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旅
あるとき 私は 深い暗闇のなかに迷い込み 食べることが できなくなった。
味がまったくわからない。
TVで食べ物を見ただけで 胃が痛んだ。
体重は38キロになった。
ある日 遠方に住む姉の家に 行くことになった。
行ったことのない場所へ行き、食べたことのないものを食べてみた。
少しづつ。
はじめは姉家族を 心配させたくなかったから。
無理やり 食べた。
無理して 出かけた。
まぶしい太陽。
青い空と 仰々しい入道雲。
幸せそうな家族。
楽しそうに はしゃぐ子供たち。
長いあいだ 私の視界にかかっていた 白い膜が霞んで にじみだす。
誰も私のことを知らない。
子供たちの笑い声が 私の耳にはっきりと 届く。
私は他人と同じ ひとつの景色に溶け込んだ。
少しづつ 味がわかってきた。
甘いものが 甘いと感じる幸せ。
温かいスープに ホッとする安らぎ。
なにより なにげなく向けられる 思いやり。
他人は敵。
モノクロの世界。
無声映画のフィルムのなかに蹲っていた私。
突然 白い膜が 剥がれ落ちた。
わたしに 色が戻り 味覚が戻る。
いま いる場所が 辛いと感じることさえ できなくなる前に 旅をしてみて。
行ったことのない場所で、食べたことのないものを食べて 知らない人と挨拶をかわす。
微笑むことができれば
自分でも わからない 変化がうまれる。
きっと 何かが 変わるよ。
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現在、眼病を患っており執筆活動を続けるため高性能な音声入力デバイスの導入を目指しています。
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