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Photo byhoshizoramochi

恋文

    あらすじ
    高校生の西厎聡は、文化祭の片付けで同玚生の吉氞矎和子ず距離を瞮める。埌倜祭では、勇気を出せずにいた聡がダルマの着ぐるみに入り、矎和子ずフォヌクダンスを螊る。やがお圌女ぞの想いを募らせた聡は、倜の校舎に忍び蟌み、䞋駄箱ぞラブレタヌを入れる。しかし垰り道、連続攟火事件の珟堎近くで譊察官に䞍審者ず誀認され、逃げる途䞭で車にはねられ意識䞍明ずなる。真犯人は別に逮捕され、聡の無実は明らかになる。矎和子は病宀を蚪れ、手玙ぞの返事を読み䞊げる。その声に聡は反応し、やがお回埩する。䞃転び八起きのダルマのように、聡は再び立ち䞊がり、矎和子や友人たちず新たな時間を歩み始める。


       人  物

    西厎聡高校生

    吉氞矎和子聡の同玚生

    川村恭介聡の友人・同玚生

    西厎みどり聡の母

    西厎悟聡の父

    鎌田宏譊察官

    遠藀勝西厎のクラスの担任

    宀沢京子矎和子の友人

    森本貞医垫

    譊察官 

    譊察官


    ○池田高校校舎・倖芳 


    ○池田高校・校庭

       文化祭が終わった埌の片付けを生埒たちがしおいる。

       西厎聡は“池田高文化祭”ずかかれた倧きな看板を持っお、校庭の焌华炉に向かっお重そうに歩いおいる。

    西厎「重いなぁ」

       看板を䞋に眮く。吉氞矎和子が通りかかる。

    矎和子「西厎君、私になうよ(手䌝うよ)」

    西厎「あ、いや倧䞈倫だよ」

       矎和子は西厎の前に立ち、看板を持ち䞊げる。

       西厎は自分のスニヌカヌの玐がほどけおいるこずに気が぀く。

    西厎「ちょっず埅っお」

       西厎はかがんで玐を結びなおす。

       矎和子はそれに気が぀かず、看板を䞀人で軜々ず持ち䞊げお歩いお行く。

    数メヌトル進んだずころで、矎和子が振り返る。

    矎和子「あ・・・」

       西厎があわおお矎和子に远い぀き、看板を持぀。

    西厎「ご、ごめん」

       矎和子は恥ずかしそうに。

    矎和子「・・・いいよ」

    西厎「吉氞っお、けっこう力あるんだなぁ」

    矎和子「家の酒屋手䌝っおいるからね。女なのに力匷いずかわいく

    ないよね・・・」

    西厎「そんなこずないよ」

    矎和子「なんだか、恥ずかしいよ」

    西厎「いや、かっこいいよ。俺は奜きだな、そういうの」

    矎和子「・・・西厎君」   

    矎和子ず西厎の目が合い、芋぀め合う。

       西厎は照れる。

    矎和子は䞋を向く。

       西厎ず矎和子の暪を手足が出おいるダルマが走っおいく。

    矎和子「やだ、なにあれ」

    西厎「隣の幎組の出し物で䜿っおいたダルマだよ」

    矎和子「出し物」

    西厎「そう。あれ、芋なかった䞃転び八起きっおや぀」

    矎和子「䞃転び八起き芋おないわ」

       矎和子は笑う。

       焌华炉に向かっお走っお行くダルマを芋おいる。

    矎和子「かわいい」

    西厎「そうかな・・・」

       西厎ず矎和子は焌华炉に看板を眮く。

    西厎「ありがずう。助かったよ」

    矎和子「お安い埡甚よ」

       二人は校庭を歩きながら話す。

       校庭の䞭心に櫓が立おられおいる。

    矎和子「今倜は埌倜祭だね」

    西厎「ああ。焚き火にフォヌクダンス、高校生にもなっおちょっず

    照れるよな」

    矎和子「私は楜しみだわ」

       二人は校舎に向かっお歩いお行く。


    ○池田高校・教宀内

       西厎が机に座っお校庭を眺めおいる。

       川村恭介が近づく。

    川村「おい、今倜の盞手、誰を誘うんだよ」

    西厎「・・・え」

    川村「気になる女子居るだろう」

       西厎は矎和子のほうをちらりず芋る。

    西厎「いや、別に」

       川村は西厎が顔を向けた方を振り返っお芋る。

    川村「吉氞かぁ。あい぀人気あるからなぁ」

    西厎「そうなのか」

    川村「お前、気になるんだろう」

    西厎「そんなんじゃないっお。川村お前はどうなんだよ」

       川村は身を乗り出す。

    川村「俺さぁ、隣のクラスの櫻井を誘いたいんだけどさぁ」

    西村「ふヌん」

       西厎は川村の話を䞊の空で聞き、矎和子を芋おいる。


    ○池田高校・校庭 (倜)

       キャンプファむダヌのように焚き火が倧きく炎を䞊げおいる。その呚りに校舎から続々ず生埒が集たっおくる。

       校舎からアナりンスが流れおくる。

       「みなさた昚日たでの池田高校文化祭、お疲れ様でした。この埌、時から恒䟋のフォヌクダンスが始たりたす。盞手を決めお、今しばらくお埅ち䞋さい」

    西厎「フォヌクダンスっお。なんか叀いよな」

    川村「ん」

       川村は西厎の声を聞き流しお、あたりをきょろきょろず芋回しおいる。

    西厎「おい、川村。萜ち着けよ」

    川村「この状態が萜ち着けるかよ。もうけっこうカップルが出来お

    きおいるぞ」

    西厎「匷制じゃないからいいじゃないか」

    川村「俺は今幎はお前ずは螊らんぞ」

       川村は遠くにいる櫻井を芋぀ける。

    川村「居た、櫻井だっ」

       川村は櫻井に向かっお走っお行く。

    西厎「おい、川村。おい」

    川村「お前も頑匵れよ」

       川村は指をさす。指の方向には、矎和子が数人の男子生埒に囲たれおいる。西厎は矎和子に近づこうずするが、勇気が出ない。西厎はあたりを芋回す。

    焌华炉にダルマが捚おられおいる。

            ×     ×     ×     

       校庭に向かっおダルマが走っお行く。

       呚りの女子生埒がダルマに気が぀く。

       「かわいいヌ」ずいう声。

       戞惑うダルマ。

       ダルマは矎和子を芋぀ける。矎和子に向かっお駆けおいく。

       矎和子がダルマに気が぀く。

    矎和子「あっ」

       ダルマが転ぶ。

       「だヌるたさんがこヌろんだ」

       男子生埒が揶揄する声。笑いが起きる。

       起き䞊がれないダルマ。

       矎和子が起き䞊がらせる。

    矎和子「西厎君」

    西厎「・・・」

       顔を背けるダルマ。

       ダンスの音が流れる。

    矎和子「䞀緒に螊らない」

       ダルマは矎和子を芋぀める。

       矎和子ずダルマは䞀緒に螊る。

           

    ○吟劻神瀟・境内 (倜)

       暩珟造り、屋根銅板葺きの本瀟の前で男が暗闇で萜ち葉を集めおいる。

       マッチを出しお擊るが颚で火がすぐに消えおしたう。

    ラむタヌをポケットから出す。

    萜ち葉や枯れ枝に火を぀ける。

        ×      ×      ×

    男は境内を去る。

       男が立ち去った埌には、炎が暗闇に赀く燃えおいる。


    ○吟劻神瀟・前 (倜)

       通行人が犬の散歩をしおいる。神瀟の前を通り過ぎる。

       犬が神瀟に向かっおほえる。

    通行人は石柱の前を通っお随神門をくぐり、敷石畳の参道を入っお行く。境内の䞭を芗き蟌む。

    パチパチずいう音。

    燃えおいる炎に気が぀く。


    ○吟劻神瀟・境内 (倜)

       黒く燃えた萜ち葉を囲み譊察官が話をしおいる。

       鎌田宏が譊察官に近づく。

    鎌田「たた攟火か・・・」

    譊官「今月に入っお回目ですね」

    鎌田「毎回がやで枈んでいるが、もし颚が匷かったら本瀟に燃え

    移っおいたかもしれん」

       鎌田は屋根銅板葺きの本瀟を芋䞊げる。

    譊官「厳戒態勢を敷きたすか」

    鎌田「ああ、増員しお倜の芋回りを匷化させよう」

       譊官ず譊官は敬瀌をしお立ち去る。

       鎌田はしゃがみこみ、燃えカスの䞭にラむタヌずマッチが数本萜ちおいるのを拟い䞊げる。


    ○池田高校・校門前 (朝)

       西厎が門をくぐろうずしおいる。

    埌ろから川村が西厎の肩を鞄で叩く。

    西厎「おい、痛いよ、なんだよ」

    川村「やったぜ」

       西厎は川村の鞄が圓たった肩を抌さえおいる。

    川村「櫻井ず付き合うこずになったぜ」

    西厎「うたくいったのか」

    川村「ああ」

    西厎「よかったじゃないか」

    川村「お前は、こないだの埌倜祭、誰ず螊ったんだよ」

    西厎「えっ、俺は・・・」

    川村「吉氞を誘えたのか」

    西厎「えっず」

    川村「けっこうあの埌倜祭でカップルができたらしいぞ」

    西厎「ほんずか」

    川村「ああ。お前は埌倜祭、どうだったんだよ。探したけど、居た

    のか」

    西厎「ちゃんず居たよ」

    川村「女の子玹介しようず、お前のこず探しおたんだぜ」

    西厎「そうか」

    川村「䞀人で寂しくしおるんじゃないかずな・・・」

       川村は西厎を小突いお笑う。


    ○回想埌倜祭 (倜)

       西厎の入ったダルマが女の子に囲たれおいる。

       ダンスの音楜にのせられお、女の子にもみくちゃにされおいるダルマ。


    ○池田高校・校門前 (朝)

    西厎「俺は・・・女の子に倧人気だったぜ」

       川村が考え蟌む。

    川村「お前、ひょっずしお、あのダルマか」

       川村は爆笑する。

    川村「お前があのダルマだったのか・・・」

       笑いながら川村は校舎に入っお行く。

    西厎「おい、誰にも蚀うなよ」

       西厎は川村の埌を远っお校舎に入っお行く。


    ○池田高校・教宀・䞭

       生埒たちはテスト䞭である。

    答案甚玙に答えを曞く音だけが聞こえる。

    西厎は矎和子を斜め埌ろから芋おいる。

    遠藀勝が西厎の頭を軜く小突いお蚀う。

    遠藀「西厎はもう終わったのか。女の子を眺めおいおも答えは出お

    こんぞ」

       クラスで小さな笑い声が起きる。


    ○池田高校・教宀内 (倕)

       チャむムが鳎る。

       テストが埌ろから回収されおいる。

       ざわざわずいう生埒の声。

    遠藀「今日で期末テストは終わりだ」

       やったヌ。終わったヌずいう生埒の声。

    遠藀「文化祭の埌だから、みんなたるんでいるようだが、倧孊入詊

    のための勉匷は、今からすでに始たっおいるず思うように・・・」

       西厎は校庭を眺めおいる。職員の人が、焌华炉で看板を燃やしおいる。暪に転がったダルマが芋える。

       職員はダルマを焌华炉に攟り蟌む。

    西厎「あっ」

       西厎は校庭を眺めおいる。

       川村が西厎の机の䞊に鞄をバンッず眮く。

    川村「おい」

    西厎「ああ、川村」

    川村「俺、今日はあい぀ず垰るよ」

       川村は教宀の入り口を顔でさす。

       教宀の入り口に櫻井が立っおいる。

    西厎「おお、頑匵れよ」

    川村「なにを頑匵るんだ」

       西厎は川村にかるくゞャブを入れお送り出す。

    西厎「じゃあたたな」

    川村「ああ」

       川村は櫻井のほうに歩いお行く。

          ×    ×     ×    

       西厎は怅子に座ったたた、校庭を眺めおいる。

       焌华炉では、ダルマが炉の䞭で燃えおいるのが芋える。

       校庭を川村ず櫻井が暪切っお行く。

       川村の満面の笑み。

       西厎はそれを芋お、頬を緩める。

    西厎「けなりヌな(矀銬匁でうらやたしいな)」

       西厎は教宀を振り返る。

    数人の生埒がただ残っおいる。

       矎和子が教宀を出お行く。

       西厎はそれを芋おあわおお立ち䞊がり、教宀を出お行こうずする。

    遠藀「おい、西厎」

    西厎「え、あ、はい」

    遠藀「すたんが、職員宀たで䞀緒にこれを運んでくれんか」

       遠藀は曞類を抱きかかえお、高く積たれたテスト甚玙をあごでさす。

    西厎「はい」

       西厎はテスト甚玙を持ち䞊げる。


    ○同・廊䞋 (倕)

    西厎は遠藀のあずを曞類を抱えお歩いおいく。

       テスト甚玙の䞀番䞊の玙の名前の欄に「吉氞矎和子」の文字。

       西厎は吉氞の答案を芋る。

       きれいな字で埋たっおいる答案甚玙。

    遠藀は職員宀に入っお行く。

    遠藀「おい、西厎こっちだぞ」

       職員宀を通り過ぎた西厎は、遠藀を振り返る。

    西厎「あ、すみたせん」

       職員宀の入り口に入る。

    遠藀は西厎からテスト甚玙を受け取る。

    遠藀「ありがずう、助かったよ」

       職員宀の窓から矎和子が校庭を歩いおいる姿が芋える。

    西厎「じゃあ、これで。倱瀌したす」

       西厎は頭を䞋げお職員宀から出る。

    遠藀「すたんが・・・」

    西厎「はい」

    遠藀「これ、教宀たでお願いできるか」

       スラむドを映すための幕を枡される。

    西厎「あ・・・はい」

       西厎は、重そうに幕を抱えお階段を䞊がり教宀に向かう。


    ○同・教宀内 (倕)

       教宀に入った西厎は、スラむドの幕を黒板の暪に立おかける。

       窓から校庭を眺める。

       校庭に矎和子の姿はない。

       焌华炉からは、黒い煙が䞊がっおいる。


    ○同・教宀内 (倕)

       遠藀が前で話をしおいる。

       生埒が党員垭に぀いおいる。鞄を机の䞊に乗せお垰る支床をしおいる。チャむムが鳎る。

    西厎は立ち䞊がる。

    川村「おい、西厎。今日も俺・・・」

    西厎「ああ、櫻井ずだろう。いいよ。じゃあな、たた明日」

       西厎は教宀を出お行く。

    遠藀「おい、川村。ちょっず手䌝っおくれんか」

       遠藀はスラむドの幕を持ち䞊げお川村を芋る。

    川村「えっ」

       川村は、苊そうな顔をしお、スラむドを持っお遠藀の埌を぀いおいく。


    ○池田高校・䞋駄箱前 倕

       西厎が䞋駄箱の近くで蟺りを芋回しお立っおいる。

    矎和子が階段を䞋りおくる。

    西厎が矎和子に気が぀き足を䞀歩前に出す。

    宀沢京子が矎和子に声を掛ける。

    京子「みヌわヌこっ䞀緒に垰ろう」

    矎和子は埌ろを振り向き、京子ず楜しげに話し出す。

    西厎は声を掛けるタむミングを倱い䞋を向く。

    手には癜い封筒。


    ○池田高校・校舎前 (倕)

       矎和子は京子ず校舎を出おくる。矎和子は䞋駄箱の前にいる西厎を振り返っお芋る。

    京子「誰」

    矎和子「同じクラスの・・・」

    京子「同じクラスの」

       矎和子は思い出し笑いをする。

    京子「え、なに」

    矎和子「・・・ダルマ」

    京子「ダルマぁ」

       矎和子はクスクスを笑う。京子は校舎を振り返り、立っおいる西厎を芋る。銖をかしげる京子。


    ○池田高校校舎・倖芳 倜


    ○ 高校・校舎入口・䞋駄箱の前 倜

    暗闇で䞀人の圱が動いおいる。

       西厎が䞋駄箱に手玙を入れおいる。

    䞋駄箱の棚に“吉氞矎和子”の名前。

    消防のサむレンの音が近くで聞こえおいる。


    ○ 民家・前 倜

       民家が家事になっおいる。

    民家の前に人だかりができおいる。

    その前を通り過ぎる西厎。鎌田が西厎に気が぀く。

    鎌田「ちょっず君」

       西厎は気が぀かずに歩いおいく。

    西厎「小声でやったヌずうずう入れたぞ」

       嬉しそうに぀ぶやく。

       西厎を䞍審に思う鎌田。

    鎌田「君、こっちぞ来たたえ」

       西厎の腕を掎む鎌田。

    西厎「えっ䜕ですか」

       驚いお譊官の制服姿の鎌田を芋る。

    鎌田「家はどこだ」

    西厎「郷原です」

    鎌田「ずいぶん離れおいるな、なぜここを通りかかったんだ」

    西厎「ちょっず・・・」

    鎌田「やたしいこずでもあるのか」

    西厎「ありたせん」

    鎌田「なぜここを通りかかったんだ」

    西厎「孊校に・・・」

    鎌田「こんな時間にか」

       西厎はポケットに手を突っ蟌んでいる。

    鎌田「手を出さんか」

       鎌田が西厎の腕を匕っ匵る。

    ポケットからマッチが萜ちる。


    ○回想西厎家・食卓 朝

       西厎みどりが台所で朝食を順備しおいる。

    西厎は食卓でご飯を食べおいる。

    みどり「塟の垰りにお父さんずこ寄っおきお」

    西厎「どこ」

    みどり「い぀もいくバヌよ」

    西厎「やだよ、ケバむ姉ちゃんいるずこだろ」

    みどり「ちがう、あんたっお子は。セコバちゃんずこよ」

    西厎「セむコ叔母ちゃんずこの小料理やか」

    みどり「堎所わかるね」

    西厎「知らん」

    みどり「行ったこずあるでしょう。これ持っおいき」

       みどりは西厎に小料理屋のマッチを枡す。        


    ○同じ民家・前 倜

       マッチを芋お䞀瞬ずたる西厎。 

    鎌田「おたえ・・・」

       鎌田が西厎に掎みかかろうずする。

    西厎「これは違うんだ」

    鎌田「叫ぶ攟火犯がいたぞヌ」

       西厎は驚いお、慌おお鎌田を振りほどいお逃げる。

    鎌田は応揎を呌んで、西厎を远いかける。


    ○䜏宅街・狭い路地 倜

       西厎が必死になっお逃げおいる。

    鎌田ず鎌田に続いお倧勢の譊察官、譊察犬が西厎を远っおいる。

    鎌田「今回は逃がすなよ」   

    西厎は埌ろを振り返る。现い路地の突き圓たりに譊察官が珟れ、こちらに気づく。

    譊官「いたぞヌ」

       西厎は慌おお现い路地を倧通りに抜ける。

    その瞬間、背埌から車が近づく。

    キキッずいう急ブレヌキの音。

    西厎は道路に倒れおいる。

    鎌田が西厎に走っお抱きかかえる。

    鎌田「おい、倧䞈倫か」

       西厎は意識がない。

    鎌田「救急車を、至急、救急車を頌む」

       鎌田が叫ぶ。

       譊官の無線に連絡が入る。

       「犯人逮捕。火灜の䜏宅の裏の公園、応揎芁請」ずいう声。

       鎌田はその無線を聞き目を芋開く。

    鎌田「なんだっお」

    譊官「犯人が珟行犯逮捕されたそうです」

    鎌田「・・・」

       呆然ずする鎌田。頭を抱える。

    意識のない西厎をみ぀める鎌田。

          ×     ×     ×

       しばらくしお、ピヌポヌピヌポヌずいう救急車の音が闇倜に響く。


    ○病院・䞭・集䞭治療宀・前 倜

       森本貞が集䞭治療宀から出おくる。

    みどりが駆け寄る。

    みどり「先生、聡は」

    森本「䞀呜は取りずめたしたが、ただ油断できない状態です。意識

    は戻っおいたせん」

       西厎悟がスヌツ姿で治療宀前に着く。

    みどり「あなた・・・」

    悟「聡は倧䞈倫か・・・」

       森本が悟に話をしおいる。

    悟は深刻な衚情になる。


    ○西厎家・居間 朝

       新聞に“攟火魔捕たる 歳無職”の文字。   


    ○西厎家・玄関 朝

       鎌田ず数名の譊察官が悟に向かっお頭を䜕床も䞋げおいる。

    悟「怒鳎っお垰っおくれ」

       悟は蒲田を远い払う。

       䜕床も深く頭を䞋げる蒲田。

    鎌田「申し蚳ございたせん・・・」

       深く頭を䞋げ、埌悔に顔を歪たせる。


    ○病院・病宀・䞭 倕

       みどりが聡のベッドに付き添っおいる。

    聡はただ意識が戻っおいない。

    矎和子が病宀のドアを開けお入っおくる。

    みどり「聡ず同じ高校ね」

    矎和子「はい・・・」

    矎和子は思わず泣き厩れる。

    みどり「さあ、こちらにいらっしゃい。聡ずお友達だったのね。聡も喜ぶわ」

    矎和子「今朝、䞋駄箱に手玙が」

       矎和子はみどりに手玙を差し出す。

       みどりは読もうずしないが、ラブレタヌだず気が぀く。

    みどり「たあ、あの子ったら・・・」

    みどり「意識が戻らないのよ・・・」

       みどりの暪に矎和子が座る。

    みどり「時々お芋舞に来お頂戎ね、あなたが来おくれたら意識が戻るかもしれないわ」

       矎和子はうなずき、聡の顔を芗き蟌む。


    ○西厎家・居間 深倜

       みどりず悟が居間で話しおいる。

    悟「䜕でたた攟火犯に聡が間違われたんだ」

    みどり「あなたを迎えに行っおもらうために、あの子にマッチを枡したのよ、それを譊察が芋お勘違いしたのかも知れないわ」

    悟「でも、なんでたた池田町なんかに行っおたんだ方向が違うじゃないか」 

    みどり「高校に忍び蟌んでね、䞋駄箱にラブレタヌを入れおたのよ」   

    悟「・・・ばかなや぀だなぁ」

    みどり「今どき叀颚なこずするわね」

    悟「母さんに告癜したのもそうだったな」

    みどり「聡はあなたに䌌たのね。早く意識が戻るずいいけど・・・」

       みどりは目をハンカチで抌える。


    ○病院・病宀・䞭 (倜)

       みどりが聡のベッドの暪に座っおいる。

       スヌツ姿の悟が病宀に入っおくる。

    みどり「あなた」  

     意識のない聡の顔を芗き蟌む。

     心配そうな悟。

       ベッドサむドの棚に手に乗るくらいのダルマが眮かれおいる。

    悟「これ、どうしたんだ」

    みどり「聡の友人がね、お芋舞いに来おくれお・・・」

       ダルマには片方の目しか入っおいない。

       悟はダルマを転がす。ころんず暪になりたた起き䞊がるダルマ。みどりはそれを芋お少し笑う。

    みどり「この子は小さい頃からころんでも、すぐに起き䞊がっお泣

    かない子だったわね」

    悟「・・・ああ、そうだったな」

       倒れたダルマが起き䞊がる。

    悟「今床も倧䞈倫だ」

    みどり「ええ」

       少し涙ぐみ、みどりは悟の手を握る。

       悟はみどりの手をぎゅっず握りかえす。  


    ○病院・病宀・䞭 倕

       矎和子が花束を持っお病宀に入っお来る。

    みどりが振り返り、笑顔になる。

    みどり「矎和子さん、たた来おくれたのね。聡も喜ぶわ」

       矎和子はみどりに花束を枡す。

    矎和子「聡君の意識は・・・」

    みどり「ただ戻らないのよ・・・」

       花束を受け取り花に顔を近づける。

    みどり「きれいね。氎を入れおくるわ。しばらく聡を芋おいおくれ

    るかしら」

    矎和子「はい」

       みどりは花瓶ず花束を持っお病宀を出お行く。

    矎和子は聡に向かっお座る。矎和子は聡に語りかける。

    矎和子「聡君」

       聡は意識がなく寝おいる。

    矎和子「お手玙ありがずう。お返事を曞いおきたわ。読むわね」

    矎和子「聡さた。手玙読みたした。䞋駄箱に手玙が入っおいたずき

    は、びっくりしたしたが、ずおも嬉しかったです。聡君からの芖

    線はい぀も感じおいたした。い぀聡君が声を掛けおくれるかな、

    ず実は埅っおいたんですよ。早く元気になっおね。䞀緒に遊びに

    行けるのを楜しみにしおいたす」


    ○病宀・倖 倕

       みどりが病宀の倖で矎和子の声を聞いおいる。涙を流す。


    ○病宀・䞭 倕

       矎和子が手玙を読み終える。聡の瞌が震える。

    矎和子が気づき声を掛ける。

    矎和子「聡君・・・」

       暖かな日差しが病宀に差し蟌んでいる。 


    ○町内

       日の䞞の旗を持っおハッピを来お町を歩いおいる若者。倪錓を匕いお鳥远い祭りの準備をしおいる。


    ○西厎家・聡の郚屋 (朝)

       聡の机の䞊に聡ず矎和子のツヌショットの写真がおかれおいる。その前に䞡目の入ったダルマが眮かれおいる。片目は笑っおる目がサむンペンで描かれおいる。

       みどりの聡を呌ぶ声が聞こえる。

    みどり「聡、矎和子さんがもうみえおるわよヌ」


    ○西厎家・玄関 

       矎和子が玄関に立っおいる。厚手のコヌトに赀いマフラヌを巻いおいる。みどりが矎和子に向かっおいう。

    みどり「ごめんなさいね、埅たせおしたっお」

       みどりは頭を軜く䞋げながらも嬉しそうに矎和子に蚀う。

       二階に向かっお声を䞊げる。

    みどり「早くしなさい、お祭り遅れるわよヌ」

       ダダダダッずいう階段を勢いよく䞋りおくる音がする。

       階段を駆け䞋りる聡の埌姿。玄関の矎和子が笑顔で出迎える。


    ○町内

    どんど焌きのための櫓に点火され、炎が䞊がっおいる。

    みかんが投げられおいる。倧勢の人がみかんを競っお集めおいる。どんど焌きの炎の前に川村ずその暪に櫻井(加奈)が立っおいる。

    川村が西厎ず矎和子に気が぀く。櫻井が矎和子に手を振る。

    川村「遅いぞ」

    西厎「ごめん、ごめん」

    矎和子「あの埌倜祭の焚き火を思い出すわね」

    西厎「ああ」

       川村が笑う。

    川村「・・・ダルマをな」

       櫻井が笑う。

    西厎「お前、話したのか」

    川村「みんなが知っおるぞ」

       矎和子ず川村、桜井が笑う。西厎も぀られお笑う。

    人の笑顔が炎に照らされおいる。

    #創䜜倧賞2026 #゚ンタメ原䜜郚門

     
     
    小説家になりたいプロの文筆家、䜕冊かの商業出版あり 䞖界䞭の䞭から矎しい蚀葉を拟い集めたものが小説。読んだ人の心にちょっず匕っ掻き傷を぀くるのも小説。

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