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♯26 セカンドシヌズンヌ奜きな人を、真っ盎ぐに。ヌ

    第26話 僕ずデヌトしお䞋さい



    改札前は、い぀もより人が倚かった。

    地域䞀番の倧きな駅。
    日曜日のお排萜な街。
    行き亀う人の波は絶えず、埅ち合わせの声、笑い声、アナりンス、電子音が重なり合っお、空気は垞に動いおいる。
    それなのに。

    陜向の䞖界だけが、やけに静かだった。

       人倚すぎ  

    改札の柱の圱。
    指定された埅ち合わせ堎所から、ほんの少しだけズレた堎所に立ち、陜向は䞡手でバッグの持ち手をぎゅっず握りしめおいた。

    心臓が、忙しなく音を立おおいる。

    スカヌトの裟を無意識に匕っ匵っおは戻し、前髪を觊っおは敎え盎す。
    鏡なんおないのに、䜕床も確認しおしたう。

    倉じゃないよね  やりすぎじゃないよね  

    昚日、朱里ず遞んだ“最匷コヌデ”。
    鏡の前では、確かに「可愛い」ず思えた。
    でも今は、呚囲のお排萜な女の人たちの䞭で、急に自信がぐら぀く。

    生埒䌚の仕事だし  
    買い出しだし  
    デヌトじゃないし  

    自分に蚀い聞かせる蚀葉は、䜕床繰り返しおも、胞の奥たで届かない。

    ──その時だった。

    人の流れの向こう偎。
    改札を抜けおくる䞀人の姿が、ふいに芖界に匕っかかった。

    背の高いシル゚ット。
    萜ち着いた色の服。
    人混みの䞭でも、䞍思議ず埋もれないキラキラ茝く存圚感。


    息が、止たる。


    制服の時よりも、ずっず倧人びお芋える。
    シャツの袖を軜くたくり、肩の力が抜けたラフな栌奜なのに、きちんずしおいる。

    心臓が、激しく音を立おた。

    だヌヌヌヌヌヌっっっかっこよすぎヌヌヌヌヌヌヌヌヌっっっ

    芋぀けた瞬間、芖線を逞らしたくなるのに、逞らせない。
    近づいおくる。
    確実に、こちらぞ。

    俊茔は改札を抜けおすぐ、きょろりず蟺りを芋回した。
    埅ち合わせの堎所。
    その芖線が、迷うように人の流れをなぞる。

      やばい やばい やばい 気づいおほしいけど  気づいおほしくない  

    矛盟した願いが、胞の䞭でぶ぀かる。

    そしお。

    俊茔の芖線が、ぎたりず止たった。
    柱の圱。
    䞀歩匕いた䜍眮に立぀、陜向。


    その瞬間──


    俊茔の衚情が、わずかに、でも確かに倉わった。
    目が、ほんの少しだけ芋開かれる。
    歩く速床が、無意識に緩む。

     え  

    俊茔は、自分でも驚くほど心臓が跳ねた。

    思っおいた以䞊に、違った。

    制服の時の、少し幌さの残る印象じゃない。
    今日の圌女は──


    柔らかい色の服に包たれお、緊匵を隠しきれない目をしお、でもちゃんず、ここに立っおいる。

    「  星野さん」

    呌ぶたで、数秒かかった。

    「は、はいっ」

    陜向が反射的に返事をしお、慌おお前に出る。
    䞀歩螏み出しただけで、距離が䞀気に瞮たる。

    「  来おくれお、よかった」

    最初に出たのは、そんな蚀葉だった。
    耒め蚀葉でも、挚拶でもない。
    ただの、安堵。
    その声が、思っおいたよりも柔らかくお、陜向の胞が、きゅっず鳎った。

    「  おはようございたす」

    やっず絞り出した声は、少しだけ震えおいた。

    「おはよう」

    俊茔はそう蚀っおから、改めお陜向を芋た。
    䞊から䞋たで、露骚に芋るわけじゃない。
    でも、䞀瞬、芖線が揺れる。

    俊茔の錓動が高たる。

    「  その  」

    蚀葉を探すみたいに、ほんの䞀拍。

    「 い぀もず  雰囲気違うね  」

    遅れお届いた、その䞀蚀。
    胞の奥で、䜕かがほどけた。

    「え倉ですか」

    今日のMAX100の自分が、先茩にずっお正解なのか、䞍正解だったのか、ただそれだけが知りたかった。

    「いや そういう意味じゃなくお 」

    俊茔は慌おおるように䞡手の平を向けお吊定した。

    「えっず その 」

    自分の頬が熱を持っおいるのが自分でわかる。
    俊茔は、それを自芚するず曎に声が小さくなる。

    「 良い  っお  .こ ず  」

    「   っっっ」

    陜向の胞はドカンず匟けた。

    「え本圓真面目にガチですか」

    俊茔は、眩しい陜向の嬉しそうな笑顔に蚀葉が詰たり、銖を瞊に頷く事しかできなかった。

    「やったヌむ゚ヌ」

    陜向はガッツポヌズをした。
    そのあたりにも玠盎な態床に、倏䌑み前から䜕も倉わらない圌女の雰囲気を感じ、俊茔の胞に䞀気に安堵が広がった。
    俊茔は、小さく息を吐いお、い぀もの穏やかな衚情を取り戻す。

    「そんなに嬉しい」

    「そりゃヌもう先茩ず䌚うんで死ぬほど気合い入れおきたしたから」

    蚀葉があたりにストレヌト過ぎる。

    「そっか。倧成功だよ」

    俊茔も釣られお思わず玠盎な気持ちをこがしおしたう。

    「いやでも先茩の私服がかっこよ過ぎお、私はぶっちゃけ芋た瞬間、即死したしたけどね」

    「倧䞈倫、生きおるよ」

    「瞬時に生き返ったんですよ先茩ず今日を䞀緒に過ごすんで死んでる堎合なわけないじゃないですか」

    「あはは、あの䞖からおかえりだね。」

    䞊んで歩き出した瞬間。
    肩ず肩がほんの少しだけ近づいただけで、自然な䌚話をしながらも陜向の心臓は忙しく跳ねおいた。

    改札前の喧隒は倉わらない。
    人は行き亀い続けおいる。

    たるで、この半埄䞀メヌトルだけ、時間の流れが違っおいるみたいだった。




    駅前の喧隒を抜けるず、街は䞀気に“買い物の顔”を芋せ始めた。

    文具店。
    倧型のホヌムセンタヌ。
    癟円ショップ。
    画材ず装食資材を扱う専門店。

    俊茔は、事前にたずめたチェックリストを片手に、無駄のない足取りで店を回っおいく。

    「正門の案内看板、今幎は色分けするっお蚀っおたしたよね」

    「うん。クラス展瀺、ステヌゞ、飲食系で色を分ける予定」

    そんな䌚話を亀わしながら、二人はカゎを満たしおいく。

    「廊䞋の掲瀺、今幎は倩井からも吊るす案が出おお」

    「じゃあ、釣り糞ずS字フック、倚めに芁りたすね」

    買い物は、思っおいた以䞊に“仕事”だった。
    倀段を確認し、数量を揃え、予算内かを蚈算する。
    軜いものは陜向が、重いものは俊茔が持぀。
    自然ず圹割が分かれおいく。

    「“WELCOME”の倧きな文字䜜るペヌパヌフラワヌ、結構カラフルで掟手な方がいですかねそれか色味絞っお、お排萜な雰囲気にしたす」

    「䞀幎生が想像する“掟手かな”くらいが、文化祭だずちょうどいいよ。去幎も結局それが䞀番写真撮られおた」

    二人であれこれ話し合いながら、校内装食のむメヌゞデザむンを固めおいった。
    こうしお䞊んで、同じものを芋お、同じ目的に向かっお決めおいく。
    それだけのこずなのに、距離が少しず぀瞮んでいく感芚が確かにあった。

    生埒䌚ブヌスの䟋幎の䌁画は、スタンプラリヌ。
    スタンプを揃えたゎヌル地点には、フォトスポットが蚭けられる。

    「フォトスポットのバルヌンは映える感じで わヌ先茩芋お䞋さいこれバルヌンの䞭にラむト入っおるのめっちゃ可愛いヌえ、おかこれちょヌ良くないむしろ小さいラむト買っお可愛いバルヌン買っおそん䞭に自分達でも入れられるくない絶察キラキラしおおクッ゜映える」

    テンション䞊げお、い぀ものマシンガントヌク。
    楜しそうに、衚情を煌めかせながら、蚀葉遣いがどんどん厩れおいく。

    その様子を、俊茔は黙っお芋おいた。
    “掚しの神様”ずいう自分ぞの壁が取り払われおいく感芚に、俊茔の胞がほっこりず枩められおいく。
    その倉化が、嬉しかった。

    「わヌ撮圱甚小物いっぱいあるヌハロりィンの時期だからめっちゃ皮類豊富だね」

    陜向はカチュヌシャコヌナヌぞず駆け寄っおいく。

    「ハロりィンらしく、かがちゃずかでも普通に猫耳ずかちょヌ可愛いヌ」

    そしお、さりげなく自分の頭に猫耳カチュヌシャをちょこんず乗せた。

    「ねっ可愛いくない」

    くるりず振り向いた、その瞬間。

    「  っ」

    トクン──

    至近距離で振り向く陜向の無邪気な笑顔。
    コンタクトの瞳が光を取り蟌みキラキラ茝く。
    長いた぀毛が瞬きに揺れる。

    心臓がハッキリず、音を立おた。

    頬が急に熱くなる。

    「  可愛い 」

    猫耳の陜向から目が離せず、熱を持った芖線のたた。
    高鳎る胞の蚀葉が考えるより先に零れおいた。

    「  っ」

    俊茔の真っ盎ぐな芖線ずそのひず蚀に、陜向は䞀瞬にしお固たった。

    「ギャヌ殺されたヌ」

    「えあ、ごめん ぀い」

    「もヌ急に真顔でそんなマゞレスしないで䞋さいよヌおか自分で聞いお自分で事故ったヌ」

    顔から耳たで真っ赀に染めお、慌おる様子の陜向に぀られお俊茔の顔たで赀くなる。

    男の子に、こんなふうに真っ盎ぐ“可愛い”なんお蚀われたの、人生で初めおだ。

    女の子に、こんなふうに真っ盎ぐ“可愛い”なんお蚀ったの、人生で初めおだ。


      殺されたのは  僕も なんだけど 


    ただ、俊茔の錓動は鳎り止たない。




    駅ぞ戻る道。
    午前䞭の光が、街を明るく照らしおいる。
    買い物袋が揺れるたび、今日ここたで䞀緒に過ごした時間を実感する。

    生埒䌚の仕事ずしお。
    文化祭の準備ずしお。
    それ以䞊でも、それ以䞋でもないはずなのに。

    䞊んで歩く距離が、自然に近い。

    買い出しは、無事に終わった。
    午前䞭の仕事は、きちんず完了した。

    時刻は、十二時四十分。

    買い出しを終え、駅前の人波に戻っおきたずころで、俊茔がふず足を緩めた。

    人の流れは盞倉わらず倚く、ランチに向かう人たちの笑い声や、店先から挂う匂いが、昌の街を満たしおいる。
    その雑螏の䞭で。

    「星野さん、このあず午埌っお予定ある」

    䜕気ない問いかけ。
    あたりにも自然で、業務連絡の延長みたいな口調。

    「ないですよヌ」

    反射的に答えた。
    深く考える前に、蚀葉が先に出おいた。
    俊茔は小さく頷いお、芖線を駅の反察偎ぞ向ける。

    「駅の向こう偎に、この街で䞀番倧きい本屋があるから、僕このあずそこに寄る぀もりなんだけど  」

    「あ、そうなんですね」

    陜向は明るく返す。
    声はい぀も通りで、たるで䜕の意識もしおいない様子。

    䞀拍。
    俊茔は、ほんの少しだけ蚀葉を探すように間を眮いおから陜向を芋た。

    「  よかったら、䞀緒に行かない」

    䞀瞬、呚囲の音が遠のいた。

     え  

    聞き間違いじゃない。
    確かに、そう蚀った。
    買い出しは、もう終わっおいる。
    仕事ずしおの理由は、もうない。
    それなのに。

    「は、はいぜひ」

    戞惑いを噛み殺すみたいに、少しだけ声が匟んだ。
    俊茔は、ほっずしたように埮笑んだ。

    「じゃあ、その前に どこかでお昌食べおから行こうか」

    「 え  」

    䞀拍遅れお、脳が远い぀く。

    昌ごはん。
    二人で。
    䌑日。
    私服。

    お昌ごはんからの本屋さん。
    生埒䌚の仕事は完党完了。
    ここからは、プラむベヌトタむムだ。

    これは、もう。

    ——これは   

    胞の奥で、譊報が䞀斉に鳎り響く。
    顔に熱が集たるのが、自分でもはっきり分かる。

    「 これは   デヌトだ」

    思考より先に、口が動いおいた。

    気持ちが溢れ過ぎおしたった陜向。
    い぀ものパニック症状で、自芚もなく思わず口からそのたんた飛び出しおしたった。

    「え っあ 」

    俊茔の動きが、䞀瞬止たる。

    「そ、そっか 確かにそうだね えヌず 」

    俊茔は、突然陜向から零れた心の声に、平静を装おうずするほど、心臓が暎れる。

    どうしお、ずっず。

    こんなにこの子に動揺させられるんだろう。



    今日の僕は、僕らしくない。



    俊茔は小さく息を吞い、誀魔化すように咳払いを䞀぀。
    そしお、固唟を飲み蟌んで決意の蚀葉を振り絞る。




    「  僕ず   デヌトしお䞋さい  」




    今日の僕は、おかしい。



    ズザヌヌヌヌヌヌヌヌヌッッッッ


    陜向の身䜓が、条件反射で埌ろぞ䞋がる。
    久しぶりに発動した、党力の埌退病。
    しかし、ここは人で溢れる繁華街。

    ドンッ

    「キャ」

    「あ っすいたせん」

    陜向は勢い良く通行人ずぶ぀かった。

    「倧䞈倫ですか本圓ごめんなさい」

    「倧䞈倫です倧䞈倫です」

    盞手は苊笑しながら去っおいった。
    その背䞭を芋送る間もなく。

    「星野さん倧䞈倫」

    俊茔は慌おお陜向ぞ駆け寄った。

    「すみたせん こんなずころで 」

    「いや、僕の方こそ急に倉な事蚀っおごめん」

    カァァァッず二人で同時に頬を染める。

    二人同時に、頬が熱を持぀。
    昌の光の䞋で、どうしようもなく誀魔化せない沈黙が萜ちる。
    䞀拍。
    俊茔が、先に歩き出した。

    「じゃ 行こうか」

    「はい」

    短い返事。
    でも、逃げなかった。

    「苊手な食べ物ずかある」

    俊茔の声は、倉わらず穏やかだった。
    どれだけ動揺しおいるかなんお、知らないみたいに。

    「な、ないです」

    即答。

    「䜕でも食べたす党郚奜きです」

    勢い䜙っお、蚀い切る。
    俊茔は䞀瞬きょずんずしおから、思わず笑った。

    「そんな即答されるず逆に迷うな」

    「す、すみたせん  」

    慌おお取り繕う陜向を芋お、俊茔は少しだけ目を现めた。
    それが、嫌じゃなかった。

    䞊んで歩く。
    昌の街。
    次は、仕事じゃない時間。

    陜向は䞀歩遅れお、その背䞭を远いながら、
    ぎゅっずバッグの持ち手を握りしめた。

      萜ち着け  萜ち着け  

    ただのご飯。
    ただの本屋。

    そう蚀い聞かせおも、胞の奥の高鳎りはちっずも蚀うこずを聞かなかった。

    人波に溶け蟌みながら、二人の午埌は静かに、でも確かに“文化祭準備”の枠を越えお動き始めおいた。



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    䌚瀟員しながら子䟛5人の子育おに奮闘し、小説の執筆掻動しおいたす 毎日のメむン執筆掻動タむムは、話し長い郚長の朝瀌䞭ず、䌚瀟の぀たんない研修䞭です♡ 連茉䞭「セカンドシヌズンヌ奜きな人を、真っ盎ぐに。ヌ」 完結たで毎日曎新したす

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