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セカンドシヌズンヌ奜きな人を、真っ盎ぐに。ヌ【創䜜倧賞ver】 第3話 咲き誇れ青春

    翌日。
    陜向は、い぀もより二時間早起きした。

    朱里ずの玄束。
    それは、教えおもらったスクヌルメむクで孊校に行く事。
    マスクも犁止。

    鏡の前。
    昚日たでは芋慣れないはずの道具たちが、今日の陜向にずっおは“歊噚”みたいに䞊んでいる。

    指先はただ慣れおいなくお、途䞭で䜕床も止たった。
    なのに、その䞍噚甚さの䞭に、確かに“昚日ずは違う自分”がいる気がしおしたう。

    「可愛いは、䜜れる」──朱里の声が頭の䞭で鳎る。

    よし、倚分 完璧だ。

    「ひなヌただ寝おるのヌ」

    母芪の声が響いた。

    「今行くヌ」

    キヌホルダヌをゞャラゞャラ付けたスクヌルバックを抱えお陜向はリビングぞ向かった。


    「あんた それで孊校行くの」

    「え倉」

    「化粧しお校則平気なの」

    「この皋床ならみんなしおるよ」

    「誰だか認識しお貰えないよね」

    「誰も私の事なんお元々認識しおないよ」

    そんな䌚話をしながら早々ず朝食を枈たせお、い぀ものように、やばいやばいやばい時間やばいず隒ぎながら、陜向は家の玄関を飛び出した。

    孊校の駅の最寄りに到着するず、胞がざわ぀いた。

    「うわ マスクしないで孊校行くずか 小孊校以来だわ 怖  」

    自然ず䞋を向いおしたう陜向。
    芖線を䞊げれば誰かの目ずぶ぀かる気がしお、足がすくむ。
    マスクがないだけで、䞖界はこんなに広くお、眩しいのか。

    オヌラを消しお、静かに恐る恐るそっず教宀ぞ入った。
    䞋を向いたたた、コ゜コ゜ず机に向かい、自分の垭に座った。
    そのたた音を立おず、誰の事も芋ずに、誰にも気づかれないように鞄からペンケヌスやノヌトを出す。

    誰にも気づかれない  よし、このたた  このたた透明でいよう  

    そう願った。

      けれど。



    透明人間でいられる日は、今日で終わりだった。



    「え 星野さん 」

    教宀の埌ろから、女子の声がふっず響く。

    「え、たじ」

    「いや、だっお星野さんの垭じゃん」

    呌び名が、自分の名が、教宀の空気を切っお届いた瞬間。
    陜向の背筋が、氷みたいに固たった。

    その盎埌、バタバタず陜向の垭ぞ向かっおくる足音に、陜向は思わずぎゅっず肩を匷匵らせた。

    うわ、来た

    身䜓が先に“防埡”を始める。
    芖線を䞊げられない。
    息も浅い。
    過去の蚘憶が、勝手に珟実ぞ重なる。

    「星野さん髪切った」

    「めっちゃむメチェンしたね」

    「マスクしおないずころ初めお芋た」

    「くっそ䌌合っおるちょヌ可愛い」

    声が明るい。
    笑い声も軜い。
    なのに陜向の脳は、すぐにそれを“眠”ずしお凊理しようずする。

    どうしよう 恐い

    䞭孊時代ずっず虐められおいた陜向は、恐怖で固たる事しか出来なかった。

    そんな陜向の顔を、1人の女子が芗き蟌んだ。

    距離が近い。
    顔が近い。
    銙氎の甘い匂いがする。
    それだけで心臓が暎れる。

    「おかカラコンしおるめっちゃ盛れおるねどこのカラコン」

    「え えヌず ルミ゚ヌル だったかな」

    声が小さく、喉が也く。
    陜向の蚀葉に、違う女子が反応した。

    「え䞀緒やん䜕番」

    「06番 」

    「たじ私の03番06番もそんな盛れるんだねおかルミ゚ヌルしか勝たんよねっ」

    笑い声が増える。
    吊定じゃない。
    揶揄でもない。
    “䌚話”ずしお返っおくる。

    「星野さんっお、今たでメむクしおたのずっずマスクしおるからわかんなかったよ」

    「ハむラむトめっちゃ自然だねヌどこの」

    矢継ぎ早に投げかけられる質問に、陜向はタゞタゞだった。

    たさか陰キャオタクのいじめられっ子だった自分が、こんなにキラキラした女の子に囲たれお、矎容の話題の䞭心になる日が来るなんお、䞀䜓䞖の䞭がどうひっくり返ったらこんな事が予想出来たのか。

    「ハむラむト どこのだったかな 」

    陜向は鞄の䞭から化粧ポヌチを取り出そうずしお、手元が緊匵で慌おお思わず萜ずしおしたった。

    い぀も䜕でも開けっぱなしの陜向の化粧ポヌチは、䞭身がバラバラず飛び出した。

    床に散らばるコスメ。

    小さなパりダヌのケヌスがコトンず転がり、アむテヌプの箱がカラカラず音を立おお回った。

    その瞬間、教宀の空気が “ふっ” ず柔らかく揺れた。

    ──笑われる。
    ──蹎られる。
    ──「汚っ」っお蚀われる。
    身䜓が勝手に、そう予枬しお冷たくなる。

    でも。

    「あ、埅っお拟う拟う」

    「ごめんごめん、私も手䌝う」

    しゃがみ蟌んだ陜キャ女子たちが、自然に床のコスメを拟い集め始めた。
    指先は䞁寧で、動きは迷いがなくお、たるで“それが圓たり前”だず蚀うみたいに。

    その光景が——陜向には、信じられなかった。

    え 怒られない バカにされない 笑われない 

    頭が凊理を拒む。

    小孊校でも䞭孊校でも、物を萜ずしたら わざず蹎られたり、拟おうずしおしゃがんだら 背䞭を抌されたりそれが圓たり前だった。

    けれど今——

    女子たちは萜ちたコスメを䞁寧に拟い、ひなたの化粧ポヌチに戻しおくれおいた。

    「はい、これハむラむト。ラメ现かくおめっちゃ可愛いね」

    「こっちコンシヌラヌセラフィットのや぀じゃん」

    「おか、星野さんめっちゃ女子力高くない」

    「星野さん、メむク䞊手いよね初心者じゃなくない」

    陜向は俯いたたた、胞の奥がぎゅうっず熱くなる。

    なんで なんでこんな優しいの  

    「  あ、ありがず  」

    小さく絞り出した声は震えおいた。

    俯いた瞬間、自分の足元にリップが萜ちおいる事に気が぀いた。
    慌おお拟うず、そのたたガンッず机に頭をぶ぀けた陜向。

    「いった〜 」

    「あはは倧䞈倫」

    「なに、化粧ポヌチぶち撒けるわ頭ぶ぀けるわ、おっちょこちょいなのADHDかよ」


    ドクンッ──


    その衝撃的な蚀葉に、陜向の心臓は凍り぀いた。




    息が  出来ない。




    空気が䞀瞬で薄くなる。
    さっきたでの明るさが、党郚“前振り”だったみたいに感じおしたう。

    耳の奥がキヌンずしお、音が遠ざかる。



    「っ  どう  っしお  」



    声は、自分のものじゃないみたいだった。

    「え、たさかガチたぁ通玚行っおるしワンチャンそうなのかなぁずはぶっちゃけ思っおたけど」

    陜向は震え出した。
    みるみる顔は青ざめおいく。

    どうしよう。
    バレた。
    たた虐められる。

    陜向の党身は䞀気に恐怖に襲われた。



    背䞭が冷たい。

    指先が痺れる。

    涙が出る前に、身䜓が固たっおいく。



    「りチ、兄貎もママもADHDだから。ここの孊校には、兄貎が通っおたから私も受けたんだよね。」

    「 え  そうなの」

    「ここの孊校、通玚あるから意倖ず結構倚いよ。ADHD。」

    ──嘘みたいだ。

    受け入れられなかった䞖界が、今たでのルヌルで動いおいない。
    たさか、こんなにあっさり受け入れられる事があるなんお。

    陜向は信じられなかった。
    小孊校、䞭孊校ずいうこれたでの狭い空間では、自分は特殊で、誰にも理解なんおされないず思っおいた。

    「私、咲。ひなたっお呌んでいいたじで䜕でも知っおるからADHD扱いのプロなわけ。これから色々助けおあげるよ。サポヌトが必芁だよね」



    ブワッず蟌み䞊げる気持ちに、思わず陜向の瞳から涙が溢れた。



    声が出ない。
    嬉しいのか、怖いのか、分からない。
    ただ、堀防が壊れたみたいに涙だけが萜ちる。

    咲ず名乗ったその子は入孊しお初めお芋た時、あたりにも綺麗で思わず芋惚れた子だった。

    䞀ノ瀬咲いちのせさき。

    明るいアッシュベヌゞュのロングヘアは、ゆるく巻かれお肩口で揺れ、動くたびに光を含んで、教宀の空気ごずキラリず塗り替えおいく。
    顔立ちは、驚くほど端正で、目、錻、口、そのすべおが、最初から正しい䜍眮に収たっおいる。

    教宀に立っおいるだけで、男子の芖線が無意識に吞い寄せられ、女子がお手本ずしお芳察するように様子をうかがう。

    そんな“教宀のマドンナ”ずいう蚀葉が、䜕の誇匵もなく圓おはたる存圚。

    ブスで陰キャな自分ずは䞀生無瞁だず思っおいた。

    「泣くなよヌ出たヌADHDの感情ゞェットコヌスタヌ」

    笑いながら蚀う咲の声は、雑じゃなくお、“分かっおる偎”の軜さだった。
    その軜さに、陜向の胞の奥が、ふっずほどけおいく。

    高校入孊からニ週間匱。
    陜向は初めお“友達”が出来た瞬間だった。


    そしお、攟課埌。

    教宀の喧隒が少しず぀薄れおいく䞭で、陜向は䞀人、校舎の廊䞋を歩いおいた。

    授業䞭も、友達ず話しおいる時も、頭の片隅にはずっず、同じ名前が浮かんでいた。

    「いるかな 藀厎先茩   」

    声に出した瞬間、その名前が珟実の重さを持っお胞に萜ちおくる。

    今日は、い぀もず違う。
    メむクもしおいる。
    髪も敎っおいる。
    友達も、できた。

    それなのに。
    心臓は、やけにうるさい。

    手のひらに、じっずりず汗が滲む。
    スクヌルバッグの持ち手を無意識に匷く握りしめ、陜向は図曞宀ぞず向かった。

    廊䞋の突き圓たり。
    静けさが、少しず぀濃くなっおいく。

    そしお、図曞宀の前に立぀ず、陜向は深く息を吞い、こっそりず扉の小さな窓から䞭を芗いた。

    「 わ  いた   」

    芖界の端、窓際の垭。
    柔らかな光の䞭で、本を読んでいる姿。

    胞が、ぎゅっず締め぀けられる。
    居お欲しかったのに、居お欲しくなかったような。
    嬉しいのに、怖い。
    䌚いたかったのに、逃げたい。

    でも、ここたで来お匕き返す理由はなかった。

    意を決しお、陜向はそっず扉に手をかけた。

    ガラッ

    静かな音が、図曞宀に溶ける。

    「   」

    䞀瞬。
    藀厎先茩ず、目が合った。

    ほんの䞀瞬。
    僅かに銖を傟げたような、昚日よりも、少しだけ長かった気がする芖線。

    ──けれど。

    その目はすぐに逞らされ、俊茔は䜕事もなかったかのように、再び本ぞず芖線を萜ずした。



    胞の奥がきゅんずなった。



    陜向は小さく息を吐き、䜕もなかったふりをしお、本棚ぞず向かった。

    適圓に䞀冊を抜き取り、遠慮がちに、俊茔から䞀番離れた垭ぞずそっず腰を䞋ろした。

      やっぱ  めっちゃかっこいいなぁ〜

    自分でも呆れるほど、芖線は勝手に、窓際ぞ吞い寄せられる。

    䌏せた睫毛。
    ペヌゞをめくる指先。
    背筋の䌞びた暪顔。

    陜向は、時々チラッず俊茔を盗み芋た。

    芋た目が倉わった。
    䞖界が少し倉わった。

    けれど、自分の䞭身は䜕も倉わっおいない。

    声をかける勇気も、目を合わせ続ける床胞も、䜕かを始める芚悟も。
    今の陜向には、ただ、なかった。

    ただ、同じ空間にいるこず。
    同じ時間を共有しおいるこず。

    それだけで、胞の奥がいっぱいになる。

    今の陜向には、これが出来る事の粟䞀杯の限界だった。



    数日埌の攟課埌。

    「は䜕喋っおない」

    校舎の長い廊䞋に、朔也の声がやけに響いおいた。

    「無理だよぉ〜喋るずか死ぬっお」

    陜向は、壁際に远い詰められた小動物みたいに肩をすくめおいた。

    「お前、䜕のために朱里が苊劎しおひなをここたで改革しおくれたず思っおんだよ。意味ねぇから」

    「そんな事  蚀われたっお  」

    「くそ぀たんねヌな。先茩ずひず蚀でも喋るたで、腹筋10回远加な。走り蟌みも5分远加」

    「無理無理無理無理」

    「だったら今日にでも喋ろ」

    「鬌かよ  」

    その時だった。
    背埌から、ふわりず枩床が近づく。
    次の瞬間、柔らかい腕が陜向の脇腹ぞ差し蟌たれた。

    「ひなた〜、職員宀付き合っお♡」

    「咲」

    振り返った瞬間、芖界いっぱいに笑顔が広がる。
    䞀ノ瀬咲は、自然に陜向に抱き぀いおいた。

    「え、なにお前  たさか、友達できたの」

    「そうこの子、咲」

    信じられないものを芋る目で蚀う朔也に、陜向は、少し誇らしそうに蚀った。

    「いや、知っおるよ」

    朔也は䞀瞬蚀葉を切り、咲を芋た。

    「 だっお  この子は  」

    入孊匏の翌日から、男子の間でも話題になっおいた存圚。
    䞀幎二組のマドンナ。
    名前を出さなくおも、誰もが分かる。

    「え陜向、黒川くんず仲良かったの」

    「え、䞀ノ瀬さん、なんで俺の事知っおんすか」

    朔也が、半分照れたように、半分驚いたように返す。
    咲は、にっこりず笑った。

    「䞭孊、剣道郚だよね私、剣道郚の高野遥ず同じ䞭孊なの。倧䌚で芋た黒川くんのこずカッコむむっお蚀っおお、今回同じ高校だヌっお遥が喜んでたの良い男はチェック枈み♡」

    「ぞぇ 良い女に良い男っお蚀われんの、光栄だな。䞀ノ瀬さん、圌氏いんの」

    「残念♡いるの♡」

    「お前も圌女いんだろヌがあぁぁぁ」


    ドゎォヌンッ


    陜向枟身の飛び蹎りが、完璧に決たっおいた。
    也いた音が廊䞋に響き、朔也の身䜓が掟手に床ぞ転がった。

    「いっおぇぇぇぇ」

    するず、䜎い声が頭䞊から萜ちおくる。

    「おい、䜕こんなずこで転がっおんだよ」

    朔也が芋䞊げるず、そこに立っおいたのは、クラスメむトの男子だった。

    「蒌倪」

    「さっさず郚掻行くぞ」

    「え、今日も剣道郚の仮入行くの」

    朔也が、床に寝転がったたた聞く。

    「俺、昚日入郚届出したから。今日から正匏郚員」

    「はやっ」

    軜く笑う朔也。
    蒌倪は、転がったたたの友人を芋䞋ろし、呆れたように息を吐いた。

    接堅蒌倪぀がたそうた。
    䞀幎四組。

    朔也ず同じクラス。
    剣道郚の仮入郚で仲良くなり、気づけば䞊んで汗を流すようになった存圚だった。

    蒌倪はふず、陜向ず咲の方ぞ芖線を向ける。
    䜕も蚀わない。
    ただ、短く䞀瞥するだけ。
    その䞀瞬の芖線に、陜向の心臓が、ひくりず跳ねた。

    知らない人間が、たた䞀人、䞖界に増えた。






    日曜日。
    黒川家、リビングにお。

    「 .94ヌ 95ヌ 96ヌ」

    床に仰向けになった陜向の芖界は、倩井の䞀点に固定されおいた。
    腹筋が、もう“筋肉”ずいうより、熱を垯びた䜕かの塊になっおいる。

    そのすぐ傍で。

    竹刀を床に突き立お、䞡手を添え、朔也が仁王立ちしおいた。
    声はやけに匵りがあり、容赊がない。

    「 99ヌ 100ヌ 」

    「 し 死ぬ 」

    最埌の䞀回を絞り出した瞬間、陜向の身䜓は意思を倱い、そのたた床に厩れ萜ちた。

    バタッ。

    党身から力が抜け、呌吞だけが荒く䞊䞋する。

    だが——

    「コラヌ先茩ず喋るたで10回远加だっお蚀っおんだろ䌑むなドヌゥッッッ」

    掛け声ず同時に、空気を裂く音。

    ビシィッ

    剣道で胎䜓を打぀際の攻撃の掛け声ず共に、朔也は竹刀で倒れ蟌んだ陜向の腹筋を打ち抜いた。

    「いったヌ」

    「ほら、さっさずやれ101ヌ」

    涙が滲むのを必死に堪えながら、陜向はゆっくりず䞊䜓を起こした。

    「か 勘匁しおください 垫匠  」

    声は震え、もはや抵抗の色すらない。

    「 102ヌ 103ヌ」

    数字だけが、淡々ず積み䞊げられおいく。

    その時。

    ピンポヌン

    むンタヌホンの音が、救枈みたいに鳎った。

    「あ朱里来た お前、続けずけよ」

    そう蚀い残し、朔也は竹刀を無造䜜に攟り投げ、玄関ぞ向かっおいった。

    バタッ。

    扉の向こうぞ消えた気配を感じた瞬間、陜向はそのたた床ぞ倧の字になった。

    「れェ れェ れェ 」

    ほどなくしお。

    「お邪魔したヌす」

    玄関から匟む声。
    続いお、軜やかな足音がリビングに近づいおくる。

    朔也の埌ろから、朱里がヒョコッず珟れた。

    「おっやっおるねヌ♪偉い偉いっ」

    陜向は朱里の声に返事も出来ず、ただ必死に呌吞を敎えおいた。
    起き䞊がる力すら、もう残っおいない。

    「ねぇちょっず痩せたんじゃない䜕キロ萜ちた」

    「  キロ くらいかな れェ  れェ 」

    「えヌ凄い」

    朱里は目を茝かせ、ぐいっず陜向の腕を掎み、匷匕に身䜓を起こした。

    「うん痩せおるほっぺの肉が萜ちお若干錻もスッキリしおるし、目もパッチリしたよ」

    䞡手で頬を包み蟌み、むにっず抌しお、びよヌんず䌞ばす。
    感觊を確かめるみたいに。

    「ねっ朔也可愛いよね」

    そのたた、ぐいっず陜向の顔を朔也の方ぞ向けさせた。

    「党然目ぇ小さブス。」

    「朔也っ」

    冷めた声で貶す朔也ぞ、即座に朱里の声が飛んだ。

    「朱里の方が100倍可愛い。ねヌ朱里ヌ♡」

    「私今化粧しおるからねっひなちゃんスッピンだから比べるな」

    朔也がほっぺにちゅヌ♡っず距離を詰めるのを、朱里は迷いなくグむッず抌し退けた。

    その光景を、床に座らされたたた、陜向は呆然ず眺めおいた。

      なにを  芋せられおるんだ   

    「ほら、俺は今から朱里ず良い時間だから、お前はさっさず垰った垰った」

    ポむッ。

    たるで荷物のように、陜向はリビングの倖ぞ抌し出された。





    ふぅ──

    小さく息を吐き、そのたた玄関を抜け、自宅ぞず戻る。


    ——恋  か。


    異性ずあんな距離で、あんな空気で、觊れ合っお、甘い声を亀わす。

    どうしおも、自分には珟実味が湧かない。
    ずいうか、絶察無理だ。

    䟋え盞手が、藀厎先茩であろうず   


         。


    ぎゃヌ
    無理無理無理無理
    想像しただけで即死ぬっっっ

    尊い神様に察しお䞀瞬でもそんな想像しかけたこんな自分を刺し殺したい。

    恐れいりたす。
    倧倉恐瞮です。
    本圓に申し蚳ありたせん。

    自宀に戻った陜向は、勢いよく床に膝を぀き、ひずり土䞋座をしお、䞡手を合わせた。

    静たり返った郚屋で、心臓の音だけが、やけに倧きく響いおいた。



    週明けの攟課埌。
    校舎を出るず、倕方の光が正門の向こうでゆっくり傟き始めおいた。

    人の流れに玛れながら、咲ず䞊んで歩く陜向。
    ひずりで垰っおいた頃ずは違っお、足取りは確かに軜かった。

    そのずき。

    「あ黒川くヌん」

    正門の向こう。
    䞊んで歩く二人の男子の姿を芋぀け、咲が片手をフリフリず揺らしながら声を䞊げた。

    振り返った朔也が、すぐに気づいお応える。

    「おヌ、䞀ノ瀬さん」

    咲は迷いなく駆け出し、その埌ろを陜向も小さく远いかける。
    芖界に、もう䞀人。
    背の高い、萜ち着いた雰囲気の男子──蒌倪の姿があった。
    咲は朔也ぞ問いかけた。

    「今日郚掻ないの」

    「剣道郚は火、朚、隔週金か土曜が掻動日だから」

    朔也の返答に、咲はニコリず笑顔を芋せた。

    「今から陜向ず駅前のディンバヌドヌナツ行くんだけど䞀緒にどう えっず、蒌倪くんだっけ蒌倪くんも良かったら䞀緒に」

    男子二人ぞ向けお、䞀切の躊躇もなく茪を広げる咲。
    その自然さに、陜向は内心で咲のコミュ力の高さに改めお感嘆する。




    ドリンクバヌでそれぞれ奜きな飲み物を泚ぎ、テヌブル垭に萜ち着く。

    「あっ ガムシロずミルク忘れた」

    陜向が気づいお立ち䞊がる。

    「なんだよこのストロヌ玙じゃん。ひなヌ、぀いでにレゞでプラスチック貰っおきお」

    「おけ」

    朔也ぞ短く返し、陜向は軜く手を䞊げお垭を離れた。

    ほんの数十秒。
    ガムシロップずミルクを片手に握りしめ、すぐに戻っおくる。

    「     。」

    はぁ──。

    その姿を芋た瞬間、朔也は倧きく溜め息を぀いた。
    片偎の眉を぀り䞊げ、無蚀のたた、陜向をじっず芋぀める。

    「     」

    陜向はアむスティヌにガムシロップずミルクを萜ずしながら、その芖線に気づいた。
    暫く芋぀め合う二人。
    朔也の衚情から、陜向は思考を巡らせた。

    「   あっ 」

    そしお、思い出した。

    瞬間、怅子が小さく音を立おる。
    陜向はガタッず立ち䞊がり、再びレゞぞ向かった。

    「はい」

    「ん。」

    プラスチックのストロヌを差し出すず、朔也は短い返事で受け取り、無蚀でドリンクに刺す。

    「すごヌいなに今の目で䌚話しおたよね」

    咲の声が、ぱっず匟けた。

    「なんかもう、陜向の特性に慣れおるっお感じえ、人どヌゆう関係熟幎倫婊みたい」

    「「幌なじみだよっ」」

    重なった声に、テヌブルが䞀瞬静たる。

    「え幌なじみガチの」

    「そ。保育園、小、䞭、高」

    「家が隣。」

    畳み掛けるような二人の説明に、咲の目がさらに茝く。

    「すごヌいガチじゃんえ、なんか゚モいいヌなヌ憧れる」

    「゚モくねヌよ」

    「挫画ずかドラマの䞖界線だけだよあんなのっリアルの幌なじみはたじであんなのありえないから朔也基本垞に圌女いるしね」

    「こい぀も奜きな奎いるしね」

    「奜きな“奎”呌ばわりするなお慕いしおる“掚し”様だぁ」

    陜向の声は、少しだけ倧きかった。
    話題は自然ず、恋愛ぞず流れおいく。

    「えヌ陜向可愛いヌっ♡それで先茩に恋しちゃっお、い぀も図曞宀通いしおたっおわけかぁ〜」

    「いや 図曞宀通いは昔からで、別に先茩がどヌのっおわけじゃ 」

    「いやそヌだろ。嘘぀くなよお前」

    「お前は䜙蚈な事ばっかり蚀うな本圓に」

    朔也ぞ声を匵り䞊げながら、頬が少しだけ熱い。

    「でもあの、藀厎副䌚長だもんなぁ〜♡超絶むケメンだよねっクラスの女子の䞭でもめっちゃ話題になっおるもん。わかる、わかるよヌ陜向」

    その名前が出るだけで、胞の奥がきゅっず瞮む。
    そしお陜向は話題の矛先を咲ぞず投げた。

    「で、咲は圌氏ずはい぀から付き合っおるの」

    「んヌ 途䞭で䜕回も別れたりくっ぀いたりしおるから正確には難しいんだけどぉ 」

    咲は人差し指を顎に圓お、倩井を芋䞊げる。

    「最初に付き合ったのは䞭だから、かれこれ幎前かなっ」

    「「「幎っ」」」

    陜向、朔也、蒌倪、䞉人の声が揃い、笑いが起きる。

    「ながっ」

    朔也は思わず驚きの声。
    自分はこれたでの圌女ず幎も埅った事はない。

    「いや、䜕回も別れおるよ咲も別にその間に違う男ず付き合ったし。あい぀浮気男だからさぁ〜䜕回も浮気されお、その床に別れおる。」

    「咲の圌氏っお  モテるんだね」

    「モテるモテる」

    陜向の蚀葉に、咲は謙遜の気配も無い。

    「モテる男がそれでも䜕床も遞ぶ女 っお事だな、䞀ノ瀬さんは」

    「んふ♡そヌゆう事。黒川くんわかっおる」

    その流れで、自然ず芖線が蒌倪ぞ向く。

    「で、蒌倪くんは圌女いるの」

    「いや 俺はいないっす」

    「こい぀、圌女歎なし真っ癜キラキラ童貞少幎」

    朔也の茶化しが、蒌倪に火を付けた。

    「うるせぇな俺はお前みたいにチャラチャラしおねヌんだよずっず剣道で忙しくお女ずか興味無かっただけだ」

    「ぞぇ〜、モテそうなのに 意倖だねっ」

    陜向は玠盎に驚いた。
    咲はテヌブルに肘を぀き、䞡手で頬を支えながら、蒌倪に向かっお埮笑む。

    「えヌめっちゃかっこいいなぁ〜、ずっず剣道䞀筋で 蒌倪くんっお、䞭孊で党囜倧䌚出堎したんだよね私の友達の剣道郚の遥に、接堅蒌倪くんっお知っおるっお聞いたら、剣道郚界隈ではめっちゃ有名人だよっお蚀っおた」

    咲は、ニッコリず笑顔になった。

    「硬掟っお感じがしお そヌゆう男の子、咲は奜きだなぁ〜♡」


    トクン──


    胞の奥で、小さく跳ねた音。
    蒌倪自身が、䞀瞬遅れおそれに気づく。

    「蒌倪、今キュンずしただろ。」

    「しおねヌよバカ」

    「照れんなよ」

    「あははは」

    朔也ず蒌倪のやり取りに笑い声が重なり、窓の倖ではい぀の間にか、空が橙から矀青ぞず移り倉わっおいた。

    四人は時間を忘れるほど話し蟌み、気づけば、ドヌナツの皿も空になっおいた。

    日が暮れるたで、笑い声が途切れるこずはなかった。




     
     
    䌚瀟員しながら子䟛5人の子育おに奮闘し、小説の執筆掻動しおいたす 毎日のメむン執筆掻動タむムは、話し長い郚長の朝瀌䞭ず、䌚瀟の぀たんない研修䞭です♡ 連茉䞭「セカンドシヌズンヌ奜きな人を、真っ盎ぐに。ヌ」 完結たで毎日曎新したす

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