
そう、ここは新宿。
ここは新宿、東京の中心とも言える場所だ。
今や新宿駅は世界トップクラスの利用者数を誇ることで知られており、欲しい物がなんでも揃う街。
夜になれば、眠らない街と呼ばれるように様々な人が集まるダークでディープな街、それが新宿。
四月後半、普段電車の乗り換え程度しか行かない新宿の地に僕はいた。
桜は完全に過去のものとなり、少し早い夏の暑さを感じながら街を歩いていた。約束の時間には少し早すぎたので、散歩をしていたら四月前半に好きな人と桜を満喫した新宿御苑に辿り着いていた。(ここの桜を来年も彼女と一緒に見たいなぁ)なんて一人で思いを馳せていたら、時刻は約束の時間に迫っており思い出の場所を後にした。
本日のメインイベントは予定よりも早く終わり、お腹が空いたので以前混雑していて入ることができなかった、好きな映画のロケ地のラーメン屋に行くことにした。昼のピークを過ぎた時間だったので店には二組しかいなかった。そうして入店すると、元気よく「イラッシャイマセ〜」とリーダー的な店員に続き厨房からカタコトの日本語で迎えられた。
ラーメン屋の店員が全員外国人、珍しいな。
と思ったが肝心なことを忘れていた。
そう、ここは新宿。
座ると同時に出されたおしぼりとお冷。
そうして間髪あけずに「ナニニスル」と注文を取ろうとする気だるそうな女性に「おいおい、見てただろ?今来たばかりだぜ?メニューも見てないよ」と顔をして「しょ、醤油ラーメンで。あ、大盛りで。オネガイシマス」と僕の方が拙い日本語になってしまったがこういった事も起こり得る。
「ショウユ?」と少し不思議な顔をして去っていった店員に余裕ですよ?と笑顔を振りまいておいた。
厨房からは耳馴染みのない、アジア系の言語が飛び交っていた。
僕が怯えながら注文した醤油ラーメンは僅か五分程で運ばれてきた。
提供のスピードは日本人が作るラーメンに負けていないなと感心して箸を進めると、熱々のスープに反するキンキンに冷えたメンマがいた。
あまりにも冷たすぎるメンマに驚きはしたが、妙に色っぽい卵に心を奪われ更に箸を進めた。
味は優しい味で懐かしさを感じられたが、並ぶ程か?と思いここで初めてメニューに手を伸ばす。
驚いた。この店は長崎ちゃんぽんと博多ラーメンが人気の店だったのだ。
事前にしっかりとリサーチをしていなかった僕が悪いがこれには驚きと溜め息がでた。そうなってくると先程の店員の「ショウユ?」も納得がいく。
普段はあまり気にしないレビューを見てみることにした。
スクロールすると醤油ラーメンに関することは書いていないし、なんなら油そばが美味しいとか定食が美味しいという新しい情報ばかり流れてきたので急いで閉じた。
そう、ここは新宿。
悔しい気持ちになりながらも食べ進めながらふとある事に気づいた。
厨房には三人のアジア系の人達、窓際の席には英語を話す四人の外国人達。
店内の日本人は僕と斜め前に座る老人の計二人のみ。
ホームなのに完全にアウェーだなと見渡していると外国人達は店員を呼び注文をし始めた。すると驚いたことに、お互いが発した言語は日本語だった。
(ちょ、待てよ。ラーメン屋で外国人の方が多いって意味わからんし、ほんで店員と客を繋ぐ言語は日本語なんかい!)
と一人面白くなっていた。
そうして次は必ず博多ラーメンを食べることを誓い、店を出てイヤホンから東京事変の群青日和を流した。
そう、ここは新宿。
様々な人が集まる街。