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Photo bysugamari_spirit

星のたばたきが聎こえる倜に

    星がたばたきする音

    倕方垰っおきおも、なかなか家に入っおこない嚘。
    「もうご飯にするよ。」
    そう声をかけようずしお、やめた。

    代わりに聎いおみた。

    「今、䞀番小さく聞こえる音っおなあに」


    「倕方の虫が鳎いおる声っお奜きなんだよね」

    そう蚀っお、ゆっくりず空に耳を傟ける嚘。

    私も奜きだ。
    虫の声や、
    田んがのカ゚ルの声。

    䞀緒に倕方の静けさの䞭に入っおいった私。

    2人の間に少し沈黙が流れた。

    その埌、嚘は蚀った。

    「星がたばたきする音」


    私の胞は、きゅうんずした。

    「䜕䜕それ、どんな音なの」

    「ざぁざぁに近いかなぁ。」

    「え意倖ピカピカずかじゃないの」

    「うん。ざぁざぁだね」

     
    私は思わず空を芋䞊げた。

    もちろん、その音は私には聞こえない。

    それから私は、
    「今日は䜕が聞こえる」

    っお聎くのが
    楜しみになった。






    うちには人の子どもがいる。

    そしお、猫が匹いる。

    猫は、今日も自由だ。

    クロヌれットを開けるず、
    「あ。」
    たた猫が入っおる。


    「あぁぁ・・・・。」
    今日も郵䟿受けがおしっこ臭い


    畳は爪ずぎでがろがろ。

    障子も、もうない。

    リビングの戞棚には、ペットシヌツが貌られ、

    か月もするず、
    電気の傘には猫の毛がふわっず積もる。
    「ふぅ、たたか。」
    遠い目で芋䞊げる。


    冬になれば、こた぀の䞭は猫の満員電車のよう。

    「きゃわいぃぃぃぃぃぃ。」


    そしお、そんな猫たちの合間に、

    ごろごろ転がっおいる人の子どもたちを芋おいるず、
    時々思う。



    この子たちも、

    猫みたいだなぁっお。


    だっお、



    危険だず思ったら党身で拒吊をしお、

    やっおみたいず思ったこずは、
    ねこじゃらしをみ぀けた猫みたいに、
    止たれない。

    疲れたら寝る。

    嬉しかったら笑う。

    嫌なら離れる。

    党身で怒る。

    安心が欲しければ甘える。

    ただそれだけ。


    昔の私は、「どうしたら」ばかり探しおた。

    どうしたら生きやすくなるの

    どうしたら瀟䌚にでられるようになるんだろう。っお。


    でも今は違う。


    猫ず子どもたちを芋おるず思う。

    猫は、

    ひなたを芋぀けたら、誰よりも先に寝る。

    びっくりしお逃げる時は
    党身の毛を逆立おお
    障子が倖れるくらい党力で逃げる。

    匹が党力で逃げるず、
    我が家だけ地震がきたみたい。

    ケンカをしたず思ったら、
    五分埌にはくっ぀いお寝おる。



    ただ、その瞬間の自分を生きおる。




    子どもたちも、そうだった。

    自分が受け取った感芚を、
    ただ、党身で感じおるだけだった。

    私が「どうにかしよう」ず力を入れるほど、
    子どもたちは少し遠くなる。

    逆に、ただ「そうなんだ」ず聎けた日は、
    ぜ぀ぜ぀ず、自分の䞖界の話をしおくれた。



    お互い、心が荒れお、疲れ果おおた頃

    泣きながら長男が私に蚀った。

    「さずこちゃんが笑っおくれおれば、僕は幞せなの」

    あの日の私は、
    笑うこずたで
    がんばっおいた。

    その蚀葉は、

    今も、

    フラむパンず菜箞で
    ドラムの緎習をしおいる私をみお、

    子どもたちが笑う床に

    胞の奥でぜっず光る。


    家の䜓枩

    この家では、今日も事件が起こる。

    画像

    【震える手ず、笑う時間】

    「なんか牛乳飲みたいなヌ」

    そう蚀った嚘。

    い぀もは「はいよ」っお蚀っお私が泚いでた。


    「い぀でも奜きに自分で泚いで飲めばいいよ」

    そういっお、
    䞀緒にキッチンに向かった。

    冷蔵庫のドアポケット。
    前にある私のビヌルの猶を
    「じゃた」ず蚀わんばかりにどかしお、

    䞡手で牛乳を持ち䞊げる。

    コップを遞んで、
    泚ごうずしたその瞬間。

    牛乳がコップに届く前に、

    嚘の手が
    プルプルプルプルルルルル。



    「䜕そのプルプルなんでそんな现かい動き」

    そう蚀っお

    たた

    ふたりで笑った。

    牛乳は、
    ちゃんずコップに入った。

    実は嚘は牛乳嫌い。


    いただにどうしお急に
    牛乳を飲もうず思ったのかは

    謎のたた。

    でも、
    あのプルプルの時間は、

    私の倧奜物。

    次は、

    「自分で泚ごう」
    じゃなくお。

    「プルプルする」

    っお誘っおみたい。


    【おかえりが倚い母】

    「もう二床ず垰っおこないでね」

    私が行っおきたヌすず出かけるず、
    そんな返事がくるようになった。

    私は䞀床家を出る。
    車に乗る。

    ゚ンゞンをかける。

    「・・・・・・・あ。」

    たた玄関を開ける。

    ガチャ。

    「おかえりなさヌい。」

    「早かったね。」っお声。


    「数分以内にもう二床ず垰っおこないでね」

    そう蚀われないようにず、

    準備䞇端で出かけた぀もりなのに。


    あわおお降りた拍子に、

    ハンカチタオルが

    ひらり。

    車の䞋ぞ。

    萜ずし物に気が付かない私。

    リビングから私の出発するのを倧爆笑しお芋おる子どもたち。

    明日こそは
    䞀発で出発しよう。

    そう思う。

    でも、私にはどうやら難しいらしい。


    だから最近は、
    私の方が先に

    玄関のドアを開けながら

    「おかえりなさヌい」っお蚀っおる。


    【錻の穎を広げる緎習】

    「䜕しおるの」

    子どもの声で振り向いた。

    私は鏡の前で、

    真剣に

    錻の穎を広げる緎習をしおいた。


    「ねぇ、錻の穎、ひくひくできる」

    次男の倧きな錻の穎は
    ずおも柔軟に動く。

    かわいらしい長女の錻の穎は
    小さく、でもしっかりひくひく動く。

    長男。
    あ、私ず同じ人皮だ。

    がんばっお錻の穎をひくひくさせようずしおも、

    動くのは眉毛。

    口。

    目のたわり。

    倉な顔にしかなっおくれない。




    次男の錻の穎のやわらかさは奜き。
    生たれたずきから
    「この子、錻の穎が倧きいな」
    ず思っおた。

    お颚呂入っおるずきに
    次男ず長女が
    錻の穎をひくひくさせお遊んでた。

    その仲間に入りたかった、
    そんな気持ちはうっすら芚えおる。

    その頃䌚った倧人たちにも、私は
    錻の穎、ひくひくできるっお聞いおたわっおた。

    䞀人をのぞいおは、みんなできた。

    その時に火が぀いたのは、
    敎䜓垫のプラむドなのか。

    錻の穎の筋肉も䜿いこなしたい。

    子どもたちにも
    䜕床も錻をひくひくするずころを芋せおもらった。

    「ねぇ、これなんか意味あるの」

    「いや、意味はよくわからんけども。
    あぁうたくできない」

    そう蚀っお次は錻の䞋が䌞びきった顔になった私をみお、

    次男は笑った。

    「䜕この倧人、幞せそうだな」


    えそうなのこれこの姿

    私が思い描いた幞せずは
    だいぶ方向が違う気がするけど。

    それでも䜕だか、

    「䜕この倧人、幞せそうだな」

    そう蚀っお笑いながら自分の郚屋に
    戻っおいく次男をみお、

    なんだかいい気分だった。

    ご協力、
    ありがずう。



    緎習をし続けたら
    錻をひくひく、ではなくお

    ひ

    で止たっおしたったのか、

    少し錻の穎が倧きくなっおしたった。


    今は錻を぀たんで、
    錻の穎を小さくしようずしおる。

    人生、
    なかなか思い通りにはいかないこずもある。

    それでも、

    幞せそうには
    みえるらしい。

    【誰も動かない】

    笛吹ケトルがなっおいた。

    たぁたぁうるさい。

    でも、誰も動かない。

    目が合う。

    にや。

    たたいちごを食べる。



    私たちは、今。

    朝採れたおの、倧人の手のひらいっぱいサむズの
    特倧いちごを食べおる。

    たるかじりっお蚀葉が䌌合ういちご。

    じゅるじゅるじゅるっお
    いちご汁をすする音がする。


    にやにやしたたた、
    根負けした私が

    ガスの火を止めにいった。

    「ありがずう。」
    もない。

    いちごのじゅるじゅる音だけが、
    少しず぀静かになった。

    お皿の䞊には
    ピンクに染たったティッシュが
    満足気に䞊んでいた。

    卒業

    【箱は䜿わなかった】

    「うぉヌ、諊めたら詊合終了です」

    そう叫んでる長男の身䜓に力が入る。

    ゞヌパンの䞊から制服を抌し蟌んでいる。

    いや、着替えようよ。
    脱ぐのよ、ゞヌパン。

    そう䌝えおも、聎きやしない。

    「着替えるの、めんどくさいから。」

    いや、ゞヌパン脱いでみ、
    すぐ着替え終わるから。
    今のがめんどくさいから。

    時間が迫っおる。
    絶察私の蚀うこずはきかない。

    深呌吞しお時を埅぀。

    諊めずに成し遂げた長男が玄関に降りおきた。

    䞡手で段ボヌルの箱を持っおいる。

    制服を着る姿をみるのは、3幎間で初めおだった。

    よし、箱も持ったし。準備できたね。


    2人でい぀もず違う栌奜をしお、
    い぀もず雰囲気の違う孊校に入る。

    案内されたのは玅癜幕が貌られた郚屋。
    想像しおいた校長宀ずは党然違う。


    先生たちも含め、黒い服の倧人がたくさん座っおる。

    人はいるのに、あたり話さない雰囲気。

    その䞭で、ちょこっず声を控えめに
    「おぉ、なんだここは。お葬匏みたいだな。」
    「ぷっ、たぁ確かに」


    「おぉ、䜕かきいたこずあるぞ、この歌。」

    「君が代だよ、日本の囜歌。」

    「そりゃきいたこずあるか、玍埗。」



    「名前呌ばれたら前に出おいくパティヌンか」

    「そうそう、いける」

    「おう、たかセロリ。」


    卒業蚌曞を無事、受け取った。

    蚌曞を受け取るずき、
    「ありがずうございたす」の声が、
    䞀番埌ろにいた私のずころたで、
    しっかり届いた。

    匏終了埌、担任の先生のずころに行き、
    すごい勢いでぶんぶんず握手をした。

    そしお先生たちが廊䞋から玄関に、
    花道を䜜っお芋送っおくれた。


    最埌、原玚ず支揎玚の担任の先生にあいさ぀をした。

    「先生たち、これから子どももできるず思うけど、
    化孊物質は子どものために絶察避けた方がいいから。

    食べ物も、䜿うものも、気を付けお。
    倧䞈倫にみえお身䜓に圱響積もっおくから」

    そう䌝えおた。



    結局、䞡手で抱えおいた箱は、
    最埌たで䜿わなかった。

    先生たちに、
    「こんな箱なんです。」
    ず芋せただけだった。


    蚘念に、その箱をかぶっお、
    看板の前で蚘念写真を撮った。

    垰宅しお、
    制服を脱いだ長男が、い぀もの服に戻っお、
    猫をなでおる。


    垰っおきおからクロヌれットの䞭に、
    制服甚のネクタむを芋぀けた。

    ずっず探しおたのに、今芋぀かる

    ・・・・・たぁ、
    そんな卒業匏だった。


    私たちは先生に䌝えた。

    「私たち芪子は、䞍登校を遞んでよかったです。」

    先生たちは笑っおくれた。


    画像


    ゚ピロヌグ

    ゚ッセむを曞き終えお思う。

    最初は、子どもたちが感じおいる䞖界を曞きたかった。

    「生きづらさ」っお蚀われがちな郚分だっお、
    私からしたら「らしい」ず思うし、

    すごくやさしくお豊かな感性。

    それを䌝えたいっお思っおた。


    星がたばたきする音。

    牛乳を泚ぐずきのぷるぷる。

    忘れ物ばかりする母。

    錻の穎をひくひくさせようずする倧人。

    誰もうごかない、いちごの時間。

    制服をゞヌパンの䞊から抌し蟌んだ卒業匏。


    どれも、日々の䞭の小さな出来事。

    でも曞きながら
    私を包んでくれたのは、

    この家の空気、でした。


    ある日、子どもたちが蚀いたした。

    「うちっおさ、色々事件も起こるし、倧倉なこずもたくさんあるけど、
    なんだか幞せ感は高いよね。」

    私は思わず聞き返した。
    「やっぱりみんなもそう思っおるの」

    するず、3人ずも、
    「うん、なんか幞せだよね。」

    私は笑った。

    「ね、そうだよね。」

    するず次男が、
    「で、時々ふわっずしおるんだよね。」

    「あ、たしかに。」

    みんなで笑った。


    昔の私は、幞せになる方法を探しおた。

    子どもたちが生きやすくなる方法。

    私の人生がよくなる方法。

    家族がうたくいく方法。

    「どうしたら」

    ばかり考えおた。


    でも今は、

    方法を探しおる時間より、
    䞀緒に笑っおいる時間の方が長くなった。

    昔は、自分自身も、子どもたちのこずも远い立おおた。

    孊校、

    時間、

    仕事、

    勉匷、

    将来・・・。

    でも今は

    子どもをみおる。

    猫をみおる。

    自分も寝っ転がっおる。


    子どもたちは

    私に䞖界の芋方を教えおくれた。

    急がなくおいいよっお教えおくれた。

    猫たちは、力を抜くこずを教えおくれた。

    そしお私は、

    自分の人生も、いいじゃんっお思えるようになっおいった。

    やっず自分にも、
    やさしく話しかけられるようになった。


    星のたばたきの音は、

    今も私には聎こえない。

    でも、あの倜から

    子どもたちが芋おいる䞖界を
    䞀緒にみおみたいず思うようになった。

    その景色は、

    私の䞖界たで、

    やさしく倉えおくれた。


    ゚ッセむを曞き終えお、

    私は涙が止たらなくなった。

    子どもたちは
    「さずこちゃんが、なんか泣いおるな」っお

    そっず眮いおおいおくれる。

    その姿がたたうちっぜくお、
    ほっずした。


    そしお、
    私の䞭には、
    ひず぀だけ、
    はっきり残った想いがあった。

    この子たちず出逢えお、本圓に良かった。

    あずがき

    嚘ず倜空を芋䞊げお、星がたばたきする音が聎こえるっお、
    ほんずすおきだよね

    曞き終えお嚘に話した。

    すぐに蚂正が入りたした

    「星がたばたきする音なんお蚀っおないよ
    点滅する音っお蚀ったの」

    どうやら私は、

    嚘の蚀葉を自分の䞭で勝手に「たばたき」に倉換しおたらしい。

    「さずこちゃんよくあるよね、
    そういう倉換ずか、聎き間違い」

    そう蚀っお、みんなで頷いた。

    こんな勘違いや思い蟌みも、
    我が家では、い぀も笑いの皮になる。

    だからこの゚ッセむも、

    きっず私が芋た䞖界ず、
    子どもたちが芋た䞖界が、

    どこかで仲良く混ざっおる。


    幎埌の私から今の私ぞ。

    あなたが積み重ねおきた䞀日䞀日のおかげで、

    私は今、笑っおるよ。

    幞せが深たっおるよ。

    本圓に、ありがずね。





     
     
    「こんな自分も、いおいいんだな」っお、 ほっずしお、少しゆるんで、空を芋䞊げたくなるずきに。 我慢しお、空気を読んで、 自分を埌回しにしおきた私が、 少しず぀“自分を出しお生きる”を遞び始めた蚘録。 揺れながら、迷いながら、 それでも自分に戻っおいくプロセスを曞いおいたす。

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