
人のぬくもり
「安全管理者講習」と「適性検査」を受講し、「貨物軽自動車安全管理者の選任届」を運輸支局へ提出したことで、いよいよ軽貨物ドライバーとしての人生がスタートしました。
まずは手軽にスタートできる宅配やフードデリバリーを稼働しました。
どちらの仕事も、とてもシンプルです。必要とされている商品を、必要としている人に届ける仕事です。
しかし、実際に稼働してみると、思っていたよりも、多くの発見がありました。
一番の発見は、「人のぬくもり」です。
こんなことがありました。
日曜日のお昼時、フードデリバリーをしていたときのことです。
車を家の前に停め、保冷バッグを持ちながら住所の最終確認をしていると、道路に面した窓が開き、幼稚園生ぐらいの女の子がニコニコしながらこっちを見ています。
すると、その後ろからお父さんが顔を出し、こちらに挨拶されました。同時に、女の子も大きな声で「こんにちは!」と、元気いっぱいの挨拶。
私も思わずにっこりし、「こんにちは!」と挨拶しました。
料理が届くのを、今か今かと待っていた少女の屈託のない笑顔に、私は「人のぬくもり」を感じたのです。
宅配もフードデリバリーも、「置き配」が多い印象です。受け取る側にとっても、届ける側にとっても、とても便利な制度です。
一方で、「手渡し」を希望される方もおられます。
そうした方とは、ほんの数秒の対面だけです。しかし、そのほんの数秒に、人間らしい「心の通い合い」がある、そんなことを発見しました。
これは、自分が「届ける側」になってみて、初めて分かったことです。いや、正確に言えば、この感情は「届ける側」だけが感じているのかもしれません。
「届ける側」には、正確に届けるという責任があります。任された商品を、たった一人で届けます。誰にも相談できません。
住所を確認し、地図を見ながら向かい、表札と注文者の名前を照合し、インターホンを押す。
ずっと一人です。誰にも相談できません。場合によっては、「時間」という「締切」が頭に浮かび続けます。
届ける側はこんな感情を持っています。
そして、責任を持って運んで来た商品が、正しく届けることができたという安堵感と、「ありがとうございます」というねぎらいの言葉。
その二つが相まって、「心の通い合い」や「人のぬくもり」を感じているのかもしれません。
何はともあれ、こうしてまた一つ、私は人として大事なことを知れた気がします。