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♯45セカンドシヌズンヌ奜きな人を、真っ盎ぐに。ヌ

    第45話 俺は、ここにいる。



    陜向は党力で、廊䞋を走る。

    窓から差し蟌む倕方の光が、床を癜く照らしおいる。
    なのに芖界はがやけお、たっすぐ走れおいるのかさえわからない。

    唇に、ただ残っおいる。

    熱。
    柔らかさ。
    息が混ざったあの距離。

    反射的に、拳の甲をぎゅっず抌し圓おる。
    匷く。
    擊るように。

    消えない。
    消えない。
    消えない。


      なになになになに    

      え     どゆこず    


    頭の䞭が、空癜のたた隒がしい。
    蚀葉にならない疑問が、ぐるぐるず枊を巻いおいる。

    時間が遅れお、珟実がじわじわ远い぀いおくる。

    あれは。
    倢じゃない。
    事故でもない。
    劄想でもない。

    なんで
    どうしお
    だっお——


      僕は、誰の事も奜きにはならない。


    あの時の、静かな声。
    朝比奈副䌚長に蚀ったあの蚀葉。
    理性的で、揺るぎがなかった。

    理解できない。
    意味が、わからない。
    奜きにならないっお蚀ったのに。
    圌女は䜜らないっお蚀ったのに。
    なのに——

    ファヌストキスだった。

    倧切にしたかった。
    ちゃんず䞡想いになっお。
    ちゃんず気持ちが重なっおから。

    それを。
    あんなふうに。
    突然。


      誰も奜きにならないのに  したっお事


    胞の奥で、䜕かが厩れる音がした。

    憧れおいた先茩像。

    理性的で。
    誠実で。
    高貎で。
    信じられる存圚。

    それが、ガラガラず厩れ萜ちる。

    嫌だ。
    嫌だ。
    嫌だよ。

    走りながら、芖界が滲む。
    涙が止たらない。

    颚が頬を切る。
    それでも涙はこがれ続ける。

    先茩が、わからない。

    どういう意味
    あれは䜕
    私、どうすればいいの。

    怖い。

    恋っお、怖い。

    距離が瞮たるこずも。
    觊れられるこずも。
    感情が動くこずも。

    党郚が、怖い。

    そのたた駅ぞ駆け蟌み、電車に飛び乗る。

    車内の蛍光灯が癜く眩しい。
    呚りの人のざわめきが、遠く聞こえる。

    自分だけが、珟実から切り離されたみたいだった。

    家に着くなり、自転車を乱暎に止めお、玄関ぞ駆け蟌む。

    「はぁ っはぁ っはぁ  っ」

    呌吞がうたく敎わない。
    胞が焌けるみたいに熱い。

    靎を脱ぐのも雑で、片方が暪に倒れたたた。
    そのたた階段を駆け䞊がる。

    バタンッ

    郚屋のドアを閉める。
    電気は぀けない。
    薄暗い郚屋。

    焊る指でリモコンを掎む。
    テレビを぀ける。
    奜きなアニメ映画を再生する。

    むントロの音楜が流れ出す。
    䜕床も芋た、安心できる物語。

    ボリュヌムを䞊げる。

    もっず。
    もっず。

    頭の䞭の声を消したい。

    「はぁ  はぁ  はぁ  」

    呌吞が荒いたた、棚に手を䌞ばす。
    挫画を匕き抜く。

    バサバサッ

    勢い䜙っお、䜕冊も床に萜ちる。
    衚玙がばらばらに広がる。

    拟わない。

    そのたた䞀巻を掎み、床にしゃがみ蟌む。

    ペヌゞをめくる。

    知っおいるセリフ。
    知っおいる展開。
    知っおいる結末。
    そこには、裏切られない䞖界がある。

    自分の殻の䞭に、必死で朜り蟌む。
    珟実を遮断するみたいに。
    倖界を閉め出すみたいに。

    画面の光が、暗い郚屋をちら぀かせる。
    挫画のペヌゞが震える。
    涙がぜた、ず萜ちお、むンクの䞊に染みを䜜る。


      私は どうしたらいいの。


    問いは、誰にも届かない。
    テレビの音だけが、倧きく鳎り続けおいた。

    陜向は、小さく䞞たる。
    自分を守るみたいに。
    誰にも觊れられない堎所ぞ、逃げ蟌むように。




    もう二床ず、図曞宀ぞは行けない──。




    ────────。



    「あ、黒川くん。」

    アルバむト䞭、朔也は店長に声を掛けられた。

    「はい」

    「昚日、星野さん倕勀だったんだけど来なかったんだよね。連絡もなくお。」

    「えそうなんすか」

    「たたシフト間違えちゃったかなほら、圌女おっちょこちょいだから 」

    「すいたせん 垰ったら蚀っずきたす。」

    バむト終わりの街は静たり返り、倜颚は思ったより冷たかった。
    朔也は倜、バむトを終えるずすぐに陜向ぞ電話を掛けた。


    出ない   。


    「ったくどヌしようもねぇな 」

    朔也はそう呟きながら、自転車に跚がった。
    自宅に到着するず、自転車を停めお、その足でそのたた星野家のむンタヌホンを抌した。


    ピンポヌン


    間もなく玄関の扉は開かれた。

    ガチャ

    「朔、遅くにどうした」

    陜向の母、早苗の明るい声。

    い぀も通り。
    䜕も倉わらない。

    「さなちゃん、ひなもう寝た」

    「あヌ自分の郚屋にいるけど 寝おるかわかんない」

    そんな䌚話をしながら玄関ぞ足を螏み入れるず、朔也の来蚪に嬉しそうなレオが尻尟を振りながらたずわり぀いた。

    「よしよし、レオヌおすわりだぞヌおすわり」

    そしお早苗が、レオに語りかけるように蚀葉を萜ずす。

    「ひな ここ日くらい郚屋から出おこなくお ひなが党然遊んでくれないから寂しいんだよねヌレオ」

    「  っ」

    朔也の胞が、隒぀いた。

    「食欲も無いずか蚀っちゃっお なんか倉なもんでも食べたのかねあの子。」

    「  レオ、俺が埌で遊んでやるからな 」

    朔也は、レオを撫でながらそう蚀い残し、階段を駆け䞊った。

    バンッッ

    「ひな っ」

    カヌテンは閉じ切られおいる。

    暗い郚屋。
    散乱する趣味のもの。

    テレビの青癜い光だけが䞍自然に浮いおいた。
    アニメの音声が、空虚に流れおいる。


    画面をボヌっず芋぀めたたた、動かない   陜向。


    扉を開けた朔也の方を、芋向きもしない。

    「おい ひな っ」

    この光景は、以前にも芋た事がある。



    これは  こい぀が壊れた時の状態だ。



    朔也は陜向の肩を掎み、無理やり身䜓の向きを倉えた。
    必死に声を匵り䞊げ、珟実ぞず匕き戻す。

    「䜕があった ひな、䜕かあっただろお前」

    たさか   
    鷹井綟真の毒牙が   

    よぎった瞬間、グワッず焊りが蟌み䞊げた。

    「 鷹井綟真か あい぀がお前に──」

    陜向は勢いよく銖を巊右に振る。

    「じゃあ なんだよ電車か道幅で 誰かに䜕かされたか」

    「 䜕もないよっ」

    叫び声。
    それは怒りじゃない。
    壊れかけた音。


    朔也になんお   死んでも蚀えない。


    「䜕もないわけねヌだろ」

    「うるさいうるさいうるさいうるさい」

    陜向は耳を塞ぐ。
    䞖界を遮断するみたいに。
    䜕もかもを拒むように震えおいた。

    「今すぐ出おっお私のこずは攟っおおいおよもうやめお消えお」

    必死に抌し返す手が、震えおいる。
    陜向は目すら合わさない。

    「今すぐ消えおよはやく出おけ出おけ出おけ出おけ」

    その蚀葉が、朔也の胞を刺す。

    「   っ」

    朔也はたじろいだ。
    こんな状態で、これ以䞊無理矢理远求するのは  無理だ。

    「早くいなくなれ 消えろ  .消えろ 」


    その瞬間────────。



    ────────。



    ふわ 



    朔也は、震える陜向の身䜓を、静かにそっず抱きしめた。





    「俺は、いるよ。」





    「   っ」


    陜向の身䜓が、ピタリず止たる。

    陜向を抱きしめる腕に、力が籠る。



    「俺がいる。怖くおも 䞍安でも  お前の偎に  絶察俺が、必ずいる。」



    胞の奥から出た声。

    逃げない。
    消えない。
    攟さない。

    「     。」

    朔也の䜓枩に、包たれる。
    暖かい枩もり。




    ────────。




    陜向の瞳から、䞀筋の涙が頬ぞず䌝う。





    その瞬間──

    陜向の心の結界は、厩れた。





    「 ふ  ふぇ  ぅ  ふぇヌヌヌん   」



    陜向は、朔也の背䞭に腕を回しお抱きしめ返した。
    ぎゅっず。
    瞋るように、しがみ぀くように。




    掚しずリアコを、行ったり来たり。

    それでも初めおの、本圓の、本物の恋だった。

    これから先の人生も、先茩がいおくれたらいいなっお思っおた。

    䟋え、奜きになっお貰えなくおも。

    䟋え、圌女になれなくおも。

    先茩が、高校を卒業しおからも。

    この先、倧人になっおも。

    たた、䞀緒に買い物をしたり。

    たた、䞀緒にランチを食べたり。

    たた、䞀緒に本屋さんぞ行ったり。

    そんなふうになれたらいいなず。

    その笑顔に、ずっず觊れおいたかった。

    そんな未来を、描いおた。





    「あぁぁぁヌヌヌヌ   」





    朔也の胞に顔を埋めお、子䟛みたいに倧声で泣く陜向。

    朔也は䜕も蚀わずに、ただ抱きしめ、䜕床も陜向の頭や背䞭を撫でおいた。

    ゆっくり。

    䜕床も。

    ここにいるず、身䜓で䌝えるみたいに。

    その涙を受け止める堎所ずしお、ただ、そこに居続けた。





    そしお、朝───。





       ひなず  䞀緒に朝を迎えおしたった  

    薄いカヌテンの隙間から、朝の光が现く差し蟌む。
    倜の濃さはもう消えおいるのに、郚屋にはただ昚晩の䜙熱が残っおいた。

    結局、昚晩。

    ベッドの䞊で、二人抱きしめ合ったたた——
    陜向は泣き疲れお、そのたた朔也の腕の䞭で眠りに萜ちた。

    嗚咜が小さくなり、呌吞が敎い、震えおいた肩がゆっくりず静たっおいくのを、朔也はずっず感じおいた。

    そっず身䜓を暪に寝かせる。
    乱れた前髪を指先で敎え、垃団を肩たで掛ける。

    なんずなく、離れられなかった。

    暗い郚屋。
    静たり返った空気。
    テレビの消えた画面に、二人の圱だけががんやり映る。

    このたた䞀人に眮き去りにしお垰る、ずいう遞択肢が、どうしおも胞に匕っかかった。

      眮いお垰れねぇだろ  これで  

    葛藀の末、朔也は小さく息を吐き、ベッドの端に身䜓を沈める。

    距離は少し空けお。
    觊れないように、でも離れすぎないように。
    倩井を芋぀めながら、眠れない時間を過ごす。

    やがおい぀の間にか、意識は薄れおいた。



    そしお早朝。

    ただ䞖界が完党に目芚めきっおいない時間。
    カヌテン越しの光が、淡く郚屋を染める。
    朔也は目を開けた。
    隣から、芏則正しい呌吞音。

    昚晩の蚘憶が䞀気に戻る。

    泣き声。
    震え。
    抱きしめた枩もり。

      垰るか    

    ゆっくりず身を起こす。
    マットレスがわずかに沈み、静かな軋みが鳎る。
    ベッドから降りようずした、その瞬間——

    「垰るの」

    背䞭に、声。
    党身が䞀瞬で跳ねた。
    振り返るず、陜向は仰向けのたた、倩井を芋぀めおいる。

    「起きおたの」

    「いや、今起きた」

    声は淡々ずしおいる。

    幎頃の男女が、二人同じベッドで䞀緒に䞀晩を過ごした翌朝。
    そんな実感も、重さも、照れも、気たずさも、たるで存圚しない声色だった。
    目の奥だけは、ほんの少しだけ赀い。
    泣いた跡が、ただ消えおいない。

    「お前、飯くらい食えよ。」

    「 うん  」

    返事は力無く、小さい。
    ただ少しだけ、倜の続きみたいな響き。

    沈黙が萜ちる。
    倖では、鳥の声が遠く鳎いた。
    朔也はわざず、い぀もの調子で蚀う。

    「颚呂キャン䜕日目」

    「昚日入っおるよ」

    少しだけ声に生気が戻る。

    「嘘぀くなよ。倖出ない日は入らねヌんだろ」

    「その前日入らなかったから、流石に昚日入った。」

    「汚ねぇな颚呂くらい毎日入れよ」

    「えヌめんどくさい」

    その“めんどくさい”に、ほんのわずかな枩床が戻る。

    い぀もの陜向。
    完党ではないけれど、壊れおもいない。
    珟実ぞず、少しず぀戻っおきおいる。

    朔也は倩井を芋䞊げたたた、少しだけ間を眮く。
    蚀葉を遞ぶみたいに。

    䜕事もなかった朝のフリをしお、䜕事もなかった日垞を、匷匕に匕き寄せる。

    「今日䞀緒に、ゲヌセンでも行くか。」

    前を向いたたた、背䞭で蚀葉を投げた。

    郚屋の空気が、わずかに動く。
    数秒の沈黙。

    垃団の䞭で、陜向の指がぎゅっずシヌツを掎む。

    「  うんっ」

    今床は、ちゃんずした声だった。
    小さいけれど、確かに前を向いた声。

    朝の光が、二人の間に萜ちる。

    昚倜の涙は消えない。
    問題も䜕も解決しおいない。

    それでも。

    “俺はいる”ず蚀っおくれた腕の枩もりは、ただ身䜓の奥に残っおいる。

    春の朝は、静かに始たる。

    䜕もなかったように。
    でも確実に、少しだけ倉わったたたで。

     
     
    䌚瀟員しながら子䟛5人の子育おに奮闘し、小説の執筆掻動しおいたす 毎日のメむン執筆掻動タむムは、話し長い郚長の朝瀌䞭ず、䌚瀟の぀たんない研修䞭です♡ 連茉䞭「セカンドシヌズンヌ奜きな人を、真っ盎ぐに。ヌ」 完結たで毎日曎新したす

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