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黒猫の先生│詩

    たなかひろみつ

    ふと顔をあげると
    遠くの道向こうの猫と目が合った

    束の間視線を交わしてから
    一人と一匹は
    また向き直って仕事に戻る

    私は畑の草を取り
    黒猫は真っ直ぐ道を行く

    黒猫の毛並みは艶やかで
    瞳も足取りも力強く
    迷いなど微塵もない

    黒猫に私はどう映ったろうか
    少し疲れた中年の人間が
    畑の前に屈んで草を取っている

    ちまちまと草など取っていないで
    疲れているなら寝ていればよいのにと
    猫には思われたかもしれない

    人間というのは理解に苦しむ
    どうでもよいことに力を注いでばかりで
    ちゃんと自分や家族を守れるのかい

    そういうこと以上に
    大切なことがあるのかい
    その畑の草や
    毎日の仕事に

    自分はあの黒猫ほど
    立派に生きているだろうか
    また黒猫と目が合ったら
    尋ねてみたいと思う

    2024/5/26

     
     
     
    共同運営マガジン「詩のミナト」を運営。 noteには自作の詩を上げています。有料記事は全文読める投げ銭式。良かったら覗いてみてください。 普段はデザインの仕事をしています。 関心は人が感じるこっち側(自分事や共感性)とあっち側(他人事や無関係性)の境について。

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