あヌ、あれ  」
     メロンパンをハヌフハヌフにした堎合、矎味しい組み合わせを考えた方が勝ちず蚀ったのは有沢だ。蚀い出しっぺの有沢が倚忙で流れたず思っおいたが、残っおいたようだ。お小遣いだけの小孊生だったら案で終わるが、倧人になれば案を䌁画にし、実行する。その行動力を持っおいるのが有沢だ。
     さっず内容を説明するず、䞊川はお母さんの顔で笑う。
    「それ、うちの小孊生の息子ず同じよ。根っこが男子小孊生なのね」
     仕事䞭ずいうこずもあり、薫は吊定も肯定もせずに挚拶だけしおルミ゚ルを出る。ルミ゚ルに配達しお終わりではない。時間指定のものもあるし、再配達もある。
    「あ、薫くん」
     店から出た途端、名前を呌ばれお顔を向ければ話に出たばかりの有沢が手を振っおいる。その背埌からゆっくりやっおくるのは埡園だろう。
    「メロンパン倧䌚なんだけど――」
     聞いおきたばかりの話題を振られ、薫は思わず吹き出す。
     働く倧人は忙しい。けれどその合間に楜しいむベントやほっこりするような出来事がある。
     ――それを楜しみに働いおいる自分っお、結構奜きかも。
     䞀発逆転の倧金持ちになれるタむプではない。けどしょうもないこずを䞀緒にやっお笑い合える人たちがいる。それが薫の宝物だ。
    「え 䜕 䜕かあった」
     薫が噎き出した理由のわからない有沢は、きょろきょろず呚りを芋おいる。その埌ろで埡園は呆れおいるかず思えば、険しい顔でスマホを芋おいる。明らかに「䜕かあった」顔だ。
     ――これは浮かれおいる有沢さんを䞀喝しお仕事に戻るや぀だ。
     掚枬しおいるず、埡園は険しい顔のたた぀か぀かず薫の前にやっお来る。有沢よりは身長の䜎い埡園だが、攟぀圧は有沢以䞊だ。その圧に抌され、半歩だけ匕く。
    「少幎、身の回りで䜕か倉わったこず起きおいない」
    「え 䜕も  」
     身に芚えがなく答えるも、埡園の衚情は険しいたただ。有沢も埡園の突然の問いかけに戞惑っおいる。
    「埡園さん、どうしたんですか」
     有沢に問われた埡園は口にする代わりに、スマホの画面を薫に向ける。銙織ずのやりずりが蚘されただ。最埌のメッセヌゞは銙織のものだ。
    『郚屋のポストに「匟さんがどうなっおもいいの」っお玙切れが入っおた。どうすればいい』
    「なっ  」
     枯町・暪浜の喧隒が遠くなる。
     意識が遠のきそうになるのは、初めおルミ゚ルを蚪れた時以来だ。
     事件はただ、続くようだ。

     
     
    旅ずおいしいものが奜きです。゚ッセむは日曜日21時前埌に曎新予定。月曜倚忙に぀き日曜に倉曎したした。

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