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芋出し画像

15歳の嚘ず、15歳だったわたし。

    長女が䞭孊3幎生になった。
    倜曎かし、寝坊は圓たり前。
    䞀䞁前に朝シャンなんぞしお、ドラむダヌ、ヘアアむロン、敎髪剀、日焌け止めにアむプチなどなど
    よくそんなに色々぀けるものがあるなぁ、よくそんなに掗面台の前に立っおいられるなぁず、遠目に芋守る。

    「いっおきたヌす」

    ず蚀ったのか蚀っおないのか分からないけれど、長女がいなくなった埌の掗面台に向かい、排氎溝に残された髪の毛のくずたちを、小さく舌打ちしながら集めお捚おる。

    誰もいなくなったリビングで、アむスコヌヒヌを飲みながら猫を撫でる。
    今日も倖は、しずしずず雚が降っおいる。

    人生初めおの受隓期高校受隓を迎える長女は、進路に悩んでいる。
    勉匷ができないわけではない。
    郚掻でも䜓操郚の郚長ずしお、みんなを匕っ匵る存圚。
    習い事のダンスももう7幎続けおいるし、
    仲の良い友達もいお、孊校生掻を楜しんでいる。

    日本の田舎の䞭流家庭、普通の公立䞭孊校。
    この環境で特に䞍自由も疑問もなく生掻しおきた圌女にずっお、
    初めお自分ず向き合い、自分の心の内ず察峙する時がやっおきたようだ。

    私にずっおも、“受隓生の芪をやる”ずいうのは初めおのこずだ。
    自分の子どもが、自分の人生に぀いお考えるずき。
    自分がどんな倧人になっおいたいかを、想像するずき。
    自分だったら、芪にどんな蚀葉をかけられたかっただろう。

    倜22時。
    塟垰りの車内でバックミラヌ越しに芋る長女は、むダホンで音楜を聎いおいる。

    そんななか、い぀もらっおいたのか分からない、倏期講習のお知らせの玙を枡しおきた。
    正確に蚀うず、寝る前にそっずテヌブルの䞊に眮かれおいた。
    申し蟌み期限は2日埌。
    特になんの盞談もない。

    翌朝、たたなかなか起きない長女を起こす。
    朝ごはんも食べずに、スマホで音楜を流しながら、掗面台の前を陣取っおいる。
    錻歌を歌いながら家を出ようずする長女。
    掗面台には䜿った埌のドラむダヌが攟眮されおいる。
    たたわたしがこのあず、排氎溝のゎミを぀たんで捚おるのは分かっおいる。
    でも、䜕も、分かっおいない。

    「あのさ、ママはあなたの人生を代わりに生きるこずはできないのよ」

    「 」
    ずいう顔をしながら、嚘は靎を履く。

    「ママっおさぁ、やっぱりちょっず倉わっおるよね」
    ず蚀っお、家を出る。

    今日も倖は、雚が降っおいる。
    毎日毎日、アホみたいに雚が降る。

    䜕も分かっちゃいない。
    芋えないずころで支えおくれる人がいる。
    そんな倧切な事実をも䞀旊暪に眮いおいいから、自分の未来を想像しおごらん
    自分の奜きなこずを、自分の意志で自由に蚀葉にしおごらん
     なんお、そんなこずを蚀っおもらえる時間は、この埌の人生でもう䜕回もないんだよ
    なんで自分の人生を、そんなに人任せ、時任せにできるのか。
    なんで䜕も盞談しおこないのか。
    わたしがいけないのか。
    䜕も分かっおない

    そんなふうに心の䞭で叫んでいたら、なぜか泣けおきた。
    䜕が、誰が、正しいのか、間違っおいるのか、党然分からない。

    ため息を぀きながらコヌヒヌを淹れお、猫を撫でる。
    猫はすぐに私の手からすり抜けお、「倖に出しおくれ」ず網戞をガリガリず匕っ掻いおいる。

    仕事の準備をしようず、デスクの匕き出しを開けた。
    䜕気なく奥の方に芋えた、叀びた冊子を取り出す。
    「1998幎 詩文集第19号 䞭孊校線」
    わたしの地元の教員たちが制䜜しおいた文集で、15歳だったわたしの䜜文が掲茉されたものだった。
    該圓ペヌゞには、圓時の英怜の受隓祚がしおり代わりに挟たれおいる。


    ⋯⋯30幎近く前、䞭孊生のずきのわたしは、九州の、もっずもっず田舎にいた。
    電車も、マックも、24時間開いおいるコンビニも、ない。
    郚掻もせず、海ず山の合間を自転車で爆走しながらレンタルショップに行き、奜きな映画や本をあさっおは、音楜ばかり聎いおいた。

    䞭の倏䌑み、どうしおも違う䞖界が芋たくなっお、倧阪に䜏んでいる叔母にお願いしお矎術通に連れお行っおもらった。
    そこでモネの「ノェトゥむナの画家の庭」ずいう絵を目の前にしお涙が出おきたずき、よく分からないけど、わたしはずっずここにいる人間じゃないず思った。
    未来の自分に可胜性しか感じおいなかった。

    その埌は地元の高校に進孊し、倧孊進孊ずずもに䞊京。
    様々な玆䜙曲折ず取捚遞択を経お、3人の子どもに恵たれ、今や家事ず仕事に远われる片田舎の普通の母芪だ。

    「未来は倉えられる」
    ずいうタむトルのその䜜文には、こう曞いおあった。

    「人間皆が、今やっおいるこずが、自分のやりたいこずだずは蚀えないだろう。それでも、自分の胜力を詊したくなる時がきっずあるはずだ。しかし、芋えない自分の扉を開けおみる勇気が、その扉の向こうを芋る勇気がなくお、そのたた心の隅にしたっおしたう。でも皆、わたしも含めお、あず䞀抌しの勇気ず垌望さえあれば、今も、未来も、倉えるこずができるず思う」


    「あなたの人生を代わりに生きるこずはできないのよ」

    15歳の自分に、今、そう蚀われおいる気がした。
    ぶん殎られおいる気分だった。


    「英語はちゃんず勉匷しおおいた方がいいよ」
    「留孊しちゃえば」
    「ずっずここにいる必芁なんおないんだからね」
    「楜しいず思えるこずを倧事にした方がいいよ」

    わたしが長女にかけおいた蚀葉の倚くは、過去の自分にかけおいる蚀葉であり、今の自分にかけたくおもかけられない蚀葉なのかもしれない。
    必死に、がむしゃらに、目の前の呜を育んできた15幎間。
    自分の未来を想像するこずなんお、すっかり忘れおいた。

    倕食の時間。
    遅れおダむニングに座った長女が、話し始める。

    「⚫⚫⚫仲のいい友人が、郚掻蟞めちゃったんだよね〜。どうしたんだろ。䜕か他にしたいこずがあるわけでもないんだっお。⚫⚫⚫は、䜕しおる時が楜しいのかな。心配だな。明日ちょっず話しおみようかな」

    「え、それは心配だね。頑匵っおたのにね、郚掻」

    少しは自分の心配もしたらどうなの、ずは蚀わなかった。
    倧事なこずは、ちゃんず、分かっおる。
    本圓に䌝えたかったこずは、䌝わっおる。


    翌朝、い぀もず同じように時間をかけお身支床を敎え、家を出おいく長女。

    「いっおらっしゃい」
    「いっおきたヌす」

    人生であず䜕回、このやりずりができるのだろう。

    掗面台に向かうず、今日はきれいに敎理敎頓されおいる。
    排氎溝のゎミは、そのたた。
    惜しいね。
    そう思いながら、ゎミを぀たんで捚おる。

    誰もいなくなったリビングで、アむスコヌヒヌを飲みながら猫を撫でる。
    猫がわたしの手をすり抜けた埌、PodcastでBBC Easy Englishを聎きながら、ちょっずだけ未来に想いを銳せる。

    今日も倖は、しずしずず雚が降っおいる。


     
     
    ラむタヌ・岩未来のコラム https://brightwrite.jp 仕事のこず 家族のこず 誰にも話したこずのない人生のこず 単なる個人的な趣味思考など 音楜ずアヌトが奜き HipHop、Soul、Jazzなど特にブラックミュヌゞック◎ 来䞖はラッパヌになりたい

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