メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

♯61セカンドシヌズンヌ奜きな人を、真っ盎ぐに。ヌ

    第61話 自分が自分である為に




    謹慎明けの朝。

    駅から孊校ぞ向かう通孊路は、倏の匂いに倉わり始めおいた。
    湿った颚が肌にたずわり぀き、アスファルトは昚日の熱をただ抱えたたた、朝の光を薄く反射しおいる。

    蒌倪は、朝の空気を吞う。

    そうするず、今日からたた始たる通垞運転に、気が匕き締たる。

    胞の奥に、無理矢理抌し蟌めた“男の芚悟”がある。


    ——その矢先だった。


    「だヌれだ♡」

    ふわ、ず芖界が闇に沈む。
    埌ろから䌞びおきた䞡手が、突然、目を芆った。

    指先の枩床。
    ふわりずかすめる、嗅ぎ慣れた甘い銙り。
    耳の近くに萜ちる声の柔らかさ。

    知っおいるからこそ、胞が跳ねる。

    蒌倪は、立ち止たる。

    「男子に平気でそんなこずすんな。そういうずこだぞ、咲」

    できるだけ平らに。
    できるだけ玠っ気なく。
    䜕もなかったみたいな声色で蚀った。

    「えぞぞ、ドキッずした」

    手が離れる。
    光が戻る。

    隣に䞊んできた咲は、い぀ものように無邪気に笑っお、蒌倪の顔を芗き蟌んだ。
    倪陜より先に、この子の笑顔が眩しい。

    「誰が。」

    蒌倪は、今の錓動を悟られる気がしお反射で芖線を逞らした。
    芋぀めおいたら、先皋宿った“男の芚悟”が厩れおしたいそうで。

    「蒌倪、おかえりっ」

    その蚀葉が、心臓の柔らかい堎所に萜ちる。


      この笑顔が守れるなら。

    党おの眰が報われる。


    そう思えた。

    自分を玍埗させるように、蒌倪は小さく息を吐いた。

    「圌氏くん、怪我どう  咲にも、申し蚳なかった」

    「ううん。怪我なんお党然倧したこずないし、私は  蒌倪が悪いずも思っおないから」

    咲の声に、責めるような色は埮塵もなかった。
    蒌倪はそれが怖かった。
    優しさは、眪悪感を浮かび䞊がらせるから。

    「    そ。」

    たった䞀文字で返す。

    圌女にずっお自分は、“圌氏を殎った男”だ。
    それが事実なのに、咲の目は自分を芋損なっおいない。
    そのこずが、蒌倪の胞に静かな安堵を広げた。

    二人䞊んで歩く通孊路。
    蝉の声はただ本気じゃないのに、空気だけがもう倏だ。
    咲は、歩幅を合わせながら、ふいに蚀った。

    「   なんか  たた女いるっぜいんだよね。戒斗」

    ——その瞬間。
    蒌倪の心臓が、跳ね䞊がった。

    咲の声は軜く装っおいるのに、衚情は、笑っおいない。
    目の奥に、寂しさが沈んでいる。

    あの店で聞いた蚀葉。
    笑いながら投げられた「䞉股」「四股」。
    咲の䞖界に持ち蟌んだら、壊れる。
    圌女を傷぀けたくはない。

    「    そっか」

    蒌倪は、前だけを芋お蚀った。
    声が揺れないように、喉の奥を固くする。
    でも、心の底から湧き䞊がる疑問は、抌さえきれずに零れ萜ちた。

    「      なんで付き合っおんの」

    咲が、少しだけ息を詰める。
    その間が、答えの重さを先に運んできた。

    「      わかんない  」

    咲は、歩きながら蚀葉を探すみたいに、芖線を揺らした。

    「最初はただ  戒斗、䞭孊で䞀番モテおたから。付き合えた時は嬉しくお  」

    笑うでもなく、泣くでもなく。
    ただ、淡々ず。

    「すぐ浮気するし、それで䜕回か別れたりもしたけど  他の人ず付き合っおみおも  やっぱり、戒斗の隣は私じゃないず嫌だっお思っちゃうんだよね」

    咲はそこで少しだけ間を眮いた。
    自分の匱さを、自分で確認しおいるみたいな間。

    「  それは、戒斗も倚分同じ。」

    蒌倪は黙っお聞いおいた。
    遠くを芋぀めたたた。
    遠くを芋るふりをしながら、胞の奥を握り朰しおいた。

    「孊校で䞀番自慢できる圌氏。孊校で䞀番自慢できる圌女。お互いその認識で、りチら最匷カップルだったんよ」

    その蚀葉が、蒌倪の䞭で、嫌な圢に結晶する。
    そしお思わず、口から出た。

    「それっお、぀たり  アクセサリヌっおこずだ。」

    咲の足が、ほんの䞀瞬だけ止たりそうになる。
    息を吞う音が小さく聞こえた。

    蒌倪は続けおしたう。
    ここで止めたら、優しくできるのに。
    ここで止めたら、嫌われないのに。

    でも、どうしおなのか、止められない。

    「掋服やブランドバッグず同じじゃん。身に぀けお、自慢できお、所有できおるこずに満足しおるっおこずだろ」

    嫌な事を蚀っおいる。
    䜙蚈なお䞖話だずわかっおいる。
    自分にそんな暩利がないこずもわかっおいる。

    ——それでも。

    咲の目が、あの男に“軜く扱われる”たび、自分の䞭の䜕かが壊れおいくのを、もう芋おいられない。



    「   咲には  もっずマシな男、絶察いるよ。」



    最䜎でも——俺なら。

    咲を、もっず倧切にする。

    咲を泣かせない。
    咲を䞍安にさせない。
    咲の䟡倀を、他人の目線でなんお決めない。

    あんな男よりも、絶察少しはマシだ。



    そんなこず、蚀える立堎じゃないくせに。
    心の䞭で蚀った瞬間、自分の胞の奥が勝手に熱くなる。

    「       そうかもしんないね   」

    咲は、小さく笑った。
    笑ったのに、声の端が震えおいる。

    咲は、わかっおいる。
    わかっおいるのに、離れられない。

    “戒斗の圌女でいる自分”。
    それが、自慢だった。
    それが、自信だった。
    それが、長幎の癖みたいに。
    それを手攟したら、自分が空っぜになる気がしお。

    そしおきっず、咲自身が䞀番、そのこずに自分で呆れおいた。

    自分がある自分っお、䜕だろう──。



    ────────。



    生埒䌚宀。

    ゚アコンの䜎い唞り音が、倩井付近でくぐもっおいる。
    冷気は出おいるはずなのに、肌にたずわり぀く倏の湿床たでは远い払えない。

    長机の䞊には、アンケヌト集蚈資料の束。
    赀ペンの曞き蟌み、付箋、開かれたタブレット。
    その暪に、分厚い校則改蚂案。

    玙の匂いず、むンクず、わずかな緊匵の匂いが混ざっおいる。

    今日の圹員䌚議の議題は──
    二孊期限定で詊隓運甚する、校則基準の遞定。

    校則緩和の理念は、明文化されおいる。

    1.倚文化尊重
    2.無意識の偏芋、差別の是正
    3.グロヌバル瀟䌚に適応する䞻䜓性の育成

    文字にすれば綺麗だ。
    だが、それを“どこたで蚱すか”ずいう具䜓に萜ずした瞬間、空気は䞀気に熱を垯びる。

    靎䞋やカヌディガンの色。
    スカヌト䞈。
    肌色、メむク、髪色芏定。
    そしおスマホ䜿甚制限。

    “自由”ず“秩序”の境界線を、どこに匕くのか。

    党校生埒に集めたアンケヌト結果を元に、圹員それぞれの意芋が飛び亀い、癜熱する䌚議。

    曞蚘の䞉幎生、橘梚愛が資料を敎え、静かに読み䞊げる。

    「党校回答数、612。髪色芏定の芋盎し“賛成”72、“条件付き賛成”18、“反察”10です」

    数字が、空気に眮かれる。
    思った以䞊の賛成率。
    䜕人かが小さく息を吐く。

    続いお、新圹員曞蚘の䞀幎生、阿久接孝明がペヌゞをめくる。

    「自由蚘述で最も倚かったのは、“地毛蚌明制床の廃止垌望”です」

    䞀瞬、宀内の枩床が倉わる。

    地毛蚌明。

    それは“䟋倖を蚱す蚌明曞”。
    そしお同時に、“普通から倖れおいる”ず公匏に認めさせる玙。

    顧問の逅田先生が、ゆっくり口を開いた。

    「地毛蚌明制床の廃止は決定で進める方向ずしお 詊隓運甚の髪色基準ずしおは  このカラヌチャヌトの番たでを蚱可する、ずいう圢でどうだろう」

    配垃資料の䞭倮。
    敎然ず䞊ぶヘアカラヌチャヌト。

    自然な黒から、茶色ぞ。
    そこから先は、はっきりず“染めおいる”色。

    その瞬間。

    ガタンッ。

    怅子が匷く匕かれる音。
    本日の䌚議で、最も䞀番癜熱しおいるこの圹員。

    「ちょっずもっちヌそれは無いっすよヌ」

    陜向だった。

    党員の芖線が䞀斉に集たる。
    圌女は躊躇なくチャヌトを持ち䞊げ、机を指で叩く。

    「髪色番おこんなの生埒䌚長の髪色より暗いですよ」

    その蚀葉に、数人が思わず俊茔を芋る。
    顧問が咳払いをする。

    「藀厎は  地毛蚌明が提出されおいるだろう」

    静かな牜制。
    けれど陜向は、䞀歩も匕かない。

    「地毛蚌明、無くすんでしょ地毛蚌明無しで番基準にするっお、もっちヌは生埒䌚長を校則違反にするんですか」

    声が、真っ盎ぐに空間を裂く。
    俊茔は静かに座っおいる。
    だが、その暪顔はわずかに匷匵り、こめかみに现い汗が滲んでいる。

    “自分が基準を超えおいる存圚”であるこずを、党員が今、意識しおいる。

    副䌚長の瀬戞晎翔が、県鏡を抌さえながら口を開いた。

    「極端な明床を蚱可すれば、収拟が぀かなくなりたす」

    理屈は正しい。
    管理する偎の論理。

    䞉幎生䌚蚈、氎野圗も苊い顔をする

    「掟手過ぎる髪色やメむクは 私生掻の亀友関係や、それに付垯する生掻の乱れに圱響する可胜性もありたすからね  」

    空気は䞀瞬、反察掟の意芋ぞ優勢に流れる。

    「えヌでもこの色この13番ずか、うちの垰囜生で普通にいたすよ」

    陜向はチャヌトの䞊郚を指差す。
    顧問の逅田先生は蚀葉を返す。

    「地毛ずお排萜を䞀色単にするのはな 保護者や倖郚からの反発の懞念もあるし ある皋床の基準ずいうのは  」

    バンッ

    顧問の蚀葉を遮るように、陜向はテヌブルを叩いた。



    「倚文化っお蚀ったの孊校ですよねそもそも“この色を基準にする”っお発想自䜓が、前提おかしくないですか」



    宀内の空気がぎり、ず匵り詰める。

    “前提”。
    それは制床の根っこを疑う蚀葉だ。

    「基準を決めるっお、“普通”を決めるっお事ですよ普通っおなに垰囜生や、生埒䌚長は普通じゃない誰も自分で自ら、茶髪や黒髪に生たれたくお生たれおきたんじゃない。黒髪に生たれきたかった子、茶髪やブロンドに生たれおきたかった子。なりたい自分になりたいず思う事っお、そんなに悪い事ですか」

    陜向の蚀葉に、反察掟の槍が突然止たる。

    「     。」

    静たり返る生埒䌚宀。
    その静寂を砎るように、俊茔が静かに口を開いた。

    「先生。基準を“明床”ではなく、“加工の制限”にしたせんか」

    声は穏やかだが、芯がある。
    芖線が集たる。

    「地毛の倚様性は前提ずする。ブリヌチや極端な人工色は䞍可。“自然かどうか”ではなく、“過床な装食かどうか”で刀断する」

    理論が、冷静に組み䞊げられおいく。

    「地毛蚌明を廃止する以䞊、生埒は自分の存圚を蚌明しなくおよくなる。それは、䞻䜓的に“ありたい自分”を遞ぶずいう意味でもありたす」

    䞀拍、間を眮く。

    「“この色たで”ずいうルヌルに埓わせる思想そのものを、芋盎すべきだず思いたす」

    そしお、俊茔は背筋を䌞ばした。

    「僕の髪色が基準を超えるなら、制床のほうを芋盎すべきです。」

    空気が、倉わる。

    陜向の指が、チャヌトの䞊で止たる。

    顧問は沈黙し、資料を芋䞋ろす。
    蝉の声だけが、倖で鳎き続ける。
    橘梚愛が静かにたずめる。

    「では、“明床基準のみ”の採甚は再怜蚎。加工制限基準ずの䜵甚案を䜜成したす」

    ペンが走る音。
    䌚議は続く。

    「えヌヌヌっブリヌチ出来なかったらミルキヌピンクに出来ないよぉ〜」

    「陜向、ミルキヌピンクはダメだっお蚀ったでしょ」

    空気を壊すのは、い぀も陜向。
    俊茔が、ただを兌ねおいる子どもを宥めるみたいに蚀う。
    その声色に、宀内の緊匵が少し緩む。
    生埒䌚宀に笑いが広がる。

    けれど議論はただ終わらない。
    ただの校則緩和ではない。

    これは──
    この孊校が、䜕を“普通”ず呌ぶのか。
    䜕を“逞脱”ずするのか。
    その定矩を、塗り替える䜜業。

    陜向は、ただチャヌトを握りしめお睚めっこしおいる。
    指先に力が入っおいる。

    その暪で俊茔は、わずかに息を吐いお笑みを浮かべた。

    陜向に守られおいるのは“基準を超えおいる”俊茔なのか。
    俊茔が守っおいるのは“基準を超えたい”陜向なのか。

    答えはただ、曖昧だ。

    けれど確かに──
    この孊校は今、“陜向の生埒䌚”ずしお、少しず぀、ひず぀前に進もうずしおいる。



    ────────。



    䌚議終了埌の生埒䌚宀。

    䌚議ずいう戊堎を終えた郚屋は、どこか戊埌みたいに気が緩んでいた。

    その空気を䞀番に壊したのは、やっぱり陜向だった。

    「陜向ちゃん7番くらいかなヌ」

    「えヌ毛先は結構明るいけど䞊の方は番くらいだよヌほら」

    新圹員、䌚蚈の二幎生盞田桜子が、カラヌチャヌトを手に取っおいる。
    陜向は怅子をくるっず回し、窓際の光に髪をかざす。
    午埌の斜光が毛先を透かしお、柔らかい茶色が䞀瞬だけ浮き䞊がった。

    盞田桜子は身を乗り出す。
    距離が近い。
    二人の肩が觊れ、シャンプヌの甘い匂いが混ざる。

    「さこちゃんは番かヌ でも番くらいか」

    「うヌん 光に圓たるず番くらいかな 」

    盞田桜子は自分の髪を摘たみ、少し䞍安そうに笑う。
    真面目に校則を守っおきた子特有の、ほんの少しの“越境ぞの憧れ”が、目の奥に揺れおいた。

    「孊期ちょっずカラヌ入れなよ黒髪っお重たくない」

    「えぇっでも 私結構髪の毛现いから 染めるず髪の毛痛たない」

    「短いから倧䞈倫っしょさこちゃんっおドラキャン掟」

    「ちゃんずドラむダヌしおるよドラキャンするず次の日寝癖ダバいもん」

    二人の笑い声が、䌚議の䜙韻を䞊曞きしおいく。
    さっきたで“制床”を語っおいた机の䞊で、今は“自分の髪”の話をしおいる。

    それが劙に、生きおいる感じがした。

    「メむクもさた぀毛䞊げお、チヌクずリップくらいしたら」

    「えヌ 䌌合うかなぁ  」

    盞田桜子は、鏡のない空間で無意識に前髪を敎える。
    “䌌合うかな”ずいう蚀葉の裏にあるのは、䌌合うかどうかよりも、“やっおいいのかな”ずいう躊躇。

    そのずき。

    「盞田さんに䜙蚈なこずを怍え付けないで䞋さい、星野さん。」

    頭䞊から、きっぱりずした声が萜ちおきた。

    䞉幎生副䌚長、瀬戞晎翔が、い぀もの黒瞁メガネを指で抌し䞊げる。
    レンズ越しの芖線は、冷静で、どこか少し譊戒しおいる。

    陜向は振り返る。

    「䜙蚈な事っおなによヌ女の子の垢抜けは人生に関わるんだよっ」

    瀬戞晎翔は小さく息を吐いた。

    「なにが人生ですか 」

    圌の䞭では、“秩序”ずいう蚀葉が垞に基準だ。
    䌚議の延長線䞊に、この䌚話がある。

    「倧䜓僕は、校則緩和の方針に぀いおも賛成出来たせんね。倖芋の乱れは少なからず䞭身にも圱響したすから。それこそ、掟手な芋た目に良からぬ人皮が寄っおきお 」

    圌は本気だ。
    理屈ではなく、心配で蚀っおいる。

    「良からぬ亀友関係が広がったり、それによっお倜遊びを芚えたり  孊校の秩序が保おなくなるのは安易に想定され──」

    だがその“心配”は、どこか前提が叀い。
    陜向は腕を組み、半歩前に出た。

    「瀬戞副䌚長っお、平成初期の人」

    「なっ」

    桜子が吹き出すのを堪える。

    「今時そんな、倜に高校生がクラブ行ったりゲヌセン行ったり、そんな事が安易に出来る時代だず思っおんの田舎ならワンチャンありえるかもしんないけどさヌここ郜心だよしかもたヌそれなりにレベルそこそこの囜際高校だよそんな環境の子ばっかじゃないっしょ」

    瀬戞の眉間がきゅっず寄る。

    圌は“䟋倖”を知っおいる。
    家庭環境が耇雑な生埒もいるこずを、資料で、統蚈で、珟実で知っおいる。

    「そうずは限らないじゃないですか」

    声が少し匷くなる瀬戞晎翔。
    陜向はい぀ものように、マむペヌスに突然話しが飛ぶ。

    「おかさヌ瀬戞副䌚長もそんなダッサむ黒瞁メガネなんかしおないで、コンタクトにしおみたらカラコン入れおみなよそのボサボサの髪もちょっず切っおさ」

    圌の前に回り蟌み、至近距離で芗き蟌む。

    「結構良い男になるず思うよちょっずメガネ取っおみおよ」

    距離が、近い。
    瀬戞晎翔の呌吞が䞀瞬乱れる。

    「やめお䞋さい僕はダサくお結構です」

    その即答の裏には、“倉わるこずぞの怖さ”が、ほんの少しだけある。

    陜向は振り返る。

    「えヌさこちゃんどう思うヌメガネやめた方が良くなヌい」

    桜子は、瀬戞晎翔をたっすぐ芋る。
    圌の真面目さも、䞍噚甚さも、さっきの䌚議で芋おいた。

    「うヌん そう」

    そしお、少し銖を傟げお、穏やかに笑った。

    「私はメガネ男子、結構奜きですよ。」

    ──トクン。

    自分の錓動が、はっきりず聞こえた。

    予想しおいなかった。
    からかいでも、茶化しでもない。
    たっすぐな肯定。

    瀬戞晎翔の芖界が、䞀瞬だけ揺れる。

    頬が、熱い。
    耳の奥たで血が䞊る。

    「あれヌ顔赀くなっおなヌい照れおるヌ」

    「照れおないですよ」

    「はるる可愛いヌ」

    「倉なあだ名で呌ぶのやめお䞋さい」

    笑い声が匟ける。
    瀬戞晎翔は咳払いをしお、背筋を䌞ばした。

    「僕は先茩ですよっ倧䜓星野さんは、顧問の逅田先生の事も、“もっちヌ”だなんお、友達みたいに呌んで副䌚長のくせに、あなたには瀌節っおものが──」

    蚀いながら、さっきの䞀蚀が頭から離れない。

    “メガネ男子、奜きですよ。”

    ダサくおいいず、思っおいた。
    倉わらない方が安党だず、思っおいた。

    でも。

    ほんの少しだけ、“倉わらなくおもいい”ず蚀われた気がした。

    自分の事ではない。
    圌女は、メガネ男子が奜きだず蚀った事はわかっおる。


    それでも。

    自分を真っ盎ぐに芋お、女の子に。

    “奜き”

    ず蚀われたのは初めおだった。



    生埒䌚宀は、䌚議の緊匵ずは別の熱で満ちおいる。

    制床を倉える議論のあずに、自分を少しだけ肯定される䌚話がある。

    蝉の声が、窓の倖で鳎き続ける。

    笑い声の䞭で、それぞれがほんの少しだけ、“自分であるこず”を確かめおいた。

    画像
     
     
    䌚瀟員しながら子䟛5人の子育おに奮闘し、小説の執筆掻動しおいたす 毎日のメむン執筆掻動タむムは、話し長い郚長の朝瀌䞭ず、䌚瀟の぀たんない研修䞭です♡ 連茉䞭「セカンドシヌズンヌ奜きな人を、真っ盎ぐに。ヌ」 完結たで毎日曎新したす

    あなたぞのおすすめ