メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【巡礼の年 第2年 イタリア】フランツ・リストのピアノ曲紹介

    加藤ミッチェル

    この記事では「巡礼の年 第2年 イタリア」を中心に紹介します。

    巡礼の年 第2年 イタリア S.161

    リストの重要なピアノ作品集のひとつ。第1年がスイスの自然などからインスピレーションを得て作られたのに対し、第2年はイタリアの文学作品や芸術作品からインスピレーションを得たもの。1849年完成。

    第1曲 婚礼 S.161/1

    現在はブレラ美術館所蔵のラファエロの絵画「聖母の婚礼」からインスピレーションを得た作品。その旋律は聖母マリアを讃えるもの(聖母マリアを讃える別の作品でも同旋律が使用されている)。ドビュッシーのアラベスク第1番のアラベスク音型と類似した音型が現れる。
    演奏はヴィルヘルム・ケンプ。


    第2曲 物思いに沈む人 S.161/2

    ミケランジェロの彫刻による。この曲は後に拡大編曲され「夜 S.516a」という作品になる。
    演奏はミハイル・プレトニョフ。


    第3曲 サルヴァトール・ローザのカンツォネッタ S.161/3

    ジョヴァンニ・バティスタ・ボノンチーニによる歌をもとにした作品。その歌とサルヴァトール・ローザとの関係は不明。歌詞がローザによるものか、あるいは歌詞が彼に因んだものである可能性がある。
    演奏はヴラディミール・ソフロニツキー。


    第4曲 ペトラルカのソネット 第47番 S.161/4

    フランチェスコ・ペトラルカの詩による愛の歌。高貴で美しく非常に愛されている作品で、単独で取り上げられることも多い。これら3曲の初稿(歌曲稿とピアノ独奏稿あり)はすでに出版されていたが曲順は違っていた。この曲集に組み込まれるにあたり第47番と第104番の繋がりを意識して曲順が変更された。
    演奏はルイ・ロルティ。


    第5曲 ペトラルカのソネット 第104番 S.161/5

    フランチェスコ・ペトラルカの詩による愛の歌。高貴で美しく非常に愛されている作品で、単独で取り上げられることも多い。これら3曲の初稿(歌曲稿とピアノ独奏稿あり)はすでに出版されていたが曲順は違っていた。この曲集に組み込まれるにあたり第47番と第104番の繋がりを意識して曲順が変更された。
    演奏はディヌ・リパッティ。


    第6曲 ペトラルカのソネット 第123番 S.161/6

    フランチェスコ・ペトラルカの詩による愛の歌。高貴で美しく非常に愛されている作品で、単独で取り上げられることも多い。これら3曲の初稿(歌曲稿とピアノ独奏稿あり)はすでに出版されていたが曲順は違っていた。この曲集に組み込まれるにあたり第47番と第104番の繋がりを意識して曲順が変更された。
    演奏はスタニスラフ・ネイガウス。


    第7曲 ダンテを読んで - ソナタ風幻想曲 S.161/7

    傑作として認められている作品。ダンテの「神曲」による。通称「ダンテソナタ」。三全音のインターバルが地獄を表現している。ちなみにこの曲は「ソナタ風幻想曲(Fantasia quasi Sonata)」だが、ベートーヴェンのピアノソナタ第13、14番は「幻想曲風ソナタ(Sonata quasi una fantasia)」である。
    演奏はアルフレート・ブレンデル。




    【関連作品】

    婚礼の草稿 (断章)

    「婚礼 〔第1稿〕 S.157a」よりも前に書かれた未完成の草稿。
    演奏はエマヌエーレ・アルチウリ。


    婚礼 〔第1稿〕 S.157a

    「巡礼の年 第2年 イタリア S.161」の第1曲「婚礼」の初稿。1838年から1839年にかけて作られた。
    演奏はゴラン・フィリペツ。


    物思いに沈む人 〔第1稿〕 S.157b

    「巡礼の年 第2年 イタリア S.161」の第2曲「物思いに沈む人」の初稿。この初稿の自筆譜にはタイトルは書かれていないが、最終稿同様にミケランジェロによる詩の一節が書かれている。1839年頃に書かれたと推測される。
    演奏はエマヌエーレ・アルチウリ。


    夜 S.516a

    巡礼の年第2年の第2曲「物思いに沈む人」の拡大編曲。1860年から1866年にかけて作られた。「3つの葬送頌歌」という曲集の第2曲。このピアノ独奏稿は新リスト全集にて1980年に初めて出版された。タイトルはミケランジェロの詩から。元々この曲はS.699とサール番号が付けられていた。
    演奏はミシェル・ダルベルト。


    サルヴァトール・ローザのカンツォネッタ 〔第1稿〕 S.157c

    「巡礼の年 第2年 イタリア S.161」の第3曲「サルヴァトール・ローザのカンツォネッタ」の初稿。1849年に作られたと推測される。
    演奏はエマヌエーレ・アルチウリ。


    3つのペトラルカのソネット 〔第1稿〕 S.158

    ペトラルカの詩に作曲したリスト自作歌曲のピアノ独奏編曲。後に改訂され「巡礼の年 第2年 イタリア」に組み込まれる。およそ1839年頃に書かれたと推測される。
    演奏はジュ・ワン。

    第1番 ソネット CIV - 平和は見いだせず S.158/1

    ペトラルカのソネット第104番。この時点では「3つのペトラルカのソネット」の第1曲。


    第2番 ソネット XLVII - 祝福あれ、あの日に S.158/2

    ペトラルカのソネット第47番。この時点では「3つのペトラルカのソネット」の第2曲。


    第3番 ソネット CXXIII - 地上でその姿を見た S.158/3

    ペトラルカのソネット第123番。


    ペトラルカのソネット 第104番 〔オッシア〕 S.161/5

    シモン・バレルはオッシアを用いてペトラルカのソネットを演奏している。


    神曲へのパラリポメナ S.158a

    リストの重要な作品である「ダンテソナタ S.161/7」の第1稿。1839年作。「第1部」「第2部」という2楽章制をとっているが、ハワードは「それぞれの楽章は独立性を保ってないため2楽章制と考えるのは不適切」という見解を持っている。タイトルは「神曲への補遺」とも。
    演奏はエマヌエーレ・アルチウリ。

    第1部

    第2部



    神曲へのプロレゴメナ S.158b

    「神曲へのパラリポメナ S.158a」を改訂したもの。つまり「ダンテソナタ」の第2稿となる。タイトルは「神曲への序説」とも。およそ1840年頃書かれた。
    演奏はゴラン・フィリペツ。


    ダンテを読んで - ソナタ風幻想曲 〔第3稿〕 S.158c

    「ダンテソナタ」の第3稿(最終稿は第4稿)。これより以前の初期稿「神曲への補遺(パラリポメナ)」や「神曲への序説(プロレゴメナ)」の時点では2楽章制をとっていたが、最終稿と同じタイトルが与えられてからは単一楽章としてまとめられている。


    ダンテの断章 S.701e

    「ダンテソナタ」の最初期の断片。1837年頃書かれたと推測される。


    アダージョ S.163f/1

    ハ長調。主題はダンテソナタの第2主題と共通。ある婦人のためにリストがいわばサインとして書いたもの。現在はプラハの公文書館に所蔵。1988年にロンドンのリスト協会機関誌に収録され出版された。S番号が最近変更されたが以前はS.158dだった。1841年作。
    演奏はセルジオ・ガッロ。


    アルバムの綴り "デュッセルドルフ前奏曲" S.163f/2

    ダンテソナタの和声進行を使用した小品。ダンテソナタの原型たち(つまりパラリポメナS.158aとプロレゴメナS.158b)を書いた後の1841年に作られた。


    アルバムの綴り "ベルリン II" S.167v

    上記「デュッセルドルフ前奏曲 S.163f/2」ととてもよく似ている。それ故なのか、ハワードも録音していない。1842年にベルリンにて書かれた。




    【その他】

    ダンテを読んで 〔ランバート編〕

    イギリスの作曲家で、イギリスのリスト協会の設立メンバーであったコンスタント・ランバートがダンテソナタをピアノと管弦楽のために編曲したもの。
    演奏はイギリス・リスト協会の初代会長であったルイス・ケントナー独奏、コンスタント・ランバート指揮によるサドラー・ウェルズ管弦楽団。




    ● 楽譜紹介

    新リスト全集の楽譜では今回ご紹介した楽曲は以下のものに収録されています

    ・巡礼の年 第2年 イタリア S.161
    ※ 楽天リンクはこちら

    画像

    ・婚礼 〔第1稿〕 S.157a
    ・3つのペトラルカのソネット 〔第1稿〕 S.158
    ・神曲へのパラリポメナ S.158a
    ・神曲へのプロレゴメナ S.158b



    それではみなさま良い一日を



    あなたへのおすすめ