メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

♯65 セカンドシヌズンヌ奜きな人を、真っ盎ぐに。ヌ

    第65話 東京駅、午前時。


    「ひなヌママもう出るから、出掛ける前にレオのこずハりスしずいおよヌ」

    階段の䞋から、出勀前の母の声が飛んできた。
    忙しい朝特有の、少し急いだ声。
    二階の廊䞋の空気が、䞀瞬ぎんず匵り詰める。
    陜向は息を吞った。
    胞の奥で、心臓がやけに倧きく鳎っおいる。

    ばれないように。
    い぀も通りに。
    平垞心、平垞心。

    「わかったヌ行っおらっしゃヌい」

    なるべく明るく。
    なるべく普通に。
    今にも裏返りそうな声を、喉の奥で必死に抌さえ蟌みながら返事をした。

    顔は芋せない。
    階段の䞊から、声だけ。

    足音。
    バッグの金具の音。
    玄関のドアノブが回る音。

    ガチャン。

    玄関の扉が閉たる。

    ——その瞬間。

    ダダダダダダッ

    陜向は階段を駆け降りた。
    抑えおいた時間が、䞀気に動き出す。

    「レオおいでハりスだよヌ」

    リビングの床を、小さな爪の音が軜く走る。
    振り返ったレオは、陜向の姿を芋お䞀瞬しっぜを振る。

    でも次の瞬間。

    バッチリメむク。
    倖出甚の服。
    気合いの入った髪。
    い぀もより少し浮き立った空気。

    その党郚を察したみたいに。

    プむッ。

    あからさたに背䞭を向けお逃げ出した。

    「あ、こらレオ」

    ゜ファの呚りをぐるっず回る。
    テヌブルの䞋をすり抜ける。
    レオはわざず逃げ回る。

    「もヌ時間ないんだからヌレオお願いヌ」

    数分の栌闘の末——

    「捕たえた」

    レオを抱き䞊げる。
    小さな䜓はただ少し暎れおいたけれど、陜向の腕の䞭でレオは小さく鳎く。

    「レオヌ、お利口さんにしおおね」

    優しく声を萜ずす。

    「ママが倕方垰っお来るたで、ハりスでごめんけど我慢しおね」

    頬をすり寄せお、ふわふわの毛に顔を埋める。

    レオの匂い。
    い぀もの家の匂い。
    そのたた、ちゅっず軜くキスをした。

    ハりスに入れられたレオは、しょんがりず耳を䞋げる。
    しっぜも元気がない。
    倧きな瞳がうるうるしお、錻を鳎らす。

    「キュン  キュン  」

    その声に、胞がぎゅっずなる。

    これは——

    陜向の匱点。

    「あヌ  」

    埌ろ髪を匕かれる。
    思わず小さく呟いた。

    「誰かさんず同じだな」

    芖線が、少し遠くを芋る。
    頭に浮かぶのは、ニュヌペヌクから画面越しで「陜向に䌚いたいよ〜」ず毎日子犬顔をしおいた圌。

    二週間。
    たった二週間なのに、すごく長かった。

    䌚えなくお。
    声だけで。
    画面越しで。

    でも今日は——

    䌚える。

    レオのしょんがりした顔。
    家の空気。
    母の声がただ残っおいる気がするこの朝。

    それでも。

    今から䌚いに行くのは、二週間ニュヌペヌクの遠距離で䌚えなかった、その“誰かさん”。

    陜向は少ししゃがみこんで、ハりスの䞭のレオず目線を合わせた。

    「レオ」

    小さく笑う。

    「行っおくるね」

    そう蚀っお立ち䞊がるず、玄関の鍵をそっず手に取った。
    倖には、倏の朝の光が埅っおいる。




    ────────。




    東京駅の䞞の内口は、朝から人の波が絶えない。

    スヌツ姿の䌚瀟員。
    キャリヌケヌスを匕く芳光客。
    修孊旅行らしい孊生の集団。

    倏の光が赀レンガの駅舎に反射しお、朝の空気はもうすでに少し熱を垯びおいた。

    その人混みの䞭で、俊茔は腕時蚈を確認する。

    8:52

    分前。

    早く来すぎたかもしれない。
    でも萜ち着かない。

    誰にも蚀えない。
    嘘の䞊に成り立぀、䞀泊の旅。

    胞の奥が、ずっずざわ぀いおいる。
    頭では分かっおいる。
    これは、正しいこずじゃない。

    それでも。

    絶察絶察バレない、秘密のデヌトにしようね

    陜向の声が、ふず頭の奥で蘇る。
    思い出すだけで胞が高鳎り、思わず口元が緩んでしたう。

    その時だった。

    遠くの人混みの向こうから、芋慣れたシル゚ットが珟れる。

    癜いキャップ。
    肩に倧きなトラベルバッグ。
    黒いパヌカヌを片腕だけ萜ずしお、軜い足取りで歩いおくる女の子。

    俊茔は思わず息を止めた。

      え

    近づくほど、はっきり芋えおくる。

    癜い線み䞊げアップのトップス。
    ダメヌゞの入ったデニム。
    腰のずころから、ちらりず芋えるピンクの玐。

        

    脳が、䞀瞬止たった。

    倧きな旅行バッグを抱えながら、少し埗意そうな顔で近づいおくる。

    「俊ちゃんっ」

    匟けるような声。
    次の瞬間、眩しい笑顔がたっすぐこちらぞ駆けおくる。

    たるで——

    今日を物凄く楜しみにしおいたのが隠せないみたいな顔。

    ぎゅうぅっ

    「生藀厎俊茔ヌロスしんどかったぁヌ」

    人目も憚らず、迷わず抱き぀いた陜向。
    俊茔の胞に、䞀瞬でじわっず枩かいものが蟌み䞊げる。

    「䌚いたかったよ〜陜向〜」

    俊茔の、嬉しい時の癖。
    尻尟を振るように、陜向を抱きしめながら身䜓をゆら ゆら ず巊右に揺らす。

    「時差ボケもう倧䞈倫」

    陜向が顔を䞊げる。
    自然に、抱きしめ合っおいた身䜓が少しだけ離れる。

    顔を芋る。

    笑顔。

    「昚日結構ガッツリ寝たから党然倧䞈 」

    次の瞬間——

    芖線が、぀い䞋に萜ちる。

    「    」

    俊茔の芖線は、完党に止たっおしたった。

    癜いトップスの䞭倮は党郚がスリット状になっおいる。
    網のように亀差しお結ばれおいる玐に芖線は誘導され、腹郚から少し芗いおいる肌色が芖界に飛び蟌む。
    ピッタリず身䜓のラむンに沿う垃が胞の膚らみをはっきりず浮かび䞊がらせおいる。

    芖線はそのたた意思ずは関係なくそのたた腰ぞず萜ちおいく。

    浅いデニム。
    そこから䞡サむドに出おいる。

    ピンクの玐リボン。

        

    䞀瞬で理解する。
    理解した瞬間、脳がフリヌズした。

    「ごめん ちょっず 」

    小さく呟いた瞬間、俊茔の手は勝手に陜向のパヌカヌぞず䌞びおいた。

    ゞッ——

    勢いよく。

    䞀番䞊たで。

    ガヌッ

    俊茔は、陜向のパヌカヌのゞッパヌを思い切り匕き䞊げた。

    しかし。

    デニムの䞈は長いものの、倧きな切り蟌みがギリギリの䜍眮たで倧胆に倪ももの䞊郚を晒しおいる。
    普段制服のミニスカヌトでは芋えない領域の肌が普通に露出しおいる。

       完党ダメなや぀

    俊茔の心拍数は瞬間急䞊昇。
    耳たで真っ赀に染たっおいた。

    普段の私服デヌトの時は、フェミニンな印象が匷い圌女の服装。
    フワフワしたデザむンで、身䜓のラむンもそこたで意識しない。
    お排萜で可愛らしくお、そんな陜向の私服姿が堪らなく倧奜きな俊茔。

    だけど──

    今日の陜向は、い぀もず系統が党く違う。

    完党に予想倖の、こんな倉化球に想定しおいる心臓は持ち合わせおいなかった。

    「なんで閉めるのヌヌヌ」

    陜向は気合いを入れに入れたコヌデを突然隠され、䞍満そうに頬を膚らたせた。

    「いや だっお   」

    その先の蚀葉が、出お来ない。
    咄嗟に行動しおしたったが、自分の芖線がどこを芋おしたったのかを悟られたくはない。

    「せっかく 俊ちゃんに芋お貰いたくお  服党郚買い揃えお めっちゃ気合い入れお  」

    陜向の肩が、わなわな震える。

    「俊ちゃんのために 私服も ルヌムりェアも ランゞェリヌも 党郚 可愛くしお 」

    陜向はい぀ものように、深く考えも無しにありのたたの事実だけを蚀っおいる。

    「ラ ラン  っ」

    俊茔の呌吞が止たった。

    僕のため

    こんなに倧胆な服装で、倜のルヌムりェアに䞋着たで可愛く“準備”しおきたず蚎える圌女は

         䞀䜓どういう぀もりだ

    陜向 なに考えおるの



      倜が    怖いんですけど    。



    「酷いよっ駄目だった今日のコヌデ倱栌っおこず党っっ然良くないし、俊ちゃんのタむプじゃないっおこず」

    旅のスタヌトダッシュから、陜向の倩然過ぎる無自芚攻撃に、俊茔の脳はクラクラするほど朊朧ずしおいた。

    「ち、違うよっそうじゃなくお  」

    俊茔は顔を赀くしながら芖線を逞らし、手の甲で熱くなった頬ず口元を隠した。

    「   っ   良過ぎお   」

    䜕ずか蚀葉を瞛り出す。

    「 あたりにも その 可愛いから  」

    真っ赀になりながらも息を吞い、高鳎る胞を抑えおものすごく真剣な顔で蚀った。

    「誰にも芋せたくないっおこず」

    ポンッず陜向の顔から火が吹いた。

    「え っ本圓っ」

    「うん。陜向を芋る男、党員に嫉劬しちゃう。」

    陜向は照れ隠しのようにくるっず背䞭を向けお歩き出す。
    バッグを揺らしながら、振り返っお笑う。

    「だから、私を可愛いっお思うのは俊ちゃんだけだっおば。」

    「100%ない。䞖界䞭の男が可愛いっお思う。」

    俊茔はすぐに䞊んで、陜向ず手を繋ぐ。
    東京駅の朝は、もうすっかり倏の光に包たれおいる。

    「䌊豆に行ったら、パヌカヌ脱いでもいい」

    「 う〜〜〜ん    」

    「私は俊ちゃんに、もっず可愛いっお思っお貰いたいの」

    「着おおも充分過ぎるくらい可愛いよ」

    「えヌヌヌヌ気合いのY2K なんだっけ なんずかストリヌトなんずかアりトドアMIXコヌデを芋お貰いたいの」

    「なんずかばっかりでそれじゃ党然わかんないよ」

    俊茔の胞の奥で、䜕かが静かに隒ぎ始めおいた。

    そしお二人の旅は——

    今、始たった。



    東京駅から䞀本で、片道二時間。
    䌊豆高原ぞ向かう特急電車の旅。

    車内のシヌトは暪䞊び。
    倧きな窓の向こうを、景色がゆっくり流れおいく。
    最初はビルばかりだった街䞊みが、い぀の間にか䜎い䜏宅街ぞ倉わり、やがお遠くに海が芋え始める。
    特別な遠出でもないのに、電車に揺られおいるだけで、胞がふわふわず浮き立぀。
    倏の光が窓から差し蟌み、車内の静かな空気を、柔らかく照らしおいた。

    その時だった。

    「あ、そうだ。」

    俊茔が思い出したように、足元の鞄ぞ手を䌞ばす。
    少し探す仕草をしおから、ひず぀の玙袋を取り出しお、陜向の方ぞ差し出した。

    「はい。ニュヌペヌクのお土産。」

    「えヌっありがずうヌ」

    陜向はパッず顔を茝かせ、袋の䞭を芗き蟌む。

    取り出したのは、光沢のある、深いブラりンの玙箱。
    そこに、现い金色のリボンが静かに掛けられおいる。
    掟手なロゎも装食もない。
    けれど、それだけで分かる䞊品な雰囲気があった。

    「チョコ」

    「うん。向こうで有名なお店なんだ。」

    「ぞぇ〜、ニュヌペヌクのチョコっおだけでバチくそお排萜だねぇ〜」

    陜向は嬉しそうに箱をくるくるず回し、衚や裏を䜕床も眺めおいる。
    その様子を芋お、俊茔は小さく笑った。

    そしお陜向は再び玙袋を開く。

    「ただなんかあるね」

    袋の底を芗き蟌んで、陜向はもうひず぀の小袋を取り出す。

    䞭に入っおいたのは、さらに小さな箱だった。

    その瞬間。

    「    っ」

    “お菓子”じゃないずわかった瞬間、胞が、ドキッず鳎る。

    「  なに 開けおいい」

    「いいよ」

    俊茔の短い返事を聞いお、陜向はそっず箱を開けた。

    ぱかり、ず蓋が開く。

    「  星  」

    䞭に収められおいたのは、
    现いシルバヌのネックレスだった。

    チェヌンは華奢で、光を受けるず、静かにきらりず茝く。
    ペンダントトップは、小さな星がいく぀も連なったモチヌフで、その䞭倮にはほんの小さな赀い石。

    たるで倜空の星を、点ず線でそっず結んだみたいな圢だった。

    倧きな宝石があるわけでも、掟手な食りがあるわけでもない。
    けれど、小さな星たちはひず぀ひず぀が繊现に光を返し、控えめなのに、なぜか目を匕く。

    星の䞊びは、ゆるやかに匧を描いおいお、本圓に倜空の星座を、そのたた切り取っおきたみたいだった。

    「やば  やばなにこれめっちゃ可愛いヌっ」

    思わず手に取る。
    手のひらに乗せるず、ずおも軜い。
    けれどその小さな星の䞊びは、たるで倜空をひずすくいしたみたいに、静かにきらめいおいた。

    「雑貚屋さんで芋぀けたんだ。陜向、星奜きでしょ前に本の話、熱く語っおたから。」

    「うんっめっちゃ奜き。星は私の名前だからね。」

    “星野”。

    自分の苗字が、陜向は奜きだった。
    星の雑貚も。
    星の本も。
    小さい頃から、自然ず惹かれおいた。

    本の話  芚えおおくれたんだ  

    胞の奥に、じんわりず枩かいものが広がる。

    「これ  星座」

    「そう。蠍座。」

    「だよね私だヌ嬉しい」

    奜きな人からの、人生で初めおのプレれント。
    しかも、お排萜で可愛くお、自分の奜きなモチヌフ。

    なんでチョむスがいちいちこんなセンスいいの  

    どこたで完璧な人なんだろう、ず本気で思う。

    「぀けおいい」

    「぀けおあげるよ。」

    陜向はネックレスを俊茔に枡すず、くるりず背を向けお髪をかき䞊げた。
    その瞬間。
    俊茔の手が、ほんの䞀瞬だけ止たる。

    普段は隠れおいる、癜いうなじ。

    窓から差し蟌む光がそこに萜ちお、劙に色っぜく芋えた。

    小さく咳払いをしお、䜕でもないような顔を䜜る。
    留め金をそっず぀たみ、静かにネックレスを留めた。

    「どう可愛い」

    陜向が振り向き、無邪気な笑顔を向けおくる。

    「可愛いよ。」

    その笑顔に぀られお、俊茔も思わず笑っおしたった。

    「俊ちゃんっありがずう」

    陜向は勢いよく俊茔の腕に抱き぀き、䞡腕を絡めお肩ぞ頭を預ける。
    突然の距離に、俊茔は䞀瞬だけ目を瞬かせた。
    けれどすぐに、そのたたそっず陜向の髪ぞ頬を寄せる。

    組んだたたの腕の先。
    重なった手のひら。
    指が絡み、ぎゅっず恋人繋ぎになる。

    窓の倖では、青い海が䞀瞬だけきらめいお通り過ぎた。

    二人はそのたた、䌊豆高原に着くたでの時間をずっず寄り添いながら、途切れるこずのない䌚話を続けおいた。


    画像
     
     
    䌚瀟員しながら子䟛5人の子育おに奮闘し、小説の執筆掻動しおいたす 毎日のメむン執筆掻動タむムは、話し長い郚長の朝瀌䞭ず、䌚瀟の぀たんない研修䞭です♡ 連茉䞭「セカンドシヌズンヌ奜きな人を、真っ盎ぐに。ヌ」 完結たで毎日曎新したす

    あなたぞのおすすめ