コミュニティの「見えないチカラ」——深川八幡祭りで神輿を担いで考えたこと

痛っ!!

翌朝、リュックを背負おうとした瞬間、ダメだと思うほど肩に激痛が走りました。

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こんにちは、普段はビジネス書やAI記事などを書いているMinoです。

今回は、3年に一度の本祭り「深川八幡祭り」で、初めて神輿を担いだ体験を書きます。

神輿が通る町で育ち、子供神輿には参加してきましたが、大人になってからはずっと見る側でした。

でも、実際に担いでみると、外から見ていた祭りとはまったく違う世界がありました。

押しつぶされそうな担ぎ棒の下、そして「立ちながら溺れる」ほどの水かけ。その先で感じた、祭りと地域コミュニティの不思議な力について、筋肉痛が消えないうちに書き残しておきます。



概要と歴史——380年続く「江戸三大祭り」

まず、簡単に祭りの背景と歴史を確認します。

東京・江東区にある富岡八幡宮の通称「深川八幡祭り」。
正式名称は、「富岡八幡宮例大祭」(れいたいさい)。
寛永19年(1642年)、将軍家光の長男(のちの家綱)の世嗣祝賀を執りおこなったのが始まりとされ、日枝神社の山王祭、神田神社の神田祭と並んで江戸三大祭りのひとつに数えられる。

面白いのが、この三つの祭りを表現する言い回し。
「神輿深川、山車神田、だだっ広いが山王様」——言い得て妙な、まさに各祭りの個性を、的確に表していますね。そう、深川は、とにかく神輿。

3年に一度の本祭りでは、神様の乗った御鳳輦(ごほうれん)が引かれ、そのお礼として各町会の神輿54基が順番にルートを巡るというもの。
早朝から54基の大神輿が集結し、全行程約8キロ、約10時間にわたって連合で渡御していく。

出発前の待機中の様子(門前仲町が人で埋まります)https://trip.iko-yo.net/events/5516
お神輿の全ルート。これ+各地域への行き帰り  https://www.baynet.ne.jp/fukagawamatsuri/より
順番は毎年変わります。我が地域は前半なので待ち少な目


そしてもうひとつの顔が、別名「水掛け祭り」である。

この水掛けの由来には諸説あるが、興味深いものがある。
深川八幡祭りはもともと秋の行事だったが、明治5年の改暦によって夏の行事になったことから、地固めに使っていた清めの水を担ぎ手にも掛けるようになったという説だ。

祭り参加者の共通認識は、神輿に向かってかける清めの水が担ぎ手にもかかっている、ということだろうが、いずれにせよ各地区の水かけスポットでは大量の水をかけることが「おもてなし」としてイベント化している。↓

いかに大量の「おもてなし」ができるかが各町会の粋の見せ所。
https://trip.iko-yo.net/events/5516より

「わっしょい」は何を意味しているのか

もうひとつ、触れておきたいのが「掛け声」。

深川では掛け声が「わっしょい」に統一されている。ちなみに、他のルールとして、法被装束以外での参加は認められず、連合渡御中の飲酒も禁止です。

で、「わっしょい」の語源である。

最もよく知られているのが「和を背負う」説。皆で一つになって力を合わせるという意味の「和一処(わいっしょ)」が転じたとする説など、諸説あるらしいが、いずれにせよ、地域の皆(和)で神輿を担ぐという本質からきているのは間違いないだろう。地元の祭り好きなお家の前に、この「わっしょいの由来」が書かれており、なるほどな~と思ったものである。


「立ちながら溺れる」

ここからは、実際の体験の話。

祭り当日の朝は早く、どこの町会もおよそ朝5時頃に神酒所(お神輿が安置する場所)に集合する。その前の4時台にお祭りの始まりを知らせる小さな花火(号砲?)があるので、何も知らない住民は毎回驚いているだろう。

各地域から順次、神輿が出発し、6時台には八幡宮前に集合する。神輿総代連合会のお偉方による出発式を終えた7時30分には、先頭の神輿から順番に富岡八幡宮を出発し、江東区と中央区をまたぐ全長8キロのコースをおよそ6時間かけて練り歩きます。

今回、八幡宮出発から最後の地元に帰ってきた後の神輿もすべてご一緒しましたが、なんと私は人生初の3万歩台に乗りました…。それも、1/3は子を肩車に載せながら、1/3は神輿担ぎで、それはそれは足がボロボロになります。

それよりも、笑ってしまうほど大変なのが、神輿を担いでいる時の「水」。

※Youtubeないろいろな動画が上がってますが、AbemaTVの報道を掲載しておきます

担ぎ手や近くを一緒に歩く誰もが使う表現。それが——

「立ちながら溺れる」


そう、顔面にバケツいっぱいの水がかかり、拭って(祭り男はいちいち拭わないが)呼吸しようとした瞬間にまた塊の水がぶつかるので、もうこれは「溺れる」以外の形容の仕様がないほどなのです。

しかも、場所は神輿の進行方向に対して沿道から直角に水がくる担ぎ棒の横と、先頭が一番溺れる。担ぎ手交代で一番入りやすいため、私も大概は真横ポジションにいきますが、とにかくすごいです。

かける側も各地区の消防団の皆さまが全力でおもてなしの放水をしてくださるので、受ける側も毎回笑ってしまうほどの「人工どしゃ降り」を体験できます。水かけ祭りでは名物の光景ですが、以下の記事を見ると、いつもありがとうございますと頭が下がりますね。

https://fukagawa-web.com/wpfuka02/2026/07/24/26hachiman-hito-nari290/

深川八幡祭りの面白さは、「見る」「担ぐ」に加えて(水を)かけるという別の関わり方がある点かもしれない。この3層が一緒になって楽しめる祭りの構図が、本祭りが代々受け継がれてきた要因の一つなのかもしれない。


コミュニティが持つ不思議なチカラ

終わってみて、改めて余韻を感じることを最後に記したい。

普段の生活時間帯が、まったく違う人たち。朝早く出て夜遅く帰る人、日中ずっと町にいる人、勤め人、自営業、若い人、かなりのベテラン。同じ町内に住んでいながら、日常では絶対に導線が交差しない人々が、この日だけは同じ担ぎ棒の周りに集まる。

「こんな人もこの町に住んでいたのか」

10時間以上ずっと歩いていると、そのふとした瞬間の気づきがある。名前も職業も知らないけど、それでもなんとなく同じ町会というだけで一体感が生まれるのは、祭りならではの醍醐味であり、神輿が持つ磁場=重力なのかも。これは、SNSのフォロー関係や職場の人間関係とは、質がまるで違う。コミュニティが持つ不思議な見えないチカラですね。

そして、この日いちばん忘れられない場面が訪れる。

神輿が地元に帰ってきて、各町内を担ぎながら練り歩く(細い路地も)途中の総代の一人のご自宅(古い美容院)の前。ここで神輿を揉み(もーめー、もーめーと上下に揺らすこと)、「さーせ、さーせ」と神輿を高々に担ぎ上げる。町内会の主要な功労者や休憩所を提供してくれたご自宅には御礼を示す神輿のもみさし(揉み差し)が行われる。

さーせ!さーせ!で神輿を担ぎ上げる揉み差しのハイライト https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/184582056e069860b04ac91ea3550e0bea97d08f

ふとご自宅の上に視線を上げると、2階の窓辺に人影があった。ベッドから身を起こして見ているおじいちゃんと、その身体を支えるおばあちゃん。二人とも、涙ぐみそうな表情で、心底嬉しそうにこちらを見ていた。

玄関先では、ご家族が何度も何度も頭を下げている。

——ありがとうございます。町会のみなさん、ありがとうございます…——


その瞬間、思った。祭りってすごい。人と人が神様を通して一体となるコミュニティってとんでもない見えないチカラがあるんだと。

これがまた、さらに毎年でなく、3年に一度というところが良いのかもしれない。溜まりにたまった地域の祭り熱が一気に放出される、そういう感覚。

見えないけれど、確かに何かが動いて、子供達もそんな大人達を見て、何かを引き継いでいっている。そうして、380年超という長きに亘り、この祭りとコミュニティが続いている。

やっぱり、全ては「人と人」だなぁ…と改めて感じた非日常の1日でした。

肩の痛みは2日で、脚の筋肉痛は3日で引いたけど、あの窓辺の光景は、たぶん一生忘れないと思う。

これからも、地元と祭りとコミュニティを自分なりの関わり方で大切にしていきたいと感じました。


備忘:以降、お風呂で3歳児による神輿の水かけごっこが行われ、天井までびしゃびしゃになる日々でございます。


参考リンク


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