
3つのお題66(世界ノスタルジー)
こちらの企画に参加させていただきます。
みかんさん よろしくお願いします。
第66回 3つのお題(世界ノスタルジー)
お題①:「モンマルトルの似顔絵描き」
お題②:「セーヌ川に流した手紙」
お題③:「午前零時のパリ、最後のカフェ」
お題④:イラストから空想した世界を書いて下さい。
「オジサン、似顔絵を描いてほしいんだけど、いくらなの?」
「お嬢ちゃんひとりかい?」
「そうだけど」
「デッサンだけなら30ユーロ、パステルやマーカーでのカラーなら50ユーロだけど、お嬢ちゃんならカラーで40ユーロでいいよ」
「チューブもある?」
「5ユーロだけど、オマケにしてやるよ」
「キレイに描いてくれる?」
「元がいいから、俺がヘタに描かない限り大丈夫だろ」
「もうオジサン上手いんだから」
「じゃあそこに座って」

「お嬢ちゃんはこの絵どうすんだい?」
「部屋に飾るのよ」
「自画像をかい?」
「それほどナルシストじゃないわ」
「じゃあどうして?」
「私が部屋にいない間も、私を感じていてほしいのよ」
「いい人がいるんだね」
「人じゃないけどね」
「パリじゃあんまり聞かないけど、ロンドンによくある話かい?」
「ずっと部屋にいてくれるから、淋しくないようにと思ってさ」
「優しいんだね」
「ついてこられても困るでしょ」
「違いない」
「話しててもいいの?」
「動かないでって言うのは素人さ」
「そうなの?」
「俺の眼と頭にはお嬢ちゃんが写真のようにあるよ」
「私がここにいなくても描けるってこと?」
「言っちゃうと身も蓋もないけどね」
「な~んだ。じゃあポーズを変えてもいいのね?」
「あぁ大丈夫だよ。居ても居なくても同じだし、今だってお嬢ちゃんを鏡像で描いてるから」
「えぇ? 右側の方が自信あるんだけどなぁ」
「そりゃ悪かったね。でも左側も全然イケてるよ」
「ありがと」
「そろそろ出来上がりだ」
「どれどれ」
「ほら」
「わぉ、これ私?」
「キレイに描き過ぎたか?」
「そうかもね。でもありがと」

深夜のカフェ。アルコールじゃないところが私らしい。
少し落ち着いたところで、今日あった出来事を思い出しながら便箋に書きだす。これが私の日課みたいなもの。
今日はなんたって私の似顔絵。
あのオジサン面白かったな。絵も上手かったし。オマケもつけてくれたしさ。
出来あがったこの絵、喜んでくれるかな。
私の代わりって思ってくれるかな。

私の今日の出来事を書いた便箋に封をしてセーヌ川に流す。
私の日常が誰かの手に渡るかもしれない。
そこから何かが始まるとは思えないけど、変なヤツがいるなと思ってもらえるだけで、人生も少しは楽しんじゃないかな。
Edith Piaf / Non, Je ne regrette rien
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