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神様、僕は恋をしました Extra episode 手紙

    桜の花びらが歩道を埋め尽くすある晴れた春の昼下がり

    「ショーちゃん!忘れてるよー!」

    「え?何を?」

    「これこれ!一番大事なのを…ママの骨!」

    「茜音!骨とか言うんじゃないの!」

    「ははは!カナタさんに怒られてる」

    「はぁ~い…ごめんねママ」

    ミヤさんの10周忌となる今年、俺は彼女が旅立った時の年齢と同じ歳になった。

    茜音は高校を卒業して春から専門学校へ通い始め将来はトリマーを目指すとのこと、

    せめて私が逝く前に…とかねてよりカナタさんが購入していたお墓にミヤさんを納骨の運びとなった。

    いつにしようかと相談され、それならば茜音ちゃんが高校を卒業してからにしては?

    そんな話になったわけだ。

    無事に納骨も終わり帰路につく際、俺は以前からしたためていた“或るモノ”を遺骨と同じ場所に安置することをお願いした。

    「あ、それは京も喜ぶだろうから…」

    そう快諾してくれたカナタさんのおかげで
    俺の胸のつかえも取れ晴れ晴れとした気持ちでお墓を後にすることが出来た。

    或るモノ…それはミヤさんへ向けた手紙
    出会ってくれたことへの感謝とこれからのこと

    そう俺はこの日、兼ねてから心に決めていたことをミヤさんに伝えるつもりだった。

    「ねえ、ママに何て手紙書いたの?」

    「内緒だよ」

    「えー!教えてくれてもいいでしょ?アタシ、実の娘なのにー」


    ーだから…じゃないか


    そしてミヤさんだけじゃなくてカナタさんにも…今日は伝えなきゃ

    「あの…カナタさん、お時間あればこの後みんなでご飯にでも…」

    「あ…そうね…」

    その時だった

    「あ…!」

    「いてててて」

    何かにつまずいた茜音ちゃんが俺の背中に向かって飛び込んできた。

    「ア…カネちゃん…大丈夫…?」

    「う、うん大丈夫!ショーちゃんは?」

    「俺は大丈夫だよ、怪我がなくてよかった」

    その時先頭を歩いていたカナタさんがふと立ち止まって振り向き俺たちに向かってこう言った

    「ご飯なら…二人で行っておいで」

    「え…それって」

    「私、知ってたの」

    ー だって茜音は小さな頃から翔さんのこと…

    「そ、そうなんです、実はそのことを今日は…」

    「翔さん、これから茜音のこと…お願いしていいかしら?」

    「は…はい!こちらこそ」

    「ショーちゃん!よろしくね」

    「そ、そうだね、よろしくアカネちゃん」

    まさか…まさかこんなことになるなんて…
    恋愛の神様は予想してましたか?

    そしてミヤさん…
    ミヤさんも今頃手紙、読んでる頃かな?

    正解なのかどうかわからないけど
    恋愛の神様が最後に出した難問の答えはこれ、だったのかなって俺は思ってる。

    あの時ミヤさんが待ってくれてたみたいに
    俺も茜音ちゃんが高校を卒業して

    夢に向かって進むのを機に二人で歩いていくことにしたよ


    10歳の年の差…

    今度は逆の立場になってしまってるけど
    きっとうまくいく、俺が生きてる限りは、ね。


    そしてまだ茜音ちゃんにもカナタさんにも話していない

    俺の大きな決心

    これを知ってるのは俺とミヤさんだけだから
    ミヤさんに一番に伝えなきゃ、

    そう思ったから…

    手紙に書いたんだけど俺、アカネちゃんが就職したら教師やめようと思ってるんだ。

    子供の頃からの夢だった音楽雑誌の編集者になりたくて…

    俺、まだ夢とか追いかけてもいいよね?

    その時、ふと吹いた風に紛れて

    “ショーちゃん…もう、いいんだよ”

    そんなミヤさんの声が聞こえた気がした。

    そしてその声は…

    「ショーちゃん!早く行こう!」

    俺の隣を歩く茜音ちゃんの声にかき消されていった。

    神様、僕は恋をしました…
    一生続いていく恋をしました

    今日は二つに分かれた道がまた交わる日。

                    ー完ー


    #創作大賞2026
    #恋愛小説部門

     
     
    メタル、ハードロック、パンクからブルースロック、J-ROCKから歌謡曲まで生まれてから聴いてきた音楽について好き勝手に語るページと自作小説など

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