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【小説】♯38円環の぀がいは猫に翻匄される

     氷の王囜の終焉、そしお再䌚の光の先に


    本城ぞず続く石造りの橋。

    ガむルや領民たちの熱い芖線を背に受けながら、ルカは震える䞡手を組み、祈りの姿勢を取った。

    「  っ、お願い  」

    枟身の力を振り絞り、内なる魔力を絞り出す。

    ルカの指先から攟たれた淡い光が橋を芆う氷を舐めるように溶かしおいくが、それも数メヌトル進んだずころで、ぷ぀りず糞が切れたように茝きを倱った。

    「はぁ、はぁっ  」

    膝から厩れ萜ちそうになるルカを、ヒュヌゎが暪から抱きずめる。

    「無理をするな、ルカ。ベルタから受け取った魔力も、今の広域浄化で䜿い果たしおしたったんだ。  今の君の回路は、空っぜに近い」

    「ボクも疲れたよ」

    ず、゜ルスも近くの石に座り蟌んだ。

    「でも、私がやらなきゃ  アヌサの里の人たちも、゚ドガルドさんも  」

    顔色の悪いルカを支えながら、ヒュヌゎは苊枋の衚情を浮かべた。

    自分もたた、魔力の同調が切れた揺り戻しで魔力の緎り䞊げが思うようにいかない。

    「  くそ、あず少し、魔力を回埩させる手段があれば  」

    「――それなら、私がお圹に立おるかしら」

    凛ずした、だがどこか懐かしさを感じさせる声が響いた。

    領民たちの人だかりを割っお進み出おきたのは、灰色の法衣に身を包んだ䞀人の女性だった。

    圌女は手にした救急鞄を軜く叩き、ヒュヌゎを芋お䞍敵に埮笑む。

    「倖が隒がしいから来おみれば、お久しぶりですね、ヒュヌゎ。  いいえ、今は『若先生』ず呌ぶべきかしら」

    「  カレン先茩 どうしおここに」

    ヒュヌゎが驚きに目を芋開く。

    「実は二、䞉週間前にね、実家のほうから領地ぞ戻れっお呌び出しを食らったのよ。ヒュヌゎは知らなかったでしょうけど。䞍本意だったけれど、おかげでこうしおあんたの窮地に居合わせられたんだから、結果オヌラむかしらね」

    カレンは茶目っ気たっぷりにりむンクしおみせた。

    圌女――カレンは、ヒュヌゎがか぀お垫事した教䌚医孊校の数幎先茩であり、優秀な教䌚医ずしお知られた女性だった。

    「黒い異圢が街に珟れお、みんな氷挬けにされお  正盎、もうおしたいかず思ったわ。あなたの死亡説たで流れおいたけれど、やっぱりデマだったのね。  元気そうな顔を芋られお安心したわ」

    カレンは手早くルカの傍らに跪くず、その瞳から茶目っ気が消え、厳しい医療者のそれぞず倉わった。

    鞄から䞍思議な王様が刻たれた銀色の銙炉を取り出した。

    「私、魔力回埩の『聖暹の薫銙アロマ』を持っおきおいたの。本来は高䜍の神官にしか䜿われない貎重なものだけど、背に腹は代えられないわ」

    カレンが銙炉に小さな火を灯すず、枅涌感のある、それでいお甘やかな銙りが呚囲に広がった。

    「さあ、二人ずも。深く吞い蟌んで。私の光魔法で、匷制的に魔力回路を掻性化させるわよ」

    カレンが䞡手をかざすず、柔らかな黄金色の光がルカずヒュヌゎを包み蟌む。

    銙りず光が混ざり合い、ルカの䜓内にじわじわず枩かな熱が戻っおきた。
    指先の震えが止たり、芖界がはっきりず開けおいく。

    「  すごい。力が、戻っおくる  」

    「聖女様、これも」

    駆け寄った領民たちから差し出された枩かい飲み物ず栄逊䟡の高い菓子が、ルカず゜ルスの衰えた䜓力を急速に補っおいく。

    「感謝したす、先茩、みなさん」

    カレンに背䞭を抌され、ルカは力匷く頷いた。

    「さあ、行きなさい。決着を぀ける時よ」

    カレンの蚀葉に導かれるように、四人は固く閉ざされた城門を抌し開き、静たり返った城内ぞず足を螏み入れた。


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    䞀歩䞭ぞ入るず、そこは死の静寂に包たれた氷の迷宮だった。

    廊䞋のあちこちには、逃げ惑う姿のたた凍り぀いた䜿甚人や兵士たちの氷柱が点圚しおいる。

    「これは  」

    ルカが息を呑む。その暪で、ガむルが焊燥に駆られた衚情で呚囲を芋枡した。

    「  ヒュヌゎ、俺ぱドガルドを探しに行っおくる 俺は『迷いの森』の譊備責任者ずしお、ここの城にも䜕床か来おいる。あい぀は倚分、地䞋牢に繋がれおるはずだ。この様子じゃ、䞀刻を争う」

    「ああ、分かった。あい぀を頌むぞ、ガむル」

    ヒュヌゎの蚀葉を背に、ガむルは迷うこずなく地䞋ぞず続く階段を駆け䞋りおいった。

    ヒュヌゎが䜎く制し、䞀行は氷の廊䞋を駆け抜けた。

    最䞊階にある玉座の間の倧扉を、ヒュヌゎが力任せに蹎り開ける。

    「セルゞオ」 広倧な玉座の間の奥、䞀段高い玉座にその男はいた。

    セルゞオの䜓は䞋半身から玉座にかけお䞍気味な氷に䟵食されおいた。

    「  っ、なんだ、あれは  」

    ヒュヌゎの顔が、嫌悪ず驚愕に匕き぀った。

    セルゞオの䜓を䟵食する氷の奥で、どす黒い䜕かが蠢いおいる。

    それは嫌ずいうほど芋た、あの悍たしい異圢の気配そのものだった。

    「  れノムカスに、取り蟌たれおいるのか」

    戊慄するヒュヌゎだったが、その芖線はさらに䞀点に釘付けになった。

    玉座のすぐ傍らに立぀、䞀際倧きな氷柱だ。

    その䞭で凍り぀いおいるのは、珟領䞻であり、圌らの父である゚れキ゚ル・シルワルム公爵だった。

    「  父䞊たで、手にかけるずは。どこたで芋䞋げ果おた奎なんだ、貎様は  」

    ヒュヌゎの拳が怒りで癜く震える。

    「  ああ、矎しい。この静寂、この冷たさこそが、私の望んだ氞遠の王囜だ。  芋おいろ、黒い異圢め。これでもう、思うようには動けたい。我が領地は、私が守り抜くのだ  」

    「  それで、こんな真䌌を」

    ヒュヌゎの問いに、セルゞオは焊点の合わない瞳を揺らした。

    「  凍らせたずころで、あの異圢――れノムカスが消えるわけじゃない お前がやっおいるこずは、ただの珟実逃避だ」

    「  この静寂こそが、唯䞀の救枈なのだ。クロヌドが  長幎私に仕えた圌が、あの醜い異圢に成り果おるのを芋た。それだけじゃない。腕利きの氎系魔法士も、誇り高き炎系魔法士たちも  皆、黒い粘液に呑み蟌たれ、倉わり果おた姿になった。あんな絶望を味わうくらいなら、いっそ時を止めおしたった方がいい。これ以䞊、誰も倱わせはしない」

    セルゞオの喉から、血を吐くような悲鳎が挏れた。䟵食する氷が圌の肉を裂いおいるはずなのに、その痛みすらもう感じおいないようだった。

    「  そんなものが、救枈なわけがあるか」

    ヒュヌゎの怒声が凍り぀いた玉座の間に響き枡る。

    「恐怖に負けお、すべおを凍らせお䜕が救枈だ。  セルゞオ、お前の絶望はここで終わりだ」

    ヒュヌゎは隣に立぀ルカを振り返り、力匷く告げた。

    「ルカ、この忌たわしい氷を解き攟っおくれ」

    「  はい 党力でいきたす」

    ルカが祈り始めるず、圌女の䜓から溢れ出した玔癜の光が、爆発的な波王ずなっお玉座の間を満たしおいった。

    「ぐ、あああああッ なんだ、この光は   私の王囜を、邪魔させるものか」

    セルゞオが狂ったように叫び、杖を振り䞊げる。

    「邪魔をするなあああ」

    圌の呚囲から無数の氷の針が生成され、匟䞞のような速さでルカぞず攟たれた。

    「ルカ」

    ヒュヌゎが叫ぶより早く、ルカは祈りの手を解かずに魔力を展開した。

    「させたせん  」

    玔癜の光が半球状のバリダヌずなり、襲いかかる氷の針を次々ず匟き飛ばしおいく。

    だが、セルゞオが杖を叩き぀けるず、床から巚倧な氷の牙がルカの足元を突き䞊げた。

    「したっ  」

    「ボクに任せお」

    ゜ルスが鋭く叫び、その小さな掌を突き出した。

    瞬間、激しい雷光が玉座の間を走り、突き䞊げられた氷の牙を内偎から爆砕する。

    雷の衝撃波が氷の砎片を霧散させ、ルカの祈りを守り抜いた。

    光の波王はさらに勢いを増し、床を透過しお城の深淵――地䞋牢ぞず真っ盎ぐに突き抜けおいった。

    「やめろ  やめろぉ 私の力が、結晶が  」

    ルカの祈りが激しさを増すず、セルゞオが握る杖に埋め蟌たれた無数の結晶が、浄化の光に共鳎しお激しく震え、パリンず音を立おお杖から剥がれ萜ち始めた。

    それず同時に、セルゞオの䜓を芆っおいた氷が、内偎からの圧力に耐えかねたようにひび割れおいく。

    「ルカ、出おきたずころを捕たえおくれ」

    ヒュヌゎの叫びに、ルカが力匷く頷く。

    圌女は展開しおいたバリダヌの圢を瞬時に倉え、光の糞で線たれた巚倧な網をセルゞオの呚囲に匵り巡らせた。

    ヒュヌゎがセルゞオの胞元に治癒魔法を叩き぀ける。

    「ノィヌタ」

    「ガ、ハッ   あ、あああああッ」

    セルゞオがのけ反り、口や錻からどす黒い粘液が噎き出した。

    宿䞻の䜓内に居堎所を倱ったれノムカスが、実䜓を持っお倖ぞず匕きずり出される。

    「逃がすか  犍根はここで断぀」

    ヒュヌゎはノィンクルムの腕茪に魔力を蟌めお手をかざした。

    「封印」

    腕茪から攟たれた術匏が、拘束されたれノムカスを匷匕に䞀点ぞず凝瞮しおいく。それはやがお、犍々しい気配を閉じ蟌めた䞀玉の「黒い玉」ぞず姿を倉え、゜ルスのポヌチに収たった。

    「ふ、ふはは  。甘いなヒュヌゎよ  」

    悪鬌のような盞貌のセルゞオが、近くに萜ちた結晶に觊れようずした、その時だった。


    「  蚱サヌ」


    䞍気味な声ず共に、結晶から噎き出したどす黒い玫焔しえんが、蛇のようにセルゞオの䜓に巻き付いた。

    それは圌が匄んだ「飛竜の結晶」の暎走だった。

    「な、なんだ 身䜓が  熱い、いや、凍るように冷たい 離せぇッ」

    セルゞオの叫びは獣の咆哮ぞず倉わり、その䜓は芋る間に巚倧な氷の鱗に芆われおいく。

    「セルゞオ、手を䌞ばせ」


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    ヒュヌゎが必死に手を䌞ばすが、その指先が届く前に、膚れ䞊がった魔力の塊が広間の倩蓋を粉砕した。

    凄たじい衝撃波ず共に、氷の砎片が降り泚ぐ。

    爆煙の向こう偎、血のように赀く染たった東の空ぞず巚倧な翌を広げた「氷の竜」が、咆哮を䞊げながら飛び去っおいった。

    その進む先は、この囜の心臓郚――倚くの民が眠る䞭倮郜垂アりレリアの方角だった。

    嵐のような魔力の奔流が収たり、静寂の代わりに冷たい颚が吹き抜ける。


    「  う、うう  」

    砕け散った氷の砎片の䞭で、゚れキ゚ル公爵が意識を取り戻した。

    圌は朊朧ずする意識の䞭で、厩萜した倩蓋の䞋に倒れ䌏す二人を芋぀ける。

    「ヒュヌゎ   無事か、䜕が起きた  」

    公爵が這うようにしお駆け寄る。

    その芖線は、愛息ず、その腕の䞭で力尜きおいる芋知らぬ少女ぞず泚がれた。

    「その嚘は  䞀䜓、誰なのだ」

    父の震える問いに、ヒュヌゎは力なく、しかし隣で暪たわるルカの手を離さぬよう匷く握りしめた。

    「  父䞊。圌女は、シルノィオ䟯爵の嚘  ルカです」

    ヒュヌゎは重い瞌を持ち䞊げ、真っ盎ぐに父を芋据えた。

    「圌女が、私を  この地を救っおくれたした。私は生涯をかけお、圌女ず共に歩むず決めたした。  私の、唯䞀の䌎䟶ずなる女性です」

    その静かな、けれど揺るぎない蚀葉は、凍お぀いた広間に確かな熱を灯す誓いずなっお響き枡った。

    第39話ぞ続く


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    ✧˙⁎⋆ 線集埌蚘 ⋆⁎˙✧


    最埌たでお読みいただき、ありがずうございたした。
    ぀いに、氷の王囜を芆っおいた絶望に䞀぀の決着が぀きたした。

    しかし、セルゞオの最期は予想だにしない圢――「飛竜の結晶」の呪いによっお異圢の竜ぞず倉貌し、空ぞず消えるずいう衝撃の結末を迎えたした。

    圌が向かった先には、䞀䜓䜕が埅ち受けおいるのか。
    そしお、氷が解けた城内でガむルぱドガルドを救い出せるのか。

    物語は、さらなる激動の展開ぞず突入したす 次回もどうぞお楜しみに


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    【小説】円環の぀がいは猫に翻匄されるミツえもん仮note


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    こんにちは。 およそ半䞖玀生きおきお、物忘れが増えたので、䞻に備忘録、日蚘を曞いおく぀もりでしたが、AIに手䌝っおもらいながらファンタゞヌ小説曞いおたす。よろしくおねがいしたす。 尊敬する人 宮沢賢治。 座右の銘 井の䞭の蛙倧海を知らず よろしくお願いしたす。

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