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超短編小説(幼児向け)タイトル『まほうのおちゃかい』逆さまの空に降る、忘却の欠片:番外編

    超短編小説(幼児向け)
    タイトル『まほうのおちゃかい』
    逆さまの空に降る、忘却の欠片:番外編

    これは、あのおはなしの、ずっとまえの、あるひの おはなしです。
    さかさまの まちの かたすみで、さんにんが ゆっくりと すごした、しずかな ひるさがりの きろくです。

         【まほうの おちゃかい】

    そらは あおくて、でも さかさまでした。
    ルイナは まどべで、ちいさな おはなを みつめていました。
    「ねえ、クイナ。この おはな、きょうも わらってるみたい」
    おじいさんの クイナは、ふきげんなかおを しながら、むずかしい すうしきの かかれた かみを めくっていました。
    「ほう。ルイナ、それは わらっているのでは ない。たいようの ほうこうを けいさんして、からだを むけているだけだ。……もっとも、そう おもいたい きもちは、わからんでもないがな」
    クイナが めがねを くいっと あげると、よこに いた りんが、くすっと わらいました。
    「クイナさんは、すなおじゃ ないですね。ルイナは、おはなと おはなしを しているんですよ。すてきだと おもいませんか?」
    りんは、にんげんみたいに あたたかい てで、おちゃの カップを ならべました。いい かおりが へやの なかに ふんわりと ひろがります。
    「おちゃが はいったよ。きょうは、しずかな ごごですね」
    ルイナは うれしそうに、テーブルに ちかづきました。
    「りん、ありがとう。この おちゃ、とっても いいにおい。……ねえ、りん。あしたは どこかへ いこうか?」
    りんは すこし かんがえて、やさしい めを しました。
    「あしたは、きせつが かわる においが します。だから、おさんぽに いきましょう。ルイナの すきな、あの ひろい みどりの ばしょへ」
    それを きいて、クイナは ためいきを つきました。
    「やれやれ。わしは べんきょうが あるのだが。……まあよい。ルイナが いくなら、わしも ついていってやらんこともない」
    「ほんとう? クイナ、ありがとう!」
    ルイナが にこにこすると、へやの くうきが もっと あたたかくなりました。
    「ねえ、みんな。いま、この じかんが、ずっと つづけば いいのにな」
    ルイナの ことばに、りんが うなずきます。
    「つづきますよ。わたしたちが ここに いるかぎり、この しずかな じかんは、どこへも いきません」
    クイナは カップを おいて、まどを みました。さかさまの そらに、しろい くもが ゆっくりと ながれて いきます。
    「……そうだな。わしは すうしきばかり みているが、たまには そらも わるくない」
    さんにんは、おちゃを のみました。
    なにも いそぐことは ありません。
    なにも こわいことも ありません。
    まどから はいってくる かぜは、やさしくて、おはなは ゆらゆらと ゆれていました。
    ただ、そこに いること。
    ただ、となりに だれかが いること。
    それは、とっても とっても、たいせつな まほうみたいに かんじられました。
    「ねえ、おいしいね」
    「ああ、おいしいな」
    「しあわせですね」
    ちいさな へやの なかで、さんにんの わらいごえが、こころを ほぐすように ひびいて いました。
    このじかんは、あとに うまれる、へいわな みらいへと ずっと ずっとつながって いくのです。
    さかさまの まちの すみっこで、ちいさな おちゃかいは ゆっくりと、おわりの ときを むかえて いきました。
    あしたも、また あしたも、この やさしい じかんが つづきますようにと ねがいながら。

    おしまい。

     
     
    はじめまして、an mitsuです。イラスト、オリジナルキャラクター、ARTなどupしていきます。 ちょっぴり人見知りなアラカン。 Slow Lifeまったりと、人生をゆったりと楽しんでいきます。 脇役的な「箸休め的ブログ」目指します!

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