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♯44セカンドシヌズンヌ奜きな人を、真っ盎ぐに。ヌ

    第44話 やっちたった


    いよいよ高校䞀幎生も、ラストスパヌト。

    最埌の関門。
    孊幎末、期末テスト期間の真っ只䞭だった。

    攟課埌の図曞宀は、昌間よりも少し静かだ。
    窓の倖から西日が長く差し蟌み、机の䞊に䞊ぶノヌトず教科曞の圱を、やわらかく匕き䌞ばしおいた。

    「   y = x² - 4x + 1 だから  たずここを平方完成しお  」

    俊茔の声は、い぀もより少し䜎く、穏やかだった。



    陜向は、ノヌトを芋おいる——はずだった。



    けれど芖線は、い぀の間にか隣に座る俊茔の暪顔ぞ、吞い寄せられおいる。

    䌏せた睫毛。
    シャヌペンを持぀長い指。
    説明するたび、ほんの少しだけ動く唇。

    光がその茪郭を瞁取るたびに、珟実感が薄れる。

      ビゞュよヌ  

    思考が、ふわりず浮いた。

    「  4の半分は2だよね  それを二乗しお  」

    「     。」

    数字が、音ずしお耳を通り過ぎおいく。
    でも、意味にならない。

    「     。」

    俊茔は説明を続けながらも、䜕床かチラ、チラ、ず陜向の芖線を気にしお、暪目で様子を窺っおいた。

    「  え、  えっず   x² - 4x + 4 - 4 + 1  」

    「    。」

    芖線が合うたび、陜向は慌おおノヌトに戻るけれど、数秒埌にはたた同じ堎所に匕き戻されおしたう。

    「     だから   (x - 2)^2 - 3-   」

    「     。」

    そしお぀いに。

    俊茔は、シャヌペンを持぀手を止めた。

    「星野さん  僕の顔じゃなくお、グラフを芋おくれるかな」

    穏やかだけれど、わずかに呆れを含んだ声。

    「  えっあ  すいたせんっ」

    陜向はハッず我に返り、勢いよくノヌトに芖線を萜ずす。
    顔が、熱い。

    「星野さんっお  すぐ集䞭力が無くなっちゃうよね」

    困ったように笑いながら蚀う俊茔の声は、柔らかい。

    「すみたせん  先茩の暪顔があたりにも矎し過ぎちゃっお  」

    「そう蚀っおくれるのは嬉しいんだけど 僕の顔を芋おおも二次関数は解けないからさ」

    陜向は、蚀い蚳みたいに小さく声を萜ずす。

    「それはそうなんですけど こんなに近くに居たら、぀い意識がそっちに 」

    俊茔は、少し間を眮いおから小さく息を぀いた。

    「それっお぀たり、集䞭出来ないのは僕のせいっお事になっちゃうんだけど、それで合っおる」

    声色が、ほんの少しだけ倉わる。
    ほんの少しの棘が混じった。

    「そんなこずありたせんっ」

    即座に、匷く吊定する。
    でも俊茔は、少しだけ真顔になる。

    「でも、それ蚀われちゃうずそう聞こえちゃうよ」

    図曞宀の空気が、わずかに冷える。

    その蚀葉に、陜向の胞がきゅっず瞮む。

    違う。

    集䞭力が続かないのは、自分のせいだ。
    昔からそうだ。
    ちょっずした刺激で意識がすぐに逞れおしたう。
    頑匵っおも、努力しおも、完党には治らない癖。

    たただ  

    胞の奥に、昔の感芚が滲む。

    教宀で。
    先生の声を聞き逃しお。
    「ちゃんず聞いおる」ず責められた蚘憶。

    「   そんな぀もりで  蚀ったんじゃない  です   」

    語尟が、自然ず匱くなる。

    こんな自分が、嫌いだ。

    䞀生懞呜教えおくれおいるのに。
    先茩に倱瀌だ。
    自分が悪い。

    陜向の肩が、すっず萜ちる。

    その倉化に、俊茔の胞がハッず疌いた。

    「あ  ごめんっ蚀い方き぀かったかな怒っおるわけじゃなくお  」

    「    。」

    陜向は肩を萜ずしたたた、䜕も蚀えない。
    俊茔は、慌おお蚀葉を足す。

    「ただ  図曞宀にテスト勉匷しに行っおるっお、お母さんに䌝えおるわけだし  」

    芖線を逞らし、蚀い淀む。

    「それで成瞟が倉わらなかったら  図曞宀で䜕しおんだっおなるでしょ  だったら家でやれっお蚀われちゃうし  」

    頬が、うっすら赀くなる。

    「  それで  たた星野さんが  図曞宀に来られなくなったら  」

    蚀葉が詰たる。
    喉が、わずかに震える。

    「  寂しい  し  」

    その小さな告癜は、図曞宀の静寂に溶けた。

    「   」

    陜向は、顔を䞊げる。
    胞の奥に、じわりず熱が広がる。

    寂しい  っお  

    自分が来られなくなるのが、嫌だっお。

    「  それで  ぀い感情的に  なっちゃった  」

    照れ隠しのように、芖線を萜ずす俊茔。

    陜向の胞はズキュンッず撃ち抜かれた。

    「なにそれっメロいッ尊っ」

    「メロいでも尊くおもいいから、集䞭しおくれる」

    空気を䞀気に明るくするように、声を匟たせる陜向に、照れ隠しみたいにピシャリず耳を赀くしたたた返した。

    「はいっ今からガチで党集䞭したす倧奜きな先茩を怒らせたくないんで」

    「だから怒っおないっおば  」

    「えヌちょっず怒っおたよ」

    「怒っおないよ」

    「怒っおる先茩も  めっちゃ奜き♡」

    「 それ  照れるからやめお」

    「え照れるのかかか、かっこよ  」

    俊茔は、思わず顔を逞らした。

    「いや、かわいっ」

    「だからやめお」

    「倧奜き、倧奜き、倧奜き、倧奜きっ♡」

    「〜〜〜〜〜っっっ」

    陜向の掚し掻攻撃に、俊茔は胞がぎゅっず掎たれ、赀面しながら眉間にシワが寄る。

    さっきたで冷えおいた空気が、すっかり枩床を取り戻す。

    「もうっ勉匷教えおあげないよ」

    「それは無理。ごめんなさい。真面目にやりたす。先茩の顔は芋たせん。」

    「僕、お面でも被ろうか」

    「キャハハハ爆笑ヌ」

    陜向は手を叩いお笑う。
    その笑い声が、図曞宀の高い倩井ぞやわらかく跳ね返る。

    「おもろいなぁ〜それはそれで集䞭できないよヌっ」

    「あはははっ」

    匱さを芋せたり。
    ちょっず怒ったり。
    照れたり。
    冗談を蚀ったり。

    冷静沈着で、完璧で、隙のない生埒䌚副䌚長。

    けれど、陜向の隣にいる時だけ。

    俊茔は、肩の力を抜いた只の男子高校生になっおいた。




    ────────。




    そしお遂に、高校生掻最初の䞀幎間は、終わりを迎えた。

    䞉月の空気はただ冷たいのに、どこか柔らかい。
    校舎の窓から差し蟌む光は冬よりも癜く、圱は薄く䌞びる。

    孊幎末テストは、俊茔の䞁寧すぎるほどの指導の甲斐もあり、党教科で赀点を回避。
    答案甚玙を返された瞬間、胞の奥にじんわりず広がった達成感。
    “出来ない自分”だず思い蟌んでいた堎所に、少しだけ穎が空いた。

    二幎生ぞの進玚は、難なく決たった。

    朝比奈凛䜳は、俊茔ぞの想いを抱えたたた、静かに卒業しおいった。
    春の門出の䞭に、叶わなかった恋の圱を萜ずしお。

    そしお迎えた春䌑み。

    ただ制服の袖口が少し寒い頃。
    陜向ず俊茔は、圓たり前のように連絡を取り合い、圓たり前のように図曞宀で䌚っおいた。

    窓の倖では、校庭の桜がほんのりず色づき始めおいる。



    「星野さん、副䌚長やらない」



    「はっ」

    話題は、次幎床の生埒䌚に぀いお話しおいた。

    「僕は生埒䌚長だから、星野さんは僕の埌任ずしお、幎生副䌚長やっおよ。」

    「無理無理無理無理。出来るわけないよっ」

    陜向は䞡手をぶんぶん振り、党力で党身で、党吊定する。
    俊茔はわかりやすく、シュン ず肩を萜ずした。

    「生埒䌚長は 副䌚長ず䞀番䞀緒に仕事するから  星野さんにやっお欲しかったな  」

    ズドギュヌヌヌン

     な  なんだ それヌヌヌヌっっっ  

    俊茔の寂しそうな䞊目遣いに撃ち抜かれるも、ここは理性を保った陜向。

    「だ、だだ、だっお  幎生の副䌚長っお蚀ったら   」

    そう。
    それは俊茔ず同様ポゞション。

    「次期、生埒䌚長じゃないですか」

    「うん。やれるでしょ。星野さんなら」

    笑顔でサラッず、圓たり前のように。

    「それだけは無理です。先茩が居るから次幎床は生埒䌚を続行したしたが、先茩が卒業したあずたで生埒䌚を続ける぀もりはありたせんから」

    ハッキリ匷く。
    キッパリず。

    「 星野さんお  僕が居るから生埒䌚になったの 」

    「はい。」

    「ぶっっっ」

    俊茔は吹き出したあず、笑った。

    「そうだったずしおも、普通そんなにハッキリ蚀わないよ〜」

    陜向は、胞の奥にあるものをそのたた蚀葉にする。

    「でも っ立候補した動機は䞍玔でしたが、遞挙期間䞭に、本圓に、先茩ずか抜きにしおも、ちゃんずやりたいっお 自分を倉えたいっお そういう意識は芜生えたんです。」

    その瞬間ふず、俊茔の脳裏に蘇る。

    生埒䌚総遞挙。

    党校生埒の前で、震えながらも壇䞊に立ち、誰よりも力匷い蚀葉で挔説しおいた陜向の姿。

    《──私は生埒䌚圹員ずしお、そんな心の声を拟える存圚になりたいです。蟛くおも、寂しくおも、泣きたくおも、䞀人がっちで抱え蟌たなくおいい。ここに居おいいんだず。そう思える堎所を䜜りたい。》

    思い出すず、胞がじんわりず暖かくなる。

    「生埒䌚に入っお、自分に自信が持おるようになりたした。ずっず倧嫌いだった自分の事が 初めお奜きになれたした。」

    窓から差し蟌む春の光が、陜向の笑顔を照らしお、柔らかく包み蟌む。

    「だから 䞀幎前のこの堎所で、先茩に出䌚えた事。生埒䌚に入るきっかけをくれた事、本圓に感謝しおいたす。」

    真っ盎ぐに芋぀めおくるその瞳に、俊茔は思わず吞い蟌たれおしたう。

    「だから私、先茩に近づきたいっお思っお生埒䌚に入った事、恥ずかしいず思っおたせん。」

    《──近づきたいんです。》

    俊茔の耳に、挔説䞭に壇䞊で自分をたっすぐ芋぀めお、そう蚀った陜向の声が朚霊した。

    今、思い返しおみれば    




    あの瞬間から    僕は──。




    「私の人生で、初めおリアコが出来たから。」




    「  リアコ 」

    「リアルの、恋っお 事ですよ」

    陜向のキラキラな笑顔が眩しく匟けた。


    ドクン──


    俊茔の心臓が跳ねる。
    圌女の笑顔から、目が離せない。
    䜕かが、競り䞊がる。




      恋   




    胞が、熱い。
    理性が远い぀かない。
    息が、浅くなる。





    その瞬間────────。

    「  っ」





    ────────。





    思考は真っ癜のたた、無意識に陜向の唇に重ねおいた。





    䞖界が止たる。

    音がなくなる。





    「    っっっ」

    我に返った俊茔は、バッず慌おお陜向の唇から離れた。

    「あ ご ごめん っ」

    声が震えおいる。
    副䌚長でも、生埒䌚長でも、理性的な優等生でもない。

    ただの男子高校生の顔。





    「          。」





    完党フリヌズする陜向。
    瞬きも、呌吞も、止たったみたいに。
    頭の䞭は静かだった。
    い぀もの小人戊争も起きない。
    軍隊長の号什も聞こえない。

    ただ   無だった。




      今   なにが    起きた  




    思考が働かない。
    珟実がわからない。
    䜕も考えられない。



    ガシッ。

    意識は遠くに行ったたた、身䜓が勝手に動く。
    陜向はスクヌルバッグを掎み、図曞宀から逃げるように走り去った。



    「   あ  」

    怅子の脚が床を擊る、鈍い音。

    ガタ  

    俊茔は、そのたた力が抜けたように怅子ぞ厩れ萜ちた。

    図曞宀は、さっきたでの枩床を倱っおいる。
    西日が机の端を橙色に染め、長く䌞びた圱が床に絡み぀く。

    頭は半分攟心状態。

    自分の行動が、自分で信じられない。



    ドクン

    ドクン

    ドクン



    心臓が脈を打぀。
    熱い焊燥が競り䞊がる。

    「 どうしよう  」

    掠れた声が、静たり返った空間に萜ちる。

    唇に、ただ感觊が残っおいる。
    柔らかさ。
    䞀瞬の枩床。
    觊れおしたった、あの珟実。

    「 やっちゃったよ  どうしよう  どうしよう  」

    䞡肘を机に預け、䞡手で頭を抱える。
    髪を掎む指に、無意識に力が入る。



    リアルの恋、っお事ですよっ




      本圓の  恋   




    ドクン

    ドクン

    ドクン



    倕陜が、窓枠を越えお圌の頬を照らす。
    橙色の光が、やけに熱い。



    陜向ぞ向けたその想いに。


    胞を焊がす──





      僕は   




    頬杖を぀き、窓の倖ぞ芖線を投げる。

    倕暮れの校庭。
    ただ人のいない春䌑みの静けさ。

    䞊朚の桜は、もう蕟ではなかった。

    硬く閉じおいた小さかった蕟は、季節の移ろぎに耐えきる事は出来ないように倧きく膚らんで。

    淡い桃色の花びらが、枝先にいく぀も開いおいる。




    圌女のこずが   




    満開ではない。
    でも確実に、咲いおいる。

    封じ蟌めたはずの感情が、もう、閉じ蟌めきれない。






    「     奜きだな。」






    恋愛しないず決めおいた。
    誰の事も、奜きになっおはいけないず。

    それでも惹かれおしたった。

    この想いを  どう封じ蟌めたらいい  



    倖では、淡い花びらがたた䞀枚、颚に乗る。

    咲いおしたったものは、もうなかったこずにはできない。

    季節は埌戻りが出来ないように。

    春は、静かに、容赊なく進んでいく。





     
     
    䌚瀟員しながら子䟛5人の子育おに奮闘し、小説の執筆掻動しおいたす 毎日のメむン執筆掻動タむムは、話し長い郚長の朝瀌䞭ず、䌚瀟の぀たんない研修䞭です♡ 連茉䞭「セカンドシヌズンヌ奜きな人を、真っ盎ぐに。ヌ」 完結たで毎日曎新したす

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