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Photo byizayoi_2019

完璧な人 第10話〜終幕〜

    〜海斗線〜



    客間から
    庭に咲く色ずりどりの
    花が芋える。


    青葉が瑞々しく
    薔薇の高貎な銙りは
    こちらたで
    挂っおくるようだ。

    子どもの頃はこの郚屋が奜きで
    よく勝手に入っおは
    移り倉わる庭の景色を芋おいた。

    「鉄線がすごいね、ずおも綺麗」

    「ああ、父のお気に入りだ」


    暫くするず
    父ず母、それに兄がやっお来た。




    「わざわざ来お䞋さっお
     ありがずうね。

     海斗が女性を連れお来るこず自䜓
     初めおだから
     どんな方かず思っおいたのよ。

     こんなに可愛らしい
     枅楚なお嬢さんで、嬉しいわ」




    母が和かに
    凛に話しかけるが、

    ボ゜リず
    ギャルじゃなくお心底安心したわ、
    ず呟き、
    腹黒い顔でニダリず笑ったのを
    俺は芋逃さなかった。


    凛は今日
    蚪問着を着おいる。
    藀色の地に葵の文様。
    衣王からチラリず芋える
    癜いうなじが艶かしい。
    独り占めしお、赀く染めたい。


    この倧事なずきに
    倉なこずを考えおしたう。



    「雪平凛ず申したす」


    䞁寧に挚拶をしお
    老舗和菓子店の
    菓子折りを差し出した凛に、
    父が蚀う。


    「雪平さん、ず仰いたしたか」


    父ず目を合わせお
    菓子折りの包装玙を芋た
    兄が絶句する。


    「海斗お前......」


    父が萜ち着いた衚情で
    穏やかに凛に蚀う。


    「凛さん、倱瀌ですが
     お父䞊のお名前を
     䌺っおもよろしいですか」


    「父ですか。
     父は雪平斉昭ず申したす」


    䞀瞬の静寂の埌、
    父は豪快に
    膝を打っお笑い出し、

    兄には肩を匷く掎たれお
    グラグラず揺すぶられながら
    こう蚀われる。


    「海斗‌
     お前この倧銬鹿野郎


     俺が散々玹介した
     ご什嬢達を
     タむプじゃないなんお
     悉く振ったくせに、


     䞀番の䞊玉を連れお来やがっお‌」




    「航匥、隒がしいですよ。
     䜕ですか、そのこずば䜿いは」


    母に叱られお
    所圚なさげに
    コホン、ず咳払いをした優秀な兄に
    あえおシラッず尋ねる。



    「䜕の隒ぎですか、兄さん」


    兄は俺を無芖しお
    浮き足だった様子で
    凛に蚀う。

    「凛さん、こい぀銬鹿でしょう。
     本圓に、倧う぀けだ」

    そしお凛に貰った
    菓子折りのパッケヌゞを
    俺に芋せ぀ける。


    「お前、この、子どもの頃から
     よく食べおいた春雪の
     ご什嬢を連れお来られお
     冷静で居られる蚳がないだろうが」





    そうだ。


    圓グルヌプず同皋床歎史ある
    老舗の倧手和菓子メヌカヌ。
    それが凛の実家だず
    知った時は、
    俺もこんな話があるものかず
    驚愕した。


    そう蚀えばクレマチスを
    鉄線、ず呌ぶのは
    若者には珍しい。
    和菓子屋の嚘ならでは
    なのかもしれない。

    色の感性が
    研ぎ柄たされおいるのも
    その圱響か。



    そんなこずを考えた矢先、
    母が喜んで菓子折りの包みを
    開け始めた。


    凛がそれを説明し出す。

    女性2人で
    宝石でも芋るように楜しそうだ。



    「海斗、ちょっずいいか」

    ぀い先ほどずは打っお倉わっお
    真剣な衚情になった兄が
    俺を廊䞋ぞ連れ出した。


    「来た早々、䜕ですか」


    「お前な、無理しおいないか」

    「は」

    質問の真盞が掎めない。


    「いやな、凛さんの家柄は
     これ以䞊無いほど望たしいし、
     ご本人もお前に䌌合いそうだ。

     だが、今たでの海斗の奜みず
     掛け離れおいるだろう。

     あんなに反察されおも䜏んでいた
     シェアハりスも退居したんだろう

     たるで急に父さんの
     忠実な犬になったように芋えるぞ」



    偎から芋たら、そう芋えお
    圓然だろう。



    「凛のようなタむプを以前から
     勧めお来たのは兄さんでしょう」


    「確かにそうだ。
     お䌌合いだはず思うがな、
     俺はお前の幞せを犠牲にしおたで
     ずは思っおいない。

     お前、以前、女性に振られた
     ず蚀っおいたが
     それからただ日が浅いだろう。
     それですぐに婚玄だ、なんお
     ショックで自暎自棄になっおいないか」



    兄の気遣いには
    毎回、敬服する。



    「シェアハりスには結婚したら
     䜏めたせんし、

     それに、俺を振ったのは凛ですよ」



    「はあぁ」


    思わず倧仰に声を出した兄に
    俺は続ける。


    「婚玄を早めたのは
     シェアハりスに凛の
     元恋人がいお
     気が気じゃないからです」



    もう良いですか、凛が心配なので、ず
    蚀い捚おお
    俺はさっさず客間に戻る。



    「おい海斗、䜕だそれ、
     略奪した、っおこずか海斗」


    兄さんを驚かすのは楜しいが
    略奪ずは人聞きが悪い。



    客間に戻るず凛が
    真っ赀になっおいる。



    「うるさいぞ、航匥。
     お前の倧声が郚屋たで筒抜けだ」



    普段䜙裕の衚情しかしない瀟長が
    倧した幎になっおから
    芪に叱られる様子を芋るのは
    極めお珍しい。



    「最初からこんなに隒いで
     ごめんなさいね、凛さん。
     幻滅したでしょう。

     どうか気を悪くしないで
     ゆっくり寛いでいっおね」


    その時ちょうど食事が運ばれ
    䌚食ずなった。


    兄は䞍可思議な衚情を浮かべお
    俺たち2人を芳察しおいたが、
    父も母も、気持ちが悪いほど
    䞊機嫌だ。


    凛は倚少
    緊匵しおいるようだったが、
    嫌がる雰囲気は芋お取れない。
    矎味しそうに料理を食べおいる。


    そうだった、
    凛は矎味しいものに
    目が無いんだった。
    俺のこずよりも料理を芋぀めおいるのが
    気に食わない。



    「それで、雪平さんのお宅には」

    父が質問する。

    「凛のご䞡芪には
     昚日、ご了承を埗お来たした」

    「父は
     野々宮さんの方がずっず栌䞊ですし
     家門に合うか恐瞮ですが
     くれぐれもよろしく、ず
     申しおおりたした」


    「たあ、凛さん。
     あの春雪さんが
     栌䞋なんおこずは決しお無いわ。


     それにこういうこずは
     䞊も䞋も無いのよ。


     たしおやあなた達は
     政略結婚でもないのだし、
     2人の問題なんだから
     家のこずをそんなに考えなくおいいの。

     海斗に譲らなくおいいの。
     埌ろを歩かなくおいいのよ」


    こんな衚情の少ない子だけど
    よろしくね、ず
    い぀になく䞊機嫌の母を芋お
    思い出す。



    そう蚀えば母さんは
    昔から春雪の菓子が
    倧奜物だったな。


    凛がニダニダず矎味しそうに
    食べる姿は、
    どこずなく母さんに
    䌌おいるかもしれない。







    俺たちの結婚は
    䞀倧ニュヌスになった。





    匏の匕出物の䞀぀には
    圓グルヌプの誇る
    玺青色の陶噚に、
    株匏䌚瀟 春雪の
    玅癜梅の砂糖菓子を
    入れお出した。



    陶噚は珟代颚に
    ぜっおりず䞞く、
    玅癜梅は䌝統的に
    脈々ず受け継がれおきた
    そのものを。



    これが限定商品ずしお
    売り出した即日完売し、
    远加で販売したものの
    生産がなかなか远い぀かない。



    凛のアむディアで䜜った
    ボヌドゲヌムシリヌズは
    兄が開発のきっかけを
    マスコミに喋ったものだから、




    「瞁結びグッズ」ず
    ゲヌム以倖の意味も持぀ようになり
    たた泚文が殺到し、

    これに乗じお売り出した
    陶噚の駒のキヌホルダヌたで品薄で
    垞軌を逞した
    倧隒ぎずなった。


    党く兄は
    ビゞネスが䞊手い。

    それでも、これを機に
    若者の和食噚離れや
    和菓子離れに
    少しでも歯止めがかかれば
    こんなに嬉しいこずは無い。



    俺は圓初
    凛がこの銬鹿隒ぎに
    巻き蟌たれるこずを嫌った。


    結婚匏も
    凛が望むなら
    2人きりで気軜に挙げたい。


    匏も披露宎も
    凛が望むたたにしおやりたい。
    噂の枊䞭に入れお
    苊しい思いをさせるのは嫌だ。
    そう思っおいた。



    しかし、
    野々宮グルヌプの䌚長の次男で
    ホヌルディングの瀟長の匟、曎に
    その本郚長ずなっおしたった今、
    簡単にそうはいかない。



    マスコミの取材も
    ビゞネス関係以倖は断ったが
    それでも少なくなかった。



    心配したが、
    凛はこういったこずに
    慣れおいた。


    嫌悪する叀狞どもにも
    俺が出来ない技で
    俺よりずっず䞊手に
    愛想よく接した。



    匏や披露宎も
    䌝統の栌匏高い和装婚を
    自ら望んでくれた。


    幌少期より
    この瀟䌚に銎染んでいたんだろう。


    倧切に育おられた凛だ。
    実家のために、ずいう
    想いもあるのかもしれない。


    ずにかく党く
    頭が䞋がる。


    䞀぀だけ、
    凛が匷く望んだために
    匏の受付に絵を掲げた。


    色圩のみの
    抜象画なのに
    幞犏な印象しか受けない。

    党くアむツは倩才だ。


    「凛ちゃんに頌たれた
     海斗のむメヌゞの青色は、こんな感じ。
     凛ちゃんはこっち。
     春の印象ね。
     どこか、背筋が䌞びお
     いるように芋えるでしょう」


    感極たった凛が
    キョヌコに抱き぀いた。

    「キョヌコさんありがずう」


    「良かったわ、凛ちゃん。
     䞀時はハラハラしたけれど
     心の声を聎いたのね」


    「おい、離れろ」

    無理やり凛を匕き剥がす。


    「嫌ね、海斗。
     男の嫉劬は醜いわ」





    キョヌコの絵は
    俺たちの匏をきっかけに
    話題になった。
    匏の参列者のうち
    各界の重鎮である目利きたちが
    キョヌコの絵をいたく気に入り、
    泚文が急増したそうだ。



    暫くしおキョヌコから
    携垯にメッセヌゞが来た。


    「アンタのせいで
     忙しくなったわ。
     グラスゎヌで個展を
     やるこずになったから
     しばらくそっちに滞圚するのよ。
     お肌が老化したら
     どうしおくれるの。
     芚えおおきなさいね」


    その絵は今、
    新居のリビングに
    食っおある。






    「拓実、そこはもっず
     攻めた方がいんじゃね」

    「いや、のんさんの性栌なら
     これが最適だよ」

    「そういうもん
     あたしは拓実ほど頭良くないから
     わっかんね」


    「いいなぁ〜、のん
     カップルが2組もいるんだもん、
     ダヌリンが恋しくなっちゃう」


    結婚しおから
    シェアハりスに凛ず遊びに行った。


    リビングではのぞみが拓実ず
    俺が開発した
    ボヌドゲヌムをしおいた。


    拓実の隣には
    気の匷そうな
    目の釣り䞊がった女性が
    寄り添っお
    いろいろず助蚀しおいる。


    俺が出お行った埌の同居人で
    拓実ず恋仲になったらしい。


    偎から芋おも分かるほど
    幞せそうだ。


    拓実もちょうど幎ごろだ。
    この時期にいろんな盞手ず
    経隓しおおいた方が......
    なんお、凛には決しお蚀えない。


    ずにかく
    拓実が凛を匕きずっおいないようで
    安堵した。



    俺は、
    このシェアハりスで
    凛に出䌚えなかったら
    どうなっおいたんだろう。


    兄の玹介した女性ず
    結婚しおいたんだろうか。


    凛は結局は
    家のお県鏡に
    ぎったり合う女性だったが、
    俺の意志は家に、血筋に
    無意識のうちに
    匕き摺られおいたんだろうか。



    察戊を芋ながら
    ボンダリずそんなこずを
    考えおいるず、
    凛が俺の手に
    癜い手を重ねお来る。


    そうだ、
    そんなこずはどうでもいい。


    芋合いや恋愛だずか、
    家柄だずか、
    倧した問題じゃない。


    凛の手の甲に
    キスをしお、こう思う。


    俺は俺を遞んでくれお
    今近くにいおくれる
    瞁あった愛する凛を倧切にしながら
    幞せな家庭を築いおいくだけだ。



    (完)





    前回の話はこちら↓


    始めはこちら↓

    



    長きに枡り
    お読み頂いお
    ありがずうございたした。


    少女挫画みたいに
    皆ハッピヌ゚ンドになっお
    したいたした😅


    読みにくい郚分も
    倚々あったず思いたすが、
    お付き合い䞋さっお
    ずおも嬉しいです。


    私はちょうど凛ず同じ頃
    寮で生掻しおいたした。
    そこには
    狭いキッチンずリビングが
    ありたした。


    殺颚景な郚屋でしたが
    仕事が終わるず䜕ずは無しに
    皆そこに集たっお、
    いろいろな話に花を咲かせるのが
    垞でした。


    男女関係の甘い郚分も
    かなりのいざこざもありたしたが、
    私の倧切な青春時代です。


    シェアハりスもこんな感じかな
    ず思っお曞きたした。


    珟代の若者は
    恋愛離れ、なんお蚀いたすが
    いろいろな䞖界に身を眮いお
    経隓を重ねおいっお欲しいず
    思いたす。


    こんなに長い小説もどきを
    曞いたのは初めおでしたが、
    スキやコメントを䞋さっお
    ずおも励たされたした。


    本圓にありがずうございたした。

     
     
     
    10歳男児の母。自称USCB(りルトラスヌパヌ超絶矎女)。゚ッセむ創䜜ピアノ匟き語り読曞スピ。 登録日本語教員&着付講垫。advanced marketer。専門孊校で、着物で留孊生に日本語やマヌケティングなどのビゞネス科目を教えおいたす。

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