
創作大賞2026応募作品『砂丘の竪琴』夢と無意識が語りかける物語⑧夜の決意|夢日記|夢分析|ユング心理学|無意識|深層心理|HSP|トラウマ|イメージワーク|AIアート|前世|小説|ラノベ|プロトタイプ神話|物語|
※本投稿は
創作大賞2026応募作品『砂丘の竪琴』
夢と無意識が語りかける物語⑦遮断
の続きです。
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前回の投稿はこちら▼
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ぜひ併せてお読みください。
私の日常
私はそれからしばらく
砂の国を訪れることはなかった。
おとぎ話のように幻想的な世界を
気軽に楽しめると
軽い気持ちで訪れた世界は、
実は重い闇の世界をも
内在していたと分かった。
理屈では分かっていても、
あの世界の美しさや官能的な音楽だけでなく
いのちの重みの両方を
いっぺんに体感してしまった。
その嵐のような感情の落差に
飲み込まれるような危機感を感じて、
恐ろしくなった。
あのあと、リオーさんは
いったいどうなったのだろう?
そう思うと、また
じわりと涙が浮かんでくる。
そのたびに
身体が震えだしそうな気がして、
自分をかき抱いた。
無事であって欲しいと思いながら、
ミルアが強く制した理由に
思いが巡る。
何度かそれらを繰り返している内に
自分が砂の国の物語に
とらわれていると気が付いた。
だからこそ、離れようと思った。
砂の国と距離を置いている間、
私は極力、日常を重視した生活を送った。
丁寧に食事を用意して食べ、
淡々と仕事をこなし、
ヨガやダンスのレッスンを増やし、
自然を感じられる場所を訪れる。
そうしていく内に少しずつ
砂の国の印象が
薄らいでいくようだった。
このまま
記憶の彼方に忘れ去っていもいい。
あんな哀しい場面は
2度と見たくない。
そう思っていた。

ミルアの鼓動
ある日の夜。
夢見が連続で続き、
何度も途中で目覚め、
なかなか寝付けなかった。
まだ夜中の1時半。
2時間程しか眠れていない。
それから1時間以上、寝付けなかった。
時計は夜中の3時近くなっていた。
もっと寝たいのに、
頭や心だけが逸るように昂っている。
このまま朝になったらまずい。
疲労回復も足りず
あきらかな睡眠不足だ。
頭痛が起こる前兆候も感じて、
ずいぶん、久し振りにミルアに声をかけた。
もうずっと呼びかけていなかった。
静かな闇夜を割るように
銀髪のミルアが現れた。
ゆったりと私のそばまで来て
2人で並んでベッドで横になった。
「……眠れないのか?」
ミルアの声が低く密やかに響く。
私の様子を伺いながら、
神経が落ち着くよう
気を使っているようだった。
「……うん。久し振りだね」
「……何かあったのか?」
「今夜はたくさん夢が続いて、
眠れなくなっちゃったの。
しばらくそばにいてくれる?」
ミルアは何も言わず、
私に身体を寄せてきた。
彼の体温が伝わり、
ゆっくりとした
彼の鼓動が聞こえるようだ。
それを感じる内に、
自分の呼吸が深くなってきたのに気が付いた。
そのまましばらく
二人で一緒に過ごした。
会話は何もなかった。
2人でベッドに横たわって、
どちらからともなくゆるく抱き合って
ただ瞳を閉じ
互いの存在を確かめ合うだけだった。
身体がだんだん温まり・緊張が解け、
夢うつつのようにうっとりとしながら、
ミルアの心音や呼吸に
耳を傾けるだけで満たされた。
そうしているうちに、
ミルアの中に、ふと、
あの砂の国の夜空が見えた。
澄み渡る星空。
昼間の灼熱の太陽とは異なる、
冴え冴えとした冷たく広い夜空だった。
その夜の砂漠の中で、
ぽつんとオレンジ色の光が揺れていた。
焚火だろうか?
そこに確かに誰かいるのだろう。
人の存在を示す人工的な明かりだった。
でもそれ以上、そこにあるものが
何か分からなかった。
美しい砂漠の夜空の下で
ポツンと光り続ける
焚火のような小さな灯り。
私にはそれが
ミルアそのもののように思えた。
砂漠の世界で、
彼は今も一人でポツンと
たたずんでいるのかもしれない。
それは永遠の孤独だった。
そう感じた時。
私は彼に伝えた。
「ミルア……。私、また砂漠の国に行きたい。
この先にどんな展開があっても、
私、それを知りたい。
だから、また一緒に連れて行って」
そう伝えた。
ミルアはしばらく身動きせず、
小さな吐息が聞こえた。
「……分かった」
その声が聴こえたと思った時、
私は心地よい眠気に引き込まれるように眠り、
朝まで目が覚めることは無かった。
翌朝、目覚めても、
気持ちは変わっていなかった。
また砂の国に行こう。
あの物語を最後まで知るのが
私の役割なのだとしたら、
それを全うしたい。
怖さは消えていなかった。
それでも目を逸らしたくなかった。
もう一度、そう思った時、
背筋に悪寒が走った。
一瞬、ミルア!!
と叫びそうになるのを
寸前で飲み込む。
それでも行く。
最後まで見る。
それが私自身のためでもあり、
ミルアのためでもある。
だから逃げたくない。
静かに、でも強く、
そう決めたのだった。
(つづく)

あとがきにかえて
おかげさまで砂丘の竪琴1~8話まで
公開することができました。
現在、11話を書いているところです。
予定では12話、
もしくは13話で完結する予定。
最終話まで書きあがり次第、
次回9話から公開予定です。
しばらく通常投稿に戻る予定ですが、
再開をお待ちいただけるとうれしいです。
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『砂丘の竪琴』の
これまでのエピソードは
専用のマガジンでまとめています▼
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興味のある方はマガジンを
フォローして下さるとうれしいです。
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魔王ミルアについての記事は
専用のマガジンでまとめています▼
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