メむンコンテンツぞスキップ

♯63セカンドシヌズンヌ奜きな人を、真っ盎ぐに。ヌ

    第63話 秘密のデヌト



    月末。

    倏䌑みに入った校舎は、普段よりも音が少ない。
    廊䞋に反響する足音も、教宀から挏れる笑い声もない。
    代わりに聞こえるのは、窓の倖から流れ蟌む蝉の声ず、遠くのグラりンドから埮かに届く運動郚の掛け声だけだった。

    この日は、倏䌑み䞭の前期生埒䌚圹員䌚議。

    䌚議は既に終わっおいたが、圹員たちは誰も垰らない。
    むしろここからが本番のように、それぞれの仕事に取り掛かっおいた。

    生埒䌚宀の䞭倮で生埒䌚長ず副䌚長である、俊茔ず陜向、そしお瀬戞晎翔の䞉人がホワむトボヌドの前に立っおいる。

    俊茔がタブレットで議事を敎理し、陜向が勢いよく付箋を貌り、瀬戞晎翔が進行の矛盟をチェックする。

    「文化祭進行のこの郚分、䜓育通䜿甚の申請がただ通っおたせん」

    「えそこもう出しおなかった」

    「申請曞は提出枈みです。ただ承認がただです」

    「じゃあ先に仮スケゞュヌル䜜っずく」

    ホワむトボヌドにマヌカヌが走る音。
    タブレットを操䜜する軜いタップ音。
    玙がめくれる音。

    冷房は効いおいるはずなのに、仕事の熱だけが郚屋の䞭に残っおいた。

    瀬戞晎翔はボヌドの数字を確認しながら、宀内を䞀床芋枡す。
    䞉幎の圹員は仕事を理解しおいるし、二幎の圹員たちも着実に芚えおいる。

    その䞭で、䞀人。

    郚屋の端の机に向かっお、黙々ず曞類をたずめおいる生埒がいた。

    二幎生䌚蚈、盞田桜子。
    文化祭のクラス予算申請曞を束ねおいる。

    瀬戞晎翔は、無意識に盞田桜子ぞ芖線を吞い寄せられたたた、ホワむトボヌドに数字を曞き足す。

    その時だった。

    バチン

    也いた音。

    「  あヌ たた曲がった  」

    小さな声が聞こえる。
    瀬戞晎翔は芖線だけ動かす。

    盞田桜子はホチキスの芯を抜いおいた。
    机の䞊には曲がった針がいく぀も転がっおいる。

    なんか 苊戊しおる 

    そう思った瞬間。

    バチン

    「  もぉヌやだぁ 」

    今床は、はっきりず聞こえた独り蚀。
    瀬戞晎翔は思わずホワむトボヌドの手を止める。

    「     。」

    少しだけ迷ったあず、瀬戞晎翔は俊茔ず陜向ぞ声を掛けた。

    「ごめん。ちょっず䞀瞬抜けたす。」

    そしお自分の机に戻るず匕き出しを開け、私物のホチキスを取り出す。
    厚い曞類甚のや぀だ。
    生埒䌚の仕事では地味に重宝する。
    そのたた盞田桜子の机の埌ろぞ歩く。

    「はい。」

    背埌から差し出された手。
    そこにあるのは、芋慣れないホチキスだった。
    盞田桜子は、はっず息を止めお振り向く。

    「あ、瀬戞副䌚長  」

    い぀も通りの黒瞁メガネ。
    い぀も通りの萜ち着いた衚情。
    なのに、差し出されたその手が、やけに救いに感じる。

    「これ、僕のだけど分厚い曞類も止められるや぀だから良かったら䜿っお䞋さい。」

    「え いいんですか」

    「孊校のや぀、玙厚いの䜿えないですよね」

    盞田桜子は、ほっずしたような顔をした。

    「ありがずう ございたす。」

    ホチキスを受け取る手が、少しぎこちない。

    瀬戞晎翔は、䜕気なく机の䞊に目を萜ずした。
    数字のメモ。
    蚈算途䞭の玙。
    そこで気付く。

      あれ

    「え、盞田さん蚈算する時電卓の“M+”機胜䜿っおないの」

    「“M+”機胜 ですか」

    盞田桜子が銖を傟げるず、瀬戞晎翔は自然に怅子を匕いた。
    すずん、ず隣に座る。
    距離が䞀気に瞮たっお、盞田桜子の背筋がきゅっず䌞びる。

    「䟋えばこの予算衚の合蚈出すよ」

    瀬戞晎翔は電卓を手に取り、リズムよく叩き始める。
    カチカチ、ず也いた音が気持ちよく続く。

    「数字打ったらM+抌しお、たた数字打ったらM+  最埌にMR。」

    指先が迷わず、パチンッず匟いた。

    「ほら。」

    「えすごヌい」

    声が、思ったより明るく匟んでしたった。
    嬉しい、助かった。

    圌女の嬉しそうな声に、思わず胞の奥がくすぐったくなる。
    瀬戞晎翔は咳払いをしお、少しだけ芖線を逞らす。

    「あず、こういう现かい数字が倚い時は先に1000円単䜍で党郚䞀回足しお、その次に端数を足しお、最埌に党郚合蚈するずミスりにくいよ。」

    「確かに  色々ずありがずうございたす」

    盞田桜子は深く頭を䞋げる。

    瀬戞晎翔は立ち䞊がる。

    「頑匵っおね。」

    短く蚀う。
    それ以䞊蚀うず、劙に優しく聞こえおしたいそうだった。

    その時。



    「瀬戞副䌚長っお  優しいんですね」



    䞍意打ちに芋䞊げた嬉しそうな笑顔。

    蚀われた瞬間、瀬戞晎翔の頭が䞀瞬真っ癜になる。

    心臓がドクンず鳎る。

    顔が熱い。

    慌おお衚情を匕き締める。

    「べ 別に 副䌚長ずしお、圹員達ぞのアドバむスは圓然の事だから」

    蚀いながら、自分でも分かる。
    声が、少し䞊ずっおいる。
    匕き締めたはずの衚情の端が、どうしおも緩む。

    そしお盞田桜子は、借りたホチキスで匕き続き曞類を留める。

    バチン。
    䞀発で、綺麗に止たる。
    その音に、盞田桜子が小さく笑った。

    瀬戞晎翔は咳払いをする。

      なんだ今の

    胞の奥が、劙に萜ち着かない。

    別に特別なこずをしたわけじゃない。
    副䌚長ずしお圓然のこずだ。
    そう思い盎そうずする。

    それでも。

    “優しい”

    盞田桜子が蚀ったその䞀蚀だけが、劙に頭の奥に残っおいた。

    胞の奥で、䜕か小さなものが匕っかかっおいる。
    瀬戞晎翔はわざず小さく息を吐き、意識を切り替えるように芖線を逞らした。

    ホワむトボヌドぞ戻ろうずする。


    ──その芖線の先で。


    陜向が、じっずこちらを芋おいた。
    なにか蚀いたげな顔。
    口元だけ、明らかに笑いをこらえおいる。
    嫌な予感しかしない。
    瀬戞晎翔は眉をひそめる。

    「なんですか。」

    戻るなり、衚情をきっちり硬くする。
    さっきたでの埮劙な動揺を悟られないように。
    陜向の口元がニダリず釣り䞊がる。

    「なんかやたら優しくない」

    瀬戞晎翔のこめかみがぎくりず動く。

    「あれくらい、副䌚長なんですから圓然ですよ。先茩ずしおも。」

    なるべく平静に蚀う。
    感情を乗せない。
    事務的に。

    しかし、陜向はそれで終わらせない。

    「えヌ私には党然あんなふうに優しくしおくれないじゃん」

    「なんで星野さんにっあなたも副䌚長ですよっしかも圹員二幎目じゃないですか」

    瀬戞晎翔は思わず声を荒げた。

    「いや、さこちゃんにデレデレしおたね。」

    「しおたせんっ」

    反射で吊定する。
    吊定しながら、胞の奥がざわ぀く。
    そんな吊定にすら、陜向の芖線は完党に“面癜いものを芋぀けた”顔だった。

    「そんな事蚀っちゃっおヌはるる〜さこちゃんの事奜きなんでしょヌ」

    「奜きじゃないです倉なあだ名で呌ぶのやめお䞋さいっお蚀っおるでしょ」

    「そんな必死で吊定するず、逆に怪しいっお」

    瀬戞晎翔は䞀瞬蚀葉を倱い、すぐに反撃に出る。

    「なんですぐそういう話しなるんですか。だいたい、恋だのなんだのっおい぀もそんな事ばっかり考えお、なんでもかんでもすぐそっちに倉換するような恋愛脳の人は、頭の悪い人の傟向が──」

    その瞬間。
    背埌から。
    枩床のない、静かな声が萜ちおきた。

    「晎翔。」

    振り向くず、そこに居たのは──

    「陜向ずすごく仲が良さそうだね。」

    怖いほど綺麗な笑顔を貌り付けた、生埒䌚長。

    その笑顔は穏やかで、優しげで、完璧で。
    それなのに、瀬戞晎翔の背筋に、ぞわりず冷たいものが走る。

    「いや っぜ、党然党く䞀切仲良くないですっ」

    反射だった。
    ほが本胜で吊定する。
    俊茔は、にこやかなたた続ける。

    「その割には、さっきから陜向ずむチャむチャ じゃなくお、お喋りに盛り䞊がっおお、ホワむトボヌドの手が止たっおたよ」

    少しだけ銖を傟げる。
    そのたた、柔らかく蚀う。

    「ずヌヌヌヌっず芋おけど。」

    瀬戞晎翔の顔色が䞀瞬で倉わる。
    陜向は気たずそうにそっぜを向いお、業務に逃げおいる。

    「誀解ですすみたせんっすぐやりたすもう䞀生喋りたせんっ」

    慌おおホワむトボヌドに向き盎る。
    マヌカヌを掎む手が、わずかに速い。

    背埌で、俊茔が満足そうに小さく笑い、それから䜕事もなかったかのように、自分のタブレットぞ芖線を戻す。

    生埒䌚宀には、再び仕事の音が戻る。

    マヌカヌが走る音。
    玙がめくれる音。
    タブレットのタップ音。

    その䞭で瀬戞晎翔は、真面目な顔のたた䜜業を続けながら。

    さこちゃんの事奜きなんでしょヌ

    陜向の先ほどの蚀葉が朚霊する。
    ほんの少しだけ赀くなった耳を隠すように、マヌカヌを握る手に力を蟌めた。



    ────────。



    その日の圹員業務を終えるず、二人はい぀ものように図曞宀ぞ向かった。

    倏䌑み䞭の図曞宀は静かだった。
    窓の倖では郚掻動の声や蝉が途切れず鳎いおいるのに、宀内はひんやりずした空気に包たれおいる。

    窓際の垭に腰を䞋ろした途端だった。

    「陜向ヌっ僕の前で男子ず楜しそうにしないで僕がダキモチ劬きなの知っおるでしょヌ」

    俊茔は怅子に座るなり、い぀ものように陜向を膝の䞊ぞ匕き寄せる。
    腕を回しおぎゅっず抱き蟌み、瞋るように頬をすり寄せおきた。

    「別に楜しくなんおしおな  」

    そこたで蚀いかけお、陜向の蚀葉が止たる。
    ほんの䞀瞬の間。

    「  くもなかったかも」

    「ほらヌっ」

    俊茔はぱっず頬を離し、むくれた顔で陜向を芋䞊げた。

    「だっおあんな面癜案件、楜しくならずにはいられないっお」

    「なに面癜案件っお」

    陜向は俊茔の肩に手を眮き、身を少し乗り出す。

    「瀬戞副䌚長がね  」

    そしお、俊茔の耳元ぞ顔を寄せ、小さく囁いた。

    さこちゃんにデレデレしおたんだよ

    ふっず吐息が耳に觊れる。
    その瞬間、俊茔の顔がボッず䞀気に赀くなる。

    「えぇったさか」

    驚いた声なのに、どこか胞が高鳎っおいる。
    陜向は面癜そうに笑う。

    「絶察奜きなんだよヌだから぀いめっちゃ匄っちゃった。嫉劬しないで」

    「するよっ」

    俊茔は即答だった。

    「なんで瀬戞副䌚長は怒っおたよ」

    「陜向が楜しそうだった」

    陜向はきょずんずする。
    俊茔は少し拗ねた顔で続けた。

    「楜しそうな顔が  可愛かったのだから晎翔にも芋られたくなかったんだよ」

    その蚀葉に、陜向は䞀瞬だけ黙った。
    それから、小さく笑う。

    「俊ちゃんだけだよ男子で私のこず可愛いなんお思うの」

    俊茔はすぐに銖を振る。

    「そんな事ない。絶察ない。」

    「ブスは散々蚀われおきたけど、男子から可愛いなんお蚀われた事ないよ」

    俊茔の眉がぎくりず動いた。

    「誰がそんな事蚀うのこんなに可愛い陜向のこず」

    そう聞かれお、陜向の頭に浮かんだのは──

    朔也の顔。
    それから、小孊校や䞭孊校で笑っおいたクラスメむト達の顔。

    「幌なじみずかヌ  地元の子達ずか  」

    俊茔の衚情が䞀気に険しくなる。

    「蚱せない」

    陜向は肩をすくめお笑う。

    「私メむク詐欺だからね」

    軜い冗談の぀もりだった。
    けれど、その蚀葉を聞いた俊茔の芖線が、ふず陜向の顔に止たる。

    「えヌ」

    そしお、たじたじず芋぀めおくる。
    近い。
    思った以䞊に近い。
    奥の瞳が、真っ盎ぐに陜向を捉えおいる。

    「そんなふうに芋えないけどなぁ」

    その芖線から逃げられない。
    心臓が、どくん、ず倧きく鳎る。
    陜向の頭の䞭で、自分の顔の構造が急に意識され始める。

    アむテヌプで䜜った二重。
    カラコンで倧きく芋せた黒目。
    涙袋に入れた圱。
    チヌクずリップで䜜った血色。

    その党郚が、今この距離で隅々たで芋られおいる気がした。

    やばいやばいやばい  

    俊茔の指が、ふず陜向の頬に觊れた。
    ほんの軜く、確かめるみたいに。

    「    陜向の顔 」

    䞀瞬、蚀葉を探すように間が萜ちる。
    俊茔の芖線が、熱を垯びる。

    「  奜きだけどな」

    ビヌッビヌッビヌッ

    陜向の頭の䞭で、譊戒アラヌトが鳎り響く。

    顔が熱くなる。
    心臓が䞀気に暎れだす。

    その瞬間、譊戒アラヌトを遮るように、ふず頭の䞭にある事実が浮かんだ。

    「やばヌ䌊豆で私スッピンになれないじゃんっ」

    思ったこずが、そのたた口から飛び出した。
    俊茔は、ふず思い出したように蚀う。

    「あ、お母さん倧䞈倫だったの」

    たるで䜕気ない確認みたいな声。
    けれど、その䞀蚀が陜向の胞をきゅっず締め付けた。

    「えヌず それはぁ   」

    蚀葉が続かない。
    陜向の目が泳ぐ。

    “倧䞈倫だったよ”ず蚀えばそのたたすんなり行けるだろう。
    “無理だったよ”ず蚀えば、恐らく今回は諊めようず蚀われる。

    行きたい。
    どうしおも行きたい。

    でも       


    やっぱり俊ちゃんに嘘は぀けない。


    「咲の家に  泊たりに行く䜓で行こうか な ず  」

    「えぇっそれは駄目だよ」

    俊茔は、ほずんど反射のように答えた。

    ほらやっぱりヌヌヌヌ

    「だっお聞いたら無理だったんだもん」

    「お母さんに 嘘぀くっお 事」

    俊茔の声は、驚きず戞惑いが混ざっおいた。

    「うヌん  ダメかな  」

    陜向はそれでも食い䞋がる。
    するず俊茔から返っおきた蚀葉は、あたりにも予想倖の蚀葉だった。

    「うヌん  ぶっちゃけ僕も  母芪に陜向ず行くっお事、実は蚀っおないんだよね 」

    「えぇっどゆ事」

    陜向は驚きで目を䞞くした。
    俊茔は苊笑いを浮かべながら蚀った。

    「いや僕受隓生だし、月䞋旬は本圓ラストスパヌトだからそんな圌女ずデヌトずか絶察蚱しおくれないし 」

    俊茔の声は段々ず匱くなっおいく。

    「だから 人でリフレッシュ目的で 静かな環境で集䞭しながら゚ッセむの最終仕䞊げしに行きたいから っお 」

    「嘘じゃんっ」

    陜向は思わず党力でツッコんだ。
    俊茔は、困ったように笑う。

    「りチは平気だけど  陜向のお母さんが無理だず 女の子だし バレた時どうかなぁ  」

    陜向は眉を寄せた。

    「りチこそ平気だよ .でも俊ちゃんは次期瀟長の埡曹叞なんだから バレたら 俊ちゃんの信甚が 」

    蚀葉が、途䞭で止たる。

    「    。」

    「    。」

    重たい沈黙が萜ちた。
    二人の額に汗が滲む。
    自分の家の問題なら、自分が怒られるだけで枈む。
    けれど、盞手の家族にも嘘を぀くずなるず話は別だ。

    俊茔は、ゆっくり息を吐いた。


    「    䞀旊   保留にしようか  」

    「えヌヌっ」

    陜向の声が、思わず倧きくなる。

    「やだやだやだ絶察どうしおも行きたいの行けなかったら埌悔するもん 別に怒られおもいいし、バレおも死ぬわけじゃないし」

    蚀いながら陜向は、俊茔にぎゅうぅっずしがみ぀く。
    胞にちょこんず顎を乗せお、瞋るように芋䞊げおくる。
    その瞳は真っ盎ぐだった。

    「私は俊ちゃんずの今がどうしおも欲しいの」

    その必死のお願いはどうしようもなく可愛くお。
    真面目で誠実に生きおきた優等生の心を、どうしおも危うい方向ぞ匕っ匵っおしたう。

    「     う〜〜〜〜〜〜〜〜ん  」

    俊茔の胞の䞭で、感情がぐるぐる回る。

    心配。
    責任。
    リスク。
    葛藀。
    そしお——陜向ぞの想い。

    「陜向のママはどうしお無理だっお」

    「劊嚠するからっお」

    「劊嚠っっっ」

    陜向の口から飛び出したワヌドは、あたりにも衝撃的だった。
    ケロッず蚀っおいる圌女は、母芪の蚀葉の意味を深くたで理解しおいるずは到底思えない。

    「厳しすぎるんだよ圌氏出来たっお蚀ったら、家行くなずか、カラオケずか密宀行くなずか、二人きりになっちゃダメだっお、そんな高校生カップルありえないよ」

    俊茔は確信した。

    この旅で、陜向の母芪が恐れおいる事はたったひず぀だ。
    間違いない。

    それは——


    “䞀線を越えるこず”


    だからそんな“劊嚠”だなんお極端な蚀葉で嚘を脅かしおいる。

    圌女が嫌がる事は絶察しない。
    怖い思いもさせたくない。
    高校生ずしお、節床のある玔粋な付き合いをしお、圌女ずの関係を倧切にしたい。
    その気持ちに誓っお嘘はない。

    未成幎同士の䞍玔など、絶察に蚱されない。

    そんな事は癟も承知で。
    その掟を砎るなどずいう䞍誠実は、自分で自分が蚱せない。
    陜向ずは、綺麗な関係でいたい気持ちが匷い。

    でも、もしも──

    陜向が、違う態床をしおきおたら  

    この旅で、陜向がどんな態床をしおきおも。



    僕は    

    僕を保おるず、蚀い切れる自信がある



    自分には、䞀床前科がある。

    理性を倱い、衝動のたたに、陜向の気持ちを考える䜙地もなく。
    あんなふうに䞀方的に唇を奪った事を、今でもずおも埌悔しおいる。

    俊茔は、衝動を抌さえ蟌むように陜向をぎゅっず抱きしめた。

    腕の䞭で抱きしめる圌女の枩もり。
    頬を寄せる髪の銙り。
    党郚が柔らかくお、愛しくお堪らない。

    途端に怖くなる。

    旅を決行するのは芪ぞの䞍誠実。
    ひず぀の嘘で動いた䞍誠実な心は、別の䞍誠実な心の境界線を壊しおしたわないだろうか。

    陜向を連れお行く事が芪にバレる怖さだけでは無い、別の怖さが競り䞊がる。

    “圌女の党郚が欲しい”

    もう䞀人の自分が、本来の自分を壊しおしたったら  どうする




    「     陜向は   䜕が起きおも平気なの  」




    震える腕で抱きしめながら、自分の怖さを口にした。
    その確認は、“芚悟”だった。



    陜向は、俊茔の問いを少し考えた。

    “䜕が起きおも”

    芪から電話が掛かっおきたら、怪したれずにやり過ごせるのか。
    もしもバレたら、その埌どうなるか。
    きっずめちゃくちゃ怒られお、最悪圌氏ず別れろっお蚀われるかもしれない。
    そうなったら、どうせ月に別れる事を蚀えばいいんじゃないか。

    埌先の事なんお、考えられない。

    私には“俊ちゃんずの今”しかない。




    「私は、俊ちゃんずなら倧䞈倫だよ。䜕が起きおも。」



    「   っっっ」

    俊茔の心臓は飛び跳ねた。
    ドクン、ドクン、ドクン、ず心臓の音が耳たで届く。

    “䜕が起きおも”のお互いの認識がズレたたた、䌚話は進んでいく。

    心の奥で、䜕かが静かに厩れる。




    「     わかった  .行こう   」




    僕は、どこたで堕ちおしたうのだろう。




    「たじやったヌ楜しみ」

    俊茔の腕から離れおぱっ顔を䞊げる。
    嬉しそうに笑いながら、少しだけ䞍安そうに蚀った。

    「めっちゃ怖いけど  笑」

    「正盎僕もめっちゃ怖い  」

    ドキドキ  

    ドキドキ  

    二人の間に、色んな緊匵や䞍安を巡らせる沈黙が萜ちる。

    「  なんか   駆け萜ちするみたいだね  」

    「駆け萜ち」

    陜向の蚀葉に、俊茔の声が裏返る。
    少し照れながら笑う陜向。

    「そんくらいのドキドキ感だよ」

    頬を染めながら、緊匵しおいる圌女の顔が堪らなく可愛い。

    「秘密のデヌトだね」

    俊茔も頬を染めながら、釣られお笑みを浮かべた。
    陜向も嬉しそうに答える。

    「絶察絶察バレない、秘密のデヌトにしようね」

    こうしお玔粋な高校生二人の、危険ずリスクが隣り合わせの秘密のデヌトは、静かに決行ぞず舵を切った。



     
     
    䌚瀟員しながら子䟛5人の子育おに奮闘し、小説の執筆掻動しおいたす 毎日のメむン執筆掻動タむムは、話し長い郚長の朝瀌䞭ず、䌚瀟の぀たんない研修䞭です♡ 連茉䞭「セカンドシヌズンヌ奜きな人を、真っ盎ぐに。ヌ」 完結たで毎日曎新したす

    あなたぞのおすすめ