
潔癖夫と、ほどほど妻。第2話
私の夫は極度の潔癖症だ
彼はお金を持ち歩かない
銀行に行ったこともない
特に硬貨は
いろんな人々の手の上を旅して
菌のオンパレードらしい
そんな菌を気にする彼は、金にも細かい
潔癖症と聞くと
食べ放題なんてもってのほかなイメージがある
しかし彼は
食べ放題に行きたいと子供が言えば
尊重して共にしてくれる
そして
驚くのがその食べる量
“お金を無駄にしたくない”
その気持ちが菌よりも勝るのだ
席に着く前に
"料理の前でペラペラ話している人がいる"
"トングの使いまわし、ちょっと気持ち悪いよね"
"いつ作ったのなんだろー、デザートが乾燥してる"など
あーだこーだ文句が止まらない
しかし
いざ料理を盛り付け
席に着けば
食べる手が止まらない
とにかく元を取りたいと
料理を取りに行って食べる姿は
まるでサバンナの王のようだ
いつも菌を気にしてるくせに
料理の横に置かれた皿の汚れなんて、もう気にしない
トングを華麗に使いまわし
乾燥したケーキも口に入ってしまえば
心が潤うようで
こちらが引くほどの食欲だ
食べ終わった後
決まって言うのが
「食べ過ぎた、気持ち悪い・・・」
ネガティブな言葉に聞こえるけど
彼の体と心は満足で満たされている
人間が生きる上で戦うべきは
菌ではなく
金銭的感覚なのかもしれない
矛盾した彼のルール
本人が納得してるなら
私は特に何も思わないから
それはそれでいいんじゃないかな
お金で人は変わると聞くけれど
まさにその瞬間が
彼にとっては食べ放題の時なのだ