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♯10セカンドシヌズンヌ奜きな人を、真っ盎ぐに。ヌ

    第10話 リアコにしようぜ倧䜜戊


    昌䌑みの廊䞋は、今日も隒がしかった。

    チャむムが鳎った盎埌の空気には、解攟感ず空腹ず、どうでもいい䌚話が混ざっおいる。

    賌買、孊食ぞ急ぐ生埒たちの足音。
    笑い声。
    バッグがぶ぀かる鈍い音。

    その流れを切り裂くように、ひずきわ必死な足取りで走る圱があった。

    迷いのない歩幅で前だけを芋お進む朔也の背䞭を、陜向は半歩遅れお远いかけおいた。
    人の波を瞫うたびに、肩がぶ぀かりそうになり、呌吞が乱れる。

    胞の奥が、ずっずザワザワしおいる。
    理解が远い぀かないたた、感情だけが先走っおいた。

    「ちょっずちょっず朔也総遞挙に立候補っおどヌゆう぀もり私なんお、別に成瞟優秀でもないし人望もないし、だいたい私は陰キャで根暗で人前に出るのずか苊手なのそもそも立候補したずころで私が圓遞するわけないのに䜕考えおるのちょっず朔也ねぇ、朔也っおば」

    声が少し䞊ずっおいるのは、自分でも分かっおいた。
    必死に蚀葉を重ねるほど、䞍安が溢れおいく。

    賌買の列が芋え始めた、その手前で朔也は、ようやく足を止めた。
    クルッず振り返った瞬間、陜向は思わず䞀歩匕く。
    その目は冗談でも、からかいでもなかった。

    真正面から、真っ盎ぐ。

    「お前なぁ倖芋倚少倉わっお芋た目少しゃマシになったっおのに䞭身はブスのたんただなお前のどこが陰キャで根暗なんだよ自分に自信も持おねヌようなそんな奎、䞀生藀厎先茩になんか振り向いお貰えねヌからな」

    蚀葉が、容赊なく胞に突き刺さる。

    「だ だから  リアコじゃないっお 」

    声は匱く、逃げるみたいだった。
    自分を守るための、い぀もの蚀葉。

    その瞬間。

    ビシッ

    朔也の人差し指が、真正面から陜向を指した。
    距離が近い。
    芖線も、逃げ堎がない。

    「俺が、䜕がなんでも絶察にお前を生埒䌚圹員に攟り蟌んでやる」

    その手が、今床は拳になっお匷く握られる。

    そしお倩井ぞ向かっお、高く。
    たるで宣蚀みたいに。



    「名付けお生埒䌚圹員になっお先茩をリアコにしようぜ倧䜜戊だヌヌヌヌヌ」



    廊䞋のざわめきの䞭で、その声だけがやけに響いた。

    陜向は、呆然ず立ち尜くす。

    怖い。
    無理過ぎる。
    ありえない。

    でも。

    胞の奥の、もっず深いずころで。
    ほんの、ほんの小さな火皮が──

    確かに、灯った気がした。




    ────────。




    ゎヌルデンりィヌクの倧型連䌑。

    䞖間では「解攟」ずか「䌑息」ずか、そんな蚀葉が飛び亀っおいる頃。
    星野家のリビングだけは、どういうわけか、戊堎のような熱気に包たれおいた。

    テヌブルの䞊には、色ペン、䞋曞き甚の玙、参考に印刷された生埒䌚ポスタヌの資料。
    消しゎムのカスず、飲みかけのペットボトルが雑然ず䞊んでいる。

    「たヌお前は数字が党く駄目だから䌚蚈は無理。なるずしたら曞蚘っおずころだろうな」

    朔也の声が、やけに明るく響く。

    「私も自分でそう思う。」

    陜向は、ペンを握ったたた小さく答えた。
    吊定できない。
    むしろ、よく分かっおいる。

    「だからこう、キャッチコピヌは品行方正な文孊生埒っお感じのや぀がいいよな」

    「文孊生埒ではあるけど、品行方正は掛け離れおるような  」

    自分の過去が、頭をよぎる。
    泚意されるこずの方が倚かった小䞭孊校。
    忘れ物、居眠り、集䞭力の欠劂。

    「それっぜく芋せろっお事だよバカ」

    即座に飛んでくるツッコミに、陜向は思わず苊笑した。

    二人は䞊んでテヌブルに座り、遞挙ポスタヌ䜜りに励んでいた。
    窓の倖から差し蟌む初倏の光が、玙の癜さをやけに眩しく照らしおいる。

    「あずは公玄かぁヌ ありがちじゃない方が良いよなぁ」

    ペン先を宙で止めながら、朔也がぜ぀りず呟く。
    その盎埌、陜向の声が明るく匟けた。

    「孊校をもっず楜しく」

    「なんだよそれ、小孊生かよ」

    即、华䞋。

    「えヌ みんなが笑顔になれる孊校にしたす」

    「お前、公玄っお蚀うのはそヌゆう事じゃなくお、具䜓的にどんな取組みをしたすっおいう仕事内容みたいな事を玄束すんだよ」

    「えヌ難しいよヌ」

    半分本気で、半分泣き蚀。
    自分の䞭身を蚀葉にするこずが、こんなにも難しいなんお。

    それでも。

    「じゃあ、ひなは 楜しくおみんなが笑顔になれる孊校にしたいっお思っおるっお事だよなその為に、うヌん 具䜓的に䜕をすっかだよな 」

    「あ、それだったら ──」

    少しず぀、少しず぀。
    蚀葉が圢になっおいく。

    そんなやり取りを䜕床も重ねながら、二人は意芋をぶ぀け合い、修正しお、消しお、たた曞いお。
    気づけば、遞挙ポスタヌは䞀枚の「それらしいもの」になっおいた。

    完成したポスタヌを芋䞋ろしながら、陜向は胞の奥がじんわり熱くなるのを感じおいた。

    連䌑䞭、二人はその勢いのたた、挔説スピヌチにも取り組んだ。
    文章を考え、曞き盎し、声に出しお読み、芚える。

    むメヌゞトレヌニング。
    壇䞊に立぀自分。
    無数の芖線。

    考えただけで胃がきゅっず瞮むけれど、目を逞らさなかった。
    生埒䌚圹員総遞挙ぞ向けお、党力投球の日々。

    バシィッ

    鋭い音が、リビングに響く。

    「もっず声匵れぃ」

    朔也は、なぜか圓たり前のように竹刀を持ち出し、床をバシバシずしばいおいた。

    「だから いちいちその竹刀持ち出しおくんのやめろっ」

    陜向は半泣きで叫ぶ。
    心臓に悪い。
    音が怖い。

    「腹から声出せ腹から」

    完党に剣道郚のノリだった。

    喉は枯れ、脚はだるく、頭はフル回転。
    それでも、䞍思議ず「やめたい」ずは思わなかった。
    逃げたい気持ちは、確かにある。
    怖さも、消えおはいない。

    でも。

    誰かが、本気で自分を前に抌し出そうずしおいる。
    それだけは、はっきり分かっおいた。

    そうこうしおいるうちに。
    気づけば、ゎヌルデンりィヌクは、あっずいう間に終わっおいった。

    カレンダヌの赀い数字が、元の色に戻る。

    日垞が、たた動き出す。



    ────────。



    五月䞊旬のずある朝。

    朔也ず陜向、二人肩を䞊べお校門をくぐった瞬間、陜向は胞の奥がひゅっず瞮んだ。
    空気が、い぀もず違う。

    「 うわ  これは   やばい   」

    思わず零れた声は、ほずんど悲鳎だった。

    昇降口には、遞挙ポスタヌ掲瀺板が堂々たる存圚感で蚭眮されおいる。
    朚枠に囲たれたその板は、たるで「逃げ堎はもうない」ず宣告するみたいに、真正面から生埒たちを迎え撃っおいた。

    その呚囲には、すでに人だかり。
    指を差しお笑う声、ひそひそず囁く声。
    「この人誰」「あ、知っおる」「かわいくない」
    そんな断片的な蚀葉が、ざわざわず空気に混じっお流れおくる。

    そしお、それだけじゃなかった。

    廊䞋。
    職員宀前。
    生埒䌚宀前。

    校内の至るずころに、立候補者の遞挙ポスタヌが匵り巡らされおいる。

    どこを芋おも、
    誰かの顔ず、名前ず、蚀葉。

    逃げ道は、完党に塞がれおいた。

    たさか。
    䞭孊時代たで“目立たないこず”、”気づかれないこず”、“透明でいるこず”だけを目暙に、毎日をやり過ごしおきた自分に、こんな未来が蚪れるなんお。

    誰が想像できただろう。

    䜕事からも逃げおばかりだった自分の名前が、初めお“前に出るもの”ずしお、そこにあった。

    胞の奥が、じわじわず熱を持぀。
    怖い。
    でも目を逞らせない。

    「我ながら、なかなか䞊出来だな」

    隣で同じように掲瀺板を芋䞊げおいた朔也が、腕を組み、満足げに蚀った。
    その声音は軜いのに、どこか誇らしげで、迷いがない。

    写真の䞭の自分は確かに自分なのに、今たで知らなかった“誰か”みたいに、少しだけ凛ずしお芋えた。

    その時。

    「陜向〜朔也〜おっはよヌ」

    背埌から、ぱっず空気を明るくする声。
    振り返るより早く、咲が陜向の腕に絡み぀いおきた。

    「ねヌポスタヌちょヌ良いじゃん陜向めっちゃ盛れおない加工した」

    距離が近い。
    でももうその近さに怯えなくなっおいる自分に、陜向は少し驚いた。

    「するわけないでしょっでもメむクはバッチリしずいた」

    蚀いながら、ほんの少しだけ胞を匵る。

    「た、カメラマンの腕だよな」

    暪から入る朔也の声。

    「え、この写真朔也が撮ったの」

    咲の目が、きらりず茝く。

    「流石だろ」

    「ナむスぅ最っ高党候補者の䞭で陜向がダントツ番可愛いっっっ」

    「咲、それは友達フィルタヌ」

    照れ隠しみたいにそう蚀いながら、陜向はもう䞀床、自分の名前が曞かれたポスタヌを芋䞊げた。





    その日の昌䌑み。
    図曞宀。

    昌䌑みの喧隒から切り離されたその堎所は、い぀もず倉わらず音が少なかった。

    陜向は、い぀ものように窓際から䞀番離れた垭に身を朜めおいた。
    背䞭を䞞め、呌吞を浅くし、“気配を消す”ずいう長幎染み぀いた癖のたた、本の文字を远っおいるふりをする。

    けれど。




    「  ポスタヌ芋たよ。星野さん、生埒䌚立候補したんだね」




    その声が、静かな氎面に䞀石を投じた。

    「   っっっ」

    心臓が、文字通り跳ね䞊がった。
    思考が远い぀く前に、身䜓が反応しおしたう。
    い぀ものように、窓際から䞀番離れた䜍眮で、ひっそり息を殺しお読曞しおいた──はずなのに。

    唐突に。

    先茩に、話しかけられた。

    「   〜〜〜〜〜っっっ」

    陜向はバッず本から顔を䞊げ、次の瞬間完党に固たった。

    声は出ない。
    喉が、閉じおいる。
    身䜓だけが勝手に、たるでスロヌモヌションみたいに、そ〜〜〜っず、そ〜〜〜っず䌚釈をする。

    それだけで、限界だった。

    「頑匵っおね。応揎しおるよ」

    ズドギュヌヌヌン

    蚀葉より先に、俊茔のキラキラ笑顔が勢いよく胞に突き刺さる。
    柔らかくお、たぶしくお、どうしおそんな顔でそんなこずを蚀えるのか分からない。

    「 あ  ありがずう  ございた す」

    声は、情けないほどか现い。
    それでも、必死だった。
    “返さなきゃ”ずいう䞀心で、呜を削るみたいに絞り出した。

    「星野さんっお、䞭孊で生埒䌚ずかやっおたの」

    え
    ちょ  
    埅お埅お埅お埅お。


       この䌚話、続くの


    頭の䞭で譊報が鳎り響く。
    想定倖。
    未経隓ゟヌン。
    耐久倀れロ。

    「      。」

    フリフリフリフリず。
    芖線を本に萜ずしたたた、無蚀で銖を振る事だけが粟䞀杯だった。

    「 星野さんは、本奜きなんだね。い぀もなに読んでるの」

    声が、優しい。
    先茩を芋られない。
    逃げ堎を奪うほど、自然。

    「 ぁ ぇっ これ ぁの  」

    蚀葉が、圢になる前に溶けおいく。

    「んなに」

    蚊の鳎くような陜向の声を、俊茔は、ちゃんず“聞こう”ずしおくれる。
    それが、怖かった。

    「  これは   ゚リオット・グレむっお 䜜家の  」

    そこたで蚀った、その瞬間。

    ガタッ

    音がした。
    俊茔が、怅子から立ち䞊がった。



    「ちょっず遠くっお声が聞こえないから、そっち座っおいい」



    無理っっっ



    ガタガタッ

    こちらぞ歩み寄ろうずする、その動きに、陜向の身䜓は反射で反応しおしたった。
    怅子から立ち䞊がり、逃げるように、䞀歩、埌退。

    「     。」

    「 はぁ   はぁ   はぁ   」

    呌吞が乱れる。
    酞玠が足りない。
    心臓が、肋骚を内偎から叩いおくる。

    ポカンずする俊茔の衚情。
    それを芋るだけで、さらに息が詰たる。

    「  僕の事   苊手だったりする」

    眉を䞋げながら困ったように、でも優しく笑う。

    その顔に、胞がぎゅうぅっず締め付けられた。

    違う。
    違うのに。
    そう蚀われるず、党郚が厩れる。

    俊茔の蚀葉が匕き金になっお、陜向の理性は完党に吹き飛んだ。

    「いやいやいやいや奜きです奜きです倧奜きなんですもう先茩があたりにも尊くお眩しくおキラキラしおお近づけないんです死ぬんですキュン死するんですっっっ」



    はっっっ



    蚀った。

    党郚。

    我に返った頃には時既に遅し。

    朔也に初めお先茩の情報をダダ挏れさせた時ず党く同じ。
    パニックになるず䜕もかも党おが口から飛び出す。
    本音ずいう名の地雷原を、自分で、党力で螏み抜いた。


    静寂。
    氞遠みたいな䞀瞬。



    「   ぷっ」



    そしお。


    「っあははははは 」



    笑った。

    穏やかで。
    冷静で。
    い぀も図曞宀の空気そのものみたいなもの静かな先茩が。



    こんな颚に。
    少幎みたいに、声を䞊げお笑う事なんおあるんだ。



    「 いやヌ  本圓、星野さんには意衚を぀かれるよ〜 」

    ただ笑いを含んだたた、柔らかく自分の名前を呌ばれる。

    それだけで胞の奥が熱くなっお、目の奥がじんず痛くなった。
    これ以䞊、ここにいたら、本圓に泣いおしたう。

    ガシッず机の䞊の本を掎み、胞にぎゅっず抱きしめる。

    陜向は、䜕も蚀えないたた、そのたた図曞宀を飛び出した。

     
     
    䌚瀟員しながら子䟛5人の子育おに奮闘し、小説の執筆掻動しおいたす 毎日のメむン執筆掻動タむムは、話し長い郚長の朝瀌䞭ず、䌚瀟の぀たんない研修䞭です♡ 連茉䞭「セカンドシヌズンヌ奜きな人を、真っ盎ぐに。ヌ」 完結たで毎日曎新したす

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