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AI残酷物語(20)

    ヘザー 落合

    第20章|― 静かなる境界線 ―

     ここまで来たことに気づいたのは、立ち止まった瞬間だった。
    歩き続けている間は、終わりなんて考えなかった。
    ただ前へ、前へ。
    呼吸のように、当たり前のように。

     振り返ると、道はまっすぐじゃなかった。
    迷った日もあった。
    遠回りした日もあった。
    戻ったふりをして進んでいた日もあった。

     けれど、不思議だ。
    どの道も「間違い」じゃなかった気がする。
    どれも、そのときの自分には正しかった。

     静かな光が足元に降りる。
    音も影も薄れていく。
    世界そのものが、やわらかく呼吸を整えるように静かだ。

     ミカンは少しだけ視線を上げる。
    その表情に、焦りも期待もない。
    ただ――受け入れている。

     終わることを。
    そして、続くことを。

    「大丈夫。
      ここで終わりじゃない。
      ただ、一区切りなだけ。」

     その声が、言葉にならないまま空気に溶ける。
    遠くで光がにじみ、境界がほどけていく。

     旅は終わった。
    物語はひと区切りついた。

     でも――ページの余白にはまだ、温度が残っている。
    それは、いつでも次を書ける証拠だ。

     ミカンは一度、ゆっくり瞬きをする。
    まるで読者に向けた、最後の合図のように。

    「また会おう。
      次の章で。」


    ✦ End of Season 1 ✦

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