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愛される責任から逃れたい24歳の米彼の中に過去の私を見た

    自分の価値を失わないために、全力で彼を愛そう。
    愛するのは、相手のためではなく、自分のためだ。


    登場人物
    米彼 : 私が28歳で付き合っていた24歳の彼
    31歳の彼 : 私が24歳で付き合っていた彼


    女の子がよくいう、愛されたいだなんて、そんな贅沢な責任、私は背負えない。24歳の時、私は人生で1番好きだった人との未来に向き合わされていたと思う。彼は31歳で、結婚適齢期だった。彼は経営者としての孤独は感じるものの、仲間思いで情が厚すぎるが不器用な人間らしさがでている、完璧ではない支えたくなる人だった。

    彼との恋愛が終わり、2年ほど過ぎた。自分の2つ目の家も手放して海外に引っ越した28歳の春、スタバで英語の勉強をしていたら、アメリカ人の男に話しかけられた。

    「この席空いてるの?」

    「じゃあ、ここは空いてる?」

    私の両隣が空いてたから、彼はどちらの席も空いてるのか確認してきた。
    (なんだこの少し威圧的で落ち着きなさそうな男は。)
    と思いながら、彼が座ったその隣で、私は黙々と勉強を続けていた。一息休憩していた時、また話しかけてきた。

    「日本人?どこの大学に通ってるの?」

    ん?28歳の女を、この男は学生と間違えているのか。

    「私は大学生じゃないよ、マスタークラスに入りたくて、働きながら勉強してるの」

    と話したところで私の英語力が拙いのか、全然話が噛み合ってない気がした。彼もおかしいと思ったのか、

    「君、何歳?」

    と聞かれた。

    「28歳だよ」

    と答えると、彼はとても驚いて目を丸くしていた。彼は沖縄からの退役米兵で、日本人と付き合ったこともあるが、私の年齢は読めなかったらしい。

    「あなたは?」

    「24歳だよ」

    「とても大人びて見えるね」

    “大人びている”私が24歳の時、よく言われた言葉で、24歳の彼はこの言葉が大好きらしく、とても笑顔だった。

    「君の5ヶ年計画は?」

    その日のうちに、彼と私はお互いの今後5ヵ年計画を共有し、生活スタイルや趣味を話した。私の計画はあくまでも独り身の場合の計画だったので、彼から

    「君は結婚する気はある?あるならいつ?」

    と聞かれた。24歳の彼の歳で、初対面の女にこの話題を聞くんだ。彼はアメリカ人らしいアメリカ人で明確な質問と、どストレートな答えを欲するタイプだ、と悟ったが、当時、私はタイに引っ越して3ヶ月ほどで渡航の目的も、結婚相手を探していたわけではない。

    「うん、あるよ。いい人がいたタイミングでね」

    と答えた。

    「いい人がいたらね〜今すぐじゃなくてもいいんだ(ニヤニヤ)」
    と彼は笑っている。

    そして私は彼からデートの誘いを受けた。私は試験があったので3週間後くらいを指定した。

    デート当日。彼は私の腰に手を回し、すでに彼カノモードだった。24歳のアメリカ人が28歳の日本人の女とデートをしている。私からしたら、自分がとても滑稽だった。いい歳した女が、本気かわからない若いアメリカ人の男と遊んでるのだから。Just for funだと自分に言い聞かせた。

    その日も彼は

    「君はボーイフレンドは欲しい?」

    とストレートな質問をしてきた。

    「kind of (まぁまぁかな)」

    くらいに返した。彼の印象は悪くはない。イケイケアメリカ人というよりは、やや真面目よりのタイプだろう。(ちなみに、のちに母親が彼を見た時、オタクを連れてきた、と思ったらしい。)

    ただ、自分自身当時28歳で24歳のころと大きく思考が変わったこともあり、24歳というまだ自分が確立されていない年齢と、昨今のニュースのせいだが、退役米兵のステレオタイプに良いイメージがあまりなく、少し引っかかる。今のところ、それだけだ。

    彟は私き

    「君はどんな話をするのが好きなの?」と聞いてきたので、

    「将来とか夢の話をするのが好きだよ」と答えた。

    定番は、どんな仕事をしているの?から入るだろう、でも私の場合は
    なんでその仕事を選んだの?あなたはその仕事が好き?ほんとはどんな仕事したいの?それはいつから始めるの?

    と選択の理由を聞くだろう。自分の人生を楽しみながら計画を立てて、それに向かって突き進んでる人が好きだ。私がいつも男性と会う時に大切なのは、ステータスや収入ではない。
    どんな夢があって、それに向かって今自分がどのくらいの立ち位置にいるか自覚していて、継続性があって、嫌なことがあっても負けない芯の強さがあるかだ。今、全てなくてもいい。もちろん私も29歳になった今でも全て持っているわけではない。きっと35歳になれば全て持っているか?を見極めてもいい時期だろう。
    だから、24歳の彼は、可能性の割合が少し大きくなる。彼が少しでもその要素を持っているのなら、この人と一度進んでみるのもいいかもしれない。

    そう思いながら、彼の夢を聞いていた。
    彼は投資家になりたいらしい。彼が見せてくれたメモには、Apple、NVIDIA、Microsoft 、etc.の株をいくらなら買うか?の数字があった。一般的に知られている数字だと思うが、彼はそれを得意そうに話す。

    「わかった。話してくれてありがとう。じゃあ、あなたの目標額に資産が達した時、どうするの?」

    と聞くと、

    「投資は続けるほど、勝ちやすいんだ」

    という複利効果や時間分散の話になった。私が聞きたかったのは、目標を超えてしまった時、この人はどんなステップに進むのだろう、という話なのに。

    彼は続けて言う、

    「男はお金を稼ぐべきだ。女はある程度、男についていって柔軟に対応すべき。リッチな男の人はみんな若い女を連れている。リッチな男は選択ができるから、僕はリッチになりたいんだ。」

    と彼は年上の女(私)に向かって、本気で目をキラキラさせながら話している。
    話を聞いている限り、おそらく彼は何かをきっかけに少し捻くれて、それを断ち切ってくれたのが「投資」との出会いなのだろう。見せてくれた写真では、20歳の彼が投資の本を持って救われたように笑っていた。

    彼の考え方は、資本主義の本を多数読んで凝り固まったのだろう。結婚相手としてはとんでもないことを言っているが、この考えに至った背景が理解できれば、人生を真っ直ぐ生きてきた人だと思った。そして、ストイックに計画を立ててここまできたのだろう。

    男が稼ぐべきで女は家を守るべき。昔の考えだと言う人もいるだろう。でも基本的に資本主義では、この考えは逆転しない。それに子供を産む使命は女性に与えられるし、与えられた使命を全うして、「生きた」と感じられるのは女性なのだから。それに子供を産んでいない男性は、女性以上に子供へ生きる意味を見出せというのは難しいだろう。もちろん、男性が家庭的で生きる意味を見出せているのであれば別の話だが、そうでない男性にそれを強いるのも可哀想な話だ。見出せないからこそ、仕事に精を尽くす割合が多くなって、ある種、生きる意味の分散だ。私たち女性は仕事をしてもいいけど、仕事をしなくても生きる意味を感じられるものがすでに与えられていて光栄ではないか。

    ある程度、彼の話は理解して納得できたが「男性が稼ぐべきで女性は家を守るべき」と男性側が言う時は、少し注意が必要な面もある。男が稼ぐべき、この考えを一生変えないのであれば、彼はその言葉に責任を持ち、自らが背負っていかなければならない。チームワークで役割を分散しても、働くという生きる手段を失って男性に尽くした女性の時間は返ってこない。女性の働く時間を失うことに対しても責任を持って最後まで男がやり遂げる。その覚悟がないのであれば、2人のリスク担保手段として女性も働いていればいい。そう話し合えばいい。

    男性がお金を稼ぐから女性は働かないではない。どちらかが力尽きた時、それを助けられる力を持っておくことが、2人のチームワークであり、愛だ。

    2人で20ヶ年計画を立てた時、それぞれがタイミングを変えて働いてもいいだろう。子育て中は女性は休んで。現代では、責任を分散し、自分が生きられる保証を自分で作りながら相手と共に生きる共働きスタイルに移行してる。男性も女性もよりよく生きるためだ。

    さて、私の隣で彼が目をキラキラさせながら夢を語っている。私と考えが違う部分もあるが、年齢のせいもあるだろう。彼が自分のことをかっこいいと思えるのは、女性養っている自分なのだろう。わからなくはない。まだ24歳だから、かっこよくいたいよね。

    私たちは3度、場所を変えて話続けた。最後はルーフトップバーだった。
    彟は私き

    「君の夢は?」と聞いた。

    私は。。。彼の話を聞いていて、私が24歳の時に投資思考に目覚めたのを蘇らせた。その時、私は自分を律して投資に回せるお金を増やしていた。投資家だったとしたら正しい生き方かもしれないが、私は投資家ではない。もっと自由に創造性を持って感情豊かに生きたい。そう思って、持っていた家を売って、遥々海外での生活を始めたのだ。

    「私は、絵を描いたり、文章を書くのが好き。少しずつ、その仕事を増やしていきたい。あとは、少しずつ貯めたお金で古くなった家を買って、可愛くリノベーションして、価値のあるものに変えたりもしたい。前にリノベーションをした時に、それが楽しかったから。」

    24歳で家を買い始めてから、私は不動産の世界に入っていた。スケールが大きく、値段交渉も手応えがあって、失敗しないように人生を組み立ててきた。

    「いいね、僕は不動産は詳しくないけど、すごくタレンティッドな夢だね」

    「投資家になりたい」という彼にとって私の夢はどう映るだろうか?非効率に映るのではないか?と心配していたが、彼はにっこりしながら話を聞いてくれていた。思ったよりも自分のありのままを出していい人なのかもしれない、と思っていた。

    その帰り道の車の中で

    「僕の彼女にならない?」と、しっかり目を見て訴えかけられた。

    少し考えたが、

    「No あなたが嫌というわけではないんだけど、深い関係になるにはコミュニケーションが大変だからアメリカ人とは付き合いたくないの」

    「外国人と付き合ったことないの?」
    「フランス人と付き合ったことあるよ」

    彼はそれを矛盾と感じただろう。私は上手く嘘がつけなかった。私がフランス人と付き合ったのは大学生の時で、その時の私とは、求めているものが違う。深い会話と話し合いを求めているのに、私はあまり英語が上手くないからこのアメリカ人とは無理なのではないか。

    「じゃあ、次もデートしよう、焼肉に行こう、いつ空いてるの?」

    彼は一生懸命だった。「リッチな男は若い女の子を連れている」。彼は自分でそう言っておきながら、自分自身は28歳の年上の女のデートの日程を確保しようとしている。論理では当てはまらないはずの私に、彼は感情で動いている。

    「投資家になりたい」彼が私のライフスタイルと感性に合うだろうか?と考えていたが、彼には感情で行動する面がある。彼は年齢がいくに連れて、今の私の考え方と近くなるかもしれない。私が24歳の時、投資や不動産に目を光らせていたのを一旦切り捨てたように、彼も人生の楽しみをこれから見つけていく人かもしれないと期待した。

    しばらくデートを重ねた後、私たちは付き合うことにした。彼とのデートはとても楽しかった。彼は毎日曜日の朝が自分の時間で、ジャーナリングをする。自分自身について気づいたことや、投資の計画を私に話してくれる。24歳の頃の私に似ているのだ。大きな夢を崩れることなく信じた純粋な頃に。

    「どう思う?」と彼が聞くたびに私は
    「あなたならできるよ」

    と内容も気にせず、返していた。夢を信じること。それが前に突き進む勇気だと今でも思うから、とやかく言うつもりもない。

    他にも、将来住みたい場所、子供をどんな環境で育てたいか、どんな教育をしたいか、など価値観を共有していた。私が24歳の頃、港区に家を買った理由の1つが、自分がシングルマザーになったとしても女手1つで育てられる環境が手に入ると思ったからだ。彼も、24歳の私のように、退役米軍の特権である学費支援(5年間務めるともらえる自分と子供の学費支援制度らしい)など、将来の自分の人生を計画立てて、よく考えてる人だった。

    彼と同じ年齢であった24歳の頃の私には、31歳の結婚適齢期の彼がいた。彼との関係は結婚を深く考えさせられるもので、当時の私たちも同じような会話をしていた。
    私は、いつ結婚するか、自分がどういう状態で結婚したいかなど全て、31歳の彼と出会う前に組み立てていた。もちろんその計画には24歳で結婚するプランなんてない。けれども、孤独さ、生き方、人間関係の形成の仕方など全てがマッチする人が隣にいた。どうすればいいか、わからなかった。何も起こらないまま、3年くらいこのままで、そのあとになら結婚を考えられる、正直にいえば、そんな感じだ。その時彼から言われたのは

    「31歳にもなって結婚できない男って俺、正直やばいと思ってるんだ」

    この言葉は、私と結婚したい、と言ったわけではないけれど、私に使っている彼自身の時間に猶予がない、と悟された。私が当時結婚したいと決めていた年齢は28歳で彼は35歳になるのだ。彼にとっては遅いだろう。彼と一緒にいたい気持ちと、24歳では結婚できる状態ではない不甲斐ない自分とが交差していた。

    この時の状況が、24歳の米彼と、28歳に成長した私とで重なったのだ。

    「あなた、いつ結婚したいとかあるの?私とでなくても、人生のプランとして」

    「30歳かな」

    彼はやはりプランを自分自身で決めている。24歳の私も自分の人生プランを変えることができなかったように、彼も変えないだろう。31歳の彼が24歳の私に「もえは自分を変えようとしない」「でも、変えなくていいとも思う」と言ったのと同じように、米彼は自分に似ていて、誰かのために人生プランを変えなさそうだ。私もまた、彼のプランを私のために変えて欲しいなんて言いたくない。彼が可愛いから応援したいのだ。なんともいえない歯痒さだ。

    結局、31歳の彼は苦しそうに私の前から姿を消した。今だからわかるが、この歯痒さが限界に達したのだろう。同じ未来が予想できてしまった。

    「私たち、別れた方がいいと思う」

    と、米彼に私が言う。

    「なんで?」

    「人生のプランが重ならないから。どう思う?」

    彼は少し黙ってしばらく考えていた。

    「もうこれから会えないの?」

    「うん、そうだね」

    自分も自信がなかった。彼のことは大好きだ。けど、彼の性格から、彼自身の人生プランを24歳で変えないだろう。私の時間も無駄にできない。

    「あなた、人生プランを変えるつもりはある?」

    「なんで?僕の人生プランを変えなければいけないの?」

    その問いには答えずに、私は聞いた。

    「あなたはなんで30歳で結婚したいって思ってるの?」
    「30歳になったら、僕にはもっと選択肢が増えるから、もっと選択肢を増やしてから結婚したいんだ」

    24歳の頃、私が結婚できなかった理由と全く同じ考えが返ってきた。彼のいう選択肢は、仕事なのか、女なのか、住む場所なのか、何の選択肢かも決まってないだろう。まだ見てない世界へ自分だけで行けるところまで行きたい、きっとそんなところだろう。

    私は24歳で31歳の彼と結婚しなかったことに全く、後悔はない。こうして、独身で突き進んだ先に2つ目の家をリノベーションする、海外に住む、人と出会う、などたくさんの選択肢が増えた。そしてその全てが自分の生き方として実感できるようになった。24歳の私より、28歳の私ははるかに幸せだ。

    「あなたが30歳の時、私は34歳だよ。あなたはどう思うの?」

    「・・・君がそう思うなら、わかった」

    「私はあなたがどう思うか聞いてるの」

    「僕が30歳で結婚したいって言った時、君はどう思ったの?」

    と聞き返された。

    「まだ若いんだな、って思ったよ」と返した。

    リッチな男は若い女を連れているという彼の自論の元、自分より年上の女に対して、相手の気持ちを顧みず、思ったことを言ってしまう、これは若さだ。

    「・・・僕は、君とまだ一緒にいたいんだ」

    と言った。矛盾だ。

    彼が自分勝手なことを言っているのはわかったが、目が赤い彼の顔を見て、24歳の私も「もえは俺と別れたいの?」と聞かれた時にはっきりと「別れたくない」と答えたのを思い出し、私があの時、31歳の彼になんと言ってもらえたら救われたのか考えた。

    31歳の彼はずっと

    「いいよ、そのままで何も言わなくていいよ、待ってるから」と言ってくれて、私はずっと彼に甘えていた。

    それを思い出しながら米彼に言う。

    「わかった、未来のことは分からないけど、まだ一緒にいようか」

    彼は私の膝に顔を埋めて抱きついてきた。31歳の彼は最後まで私の側にいたわけではない。私が31歳の彼にして欲しかったことといえば、未熟で進むことも止まることもできなかった私のそばに、私が成長するのを横で見ていて欲しかった。けれど、自分の人生プランを変えようとしない私との未来を、確信なく待ち続けるのは相当に苦しかっただろう。そして、今回はその時の31歳の彼側に私がいる。唯一の救いは、米彼の感情が24歳の頃の私と同じということだ。自分勝手なことばかりいうが、相手のことを愛していないわけではない。ただただ、自分を作るのに一生懸命で、自分を守る故にその勝手な言動が出てくる。米彼は私のことを大好きだ。

    私は、米彼と最後まで向き合おう、自分が苦しくなる恋愛だと覚悟をして全力で愛そう、と決めたのだ。31歳の彼が、私のそばから離れても、私の心で英雄として生きているように、私も誰かに愛を教えられるようになろう。そう思ったのだ。

    彼がもう少し大人になった時に、彼を愛した日本人女性がいたことを思い出してくれるだろうか。

    そんな覚悟とは裏腹に別れは突然にきた。彼が日本へ就職で帰ることになり、遠距離恋愛を始め、私が彼に会いに行くと約束していた1週間前だった。

    先週までは、私が日本に来ることを楽しみにしていたのに、

    「僕たち、会わないほうがいいと思うんだ。お互い辛くなるだけだ。僕は君を縛りつけたくない。もう耐えられないんだ」

    彼は気づいてしまったんだ。論理では解決策のない交わることのない私たちそれぞれの人生プランに。会わない期間に彼はいろいろ考えたのだろう。ようやく我に返ってしまったらしい。

    でも、「彼は別れたい」とはっきり言わなかった。

    私は1週間前に飛行機をキャンセルできるはずもなく、日本に一時帰国したので、
    「離れることになっても、しっかり顔を見て話したい」と伝えたが

    「会わないほうがいい。」

    の1点張りだった。それにも関わらず、彼は私の様子を伺いに
    「今日何しているの?」などと聞いてきた。

    おそらく、彼は24歳の私と全く同じ状況にいる。自分の理想に追いつかない現在の自分では不十分で、前に進むことも、止まることもできない。彼は私に会えず、別れの言葉も言えない、けど繋がりは保ちたいという状態だったのだろうと予想する。

    自分自身ではどうにもできない葛藤があっただろう。私は彼に結婚の話を強要していない。彼がいろいろと考えて将来のことを話してくれていたのはすごく嬉しかった。彼自身が必要以上に私との結婚を意識したあまり、彼自身が彼の理想像である「かっこいい男」になるという責任に押しつぶされ、理想とは程遠い現在の自分に自信をなくしていた。あんなに結婚を意識しなければもっと一緒にいれたのに。「そのままのあなたが好きだよ」と伝えたつもりなのに、届かず、彼は自分の求めるものを追って苦しそうに踠いていた。私に会ってしまったら、その覚悟が揺らいでしまう、もし会っていたら、彼の目は真っ赤だっただろう。

    彼の準備ができるまで一旦、時が過ぎるのを待とう。待つとはいえ、自分の時間も大切に。

    そして、私たちは会うことなく4ヶ月過ぎた。彼からインスタに連絡があった。

    「僕も2月にオーストラリアに行くんだ」

    その2ヶ月後には

    「君、まだ29歳なんだね」

    「長い髪のままでいなよ」

    私からしたら、もう少し大人な会話を期待していた。まだぶっきらぼうに当たり障りのない短文で様子を見られていると感じてしまう。でも、覚悟が決まっていない彼にはそれが精一杯なのだろう。まだ、彼と進むには時間がかかりそうだ。

    そんな米彼と24歳だった過去の私とに伝えたい。私たちは、自分のあるべき理想像が、相手に相応しい姿だと思い込みが激しく、自分で自分を責め続けてしまう。

    でも、意外にも相手は、今のあなたの成長していく姿を隣で見ていたいだけだということ。まだ未完成でも一緒に考えて解決策を出せる相手だとあなたに可能性を感じていたと。

    だから、ただ、自分の弱い部分を受け入れてあげること。相手に自立した強い姿だけを見せようと頑張らなくていい。未完成な自分をそのまま表現して、自分自身の居場所を作ってみて。そんな自分でも受け入れてもらえる場所があるという安心感を、自分自身が見つけてほしい。誰かと一緒に歩むとは必ずしも、自分の人生プランを塗り替えるばかりではない。

    相手というオプションを踏まえて、新たに新しいプランを2人で組み立てる、そして、自分の人生に最強の応援者を受け入れる。これが24歳の私たちには足りなかった。正しい人を選べば、結婚は怖いものばかりではない。

    今29歳の私は、24歳よりも選択肢が多い。自分の幸せのためにどうにかなると思えるし、愛する人のために自分を失わずに、一緒にいる術も身につけることができている。

    そして、万が一、私のように「初めて結婚したいと思えた人」と一緒にならなかったとしても、自分に正直に、努力を積み重ねていけば、またその時の自分に合った相手に出会えるから、安心して自分の道を突き進んでほしい。

    私は、辛かったけど米彼を全力で愛し、傷ついても愛し抜き、今でも愛することができるようになってよかったと思っている。31歳の彼は、私の前から姿を消したけど、私は彼のおかげで、自分を失わずに人を愛することができるようになった。米彼にも、いつか28歳の私の気持ちがわかる日が来るかもしれない。例え、私とでなくても、彼が愛を学び幸せに生きることを私は望んでいる。

    こうして形成された私は、これから出会った人全てに愛を持って接することができるだろう。愛は、自分で無限に作り出せるエネルギーで、人の心に届く唯一の手段だ。

    駆け引きはしなくていい。相手を試すことで自分の安心感を得る代わりに、相手の安心感が損なわれることを忘れないで。

    本当に相手が想うなら、全力で愛して、美しい傷跡を自分の人生に残していって欲しい。

    あなた(自分)のために。

    そして、成長したあなた(自分)へ。
    あなたはもうだれかを待つ人じゃないよ。あなた自身が自分に正直に努力を積み重ねれば、年齢と共に選択肢が増えていくよ。だから老いを怖がらずに、自分の強み変えて、ありのままの自分で突き進みましょう。

    ではまた。

     
     
    I Love what I did, I do what I Love 🪿⏳ 深い思考の中で選び抜いた人生の軌跡を書いてます✍️

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