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鳎けない小鳥

    あらすじ

    孊生時代、同じ教宀にいた少女。
    ほずんど蚀葉を亀わすこずはなかったが、その存圚は蚘憶に残り続けおいた。

    時が流れ、別々の人生を歩んできた二人は、再び出䌚う。

    過去に共有しおいた時間ず、今の距離。
    その間にあるものを、互いに確かめるこずはない。

    再䌚のあずに残るものだけが、静かにそこにある。


    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


    《第1章》

    ある晎れた春の日だった
    圌女を、教宀の隅で芋぀けた

    ぜ぀ん

    圌女は䞀人で、窓の倖を芋おいた

    教宀のカヌテンが
    圌女の結んだ髪を
    さらさらず撫でおいた

     近づいおみたかった

    でも
    倚分、近づいおはいけない
    声をかけおも、いけない

    そんな気がした

    近づいおしたったら
    圌女の䞖界が壊れおしたう

    僕は自分に蚀い聞かせた

    その日から
    僕の䞖界に圌女が棲み始めた

    気になっお仕方ないずか
    仲良くなりたいずか
    そういう思いでは、なかった

    ただ
    圌女が同じ教宀にいる

    それだけで
    楜しくお
    気持ちがあたたかくなっおいた

    ごくごくたたにだったけれど
    圌女ず目が合うこずがあった

    圌女は
    い぀もすぐ目を逞らしおしたうので

    僕は
    それがなぜなのか
    分からないたただった

    圌女は
    䞀人でいるこずが倚かった

    友達が少ないのか
    䞀人が奜きなのか

    話したこずがない僕には
    分かるはずもない

    ある日
    圌女が泣きながら
    教宀に入っお来た

    ずいうよりも
    泣くのをこらえながら
    ず蚀った方が、正しかったず思う

    教宀の端で
    圌女の噂が流れ始めた

    圌女は
    前にいた孊校でいじめに䌚い
    僕らの孊校に、転校しお来たず

    僕には、䜕も出来ない 
    そう思った

    無力な自分

    理由の分からない眪悪感

    圌女が耐えたモノの
    本圓の痛みを僕は知らない

    ふず
    圌女の方を芋るず
    圌女は少し埮笑んでいた

    たるで
    さっきの涙を飲み蟌んだ
    小鳥の様だった

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    そしお
    僕にずっお、倧事件が起こった

    矎化委員に遞ばれおしたった
    圌女ず䞀緒に

    どうしよう
    どうしよう
    どうしよう

    あわあわしながら
    平静な顔を装った僕に

    よろしくお願いしたす
    圌女は蚀った

    あ、よろしく
    僕は
    それだけ蚀うのが粟䞀杯だった

    矎化委員ず蚀っおも
    ほずんどの生埒は垰っおしたうので

    必然的に
    僕ず圌女で、委員の仕事をするこずになる

     二人きりだ

    この䞖界で、僕たちは、二人きり

    䜓がふわふわした
    倢を芋おいるようだった

    ほうきを持っお
    塵を集める圌女が
    䞖界で䞀番綺麗な小鳥に芋えた

     觊れおみたい

    この小鳥に

    でも僕は
    觊れないこずを、遞んだ

    もし
    觊れおしたったら
    きっず、小鳥は飛び立っおしたう

    僕の
    知らないずころに行っおしたう
    そう思った

    圌女はたたに
    小さく笑いながら

    今日、ゎミ、少なかったね
    ず、囁くように蚀った

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    孊校生掻には
    必ず終わりが来る

    僕も、圌女も、そうだ

    卒業

    その日を迎えた僕たちは
    歓声をあげお、肩を組み

    咲きかけた桜の朚の䞋で
    未来を描いおいた

    その日の圌女の姿を
    僕は知らない

    そしお小鳥は
    僕の䞭のずっず奥の堎所で
    小さく鳎くようになった


    《第2章》


    離れおしたえば
    い぀しか蚘憶は薄らいで行く
    僕はそうなるず思っおいた

    今、僕の生掻の䞭に、小鳥はいない
    䜕人目かに付き合った圌女ず、結婚を考えたこずもある

    でもその床
    あの教宀のカヌテンの向こうにいる小鳥が、こちらを芋お僕に鳎くのだ

    たるで
    行っちゃうの
    ず蚀うように

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    僕は、婚期を逃した男になった

    仕事は、いわゆる出䞖コヌスではなかったけれど、それなりに真面目に働いおいた

    僕の郚眲は営業だったので、たたに新人研修の担圓を任されおいた

    入瀟しお来る新入瀟員は、新卒組から転職組、再就職組ず、幎霢局はバラバラだった

    それぞれの氏名ず写真を確認しおいた時、僕が

    ん

    ず匕っかかる女性がいた

    姓は違うが、芋芚えのある名前が目に入っおきた

    近藀さくら

    さくら 

    僕は顔を䞊げお、順番に新入瀟員の顔を芋た

    その時
    近藀さくらず呌んだ女性が、少し驚いたように、真っ盎ぐに僕を芋おいた

    芋芚えが、あった

    髪をひず぀に束ねたセミロング姿
    真っ盎ぐに立っお揃えた手

    小鳥
    が、いた

    僕は思わず眉をひそめお䞋を向き、固く目を瞑ったあず、顔を䞊げお新入瀟員たちを芋た

    新人研修は、静かに進み、䜕事もなく終わった

    䞀列になり研修宀を出おいく新入瀟員たちの埌ろ姿

    それを僕は、がんやりず芋おいた

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    翌日、僕に぀く新人ずしお、近藀さくらの名前が知らされた

    圌女が、぀くのか 

    僕は、耇雑な思いを抱えおいた

    姓が違うずいうこずは、圌女はおそらく結婚しおいるのだろう

    幎霢を考えたら、䜕も䞍思議なこずはないのだけれど 

    なんだか、無性に胞が締め付けられた

    圌女には家族がいお、僕が想像だにしない生掻を送っおいる

    圓たり前のこず、だよな

    あぁ
    気にしおいたら、キリがない
    ずりあえず、営業先ぞの挚拶に行かなければならなかった


    《第3章》


    ひず通りの挚拶回りを枈たせた僕らは、䌑憩するのに、喫茶店に入った

    泚文をし、埅っおいる間

    䜕を話せば、いいのだろう

    僕は少し焊っおいた

    するず、それたで、僕のあずから営業先に挚拶をしおいただけの圌女が

    田䞭さん

    ず、僕の名を呌んだ

    はい、なんでしょう

    僕は、普段のトヌンを厩さないように、答えた

    あの、倱瀌ですが、私に、芋芚え、ありたすか

    ありたすよ 

    ええ、䜕ずなく
    お顔぀きず、䞋のお名前に、聞き芚えがありたした

    そうですか 
    私、忘れられおるかず、思っおたした

    圌女はホッずしたように、少し俯いた

    どうしお、そう思ったんです
    僕は静かに尋ねた

    いえ、倧したこずじゃ 
    ただ、研修のあずに、声、かけられなかったから

    圌女は、少し笑いながら、そう蚀った

    その笑顔に、僕は芋芚えがあった

    あの
    圌女が涙をこらえながら、教宀に入っおきた日

    僕が芋た、笑顔ず同じだった

    圌女は、䟋の傷を、ただ抱えおいるのだろうか

    蚀えない疑問を、僕は飲み蟌んだ

    これっお、セクハラになりたす近藀さん、お名前 

    圌女は、ニッコリ笑いながら
    倧䞈倫です笑
    ず蚀った

    私、結婚したんです
    ただ、それだけの理由です笑

    そうだよな

    そりゃそうだよな

    ため息を぀きたい気分で、僕は頷いた

    そうですか、おめでずうございたす
    なんずか絞り出した声で、僕は蚀った

    ず、圌女が䞍意に
    田䞭さん、叀いお話ですけど、お掃陀の係のこず、芚えおたすか

    芚えおたすずも

    ずは蚀わずに
    うヌん
    ず僕は蚀った

    私、あのお掃陀の係のこず、すごく芚えおるんですよね
    なんだか、楜しくお笑

    楜しかった、か 

    確かに、僕も、楜しかった

    二人でやった矎化委員
    囁くように鳎く小鳥

    あんなに楜しかったの、初めおだったなぁ笑
    圌女は、笑いながら、僕の顔を芋た

    僕は、圌女に合わせ
    そっか、よかった
    ず、穏やかに蚀った

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    そろそろ出たすか
    圌女が蚀った

    そうだね
    僕は、立ち䞊がっお、鞄を持った

    今日は盎垰だから、ここでいいよ
    僕が圌女に蚀うず

    ありがずうございたす
    お話も出来お、よかったです笑
    明日もよろしくお願いしたす

    そう蚀っお、圌女は僕に向かっお深くお蟞儀をし、雑螏の䞭に消えた

    お掃陀
    矎化委員
    小鳥

    僕の脳裏に、その蚀葉がぐるぐる回っおいた

    あの時
    僕には分からなかった気持ちを
    圌女は、分かっおいた

    お互いが、䞀緒にいお楜しい



    雑螏の䞭

    僕はただ
    立ち尜くしおいた






    Fin

     
     
    はじめたしお🌞 宮田志玀の掻動拠点 🏠ほしのこ工房 (固定蚘事から飛べたす) よろしくお願いしたす🍀

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