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人生と焼肉

    行きたいご飯屋さんがあり、電車に乗った。店のある駅を勘違いしていると気付いたのは、その駅で扉が閉じた時だった。

    なぜだか次の駅だと思い込んでいた。二重の間違いに途方に暮れてしまい、降りて折り返すことも考えられずにいた。

    曇り空で人もまばらな電車はとても静かだ。


    いっそのこと、このまま電車に揺られてみよう。


    終点に到着して、全ての人が降りる。それに続いて、自分もホームへと向かう。

    今日はここで昼食屋を探そう。


    そう思い、知らない街へと降り立った。


    JRに乗り換えられるその駅は、パン屋や書店、雑貨屋さんなど賑わっていた。隣接する大きなスーパーもあり、栄えている印象だ。
    しかし、駅から離れると途端に静かで、人の気配は少ない。

    少し離れて駅に戻る。すると、大きなラーメンのポスターが目に入る。牛肉を使ったラーメンらしい。今日はここで食べようと決めた。


    店に入ると違和感に気付く。よく知るラーメン屋さんの造りとは明らかに違う。

    メニューを見ると、なんと焼肉屋さんだった。

    降りる駅を間違え乗り過ごし、ラーメン屋さんだと思ったら焼肉屋さんだった。今日は思いもよらないことが起こる。人生のままならなさに少しの心地の良さを覚えた。

    メニューには、ハラミやカルビ、伝説のホルモン定食、焼肉屋さんならではの肉を使ったラーメンが存在する。


    席はほとんど埋まっていて、ちょうどいいタイミングで入れたようだ。周りの人が焼くお肉のいい匂いが漂っている。

    ラーメンに後ろ髪を引かれながら、伝説ホルモンを注文した。せっかくの焼肉屋さんだし「伝説」だ。


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    店の名前がかっこいい


    まずは、キムチとナムルが届いた。おいしい。きちんと行き届いている味がする。

    その後に届いたスープは、意外にもミネストローネだった。焼肉屋さんでミネストローネに出会うなんて思ってもいなかった。細かく刻まれた野菜の甘みがしっかりでていて、深い味わいだ。これはお肉への期待も高まる。


    そして届いた。

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    こちらが伝説のホルモンだ。

    綺麗な色をしている。いろんな部位が混ざっているらしい。


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    じゅうじゅうと音を立てて肉が焼ける。人生のエンドロールにはこの映像が流れて欲しい。


    肉の脂が甘く、濃い味噌ダレに合う。めちゃくちゃに好みの味だ。肉の質も高い。

    米は韓国料理でよく見るステンレスの小ぶりな器に入っていた。米が進む味で、米が先に尽きないか心配だったが、見た目の割にしっかり詰まっていて満足いくまで楽しめた。


    偶然が重なって、いいお店に出会えた。

    思い通りにいかず、流れに身を任せるのもいいかもしれない。ガチガチに予定を固めずに、その時の感覚で動く。そんな余裕が必要だったのかも。

    「もっと肩の力を抜いて過ごしなよ」なんだかそう言われた気がした。人生はまだ長く、思いがけない出会いが待っている。

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