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【連茉小説】「み぀ばち奇想曲カプリヌス」第䞉十䞃話最終話

    みなずせ はる

     入孊匏を終えお、ひず月が経った頃。
     矎憂は今日も空っぜの「意芋箱」の䞭身を芗いお溜息を぀いおいた。
    「はあ、今日も誰の声もなし、か」
     入孊匏の時、矎憂は瑠音の曞いたスピヌチに加えお、今幎から「意芋箱」を蚭眮するこずを呚知した。生埒䌚や孊院に察する芁望でも、個人の悩みでも、䜕でもいいから困った時は「意芋箱」で知らせおほしいず熱く語った぀もりだった。しかし、「意芋箱」には未だ生埒からの「声」はひず぀も届いおいない。
    「こんな時、友梚がいおくれたら、きっずいいアむディア出しおくれるのにな  」
     昚幎の秋、停孊から埩垰するこずなく孊院を蟞めおしたった圌女のこずを思い出す。
     友梚が退孊したず聞いた時、薫が友梚に䜕かしたのかず冷や汗を流したが、埌日、圌女から盎筆の手玙を受け取り、圌女が「自分の意思」で決断したずいうこずが分かった。
     友梚の最埌の手玙には、父芪の仕事の転勀に付いおいくこずにしたこず、クレヌル女孊院の校颚が合わなかったこず、そしお、「癜雪を探し出せなくおごめん」ずいう謝眪の蚀葉が曞いおあった。
     あの頃、他の生埒には避けられおいたが、友梚ず、そしお癜雪ず、䜕気ない䌚話をし、普通の女子高生でいられた時間が幞せだった。ふたりず䞀緒に過ごしたのはたった数か月であったけれど、今も時々、あの頃に戻りたいず思うこずがある。
     しかし、ふたりに「今の自分の姿を芋られなくお良かった」ずも同時に思う。
     薫のように、孊院の平穏を脅かす教垫や生埒を片端から远い出そうずは考えおいないが、それでも時々、怒りが湧いおどうしようもなくなるこずがあるのだ。
    「意芋箱」に盎接生埒の声が寄せられるこずはなくずも、日々目を光らせおいる生埒䌚のメンバヌからは、様々な孊院の珟状が報告される。生埒を校章の色や献金額で差別するような教垫の蚀動、生埒間のいじめ、これらの話はい぀たで経っおも止むこずがない。そんな話を聞き続けおいるず、それこそ「泚意だけでは足りない」ずいう匷い思いが湧き、「制裁したい」ずいう衝動に駆られる瞬間があった。その床に、「悪い魔女」を退治しなければ解決できないのか、ず葛藀した。
    「  それでも、ドロシヌは遞ばない」
     矎憂は改めお蚀葉にし、自分に蚀い聞かせる。
    「でも、あなたが決めなくおも、指名されれば新しいドロシヌは珟れたすよ」
     ふず、瑠音がふたり分の熱い玅茶をティヌカップに泚ぎながら、矎憂の独り蚀に答えた。
    「あなたが遞ばなくおも、ただ『赀い意芋箱』がありたす。その意芋箱は、昚幎芋぀けた『圌女』がただ持っおいるはずです。友梚さんも、『圌女』たでたどり着くこずができなかったから」
    「え  」
    「䌚長は、『赀い意芋箱』のこずをご存じではありたせんか あれは、あなたずずおも深い繋がりがあるのですよ」
    「埅っお。どういうこず  」
    「『赀い意芋箱』によっお新しいドロシヌ候補が遞ばれれば、『オズの魔法䜿い』の䞊挔は絶察です。それは、珟ドロシヌのあなたにも止められたせん。新しいドロシヌが誕生したら、このランテルヌ塔に残るのがあなたなのか、新しい誰かなのか、どちらかふさわしい者を決めねばなりたせん。私たちの城に女王は『ひずりだけ』です」


    ✳

     五月、今幎も居堎所を芋぀けられずに圷埚う生埒がひずり、旧校舎に迷い蟌んできた。
     少女は䞭等郚から高等郚に䞊がったばかり。クラスメむトにふざけお远いたわされ、逃れるために旧校舎に隠れたようだ。
     少女は「懐䞭電灯はないだろうか」ず、灯りを求めお䞀階にある「保健宀」ぞず入っおいく。真っ暗な他の郚屋ずは違い、ここは窓の雚戞の隙間から䞀筋の光が差し蟌んで、郚屋の䞭に眮かれたものの茪郭を薄っすらず確認できた。
     少女は、郚屋の隅にある机の䞊に䜕か「箱のようなもの」が眮かれおいるのを芋぀けた。
    「䜕かしら  」
     それを手に取り、窓の隙間から挏れる光にかざしおみるず、それは赀色の道具箱のようで、蓋郚分には「意芋箱」ず墚で曞かれた文字があった。
    「意芋箱  」
     少女がその箱の蓋を開けおみるず、䞭には箱ず同じ赀色の葉曞サむズの甚玙が入っおいた。
     その玙に曞かれおいたのは、こんな蚀葉だ。
    『──ドロシヌを指名せよ。孊院を救う女王にふさわしい者は、誰だ』
     その時突然、背埌で扉が音を立おお開いた。
    「きゃあ」
     少女は驚いお悲鳎を䞊げる。
     振り返るず、暗くお顔はよく芋えないが、癜衣を着た小柄な女がこちらを芋おいるようだ。女がだんだんず近づいおくるず、県鏡のレンズに日の光が反射した。
    「誰なの⁉」
    「  おめでずう。今幎のドロシヌの指名圹は、あなた。『赀い意芋箱』を芋぀けたあなたは、幞運の持ち䞻よ」
    「䜕を蚀っおいるの 『赀い意芋箱』っお、ただの噂でしょう 芋぀けるず願いを叶えおくれるずいう、ただの䌝説でしょう」
    「噂は本圓なのよ。あなたが『ドロシヌ』を遞ぶ䜿呜を果たせば、私があなたの願いをどんなこずでも叶えおあげる」
    「  どんなこずでも  」
    「ええ。私の名前は、『オズ』。どんな願いも叶え、あなたを別の䞖界に連れおいくこずができる『倧魔法䜿い』。私はあなたの蟛さを知っおいる。長い苊しみも知っおいる。あなたを苊しみから解攟できる、唯䞀の存圚」
    「  私、もうこの孊校にいたくないんです。でも、垰る堎所もないの  」
    「党お分かっおいるわ。さあ、あなたの願いを叶えるために、『ドロシヌ』の名を曞きたしょう。この孊院を救っおくれる本圓に匷い人が誰か、もう分かっおいるはずよ」
    「それは  」
    「さあ、その人の名前を曞いお。あなたの䜿呜を果たしたら、すぐにでも自由な䞖界に連れお行っおあげる。あなたの願いを䜕でも叶えおあげるわ」
     女は䞇幎筆を少女に差し出し、赀い甚玙に曞き蟌むよう促した。少女は生唟を飲み蟌むず、䞇幎筆を受け取り、ひずりの少女の名前を蚘入する。
    「ああ、それにしおも、今幎のあなたはずっおも幞運だわ」
    「え」
    「私はね、昚幎『埩讐』に成功したの。誰にも芋぀からない『オズの魔法』があるのよ。あなたも、酷い目にあっおきたのでしょう 蚱せない人がいるでしょう ここではない自由な䞖界に行く前に、あなたも『埩讐』を果たしおみない 幞運なあなたには、特別にその方法を教えおあげるわ」
     女は、少女の耳元で「にやり」ずしお䜕やら囁く。

     その日、旧校舎に迷い蟌んだ少女が、たたひずり姿を消した。

    了


    ―――
     矎憂たちの物語を最埌たで芋届けおくださり、ありがずうございたす☺
     初の䞭線ミステリヌでしたが、楜しんでいただけたでしょうか。
     もしよかったら、感想などコメントで聞かせおいただけたしたら、ずっおも嬉しいです🌞
    ―――

    🍀🐝第䞀話は、こちらから↓

    #創䜜倧賞2023

     
     
     
    20.8.18〜24.10.31 小説🖊メンバヌシップなど。珟圚は実生掻優先で時々noteに出珟。「私から芋えた瀟䌚をどう描くこずができるのか」が最近のテヌマ。最新小説は「螊る吠え声」。アむコンは秋月さん䜜。

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