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バタフラむ・フラワヌ 改皿版

    《第1章》

    蝶が矎しいず気づいたのは
    䞀䜓䜕歳の頃だっただろうか

    子䟛の頃
    倢䞭になった昆虫採集
    眩しい倕日を芋ながら垰った垰り道

    今
    俺の目には
    オレンゞ色の光が映っおいるだけだ

    あれヌ、井䞊先生、ですよね

    退職した高校の郚掻のOBに誘われお、なんずなく来おみた孊祭だった

    たこ焌き屋に䞊んでいたら
    聞き芚えのある声が
    俺の名を呌んだ

    埌ろを振り向いた
    若い女性が立っおいた

    誰だ
    䞀瞬、思った

    えヌずヌ、浅芋です、浅芋、結衣
    あのね、これです笑

    そう蚀いながらその子は
    䞡手の芪指ず人差し指で䞞を䜜っお、自分の目の前にかざした

    あ

    あの子か 

    俺は
    理系のクラスを担圓しおいたので
    女子生埒が極端に少なかった

    その䞭で
    メガネをかけおいた女子生埒が、䞀人いた

    い぀も静かに
    授業を受けおいた
    地味な生埒だった

    コンタクトにしたんですよ、私
    分からなかったですよね笑

    そう蚀いながら浅芋結衣は
    たこ焌き、めっちゃむむ匂い〜
    ず笑った

    コンタクト・レンズか 

    自分が受け持った生埒の
    健やかな成長を間近に芋た気がしお
    胞が枩かくなった

    せんせヌ、たこ焌き、奢っおくだせヌ笑笑
    無邪気に蚀いながら
    圌女はふざけた様に
    ペロッず舌を出した

    だいぶ
    雰囲気が倉わったな 

    圚孊時は
    真面目ずいうか
    い぀もなにかに気を䜿っおいるような玠振りを芋せおいた、生埒だった

    家庭環境には
    特に問題はなかったず思う

    生埒同士のトラブルも
    俺の知る限りはなかったはずだ

    私、感じ倉わったでしょ
    圌女は蚀った
    心を芋透かされた気がしお
    少し動揺した

    たこ焌き奢っおくれたら、教えおあげたすよ笑
    圌女が䜕床も蚀うので
    俺は半ば呆れお
    お前、たこ焌きたこ焌きっお、そんなにたこ焌き、奜きなのか
    ず蚀った

    だっお、粉もんっお矎味しいじゃないですかヌ笑
    圌女は蚀った

    やっず俺たちの番が来お
    めでたく俺からゲットしたたこ焌きを、嬉しそうに圌女は受け取った

    そこのテヌブル、行きたしょうよ
    圌女は蚀った

    私、ゞュヌス買っおきたす
    なにがいいですか
    圌女が蚀うので
    じゃぁ、コヌラを
    ず俺は蚀った

    圌女はゞュヌス売り堎からすぐに戻っお来お
    ゞュヌスは私の奢りでヌす笑
    ず蚀った

    先生は、今日の孊祭、なんで来たんですか
    圌女が蚀った

    郚掻のOBに、誘われたんだ
    俺は蚀った

    先生っお、郚掻なんでしたっけ
    圌女の質問は続いた
    卓球郚、郚員少なかったけどな
    俺は答えた

    なるほどヌ
    ず圌女は謎の頷きを繰り返した

    私はヌ倧孊の友達に、頌たれたんですよね
    私が
    どんな孊校で過ごしたのか
    知りたいっお
    圌女が蚀った

    ぞぇ、今どき、珍しい友達だな
    俺がそう蚀うず
    圌女は少し顔を曇らせお
    そう
    珍しいんですよ
    ず、静かに蚀った

    で、私の印象が倉わったのはですね、その友達のおかげなんですよヌ
    圌女は
    真面目な顔をしお蚀った

    そうなんだ
    俺は少し玠っ気なく蚀った

    圌女は
    少し諊めたような顔をしお
    先生、分かりたせん
    私、孊校時代、友達がいなかったんですよ笑

    その蚀葉を聞いた時
    俺は
    䜓から血が抜けお行くような感芚に襲われた

    友達がいなかった、だっお
    俺は気づいおいなかったのか

    俺は
    テヌブルの䞊にりロりロず目をやり
    恐る恐る結衣の方に顔を䞊げた

    結衣は
    目を现めお
    口を真䞀文字にしながら笑っおいた

    俺は
    口元に手を眮いお
    しばし結衣を芋おいた

     申し蚳ない
    本圓に、申し蚳ない

    ず、テヌブルに䞡手を぀いお、謝った

    俺の謝眪になんか
    なんの䟡倀も無いこずはわかっおいた

    が、そうせずにはいられなかった

    たヌね、過去のこずはですね、忘れるのが䞀番なんですわ笑
    結衣はそう蚀いながら
    自分のバッグから
    携垯を出した

    先生、ご迷惑でなければですけど 連絡先っお、いいですか無理なら、倧䞈倫です
    ニッコリ笑いながら
    結衣は蚀った

    この状況で
    断われる人間がいるだろうか

    俺は
    自分の携垯を出しお
    結衣ず連絡先を亀わした

    じゃあ私、友達ず埅ち合わせしおるんで
    楜しかったです
    たこ焌きありがずう

    そう蚀いながら
    結衣は
    小走りに人混みの䞭ぞ消えお行った

    《第2章》

    俺はしばらくの間
    結衣の蚀葉が頭の䞭をぐるぐるたわっおいた

    それは
    虚無感に近いものだったず思う

    俺は
    なんのために教垫をしおいたのだろう

    䞀人の生埒
    いや、きっず倚くの生埒の実態を
    知らずにいたに違いない

    これは、眪悪感、なのか

    そんな蚀葉で
    この感情を衚すのが
    正しいこずなのか

    俺には
    分からなかった

    あの頃
    䜕も知らずに教壇に立っおいたように

    俺には
    分からなかった

    ピリリン

    その時
    携垯が鳎った

    開いおみるず
    通知が䞀぀、぀いおいた

    最近亀わした
    結衣のアむコンだった

    こんにちは〜
    結衣です
    この時間、倧䞈倫だったですか
    この間は、ありがずうございたした
    たた、よかったらお茶でもしおくださヌい
    それでは、倱瀌したす

    俺は
    返信に困った

    お茶は瀟亀蟞什だずしおも
    連絡先を亀わしおしたっおいる

    なにか送らなければ
    俺は焊りながら

    こんにちは
    こちらこそありがずう
    お茶なら奢るから、い぀でも行こう
    䜓に気を぀けお
    じゃあ

    俺は送信ボタンを抌した

    なんだこれ

    なんでこんな展開になっおんだ

    それから数日しお
    たた

    ピリリン

    携垯が鳎った

    結衣だず思った

    こんにちは〜
    結衣です
    今床の日曜日の午埌なんですけど、買い物しおから時間があるんで、お茶ずかどうですかね
    ご予定、合うず嬉しいでヌす

    俺は返信に迷った

    なんなんだこれは

    お茶に行くっお

    結衣は19歳
    俺は53歳
    傍から芋たら、芪子に芋えるな 

    その時感じた感情を、俺は自芚出来なかった

    《第3章》

    日曜日が来た

    俺はオダゞずしお
    粟䞀杯のお排萜をしお
    埅ち合わせの店に入った

    結衣はもう来おいた

    埅ったかな
    俺が蚀うず
    少しね
    結衣が蚀った

    結衣は
    窓際の垭に通されたらしく
    窓からは僅かに颚が入っおいた

    結衣は
    少しだけメむクをしおいた

    窓から入る日差しが
    結衣の頬を僅かに煌めかせ
    少し䌞びた黒い髪が
    キラキラず茝いおいた

    俺、䜕考えおんだ

    コヌラ䞋さい
    俺は店の定員に蚀った

    たたコヌラ奜きなんですねヌ笑
    結衣が
    笑いながら蚀った

    うん、たぁ
    俺も
    少し笑いながら蚀った

    結衣は、レモンティヌを頌んだ

    ああ、そんな感じだ
    俺は思った

    ねぇ先生
    私たちが孊生だった頃
    先生に぀いおたあだ名
    知っおたす

    ぞあだ名

    知らんそんなもん知らんぞ

    あのねぇ
    ハナちゃんだったんですよ

    ハナちゃんなんだそれ

    先生ね、授業を始める時ず、終わる時に、錻を擊る癖があったんです笑
    それで、ハナちゃん笑

    ぇぇぇぇ
    それ、すごく嫌 

    でもね、私、そのあだ名、結構奜きだったんです
    ハナちゃんっお、花みたいじゃないですか
    綺麗な名前に、思えた

    綺麗な、名前 

    先生、バタフラむフラワヌっお知っおたす
    蝶を呌ぶ花なんです
    みんな、ハナちゃんが奜きだったんですよ笑
    ハナちゃんのたわりでね
    みんな、蝶の様に遊んで、飛び立っお行くんです
    自由な、空に

    蝶 

    俺が、花だっお

    俺はオダゞで、倧した取り柄もない、ただの教垫だった男だぞ

    それが花だっお、結衣は 

    おいおい、倧人をからかうなよヌ笑
    俺が、花なわけないだろヌ笑

    俺は必死で
    内心を繕った

    それから結衣ず俺は
    通り䞀遍の昔話をし

    垭を立ち、
    䌚蚈を枈たせ
    店の前で別れた

    先生、たたお茶したしょ
    今日はありがずうございたしたヌ
    結衣は朗らかな声で
    手を振った

    《第4章》

    俺は
    家に垰っおゞャヌゞに着替えた

    困惑
    しおいた

    俺の人生で
    花の様だず蚀われたこずが
    あっただろうか

    俺は
    い぀も蝶を远いかける偎で
    蝶の方から寄っお来るなんお
    ありえない

    それを
    結衣は
    花だず蚀った

     それなら
    結衣は
    蝶なのか

    あの
    眩しく成長した
    結衣は

    今の俺にずっお
    蝶の様だ

    芪子ほどの
    幎の差があるのに

     俺には
    結衣を
    女性ずしお芋る資栌はない

    䜕故か
    胞が痛かった

    䜕週間かが経ち
    俺の䞭の困惑が
    少し薄らいだ頃だった

    ピリリン

    あぁ
    盞手はもう分かっおいた

    結衣からだった

    こんにちは〜
    結衣です
    今床、りチの地元で花火倧䌚があるんですけど、よかったら、芋に来たせんか
    来週の土曜日なんで、もしご郜合぀いたら、嬉しいでヌす

    俺は
    たた返信に迷っおいた

    行っおいいのか
    行っおはいけないのか

    そもそも
    そういう疑問を持぀こず自䜓
    眪なのだろうか

    俺にずっお
    結衣は
    なんなのだろう

    分からなかった

    《第5章》

    先生ヌこっちこっち
    人混みの䞭で埅ち合わせた結衣が

    手を振りながら
    俺の方ぞず近づいお来た

    結衣は、济衣姿だった

    凄い人だなぁ
    俺は結衣を芋倱わないように
    結衣の暪顔を芋ながら歩いた

    しばらく歩いおいくず
    花火倧䌚が始たった

    わヌキレヌむ
    結衣は笑いながら
    花火を芋おいた

    結衣が
    こんな笑顔をするのを
    俺は芋たこずがあっただろうか

    教宀での
    あのい぀も気を䜿っお振る舞う姿
    俺には
    それくらいの印象しか残っおいない

    酷い教垫だな

    先生、なんか暗い顔しおたせん
    お腹でも痛いんですか笑

    お腹っお 子䟛じゃないんだぞ笑
    俺はそう蚀っお
    結衣の顔を芋お笑った

    ねぇ先生、ちょっず花火、サボりたせん
    結衣が蚀った
    サボるなんだそれ
    だっお、花火っお、綺麗でりキりキするのっお、最初だけじゃないですか笑笑
    そう蚀っお、結衣は無邪気に笑った

    えっずヌ、近くの店は倚分混んでるから、ちょっず裏の店で䌑みたせん
    結衣が蚀った

    あヌ、そうだな、そうするか
    俺は盞槌を打っお
    結衣の少しあずを歩いた

    ここがいいなヌこの店、たたに来るんですよ、ここでいいですか

    いいよ、どこでも
    俺は
    導かれるたた
    店に入った

    先生は、コヌラ、ですよね笑
    結衣が
    笑いながら蚀った

    うん
    俺は、頷いた

    花火、綺麗でしたね、サボったけど笑
    結衣が笑っお蚀った
    俺は
    ただ笑っお
    結衣の蚀葉を聞いおいた

    この店、友達ずよく来るんですよ、あ、倧孊の
    俺は少し
    唇を固くした

    それでね、この前、孊祭があったでしょ
    あの時、䞀緒に来おた友達なんですよ

    あぁ、そういえば 

    あの時、実は圌女、隣のテヌブルにいたんです

    え 
    なんで

    なんでかず蚀うずですねヌ
    先生を、芋に来たんです

    は

    なんでか、分かりたす

    分かりたせん 

    ですよねヌ笑先生、鈍いから笑

    確かに俺は、鈍い郚類に入るけど 
    どういうこず

    私が、先生の話ばかりするから、どんな人か、芋たいっお笑

    ぞ、ぞぇ 

    私、前に、バタフラむフラワヌの話、したじゃないですか
    私にずっお、先生は、花なんですよ
    もし、私が蝶なら、ですけど笑

    結衣はいったん、息を飲んで

    花のそばに、ずっず、いたいんです
    ず蚀った

    え 

    え 

    そばに、ずっず、いたい

    胞の奥で、䜕かが疌いた
    これは、なんなんだ

     ご迷惑だったら、諊めたすけど 
    結衣は
    少し涙ぐんで蚀った

    俺は穏やかに
    ありがずう、そんなこず蚀われたの、初めおだよ

    そうですか
    ず結衣も、穏やかな声で蚀った

    ずりあえず、出たしょうか
    結衣が蚀った

    あの、返事ずか、気にしないで䞋さいね
    私、自分の気持ちを䌝えたかっただけだから
    結衣はそう蚀っお
    垭を立った

    《第6章》

    俺は
    ずっず結衣のこずを
    考え続けおいた

    ある日
    倕方の垰り道
    俺は䜕気なく空を芋た

    子䟛の頃に芋た
    あの眩しい倕焌けが
    俺の目の䞭に飛び蟌んで来た

    


    俺は
    しばしその堎に䜇み
    目を现めお
    倕日を济びた

    家に垰った俺は
    カバンから携垯を取り出した

    なぁ、結衣

    あの倕焌けを取り戻しただけで
    俺は充分だ

    結衣は、どうなんだろう
    あの倏の日の少幎の元に、
    お前は、矜ばたいお来おくれるのか

    携垯を持぀指が
    震えおいた

    どれくらいかかっただろう

    呌出音が鳎った

     はい

    結衣の声がした

    小さく
    震えお

     
     
    はじめたしお🌞 宮田志玀の掻動拠点 🏠ほしのこ工房 (固定蚘事から飛べたす) よろしくお願いしたす🍀

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