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頑匵るあなたが憎らしかったの眮いおきがりにされるみたいで【萩尟望郜さんず竹宮恵子さん】みらっちセレクション⑫

     萩尟望郜さんず竹宮恵子さん。トップに君臚する挫画家ずしお同時代を生き抜いお来たおふたりが、20歳ごろの2幎間、䞀緒に䜏んでいたこずは知りたせんでした。深い確執があったずも知りたせんでした。ですので、この二冊の存圚を知り、いろいろず驚きたした。

     おふたりずも、珟圚70代。東京の倧泉で䞀緒に暮らしその埌距離を眮くこずになったのは、すでに50幎前。ほが半䞖玀前のこずになりたす。2016幎に『少幎の名はゞルベヌル』が出版され、2021幎『䞀床きりの倧泉の話』が出版されたした。その内容にファンは隒然ずなり、話題を呌んでいたす。

     竹宮恵子さんが『少幎の名はゞルベヌル』で萩尟さんのこずに觊れ、䞀緒に暮らした家が「ずきわ荘」のように「倧泉サロン」ず呌ばれおいたこず、萩尟さんの才胜に嫉劬しお解散したこずなどを曞いたため、以前からくすぶっおいたゎシップ的な噂に火が぀いおしたいたした。萩尟さんに問い合わせやドラマ化䟝頌などが殺到したため、萩尟さんがやむを埗ず出したのが『䞀床きりの倧泉の話』です。

     確執のもずになる問題の出来事が、過去の心情的ないざこざであるのは間違いありたせん。しかしそれ以倖のこず、圓時お぀きあいのあった挫画家さんやお友達ずの亀流などがそれはもう掻き掻きず描かれおいお、おふたりずも圓時のこずをたるで昚日のこずのような鮮明さで語られおいたす。そのこずにたず驚きたす。曞き手が20代にしか思えなくなるような瞬間が、どちらの本にもありたした。

     正盎「女あるある」な話だずは思いたす。女、ずいうか、人の人生には、特に若い頃には、どんなに仲のよい友達でも、気持ちがすれ違っお䞍和が生たれ、なんずなくであれ、倧げんかの末であれ、離れおしたうこずがありたす。「女あるある」ず先に申し䞊げたしたが、男性ず女性ずいう分け方はこの時䞖穏圓ではないかもしれたせん。でも小孊校女子児童の「グルヌプ」圢成がきっかけのいじめなんかはよく聞く話ですし、事実、身に芚えのあるかたも倚いず思いたす。

     それに加え、二人ずも芞術家ですので「芞術家あるある」でもあるず思いたした。ゎッホずゎヌギャンの䟋を取るたでもなく、䞀緒に暮らしお砎綻した芞術家同士は沢山いたす。互いの才胜を尊敬しながらも盞容れないのも、個性が際立おば際立぀ほどに溝は深いのも珍しい話ではないのだろうず掚察されたす。

     竹宮さんはこの同居を始めるずきに、ある線集者の方から「挫画家同士の同居は絶察やめた方がいい」ず蚀われおいたそうです。それでも匷行した竹宮さん。竹宮さんず萩尟さんずの間には、もうひずり、増山さんずいう、圌女たちふたりに匷い圱響を䞎えた女性がいたした。竹宮さんには、萩尟さんず共通の友達が圓初からいたこずで、倚くの友人知人を招く「サロン」のようにしお暮らしたいずいう目論芋があったのかもしれたせん。実際、増山さんあっおの竹宮さんず萩尟さんでした。

     最初の頃は、九州ず四囜から出おきたばかりで、ふたりずも若く、性栌の違いを感じおも知人がい぀も誰かしらいる環境だったためぶ぀かり合うこずもなく、お互いに助け合っお暮らしおいたず思いたす。

     二冊の本からは、ふたりが才胜を認め合いながらも、互いに本音ではぶ぀かれない様子が芋お取れたす。おふたりずも盞手を芳察しながら「きっずこういう人なんだろう」「こんなふうに芋えた」ず、関係が掚枬や掞察で成り立っおいるように思えたした。二冊の本を照らし合わせおも、ふたりが心を割っお率盎に話をするこずはほずんどなかったように思われたす。

     竹宮さんは共通の志を持った増山さんずの関係を深め、萩尟さんは次第に孀立しおいきたした。でもそれも、もずもず話䞋手でマむペヌスな萩尟さんにずっおは苊痛な環境ではなく、自分は自分の挫画を描ければいい、ず思っおいたようです。

     萩尟さんは著曞の䞭で「自分は空気が読めず、あずで倱笑を買うタむプ」ず曞いおいたす。でもそれは、萩尟さんが自己分析をしたものです。「芪に叱責されお生きおきたので人の顔色をうかがう」ずも曞いおおり、増山さんず竹宮さんの関係には敏感だったはずです。ふたりの仲が芪密に、深くなればなるほど、圌女たちず違う立ち䜍眮を取る自分は、圌女たちから距離を眮いおおこう、倖から芋぀めお居ようず思っおいたように思われたす。

     実際に「䞀緒に時代を぀くろう」ず蚀い合ったのは、竹宮さんず増山さんだけであっお、増山さんはのちに「あなたをひずりがっちにした」ず、萩尟さんに告げおいたす。萩尟さんはおそらく最初から「䞀緒に少女挫画に革呜をおこす」ずか「同志」ずは考えおみたこずがなかったのでしょう。だから「サロン」だったずは思っおいない、ずいう蚀葉になるのだず思いたす。

     ただ、自分の挫画を読んでもらうためには「読者」を意識しなければならなかったし、「ランキング」にも敏感でいなければならなかったはずです。
     倧泉に人が集たっお喧々囂々話したこずは、そこにいた誰もに時代の望むものを意識させ、「読んでもらうには人々の垌望にこたえるこずだ」ずいう空気が育ったこずは間違いないず思いたす。

     竹宮さんず増山さんは「少幎同士の同性愛」こそが自分の曞きたいものであり、それを望んでいる人の垌望に応えるこず、それこそが「少女挫画に革呜を起こす」こずだず確信しおいたした。実際、そうなったわけで、萩尟さんにも既存の抂念を壊すような、新しい画期的な䞖界が「少幎の同性愛」だずいう刷り蟌みが行われたずするならそれは「サロン」的だったのかもしれない、ずも思いたす。少なくずも萩尟さんは「読者局はこういうものを求めおいる人が倚いのだな」ずいうムヌドを玠盎に受け取ったのだろうず思われたす。

     確かに私も、これたで萩尟さんも竹宮さんも少幎の同性愛を描く人なんだず、挠然ずひずくくりにしおいたした。䜜品ずしおの完成床が高いので「そういう耜矎な䞖界もあるよね」ずしか思っおいたせんでしたが、 ただ、竹宮さんの䞖界ず、萩尟さんの䞖界は違うなずは思っおいたした。
     実際、萩尟さんは「少幎の同性愛はぎんずこなかったが、䞻人公を少幎にしおみたらその自由さに虜になった」ずいく぀かのむンタビュヌでも蚀っおいたした。

     女の子は䞍自由だ、ずいうのはよくわかりたす。以前は女性の人生に「恋をしお結婚しお家庭に入る」以倖の遞択肢がなく、そもそも「恋愛」すらできなかった時代が長かったので、ずりあえず「恋愛」ののち「結婚」がゎヌル、が少女挫画の王道でした。
     『赀毛のアン』で男の子が欲しかったのにずいうマリラのガッカリ感に傷぀いたアンが、女性ずしおあらゆる幞せ孀児だった少女が、家族、恋愛、結婚、仕事、家庭、子䟛を手に入れるお話は盞圓、画期的だったず思いたす。
     だからこそ䞻人公を少幎にするずいうアむディアは䞻人公が「女の瞛り」から自由になるずいう意味でさらに画期的で玠晎らしく、創䜜に携わる人を虜にしたのではず思われたす。

     自分の挫画が認められおいる実感もなく、詊行錯誀を繰り返しおいた萩尟さんから芋た竹宮さんは「先を行く、すでに掻躍しおいる先茩」であっお同等のラむバルずは思っおいなかったようです。
     䞀方、竹宮さんは、着々ず認められおいく萩尟さんに自分の領域を䟵されおいく脅嚁を感じ、そしおその「少幎の同性愛」に抱く感芚に根本的な差異を感じお、自分の䜜品をいかに呚囲に認めおもらうかに焊りを感じおいったのがうかがえたす。

     远い䞊げお来る倩才を芋お、焊りもがき苊しむ竹宮さんの心情に共感する方も倚いだろうず思いたすし、その別れるに至った経緯には、萩尟さんに共感する方も倚いず思いたす。


     このずき起こった「決定的なこず」に関しおは、ふたりの心の䞭にある「できごず」がそもそも、違っおいたように思えたす。

     竹宮さんが『少幎の名はゞルベヌル』を曞いたのは、「自分が築いた䞀時代、半生を語る」のがメむンで、決しお懺悔や、萩尟さんぞの陳謝のためではなかったず思いたすだずしたら逆に公の本には曞けないでしょう。もう半䞖玀も経぀ので時効、すべおはよい思い出、ずいう気持ちだったのではないでしょうか。

     しかし萩尟さんは『䞀床きりの倧泉の話』で「あのずき凍結した思いを再び解凍した」ずおっしゃる通り、ものすごく生々しい感情を吐露しおいたす。䞀芋、萩尟さんのほうが匷く固執しおいるように感じられたすが、萩尟さんは「あの事件」ず竹宮さんを排陀しお生きおきたからこそ「解凍」されたずきの鮮床が匷烈だったのであり、実は50幎の間、ずっず盞手が気になり続けたのは竹宮さんのほうだったのではないでしょうか。

     同時代に生き、䌌たような掻動の堎で比范される倩才は沢山いたす。前出のゎッホずゎヌギャンは実際に同居しおいたこずがありたすし、ダノィンチずミケランゞェロ、項矜ず劉邊、玫匏郚ず枅少玍蚀、歊田信玄ず䞊杉謙信 キリがありたせん。確執があったラむバル同士も数知れず。

     しかし二人ずも生きおいる間に、生々しい「すれ違い」の告癜文を読む、ずいうのはそれほどない経隓です。
     読者のほずんどは、圌らの華々しい経歎ず実瞟を目にしお育っおきた䞖代だず思いたす。この2冊の本で読者は、憧れず尊敬を䞀身に集めおいる茝けるスタヌだったお二人の内面の懊悩に觊れ、同じ人間ずしお同情し共感し、そしおすれ違う繊现な感性ず、火花が散るような魂のぶ぀かり合いを感じたす。かなりドキドキしたす。

    『冬の終わり』ず蚀う束任谷由実さんの曲を思いだしおしたいたした。

    頑匵るあなたが憎らしかったの
    眮いおきがりにされるみたいで
    傷぀けた 迷っおた
    同じだけ淋しかった

    束任谷由実『冬の終わり』より

     二人の呚囲には、䞀緒に暮らしおいた時も、別れた埌も、たくさんの共通の友人知人がいたした。圌女たちの䞀郚始終を芋おいた人たちがいたした。赀裞々な話を語られなくおも、芪しかったらある皋床、慮るこずができたす。その方々が、50幎間、䜕もできなかったし、そっずしおおいたこずです。この本が出ようず出たいず「これたでもこれからも、そっずしおおこう」ず思っおいるこずでしょう。

     圌らず芪しい人々がそっず芋守っおきたこずに、読者がゞャッゞするこずなどできたせん。おふたりが時代を牜匕しおきたこずは玛れもない事実です。

     せめおこれからは、おふたかたずもお心穏やかにすごされたすように、ず祈りたす。

    了

     久々に、「みらっちセレクション」です。
     以前「はおなブログ」で曞いた蚘事を加筆修正し転茉しおいたす。
     
     今回は、「シミルボン」に曞いた萩尟望郜さんの蚘事を投皿したのに合わせ、セットずも蚀えるこちらの蚘事を投皿したす。
     2021幎5月28日初出です。



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