【日々のこと⑳ 】#文学フリマで買った本
そんなにでもなかった。
気になるものをあまり見つけられずに、webカタログを閉じる。
今回の文学フリマは、落ち着いて回れそう。気に入ったものを一、二冊買おう。
そう思っていたのにだ。
一カ月ほど前にもこの町には来ていた。
僕の町とはあまりの気温差だった。帰ってからちゃんと体調を崩した。それは見事な崩しっぷりで、病院にお世話になった。
やっぱり暑い。読みたいZINEに出合う期待が、この町の暑さに負けていた。
会場内は凄い人だ。
ゆるゆると見て回った。通路は狭く、スムーズに歩けない。それをいいことにブースをゆっくりと見る。そして突然、僕は急に元気になる。

本とコーヒー、それとお話をするために行っているカフェがある。
そこで一目惚れした。めちゃくちゃカッコいい装丁の本があった。
その本がちょこんと並んでいる。
「この本、持ってます。地元で一目惚れして買いました」
並んでいる本を一冊、また一冊と手に取った。
「農業と出版をやっているんですけど、そのことについて書いたものです」
本を決めると、そう教えてくれた。
「この本を買ってくださった方に梨を渡しているんですが、いいですか」
うんうんと頷くと、段ボールから一つ取って渡された。
「冷やして食べてください」
美味しそうな梨が、鞄の中で冷やされるのを待っている。

ENCOUNTERs〜尾道のまちをあるく〜
seiya/akane
言葉と同じくらい写真が好きだ。
二人で出かけ、着いたら別れる。それぞれが同じ日に別の時間を過ごして撮った写真をまとめたもの。二人が同じテーマでそれぞれ書いたZINEも連れて帰る。
本当は外国で撮ったという写真ZINEも欲しかった。次の機会には絶対に。
猫のポストカードも買えば良かった。

あっちの視点とこっちの視点 AY/MO
note.で往復書簡のようなものをしている。だからか、そういうZINEに目がいく。二人が同じテーマで書きました、みたいなもの。

解説 赤い標識 希少な赤べこ
黒猫を奏でる朝 なめみそ
今回はブースに引き寄せられた。
少し離れたところの人と目が合う。
そこで出合う。
そんな文フリだった。
ああ、満足したなあ。
一カ月前に連れていってもらった、町の洋食屋さんに行く。今日もまた美味しかった。
食べ終わって外に出ると、十人くらい並んでいた。
「美味しいですもんね、並んじゃいますよね」と言いながら階段をのぼる。心の中でだけど。

さて、読みかけの本を読んでしまおう。
どれから読むか。最初に読むZINEは決めてある。
帰ったらまず梨を冷そう。
